[サブストーリー]『君とばーびぃ』前編
うちの近くのコンビニから遂にかぼちゃプリンが消えました。
また来年会える事を心から楽しみにしています。
『人生は常に前へだけへは進めない。引き潮があり、差し潮がある。 』
古典文献学者・ニーチェ
いつものように仕事を終え、2人で僕の部屋でお酒を飲んでいた。
「おい、かーくん。我々と神社に属性がある事を知っていたかね?」
携帯を見ながら横で角ハイボールをぐびぐび飲んでいるかーくんに問いかけた。
「勿論知らんよ。それはどんな感じでわかるのかね?」
興味をもったようで前傾姿勢で聞きに入った。
「この前たまたまSNSで見つけたのだが、計算式があってその式に習うと自分の属性がわかるらしい。そして、自分と同じ属性の神社で参拝すると、よりご利益があるらしい。」
興味深そうにかーくんは聞いている。
「ほうほう、それは面白い。神社フリーカーとして是非とも聞きたいね。」
『神社の属性と自分の属性』
神社やその土地には属性があるといわれている。
属性には、地、水、火、風、空、の5種類に分けられており、その属性は人間にも当てはまり、それぞれが生まれ持った属性と相性があるとされている。
同じ属性の神社や土地を訪れることによってよりご利益が得られやすい。
自分自身の属性を知るためには下記の計算を行う。
[自分の属性を調べてみよう!]
やり方はとっても簡単です。是非やってみてください。
今回は、1995年5月5生まれのO型の場合で計算していきます。
●まずは、生年月日を1桁の数字ごとに分けて全て足します。
→1+9+9+5+5+5=34
●さらに足した数字をさらに一桁に分けて足します。
→3+4=7
●そして、生年月日で出した合計の数字に下記の血液型の数字を足します。
A型→1 B型→2 AB型→3 O型→4
→7+4=11
●合計が2桁になった場合、1桁になるまで足します。
→1+1=2
●これであなたの数字が出ました。そしたら下記の属性の数字と照らし合わせるだけ。
地→1、6 水→2、7 火→3、8 風→4、9 空→5
今回の場合、属性は『水』。
いかがでしたか?自分の属性を知ると神社の見方が変わって面白いですよね。
あくまでも目安で、個人的に大切なのは自分がここだと思う神社に行くことだと思います。
ですが、ご参考にして頂ければと思います。
これであなたによりご利益があるかも!?
2人は計算式を使い、自分の属性を調べた。
「おぉ。俺、空だ。」
「おぉ。本宮ひろ志先生の作品か。」
「それは俺の空だ。安田一平みたいな人生は送っとらんよ。ようちゃんは?」
「わしは、火じゃ。」
「火か…っぽいなぁ。あ、空と火は相性良いって。」
「ほうほう、だろうな。」
属性の計算式を使い、2人の相性がいいことがわかった。
仮に相性が悪く出ていても笑い飛ばしていたと思う。
かーくんがハイボールを飲み干していたので、グラスに角ウイスキーを注いでいた時にある疑問が浮かんだ。
「かーくんは社会に出て介護一筋で来たと思うけど、そもそもなんで介護やろうと思ったの?」
散々遊んできたが、思えば彼の原点を知らないことに気がついた。
「そっか。そういえば話したことなかったね。俺さ、元々保育士になりたかったんだよね。」
違和感が全然なかったので驚きもしなかった。
「余裕で保育士のかーくんが想像できる。子供好きだもんね。」
かーくんは工業系の高校に通い保育士を目指していた。
だが、実技試験のピアノがどうしても弾くことが出来ず諦めたらしい。
保育士の夢が断たれ、将来を悩んでいた時にお姉さんから提案があった。
「あんたさ、介護士目指してみれば?年齢は違うけど、やる事は大体一緒なんじゃない?」
その提案を受け「たしかに。」と思い、介護士の専門学校を選択した。
そして、今に至る。
お姉さんの一言が今のかーくんの人生の礎になっているのだから言葉の力とは改めてすごいと考えさせられる。
「すげぇな。お姉さんの機転の利き方も凄いけど、その一言で一途に介護を続けているかーくんも凄い。」
「大した事ないよ。続けてただけ。それに単純に俺介護が好きなんだよね。」
そういう事をさらっと言えるのがこの男のカッコいいところである。
「それだけ長く介護に携わっていると色んな患者さんに会う訳だけど、印象に残っている人とかいる?」
「いっぱいいるよ。みんな結構個性強いからね。」
そう言って笑いながらウイスキーのストレートを一口飲んだ。
アルコール度数が強いので飲み終えて「かぁ。」と言い、再び話し出した。
「でも、一番残ってるのはやっぱり[ばーびぃ]かなぁ。」
「ん?星の?」
「いや、それは[カービィ]だ。」
相変わらずツッコミは冴えているようだ。
当時かーくんは仕事と恋愛で悩んでいた。
美花さんの件があった頃、介護の責任者を任され、業務終了後にも勉強会によく参加していた。
人一倍責任感と強い男は、休日の日にも呼び出されたら会議に出席していた。
この頃病棟の人手不足が深刻で、責任者の立場もあり早日勤遅の12時間勤務が日常になっていた。
さらに夜勤明けのその日にまた夜勤などもしばしばあり、心身ともに疲れていた。
そんな疲れた日々を送る中、1人の小さなおばあちゃんが右手の剥離骨折手術後、回復期に入院してきた。
それが[ばーびぃ]である。
ばーびぃの由来は、ご家族が[ばあば]じゃ可愛くないとの理由から考えた末にこれなら可愛いと[ばーびぃ]になったそうだ。
ご家族からも「是非そう呼んであげてください」とお達しがあったのでかーくんもばーびぃと呼んでいた。
ばーびぃは右手こそ骨折をしているものの日常動作には全く問題なく、意思疎通できていたが重度の認知症を患い、すぐ自分がやった事を忘れてしまう。
よく自分が骨折した事やなぜここにいるのかわからなくなる。
だが、その理由を説明すると「あらやだ。すーぐ忘れちゃうんだか。またわからなくなったら教えてちょうだいね。」と満面の笑顔で言ってくる可愛いおばあちゃんだった。
認知症のばーびぃにとって毎日が初めての連続だ。
その一例がこちらだ。
・かーくんに会うたびに「はじめまして。」と言う。
・食事が出るたびに「こんなに美味しいもの食べたことないよ。」と言う。
・鏡で自分の姿を見るたびに「うわ。おばあちゃんになっちゃった。」と驚く。
・歯磨きのたびに自分が入れ歯なのに気づく。
・トイレの流すボタンがわからず毎回焦る。
・気づくと隣の人のベッドで寝てる。
ちょっと大変だけど、どの行動も本当に愛らしかった。
そんなばーびぃはとっても気遣い屋さんで、疲れているかーくんを見ると「お兄さんどうしたの?元気ないよ。そうゆう時は私と一緒に笑おう。」と言ってきたり、「あんまり無理しちゃダメ。私みたいになっちゃうよ。」と言い、後ろから背中をさすってくれたりすることから当時のかーくんの癒し担当だった。
疲れていても病棟でばーびぃが毎日ニコニコしていて自分を気にかけてくれる。
その存在があったから、かーくんは疲れていても仕事で笑えていた。
だが、そのかーくんの笑顔を奪う出来事が起きた。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。




