表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

208/248

体調の異変 10

 遅くなって申し訳ありません。

 この話、本当は「体調の異変 9」の後に続きで入れようと思ったのですが、いきなり千字近く増えて話ぶっとんでしまうため、10を作ることにしました。ちょっと短いので、もう一話、投稿いたします。

 若様が目を覚ました。

「…セリナ?」

 若様はぼんやりとセリナを見つめていたが、やがてはっとする。なんとなく(ひげ)が生えているのがおかしいが、笑うのは我慢した。以前、コニュータにいた頃、若様が髭を()っているのを偶然目にした。思わず笑ってしまい、若様は珍しく怒ってすねた。しばらく口をきいてくれなかったので、これはまずかったと思い、こっそり、ヴァドサ隊長に相談してみた。

 すると、彼は教えてくれたのだ。

「セリナ、それはまずかったな。それは若様の男性としての心を傷つける。若様はあのご容姿だから、女性のように見られ、そのような態度をとられることが多い。だが、男として生まれた以上、そういう生理現象は必ず起こる。それを否定するようなものだ。」

「そんなつもりじゃなかったのに。」

 そういうことがあったので、後で若様のご機嫌を直すのに苦労した。だから、同じ失敗をしないようにしている。

「セリナ、また、泣いているの?大丈夫?先生を呼んでこようか?」

 心配して言ってくれる。

「ううん。違うの、幸せな夢を見たの。」

 セリナは聞いてみようと思った。

「ねえ、若様は夢をみた?」

「…夢?」

 若様は悪夢を見ることが多い。少し沈黙があったので、セリナは慌てた。

「覚えていないならいいの。ただ、聞いてみただけ…。」

「夢っていうか…。」

 若様は言葉を選んでいるようだ。

「声が聞こえた。」

「…え?」

 セリナは心臓がドクリと跳ねるのを感じた。

「まだ、幼い子供の声で、今から行くから待っててねって。そう聞こえた。なんだか、無視できなくて、待っているよって答えた。」

「!」

 思わず鳥肌が立った。

「それがどうかした?」

「ううん。もし、話せる時が来たら、その時に教えてあげる。」

「本当に?でも、その時までは秘密なの?」

「そうねえ、そうなるわね。」

 あまり喋れば若様に勘づかれる。でも、おそらくこういうことには鈍感だから、大丈夫だろう。一時の幸せな時間をセリナは味わった。

 星河語ほしかわ かたり

 最後まで読んで頂きましてありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