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「君の名は希望」は、僕にとって最高のロックっす。

スーパーの裏でヤニ吸うふたりの2巻の発売日か決まりました。

大好きなんですよね。早く読みたい。




午後10時20分。

いい具合にお酒も入り、それぞれが話したいグループに固まり談笑していた。

仕事の話をする者、恋愛の話をする者、ゴルフの話をする者、株などの投資の話をする者、口説きはじめる者。

各々が楽しんでいた。

その中で誰よりも酒を飲み、誰よりも楽しんでた人物がいた。

勿論、遠藤さんである。

「それからっすよ!それから!生駒ちゃんが花道の真ん中で目を開けて「神宮ー!神宮いけますー!集大成見せつけようぜー!」って言うんですけど、その主人公感が半端なくて…俺、初めてのライブで泣いちゃったんすよ。」

かーくんは新井先生に向けて乃木坂愛を熱く語っていた。


約1時間ほど前。


かーくんに見限られ、新井先生に捕まった訳だが話してみると案外楽しく、普通に意気投合していた。

「おまえらは27クラブって知ってるか?」

酔っ払った新井先生が周囲に集まる職員に問いかける。

「漫画喫茶の名前ですか?」

一人の男性職員が答えた。

「おまえはバカか。そんな事を俺が話すと思うか?」

新井先生が一喝する。

「キャバクラの名前ですか?」

一人の女性職員が答えた。

「ありそうだから腹が立つな。違う。次?」

新井先生はちょっと怯んだ。

「TSUTAYAっすか?」

違う男性職員が答えた。

「それはカルチュアコンビニエンスクラブだ。おまえは株のやりすぎだ。ったく、誰も答えられんのか?」

そう言ってチラッと僕の方を新井先生は向いた。

「萩原ぁ、おまえはわかるかぁ〜?」

閻魔大王のようなドスの効いた声でこちらに問いかけてきた。

空気的にも外す訳にはいかない。

「ジミヘン、ブライアン・ジョーンズ、ジャニス・ジョプリン、ジム・モリソン、カートバーン、ロバート・ジョンソン…こんなとこですかね?」

そう言い終えると先ほどの閻魔大王はゆっくりと人に戻り、満足した表情を浮かべた。

「さすが萩原じゃないか。これを答えられたのはおまえが初めてだぞ。」

周りにいた人達から「おぉ〜。」と拍手を受けた。

「いやいや、たまたまっす。」

照れ笑いで謙遜した。

「萩原さん、その27クラブって何なんですか?」

目の前に座っていた男性職員から質問を受けた。

「27歳でこの世を去ったロックスターの一覧です。世界的に有名なスターはなぜか27歳でなくなる人が多かったんですよね。」

そう話すとまた「おぉ〜。」と声が上がった。

その一連の流れを見ていた新井先生が口を開いた。

「萩原、そろそろおまえが好きなロックを教えろ。乃木坂46についてだ。」

「いや、たぶん新井先生が好きな音楽とは違いますよ。そんな無理に…。」

言い終わる前に新井先生の閻魔大王が再び顔を覗かせた。

「うるさい!おまえが好きなロックでいいのだ!ジャンルなど関係ない!おまえは俺に乃木坂46がロックだと言っただろ!なんだ?それとも乃木坂46はそんなに恥ずかしい音楽なのか?」

