龍と島根のあいだは、ノスタルジー。
世界で1番美味しいプリンは、セブンイレブンのかぼちゃプリンだと思っています。
毎年ハロウィンが楽しみな理由はそれです。
「え!?御朱印してもらえないんですか!?な、なぜでございますか…?」
動揺した。動揺して丁寧語で質問してしまった。
「まじかぁ…。」と、かーくんも絶句状態だった。
なにせ、この為に先ほど乃木神社で御朱印帳を購入したのだから…。
僕らを諭すように授与所の巫女さんが教えてくれた。
「当神社の御朱印は、元旦から成人の日までの御朱印と毎月辰の日の御朱印の2種類ございます。通常が辰の日のみでして…ご参拝して頂いたのに申し訳ございません。」
巫女さんの言葉に動揺し、ゆっくりとかーくんと顔を見合わせた。
「なんてこったぁ…。」
2人同時に呟いた。
数分前。
目的地天祖神社に到着し、しばしその外観を眺めていた。
「大都会の中にこんな場所があるんだから不思議だよね。」
「ここだけ止まってるような、でもしっかりと息づいている気がするよね。」
歴史ある神社の真横には近代的な複合ビルがあり、過去と現代の狭間にいるような不思議な感覚があった。
裏通りにあるとはいえ、飲食店やコンビニが目の前にあるのだが至って静かな空間だったのでつい浸ってしまった。
社号碑が大きくひっそりとした佇まいの中にも歴史ある芯の強さを感じさせる。
『六本木天祖神社[龍土神明宮]』
都営大江戸線「六本木駅」7番出口から徒歩3分。東京メトロ千代田線「乃木坂駅」から徒歩5分にある神社。
1384年に創建された。品川沖から毎夜、竜が御灯明を献じたという故事から「竜灯」と呼び、「竜灯」がなまって、この地を「竜土」と呼ぶようになり、神社の名前も「龍土神明宮」と称えられた。
御祭神は「天照大御神」、「伊邪那伎命」、「伊邪那美命」。←モンスト好きな人な方はちょっと堪らないですよね。
住所はなんと東京都港区六本木7−7−7。その所在地がスリーセブンの為、縁起の良い神社といわれている。家紋にも三つ巴に漢数字の「七」が入っている。
ふと社号碑の横に目をやると福禄寿と書かれた立て看板を見つけた。
「かーくん。あれなんだべね。福禄寿だってさ。」
「ん?あぁ。港区七福神なんて書いてあんね。」
「これってもしかしたら何か始まるんじゃないですかね。」
「まさか?」
「そのまさかだと思うんよね。七福神の1人福禄寿がここにいる。残り6人が港区のどこかにいるって訳じゃなかろうかと。」
説明しながら高揚した。こうゆうの探していた。ドンピシャだった。
ここを参拝して終わりではなく、はじまりなのだと思うとたまらない。
横を見るとかーくんは「高まるぅ!」と楽しそうにSPECの当麻紗綾調の台詞を放っていた。
これから冒険が始まる。胸の高鳴りを抑え、境内へ向かう
入る前に一礼して中央を歩かないように鳥居をくぐり、手水舎へ。
「すげぇな。名前にちなんでなのか手水舎の水出るとこ龍だよ。」
「神社だと結構あるんだよね。なんでかは知らないけど。」
手水舎の龍をじーっと見つめていたら、先日見たバナナマンさんの設楽さんが話していた話を思い出した。
「そういえばクレイジージャーニーで設楽さんが言ってたんだけど、龍の伝説は世界共通してるって言ってたわ。」
「どゆこと?」
「ドラゴンとか呼び名は国によって様々だけど、昔の人が描いた絵って大体どの国も同じ容姿で龍は描かれてるって。胴体が長いとか、爪が長いとか、髭があってとか、ツノがあってとかね。こんなに世界が知っていて共通しているのに見たことがないのって龍ぐらいじゃない?」
「たしかに。しかも、どの国も神格扱いされてるよね。でもさ、それだけの情報が共通してるんだから実際にいるんだろうね。」
