第二十七話 ダイヤモンドロック
完全治癒魔術を成功させた途端に気を失ったシロマは、ユキの部屋で目を覚まします。
「ここは…」
シロマが目を覚ます。 ベッドの上だった。
「お目覚めになられましたか。ここはわたくしの部屋にございます。第4会議室にて『完全治癒魔術』を完遂なされたシロマ様はその場でお倒れになりました。わたくしはご主人様の命により、シロマ様を介抱させて頂く所存です」
ベッドの傍らにいたのはユキだった。ここは彼女の自室らしい。
「ユキさん、ありがとう。…あの方は助かったのですね?」
「はい。貴女様の白魔術によって、傷痕は全て綺麗に消え去りました」
「…私一人の力ではありませんよ」
そう言ってシロマは自分の傍に横たわる『ダイヤモンドロック』を手に取った。
「私の魔力が尽きかけた時、この魔術具を通して、ご主人様がご自身の魔力を分け与えて下さったのです。完全治癒魔術の成功はご主人様がお力添えして下さったお陰です」
シロマはそう言って微笑む。
「…ところで、ユキさん。ひとつ頼みがあります」
「何なりとお申し付け下さいませ」
「貴女の魔力を少しだけ私に分けて下さいませんか。それをこの魔術具によって倍増させ、私の身体に取り込みます。…そうすればすぐにご主人様の元に戻ることが出来るので」
万全ではなくとも『全回復』程度の魔術は使えるようにしておきたい。
「それでは、シロマ様のお身体が…!」
「私なら大丈夫です。それよりも、ご主人様のことが気がかりです」
シロマはダイヤモンドロックをユキの前に差し出して、
「ほんの少し、手をかざして下さい。やり過ぎれば今度は貴女が倒れてしまうので」
ユキは頷いて、その魔術具に手をかざす。
シロマはすぐに魔術具を引っ込める。
するとダイヤモンドロックは浮かび上がり、光を放ち、その光はシロマに注がれる。
「ユキさん、ありがとう。お陰で、すぐに復帰することが出来ます。ご主人様が今どちらにいらっしゃるかご存知ですか?」
「わたくしが最後にお見かけしたのは第4会議室ですが、その後の連絡はございません」
ユキは身体の力が抜けたのを感じる。
成程、ダイヤモンドロックに手をかざし続けていれば、すぐに倒れてしまうだろう。
「分かりました。私を介抱して下さって、どうもありがとう。ひとまず、玉座の間で待機することにします」
シロマは一礼すると、全員に念話を送り、転移の宝玉を取り出した。
《こちらシロマ。これより玉座の間に転移します。全回復は使用可能です。何かございましたらお呼び下さい》
念話を送った後、宝玉を使って『転移』するシロマ。
そこで待っていたのは……。




