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流転の國 vol.1 〜突如として世界を統べる大魔術師になった主人公と、忠実で最強な配下達の物語〜  作者: 川口冬至夜


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第二十一話 マヤリィとジェイ

いきなり生々しい性描写があるので、苦手な方はご注意下さいませ。

マヤリィとジェイの情事と、シリアスな話題で構成された回です。

ジェイはマヤリィの苦しみを理解しており、なんとか彼女を病から救いたいと思っています。

「ご無事でよかったです!姫!!」

姫が『転移』してくるなり抱きしめるジェイ。

「髪の毛、僕より短いじゃないですか!」

「ふふ、良い感じでしょう?」

「相変わらず金髪が似合いますね」

ジェイは姫を抱きしめたまま、髪を撫でる。

「美少年になりましたね、姫」

「では、貴方は同性愛者になるのね」

「よかった。少しお元気になられたようで」

そう言いながらジェイは姫にキスをする。

「でも、まだお疲れでしょう?何か召し上がりますか?例えば、コーヒーとか、僕とか……」

「先にコーヒーを頂戴」

姫が平然と言う。

「アイスでよろしいですか?」

「ええ。…飲み終わったら、貴方を食べるから。待ってて」

どうやら、コーヒーの後でジェイを召し上がるつもりらしい。


「…では、あの薬は飲んでないんですね?」

コーヒーを淹れながらジェイが聞く。

「飲んでないわ。飲む前に寝ちゃったし」

「それは倒れたと言うのでは…?」

「とりあえず、薬の副作用ではないわ。そこは安心して頂戴」

ルーリに介抱してもらったことはとりあえず黙っていよう。たぶん、ルーリもそのつもりでいるだろう。姫は思った。

彼女に切ってもらった髪を触ってみる。

ふふ、短くて気持ちいい。

やっぱり、ベリーショートっていいなぁ。

そんなことを考えているうちに、ジェイが二人分のアイスコーヒーを運んでくる。

「お待たせ致しました、アイスコーヒーでございます」

「ありがとう。ミルクだけ下さいな」

「どうぞ」

ここでようやくコーヒータイム。

かと思いきや、恋人達の時間が始まっている。

「姫…会いたかった…」

ジェイはもう我慢出来ないとばかりに姫を抱き寄せる。

「ああ、ジェイ……」

二人は抱き合い、唇を重ねると、舌を絡め、しばらく離れなかった。

「ベッドに…行きましょう?」

マヤリィは彼を見つめながら言う。

ジェイは優しく笑って、姫を抱き上げる。

「また細くなったみたいですよ」

「いいの。私、痩せたいから」

姫は双極性障害と並行して拒食症を患っていた頃があった。

「そうですね、姫はどんなに細くても可愛いですから」

ジェイは決して彼女の言葉を否定しない。


マヤリィは自分で服を脱ぐと、下着姿になった。

「ジェイ…ブラのホックが外せないわ…」

甘えるような声で姫が言う。あざとい。

さらには可愛らしい上目遣いでジェイに迫る。

「姫、そのお顔は反則です」

ジェイはそう言うと、姫のブラジャーを外し、ショーツを脱がした。

「骨っぽいし、胸がないわね…。ジェイ、私は本当に女なのかしら」

拒食症で30kgまで痩せた姫は、今は回復しているが、元の体重に戻っても胸の大きさは戻らなかった。

「姫、今から僕がそれを証明しますから、嘆かないで下さい」

マヤリィが自分の裸体にがっかりしている間に、ジェイも全裸になっていた。

「まずは、ココからですよね」

そう言って、うなじを舐める。

「んっ……」

ソコを攻められてはたまらない。

姫は快感に悶え、愛液があふれ出す。

「ああ、濡れてますね。姫、最高にエロいです」

ジェイは姫の股を開き、クリトリスを舐める。

「あ…んっ……」

