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2015年、努力ノ先ノ期待ト不安。

ついにゲーミングチェアを買いました。

注文した次の日にセールをしていて5000円安くなっていました。

Amazonさん、セールやるなら言ってくれよ…。






「う、うまい…。完璧だ…完璧にあんこがうまい…。」


「これがあんこなら今まで食べたものではあんこではないな。味を知ってしまった…。」


あまりの上品さに僕らは目を瞑り、あんこを舌で味わっていた。

白玉クリームあんみつを注文することが叶わなかったので、僕は定番の白玉あんみつをかーくんはクリームあんみつを食していた。


紀の善のあんこは一味違う。

おかみさんである冨田惠子さんの口癖は「あんこ命」。

その言葉通り、あんこへの素材と製法へのこだわり、そして愛情が強い。

先代から丁寧に作るように言われ、水質、水温、浸漬時間、アクとりのどれも妥協しない。

また、冨田さんは「美味しいあんこはいい小豆からしかつくれない」と言い、粒あんの素材は大納言小豆のみを使用している。

そのこだわり抜いた味は、甘すぎず、すっきりとしており、最後まで飽きずに食べられる。


「なんだろうな。甘すぎず、上品なあんこなんだよな。舌に甘みが染み込んでくるような感覚だわ。」


紀の善のあんこの素晴らしさについ詩的な表現をしてしまった。

それを聞いていたかーくんが対抗する。


「わかるよ。これはまさしく、リッチな立地で食べる上品な高級品。」


かーくんが頑張って韻を踏んできたのがわかったので、そこはあえてスルーした。

そうこうしているうちに味わって食べていたつもりのあんみつが、あっという間に食べ終えていた。

未だに舌には余韻が残る。


「おかみさんのこだわりをしかと受け取りました。」

「最高でした。」


各々の感想を述べ、2人で声を合わせる。


「ご馳走様でした。」


歴史を受け継いでくれたことに感謝し、お礼を伝える。

あまりのあんこの素晴らしさにロケ地巡りをしていたことを忘れていた。

ふと聖地巡りをしていたことを思い出し、横の席を見つめる。


ーー2年前ここで撮影してたんだよな。ーー


ここであの日見たライブで歌っていた人がいたんだと思うと不思議な気持ちになる。

正直、自分がアイドルのロケ地を巡る日が来るなんて夢にも思わなかった。

ほんの数年前なら間違いなく拒絶していた。


音楽をやっている頃はとにかくミーハーな事を嫌っていた。

他の人とは違う感性を持ち、それを音楽やアートへと昇華するものだと信じていたし、浮かれているのがカッコ悪いと思っていた。

その考えは間違いでもないのだが、僕にはきっと重荷になっていたんだと思う。

なりたいではなく、ならなきゃいけないと考え方が一辺倒になり、遊び心を無くしていた。

そのお陰で出会えた音楽もあるが、後悔した時間もある。

尖ることに一生懸命で、本当は楽しいことを楽しいと言える人達に憧れていたんじゃないかなと思う。

昔の自分に会えるなら一言言いたい。

「おい。そこの俺。俺が思ってるよりも世界は自由で楽しいぞ。あんまりちゃんとしようとするな。遊べ。」ってね。

そんなことを考えていたら、当時大切にしていた場所があることを思い出した。


「いやぁ、最高だった。彼女が出来たら連れてきたい場所になったわ。」


あんこ好きのかーくんはとても喜んでいるようで満面な笑顔だった。

こうも表情に出してくれると連れてきた甲斐がある。


「かーくんさ、このあと行きたい場所とかある?」


紀の善目的で東京に来たはいいが、その後のことはノープランだったので確認をした。


「いや、特別ないけどせっかくなら乃木神社にはお参りしたいかな。」

「それは最重要事項だね。乃木神社は決定で。あと相談なんだけど、久しぶりに行きたい場所があるんだけどそこ言ってもいいかい?」

「全然いいよ。俺は乃木坂行ければなんでも良い。ちなみにどこ行くの?」

「大聖堂。」

「大聖堂!?それは行きたい、是非行きたい、マジで行きたい。」

「じゃあ、決定で。まずは乃木神社へ行きますか。」


かーくんは大聖堂と聞いて興奮してテーブル越しに前のめりになり、立ち膝をついていた。