「いると思う。ってか、会ってみたい。」
「じゃあ、その為にもさっき教えた手水の作法しっかりやらないとだね。」
先ほどかーくんに教わった作法で清め、賽銭箱の前でニ礼ニ拍手一礼で参拝をする。作法はもうバッチリだ。
自分たちに素晴らしい出会いを。その道で御加護があるように。そして、龍に会えますようにと願った。
願い事を伝え、そして今しがた購入した御朱印帳を取り出す。
「ははぁん、なるほどね。だから乃木神社の時に御朱印帳を勧めてきた訳ね。ただ単に記念でってことじゃなかったんだ。」
理由がわかり、かーくんもニヤリとしながらご朱印帳を取り出す。
港区七福神は予想外だったが、天祖神社があるのはわかっていたので乃木神社で勝守を買う際にしれっとかーくんに御朱印帳を勧めて買わせておいた。
「いや、勿論記念もあるよ。でもやっぱりさ、777なんて揃うような神社を参拝する訳だし、せっかくなら恩恵を受けたいじゃん。御朱印デビューにはもってこいだったでしょ?」
「間違いないね。デビュー日には最高でしょ!」
長く生きてきたが、御朱印を集めるのは初めてだった。
大学時代に同級生の女の子が参拝よりもご利益があるんだよと言って集めていた。
その時点で興味はあったが、神社を巡る機会がなかった。
あれから数年、巡り巡って乃木神社と天祖神社を参拝をする事になったのと、この年に30歳になったので区切りも良かった為この日をデビュー日と決めていた。
快晴の中、大都会の裏路地の住所7−7−7の聖域。乃木坂から始まる冒険。
時は満ちた。あとは己達でその道を切り拓くだけだ。
「港区七福神、全てに会いに行ってやるぜ。行くよ、かーくん!」
「あいよ!」
そう言って2人は木々からの木漏れ日を浴び歩き出す。その顔には未来への期待と好奇心に満ち溢れていた。
合戦に向かうかの如く風を切り拝殿から授与所に向かい、門を叩いた。
そして、数分後。
早くも冒険が終わった。
「ぬううおぉぉぉぉぉっ!」
神社の方に迷惑がかからない程度の声量で神様に向かって叫んだ。
「俺らの冒険がぁぁぁっ!わしのワクワクがぁぁぁっ!ドラゴォぉぉぉん!」
信じられないスピードで終わりを告げた憤りと困惑。少なくとも今日から冒険が始まることが出来ないことを知って叫ばずにはいられなかった。
それを見ていたかーくんが豪快に笑った。
「はっはっは。しゃーないしゃーない。ようちゃんの事だからあえてあんまり調べなかったんでしょ?それに、正月に港区七福神のご朱印帳と辰の日のご朱印帳の二種類あることわかったんだし、また来てねって言ってるんだよ。どうせ俺らの事だから乃木坂通うんだからさ。次は辰の日に乃木坂来ようよ!」
…さすがかーくんだ。普段、こういった場所を調べてもあえて深くは調べないようにしている。
理由は一緒に出かけた際に驚きや発見した感覚の鮮度を共有したいからである。
ものの見事にかーくんはそれを理解してくれた。大人の風格を見せつけられた。
「取り乱したようだ。すまんかった。全くのその通りだ。しかし、御朱印がいつでも貰える訳ではないとは予想外であった。」
人生とはそう簡単にいかないものである。
だが、これだけで終わらせるつもりはなかった。
「実は、天祖神社以外にも立ち寄りたい神社がもう一つある。」
「お!調べているとはさすがだねぇ。その神社とは如何程かね?」
こんな事もあろうかと思いと言いたいとこだが、前日の夜勤中天祖神社を発見した事でテンションが上がり、なかなか仮眠出来ずにいた。
どうせ寝れないのならと、その勢いでさらに周辺の神社を探索していたらたまたま見つけた場所があった。