明るい照明の下、姫はM字開脚にされる。

「恥ずかしいですか?気持ちいいですか?」

ジェイはマヤリィの秘壺を舐め回した後、そっと指を入れ、優しく愛撫する。

「ああんっ」

姫がたまらずに嬌声を上げる。

ジェイの指が、姫の中で動く。でも、全然痛くない。気持ちよすぎて、もうイキそう。

「駄目ですよ、本番はこれからです」

既に蕩けそうな瞳をしている姫を見てジェイが言う。

挿入(いれ)ますよ、姫」

ジェイのペニスはギンギンに勃っていた。

それが姫の膣に挿入(はい)る。

「ジェイ…。気持ちいいわ…貴方が挿入ってきたら凄くあったかくなったわ…」

ジェイは何も言わず、ペニスを優しく擦り付ける。

「あっ…あっ…」

姫の中でジェイのペニスが動くたび、二人の身体は熱くなる。

「ほら、姫は女性なんですよ…」

ジェイは姫の膣の奥深くまでペニスを挿入ていく。

姫の華奢な身体が壊れそうなくらい激しいセックスをする

(ああ、貴方をもっと感じたい…)

「ねぇ、出して…私の中に…出してよ………」

二人はもう何も考えられなかった。

ただ本能のままに、互いを求め合った。

力尽き、果てた後も、二人は固く抱き合っていた。


「ねぇ、男に抱かれるって気持ちいいわね」

本当にようやくのコーヒータイム。

「い、いきなり何を言い出すんですか!?」

ジェイは危うくアイスコーヒーを吹き出しそうになった。

「うふふ、今日のセックスが最高だったって言いたかったの」

そう言って姫は微笑むと、

「…もしかして、第2ラウンドもあるかしら?」

悪戯っぽく笑う。本当に、この人には敵わない。

「今も貴方のモノが私の中にあるような気がするの…。ねぇ、もう一度ヤらない?」

ジェイは姫の言葉を聞き流すと、軽く咳払いをした。

「一応、確認しておきます。貴女とルーリのこと、僕が気付いてないとでも思ってるんですか?」

「あら、知ってたの?」

マヤリィはあっけらかんと言う。

「だって、ルーリは美人だしサキュバスだし…。私のことを愛してくれているみたいだし♥」

恋人の前で惚気けるな。

「…姫、今まで知りませんでしたが、貴女ってビッチなんですね」

「あら、そう?そんなこと言われたのは初めてよ」

マヤリィは首を傾げると、

「ふふふっ、知らなかったわ。私には縁のない言葉だと思ってた。ふふっ」

「笑い事なんですかね、これは」

悪びれることなく笑うマヤリィ。

確かに、二股かけているのは事実だ。

「だって、私はバイ・セクシャルだし…。ねぇ、許してくれるでしょう?魅惑魔法には抗えないわ」

「それは、ルーリが姫の魅惑魔法に抗えない、という意味ですよね?」

「ええ、そうかもしれないわね」

まだ夢現の状態なのか、姫の蕩けそうな瞳はやけに色っぽい。

(僕は貴女一筋だって言うのに…)

そう思いつつ、ジェイは姫を心から愛している。

時にサキュバスをも圧倒する『魅惑』を放つマヤリィだが、ジェイは姫がどんな一面を見せても、彼女が愛おしくて仕方ない。

むしろ、もっと知りたい。たとえマヤリィの本性が完全悪だったとしても、ジェイは喜んで受け入れるだろう。

「…ねぇ、もし私が貴方の子供を身篭ったらどうする?」

突然、マヤリィが言う。

「産んで下さい」

「あら、即答ね」

「当然です。その覚悟はいつだって出来ています。楽しみです」

実際、その可能性はある。マヤリィもジェイもまだ33歳だ。

「あら、頼もしいのね」

姫はジェイの意外な一面を見た気がした。

もう少し戸惑うかと思ってた。

「…だったら、私、男の子がいいな…」

「姫…?」

「万が一にも私と同じ苦しみを味わわせたくないし、私は…女の子に教えてあげられることは何もないから。毒親に育てられた子は自分自身も毒親になると聞いたことがあるし…。まぁ、私はそうはならないと思うから、心配しないで」

