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流転の國 vol.1 〜突如として世界を統べる大魔術師になった主人公と、忠実で最強な配下達の物語〜  作者: 川口冬至夜


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第四十五話 贈り物

ご主人様からの贈り物。

ミノリとシャドーレは畏れ多いと思いながらも、素直にそれを受け取るのでした。

「ここにいたのか」

流転の國の休日五日目。

ルーリが潮風の吹くカフェテラスに現れる。

「ルーリ…!今、宝玉を使わずに転移してきたの?」

カフェテラスにはミノリとシャドーレの二人。

「ああ。休みの間にジェイから教わったんだ」

マヤリィの看病の合間に、ルーリはジェイに『空間転移』魔術を教えて欲しいと頼んだ。ジェイは快く引き受けてくれた。

「…ルーリ、ご主人様のお身体は…?」

シャドーレが心配そうに訊ねる。 あの日、マヤリィに無理をさせてしまったことを後悔している。

「今はもう大丈夫だ。マヤリィ様は二人に心配をかけたことを気にされていて、早く連絡を取りたいとおっしゃっていたのだが、実は結構重症であられてな。…それで、大事をとって今日もお部屋にてゆっくり過ごされている。そういうわけで、マヤリィ様に代わって私が二人に贈り物を届けに来た。本当はご主人様直々に手渡したかったそうなのだが、一刻も早く二人を祝福したいと仰せだったのでな」

ご主人様代理のルーリの前に、ミノリとシャドーレは跪く。

「勿体ないお言葉にございます。病床にありながらミノリ達のことを考えて下さるなんて」

「お優しいご主人様。ご自身のお身体が大変な時にまで、配下の心配をなさるとは…」

そんな二人を前にして、

「…では、贈り物の前まで移動しようか」

ルーリは『転移』を発動させる。

「ここは前に『白い部屋』とマヤリィ様が呼んでいた場所らしい。私はその存在すら知らなかったが。…聞く所によれば、マヤリィ様以外は誰も知らないし、この扉に気付くことさえ出来ない不思議な部屋だったようだ」

「白い部屋…」

前に一度、主に連れられてミノリはここに来たことがあるが、この場所に覚えはない。

「で、これがこの部屋の鍵。マヤリィ様からの贈り物だ」

ルーリは鍵を差し出す。

「開けていいの…?」

「開けなきゃ駄目なんだ。これは、マヤリィ様のご命令だ」

ルーリにそう言われて、シャドーレは恐る恐る鍵を開け、ミノリがドアを開ける。

「広い…!これが…ご主人様からの贈り物…?」

備え付けの家具の配置などは各々の自室に似ているが、その広さは二倍以上もある。

ミノリは驚いて、その場に立ち尽くす。

「そうだ。これがマヤリィ様のミノリとシャドーレへの贈り物だ。ここを二人の部屋として自由に使うようにとおっしゃっている」

そして、ルーリはマヤリィが言っていた言葉を思い出し、二人に語りかける。

「マヤリィ様は誰よりもお前達二人の幸せを願っておられる。この流転の國で、心穏やかに健やかに過ごして欲しいとおっしゃっている。そのお言葉を心に刻み、贈り物を受け取るんだ。そして、明日の会議で二人のことを皆に直接報告したいとおっしゃっていた」

ご主人様からの思いがけない贈り物に二人は感動し、しばらく何も言えないでいたが、

「分かったわ。ルーリ、本当にありがとう。…これから貴女はマヤリィ様のお部屋に戻るの?」

シャドーレは感極まって涙目になっている。マヤリィ様の部屋に戻るなら、感謝の気持ちを伝えて欲しいと言いたい所だったが、

「いや、今日は私もこの後は自由時間にするよう命じられている。…それじゃ、また明日、玉座の間でな」

そう言い残して、ルーリは素早く『転移』する。

きちんと挨拶する間もなく、ご主人様代理はいなくなってしまった。

「自由時間なら、ゆっくりしていけば良いのに…。ルーリもお疲れなのね」

シャドーレが言う。

「ミノリ、明日の会議で私達の話をして下さるそうよ」

「ええ。明日、やっとご主人様にお会い出来るのね。交際をお許し頂いたことも、今日の贈り物のことも、明日になれば、直接感謝の言葉をお伝えすることが出来るわ」

「そうね。感謝してもしきれないほどの贈り物を頂いてしまったわ…」

「今日はずっとここにいようか、シャドーレ」

「ええ、そうしましょう。ここが…貴女と私の…愛の巣になるのね…」

シャドーレが頬を染める。 言っててちょっと恥ずかしかった。

ミノリはその様子を可愛いと思いながら、

「シャドーレ、大好きよ」

「私だって、ミノリが大好き!!」


ここは、誰も知らない部屋。

ここは、誰にも見えない部屋。

そんな『白い部屋』の魔術を解き、他の部屋と変わりなく使えるよう、魔力を駆使してこの部屋を改装したマヤリィ。

それが、流転の國の休日三日目。自分の部屋に戻り、ジェイとルーリを帰した後の話。

(最低限の家具しか揃えていないから、この後ミノリとシャドーレが好きなように素敵な部屋へと変えてくれれば良いのだけれど)

マヤリィは体力が万全でない中、二人の姿を思い出しながら、一人で部屋の改装を終えた。


新しい部屋を完成させると、マヤリィは自室に戻る。

やはり、まだ本調子ではない身体。

部屋に帰るなりベッドに横たわり、そのまま眠り込んだ。

マヤリィが部屋を改装したのは三日目の午後。

ルーリに鍵を渡したのは彼女が見舞いに訪れた四日目のことでした。

ルーリは四日目の夜、マヤリィの部屋に泊まっているので、五日目に二人の前に現れたということになります。


休みだと言うのに、あまり休んでないマヤリィ様。

いつものことですね。

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