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流転の國 vol.1 〜突如として世界を統べる大魔術師になった主人公と、忠実で最強な配下達の物語〜  作者: 川口冬至夜


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第二十八話 禁術

桜色の都の国王ツキヨは戦を望んでいるのか…。

目覚めたバイオにマヤリィは問いただす。

「マヤリィ様…」

第4会議室。ここは結界部屋。

魔術訓練中に倒れる者がいることを想定して置かれた簡易的なベッドの上。

訓練中に倒れた者はいないので初めて使われることになった簡易的なベッドの上。

簡易的と呼ぶには豪華なベッドの上で、バイオは目を覚ました。完全治癒魔術が成功し、彼女がマヤリィの腕の中で眠りに落ちてから、どのくらい時間が経っただろうか。

「マヤリィ様…」

「目が覚めたのね。ここはさっきの部屋よ」

マヤリィが優しく微笑む。

バイオはその顔を見て、 安堵の表情を浮かべる。

「あの時、光の中で…あの白魔術師様の魔力と…そしてもうひとつ、凄まじい魔力を感じました…」

完全治癒魔術の最中の話だ。

「強く美しい魔力でございました。あれは…貴女様だったのでございますね…」

バイオは瞬きをすると、

「目が見えます。顔の強張りも消えました。全て、貴女様のお陰でございます。なんと感謝申し上げれば良いか分かりません」

「『完全治癒魔術』を使ったのは私ではないわ。お礼なら、後でシロマに言って頂戴」

そして、バイオが目覚めた直後の優しげな微笑みから一転、マヤリィは威厳に満ちた流転の國の主の顔になる。

「貴女が目を覚ましたことだし、本題に戻るわ。確か、天界滅亡計画の話だったわね?」

「はっ。そ、それは…」

バイオは一気に現実に引き戻された。

突然流転の國に押しかけたら、いきなりここに転移させられる。しかも計画はバレている。その後まさかの完全治癒魔術。そして目覚めたら…やっぱりマヤリィ様怖い。

とはいえ、気を失ってからずっと傍で見守っていて下さったのだから、やはりお優しい方なのでは…?バイオは戸惑う。

「貴女のその計画について、陛下はなんとおっしゃっているの?」

「…実は、明確な許可は頂いておりません。ただ、軽率な真似はするなと釘を刺されております」

「では、今回の一件は軽率な真似ではないのね?」

「そ、それは…!」

マヤリィは攻撃魔法を得意とする黒魔術師部隊に紛れてこの國に来て、あわよくば流転の國の戦力を使って天界と戦をしようというバイオの考えが気に入らなかった。もし本当に戦になれば、流転の國の者達を危険にさらすことになる。

「天界の者どもは今は大人しくしているようですが、いつまた攻め込んでくるか分からないというのは本当です」

しかし、実際は十年ほど前に攻撃されたのを最後に、その後は何も起きていない。密偵も送り込まれていないし『星の刻印』の存在も確認されていない。

やはり、天界が桜色の都に攻め込んでくる予兆を視たという話は嘘だった。

「それに、貴女様もひどい目に遭わされているではございませんか」

バイオは情に訴える。

「天界を滅ぼすことは、流転の國にとっても悪いお話ではないと存じます」

「貴女の話は分かった。それで、貴女の国王陛下は本当に天界と戦をしたいと思っているの?」

「えっと…それは…」

マヤリィの鋭い視線に、思わずバイオは目を逸らした。流転の國の主としては、王の意思を確かめたい。

マヤリィは語調を強くして、

「もし天界に攻め込むことをツキヨ殿が前向きに考えていらっしゃるのなら、私が直接桜色の都に出向いて詳しくお話を伺いましょう。感情的な貴女ではお話にならないわ」

「はっ。も、申し訳ございません」

バイオは跪いて頭を下げる。マヤリィ様、怖い。

「それから、もうひとつ」

マヤリィはバイオを見下ろし、彼女を囲むように魔法陣を展開する。

「たとえ国王の命令だったとしても、プライベートを覗かれるのは大嫌いなのよね、私」

禁術『能力強奪』発動。

「もう二度と、勝手に私達の名前を呼ばないで頂戴」

『能力強奪』は文字通り、相手の能力を奪い取る魔術。禁術に分類される非常に危険な魔術だが、マヤリィは「予言者」に会うことがあれば隙を見て使うつもりだった。

「…結局、やっていることは天使だった頃と同じね。他国を盗み見る『予言』なんて」

マヤリィはかなり怒っている。

天界に見限られた話に関しては同情したが、ツキヨの許可もなく、嘘をついてまで流転の國を戦に駆り立てようとしたことは見逃せない。

「偽りの情報を伝えて、戦をするべきだと唆した罪には、どんな罰が必要なのかしら」

冷たい眼差しでバイオを見つめる。

バイオは『能力強奪』によって、再び意識を失っていた。そのうち目は覚めるだろうが、二度と『予言』の能力は使えない。

マヤリィは配下達に念話を送る。

《こちらマヤリィ。これより「予言者」を連れて第5へ転移する。場合によっては「予言者」をこの國に拘束する。皆、現在の持ち場を離れず、次の命令を待ちなさい》

勝手に『流転の國』を覗き見されていたことに対して、実はかなり怒っていたマヤリィ。

ここぞとばかりに「宙色の魔力」を使い、いともたやすく禁術を発動し、バイオの能力を取り上げます。

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