閻魔大王がニヤニヤしながらこちらの様子を伺っている。

その言葉を聞いてプチっと頭の中で音が鳴った。

「そこまで言われたら新井先生でも黙ってらんねぇっす!じゃあ、しかと乃木坂46の良さを聞いてもらおうじゃないっすか!つか、魅力が伝わるまで帰さねぇ!」

酒の力と新井先生の煽りもあり、口調が荒くなってしまった。

「いい目つきになったぞ萩原。熱意を持って来ないと俺には伝わらんぞ!」

閻魔大王はこの上なく楽しそうにしている。

「耳の穴かっぽじって聞いてくださいよ!そもそも乃木坂46ってグループは、AKB48の公式ラ…。」

「え?なになにー?乃木坂の話してんの?俺も混ぜてよー!」

これからというところで横からかーくんの割り込みが入った。


そして、現在。


「やっぱ指望遠鏡なんすよ。名曲揃いなんですけど、結局は指望遠鏡に帰ってきちゃうんですよねぇ。」

片膝をついたかーくんは、そう言ってグラスに残ったウィスキーを喉へ流し込んだ。

「ロケ地が伊豆大島の砂漠で旅行しようと思ってるんすよ。ねぇ、ようちゃ〜ん♪」

そう言うとかーくんはグラス片手にゆっくりと下をむき目を閉じた。


ーーだめだ。この男、完全に酔っ払っている。ーー


新井先生は上機嫌にかーくんの話を聞いている様子だ。

「萩原だけでなく、遠藤をここまで虜にする乃木坂46ってのは相当だな。ついでだからオススメの曲があったら教えろ。次までに聞いておいてやる。」

その言葉を聞いてかーくんが開眼する。

「指望遠鏡ーっす!」

身を乗り出そうとするかーくんを取り押さえ、「その曲は新井先生にはまだ早いって!」と諭し、新井先生に答えた。

「君の名は希望だと思います。」

そう聞いて新井先生が興味を持った。

「ほう。どんな曲か教えてみろ。」

新井先生は顎に手を置きこちらを伺う。

「君の名は希望は、乃木坂46でなければ歌えなかった曲です。そして、乃木坂46がいなければ生まれなかった曲です。ハードロックのような衝撃はありませんが、心の奥にあるものを突き動かす何かがあります。シンプルな曲に染み込む情景描写は他に変えられない儚さと美しさがあり、乃木坂46そのもののような曲です。お薦めは?と聞かれたらこの一曲になります。」

僕は新井先生の目を真っ直ぐ見て答えた。

その横でかーくんが「ええぞ、ええぞ。」と上機嫌に手を叩いている。

「萩原、おまえにとってその曲はなんだ?」

新井先生が片側の口角をあげて問いた。それを見て僕もニヤリと笑った。

「最高のロックっす。確か新井先生のロックの定義は心を突き動かすものなんですよね?なら間違いなくこの曲は僕にとってロックです。」

言い終えるとかーくんが「ようちゃんカッコイイ!カッキーン!」とオリエンタルラジオの藤森の決め台詞をベロベロになって言っていた。

「…萩原ぁ、やっぱおまえおもしれぇな。」

そう言って新井先生は得意の山賊笑いをした。


そんなやりとりをしていると店員さんが時間の確認をしに来た。

「ラストオーダーの時間なのですが何か頼まれますか?」

新井先生が時計を見て答える。

「いや、もういい。会計を出しておいてくれ。」

「かしこまりました。」


会計を済ませ、全員が店を出た。

「ごちそうさまでした。」

全員で新井先生にお礼を言う。

「構わん。みんな今日は忙しい中よく集まってくれた。またやろう。女子は遅いからここまでだ。男子はまだ飲み足りないやつがいたらついて来い。」

無事に飲み会のミッションを終えた。

思い返すと結構楽しめた。かーくんに感謝しなきゃいけない。

「よし、次行くやつ誰だ?」

新井先生が人数確認を始めた。

今日は十分楽しめたので家に帰り、録画してある乃木坂工事中の過去動画を見返すことを楽しみにしていた。

「あ、言い忘れてたが、遠藤と萩原は強制参加だ。」

「…え?」

思わず声が漏れた。

「なんだおまえ、文句でもあんのか?」

「いや、そうではなくて…明日仕事が…。」

「明日の勤務早いのか?」

閻魔大王も勤務に関しては敏感だったようだ。

少し安堵し、ここぞとばかりに早番と嘘をつこうとしたその時ベロベロに酔っ払ったかーくんが会話に割り込んできた。

「明日ようちゃん夜勤だよね〜♪」

「…え?」

また思わず声が漏れた。

それを聞いた新井先生が答える。

「なら余裕だな。紛らわしい事を言いやがって。萩原は参加決定だ。まさか文句はないよな?」

逃げる術は無くなった。

「…はい。異論はございません…。」

「良かったね、ようちゃん♪」

無邪気な笑顔でかーくんがこちらを見ていた。

その笑顔で怒りが込み上げ自然と眉間に皺が寄り、顎を前に突き出し、臨戦体制のアントニオ猪木の形相になった。

それを見てかーくんがきゃっきゃと子供のように喜んでいた。

「それじゃあ解散。次行くやつは着いて来い。」

新井先生の一言でその場にいた職員がそれぞれの場所に向かった。






最後まで読んでいただいてありがとうございました。

ようやく僕が書きたかった人物を登場させることができました。

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