「その神社は今の俺らに最も必要なものを持っている。」
「なんだって!?萩原さん、俺らに最も必要なものとはなんですか…?」
「良縁だよ!遠藤氏!」
「…なるほど。確かに最も必要だ…。しかし、良縁となると有名なとこだと東京大神宮ですけどそちらですか…?」
「ふっふっふ。さすが遠藤君だね。よく勉強されているようだ。だが、今回行く場所は違うのだよ。質問だがキミは東京にいながら島根県に行ける場所を知っているかね?」
「な、何キャラなんすか…。すいません、言っていることがわかりませんが行ってみたいです。案内してください。」
「ふっふっふ。素直な子だよ。まぁ、ついてくるがいい。いでよ、Googleマップ!」
「やっぱりGoogleさん頼りなんかい!」
かーくんの華麗なツッコミを受けたあと天祖神社を後にした。
Googleマップ先生によるとその神社は天祖神社から歩いて数分で着くらしい。
なので探索も兼ねて遠回りをし、街並み散策をしながら向かうことにした。
街の裏通りを通る機会なんてなかったのでこれはこれで楽しい。
こうやって裏通りを実際に歩いてみると新たな発見もある。
田舎者故に東京=近代都市の方程式がある。どこもかしこも歓楽街なんてイメージだったが少し小道に外れると六本木にも年季の入ったアパートが見受けられた。
○○壮やコーポ○○など、今もなお昭和の雰囲気が漂っている。
なかには築100年を超えていそうな傾いた家や人が住んでいるのかさえわからのほどボロボロの家もあり、まるでその場所だけ時間が止まっているように感じた。
家の密集具合や道の狭さは田舎とは程遠く、遠くの空を見ると必ず東京のシンボル達が目に入りノスタルジックさを演出していた。
よく考えてみたらこういった景色があるのは当たり前なのだが、メディアが東京をピックアップする際にこういった景色をあまり流すことがないので気づかずにいたんだと思う。
昔からここに住んでいる人は、この街が変わっていく姿をどんな思いで見ていたのだろうか。
「独特だよね。近くに近代都市があって、進化をしない場所があってさ。そもそも進化とかそうゆうのじゃないんだろうけど。うまく表現できないなぁ。語彙力の無さよ。」
今見てる情景を口に出してはみたものの結果何が言いたいのかわからなくなってしまい表現力の無さを痛感する。
「そうねぇ。色んな事があるけれど、ちょっと視点を変えたら変わらないものもあるって事だよ。人間と一緒ですよ。」
なるほどね。なんとなくかーくんの言葉は的を得ていた気がする。
「そうだね。わかっていることは、これから良縁祈願に行くってことよな。楽しみでぃ。」
「俺らもいい年だからね。そろそろ何か起きてくれなきゃ困りますよ。頼むぜ神様。」
「かーくんはそろそろ何かないとヤバいな。」
「別にやばくないよ。…やばいけども。でもまぁ、こうやってようちゃんと遊んでんの嫌いじゃないんだよねぇ。」
「いやいや、そこは素直に好きって言えよ。」
笑いあいながらノスタルジック空間でするなんでもないような日常会話。こうゆう時間が沢山あれば戦争なんて起きないんじゃないかと思った。
十分なほど散策をしているとマンションが多く並ぶ場所から紫色ののぼりが見えてきた。
「あそこが目的地ですかぃ!?」
声の大きさでかーくんのテンションが上がったのがわかった。
「ご名答!あそこが六本木にある島根県の出雲大社と繋がっている神社であります!」
「イエース!」
なぜかかーくんは両手を空高くあげ、神社前でキリストの名前を叫んでいた。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
次回、島根県の聖地と繋がる場所とは?