こうして乃木神社経由、僕の大切にしていた場所行きが決定した。



東京メトロを乗り継ぎ、僕らは乃木坂駅に到着した。

相変わらず駅でテンションが上がり、気持ちを抑えたニヒリな顔で2人は駅構内を闊歩した。

この場所に慣れる日が来るのだろうか。

出口を出て、乃木神社へ到着。

11月の乃木神社は人の流れも落ち着き、季節同様趣があるように感じる。

今回は次の予定の時間もあるので参拝のみと決めていた。

とはいえ、せっかく来たので絵馬を見ていた。

前回はエロい女が近寄ってきますようにと書かれた衝撃が強すぎて、他の人のをじっくり見れていなかったので楽しみである。


今回の絵馬にはこんな事が書かれていた。

・乃木坂46がAKB48を超えられますように

・何かの間違いで星野みなみが僕の妹になりますように

・去年のようにメンバーとバッタリ会えますように

・まいやんがセンターに返り咲きますように

・クリスマスライブが当たりますように。あと、受験が合格しますように


みんな思い思いで絵馬に願い事を書いており、それを見て嬉しくなる。

同じファンとして痛いほど理解できる(妹の案件除く)。

大なり小なりあれど、みんな乃木坂46に救われ、希望を持った同志達ですから。

色々書かれた絵馬の中にこんな文章を見つけた。


[今年こそ念願の紅白初出場!]


この言葉を見て僕は期待と不安が胸の中で交差するのを感じた。


2014年の11月中旬、新聞の一面にこのような文字が記載された。

[乃木坂46、紅白内定!]

結成してから着実に人気、売り上げ共に作り上げていた時に知らされた吉報。

そのニュースを見て、ファン達は歓喜していた。

そして、誰よりもメンバー達が歓喜した。


乃木坂46はAKB48の公式ライバルと謳われたことにより事あるごとに比較され、メンバーを苦しめていた。

素人から突然プロとしての扱いをされ、結果を残さなければならない。

AKBグループと違い、劇場がない中でメンバーは奮闘した。

その中で自身と向き合い、仲間と励まし合い、とにかく努力をした。

そして掴んだ国民的番組の出場権。努力が報われた瞬間だった。

その矢先に一部のメンバーが週刊文春に報道された。

1人は未成年の飲酒。

もう1人は妻帯者との不倫。

この報道により、内定が取り消された。


紅白出場が叶わなかった翌年の2015年、乃木坂46は怒涛の快進撃を見せた。

ドラマや映画をはじめ、雑誌のモデルなど露出が増えた。

何よりも変わったのはメンバーの意識。

自身と乃木坂46とは何かを問い、模索し続けた。

ライブへ賭ける思いも強く、ひとつひとつのライブを大事にした。

その集大成が僕らが見た神宮球場のライブである。

紅白が全てではないが、乃木坂46にとって2015年に紅白に出場するのは大きな意味がある。

わかっているからこそ不安だった。

もし、行けなかったどうしよう。

そんな事が頭をよぎっていたら、かーくんが一言呟いた。


「今年は行けるだろ、紅白。」


何気ない言葉だったが、僕はそれを聞いてハッとさせられた。


「俺、ファン歴浅いけど今年の乃木坂凄かったって思うもん。それに神宮のライブ見たとき、アイドルとか女の子とか関係なくカッコいいって思ったんだよね。テレビや雑誌、そしてあの光景を見てた者として言わせて頂くと、行けない理由が無い。」


そう言ってかーくんは絵馬を見ながら口角を上げた。

その表情から彼女達の活躍と努力を信じているのがわかった。


「だよね。今年は行けるよね。」


かーくんの言葉で少しでも不安になっていた自分がバカらしく感じた。

僕らファンが、彼女達の紅白を信じてあげられなくどうするんだ。

そう思えた。


「うし!そろそろその大聖堂とやらに行きましょうや。案内してよ。」


かーくんから威勢よく次の場所の誘導を求められ気合が入る。


「おう!任せておけ。度肝抜かれるぜ。楽しみにしてな。」


そう言って僕らは今年の紅白歌合戦の乃木坂46出場の期待と希望を胸に乃木神社を後にした。






最後まで読んでいただいてありがとうございました。

次回は、思い出の場所に行きます。

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