姫はそう言って、少し寂しそうに笑った。

「…畏れながら、マヤリィ様。貴女様はもう自由の身にございます。我等は流転の國の最高権力者であるご主人様に絶対の忠誠をお誓い申し上げた者ども。貴女様が何をなさろうと、どんな命令を下されようと、私達はどこまでもついて参ります。どうか、そのことをお忘れなきようお願い申し上げます」

その時、ジェイは敢えて側近の顔をし、配下の言葉遣いで、ご主人様に頭を下げた。

「…分かった。私は流転の國の最高権力者として、この先も配下である貴方達を導いていくことを約束しましょう。ジェイ、これからも私に従い、どこまでもついてきなさい」

「はっ。畏まりました、ご主人様」

それを聞いたマヤリィは流転の國の女主人の顔で、慈悲深い眼差しをジェイに向けた。

先ほどまではあんなに可愛らしい恋人だったのに、玉座の間での会話を再現すると、途端に気高く美しい女王になる。

(桜色の都の方々はこのマヤリィ様しか知らないだろうな…)

当然だ。宙色の大魔術師はあざとい上目遣いなんて絶対にしない。

「ところで、お身体の具合はいかがですか?」

ジェイが何事もなかったかのように訊ねる。

「かなりよくなったと思うわ。今日を入れて五日間は私も休みだし」

マヤリィも平然と答える。

そして、コーヒーを飲み干し、立ち上がる。

「姫、もう行っちゃうんですか?第2ラウンド、しないんですか?」

「急に眠くなってきたの。貴方とのセックスが激しすぎて疲れちゃったみたい」

と言いつつ、姫はきっちりスーツを着ている。

「それなら、ここで寝ていけばいいじゃないですか」

「でも、誰かからメールが来ているかもしれないし、完全休業ってわけにもいかないのよ」

ジェイは寂しそうに、

「明日は、誰とデートですか?」

「ミノリよ」

「休む暇ないですね」

思えば、皆に指示を出していたミノリはご主人様のことを誰よりも心配していた。その為、フォローが必要なのだとジェイは思った。つくづく、マヤリィは忙しい立場だ。

「それじゃ、また来るわね」

そう言うと、姫はあっという間に『転移』した。

ジェイが挨拶する暇もなかった。

一人残されたジェイは先ほどの情事を思い出す。

姫の身体の感触が手に残っている。華奢で色白で、とても柔らかい女の身体。本人は気にしているようだけれど、ジェイから見れば、彼女は脱いでも脱がなくても魅力的な女性だ。

うっかり全裸で喘ぐ姫の姿を思い出してしまうと、すぐに身体が反応する。

(いや、今は思い出してる場合じゃないって)

ジェイは、先ほどの姫の言葉を思い出す。

私と同じ苦しみを味わわせたくない…。

マヤリィは今も元いた世界に囚われているらしい。

(この國の主として気丈に振る舞ってはいるけれど、姫は今も苦しみから解放されていない。…ここは自由な世界であり、彼女を否定する者など誰一人として存在しないというのに。…このままずっと流転の國にいられるなら、姫の病気は治るだろうか。時が解決するだろうか)

姫の短い髪の手触りを思い出す。

顕現した直後、彼女の黒髪は肩まであった。

それを嫌がってパニックに陥った姫の姿をジェイは今も覚えている。

(もう伸ばさなくていい…死にたいほど苦しいのなら、髪なんていくらでも切ってしまえばいい…)

されど、それだけで解決する病ではない。

ジェイは姫の苦しみを思うと、心が締め付けられるようだった。

そして、誰に問いかけるでもない独り言。

「…マヤリィ様、貴女が真の意味で解き放たれる日は、いつ来るのでしょうか」

恋人からビッチ認定されたマヤリィ様。

逆に喜んでませんか、この人。


いまだに元の世界から引き継いだ病に苦しむマヤリィと、彼女を解き放ってあげたいと考えるジェイ。

望むままに髪を短く切っても、そう簡単に変われないのがトリコフィリア。

そして、重度の精神病は『流転の國』にいてもなお彼女を苦しめ続けています。

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