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恋の案内人  作者: 翁
過去からの解放
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19.思い出の上書き

「服脱げる? 手伝おうか?」


「じゃあお願い」


「はーい、腕を上げてバンザイしよーねー」


 なんだその子供に言うような感じは。手伝ってもらっているし、文句は言えないけど。

 やっぱりこの手だとお風呂に入る時は大変だなぁ。早く治ってほしい。

 服を脱がしてもらったあと、ギブスが濡れないように袋をかぶせていると・・・。


「ちょっと美桜ちゃん!?」


「え?」


 美桜ちゃんは私の下着まで脱がそうとしていた。


「そこは自分で脱げるから!」


「いいよいいよ。脱がしてあげる」


「私が良くないの! 変態!!!」


「ち、違うし! 私は手伝ってあげようとしただけだもん!」


 そうだとしても前科があるからなぁ・・・。


「自分で脱ぐから大丈夫です!」


「・・・分かったよ」


 なんでちょっと残念そうなわけ? やっぱり脱がしたかったの? それに美桜ちゃんは、まだ私を見つめている。主に下半身を。


「ジーッと見ない!」



 お風呂入るのは好きだけど、骨折のせいで入るのがめんどくさくなってきている。

 自分の家では1人だし、どうしても時間かかってしまう。

 美桜ちゃんに出張入浴サービスお願いしようかな。もはやそれは老人か・・・。


「髪洗うね」


 こうやって、美桜ちゃんに髪を洗ってもらうのは何回目だろう。

 最初はぎこちなかった洗い方も、今となっては絶妙な力加減で洗ってくれる。


「美桜ちゃんもだいぶ慣れてきたね」


「そりゃ毎回洗っていれば慣れるよ」


「いや、裸見られるのがだけど」


「ッ!!!」


 髪を洗う手に力が入る。


「ちょっと美桜さん? 痛いですよ?」


「桜ちゃんが変なこと言うからでしょ!」


「美桜ちゃんが勝手に勘違いしただけでしょ」


 恥ずかしさを隠すように、乱暴に髪を洗う美桜ちゃん。


「・・・慣れてないし」


 ボソッと何か言ったような気がしたが、シャワーの音でかき消される。


「え? なんて?」


「なんでもない! ほら! 流すよ!」


 しっかし美桜ちゃんはいい体しているよな。私もあれぐらいの胸の大きさがあれば。

 これだけ一緒にお風呂に入っていれば見慣れてくるもの。でも美桜ちゃんの体はなんというか、エッチな目で見てしまう時がある。と言ってもたまにだし、変な気が起こることはない。・・・多分。


「じゃあ次は体ね。全部洗ってあげるから」


「前は自分で洗うから!」


「私が洗った方が早いでしょ? だから任せて」


 それはそうかもしれないけど、全部ってあそこも洗うつもりなのかな・・・。さすがにそれだけは阻止したい。というか、美桜ちゃんは分かってて言ってるのか? それとも私を試してる・・・?

 いやいや! 美桜ちゃんのことだ。普通に洗うことしか考えてない・・・よね・・・?

 そんなことを考えている内に、美桜ちゃんは私の背中を洗い始めた。


「み、美桜ちゃん?」


「なぁに?」


「前は自分で洗うからね?」


 このままでは美桜ちゃんに触られてしまう。


「さっきからどうしたの?」


 どうやら美桜ちゃんは、何も分かってないらしい。


「いや・・・だからね?」


「うん」


「あの・・・。あそこは自分で洗うから・・・」


 なんでこんなことわざわざ言わないといけないんだ! 美桜ちゃんのバカ!!!


「あそこって?」


 ここまで言って分からないの!? 本当に分かってない!? それとも分からないフリをしているの!?


「本気で言ってるの?」


「・・・本気? だけど?」


 美桜ちゃんって天然入ってるよね。絶対。


「うー。だからね? その美桜ちゃんに洗われると困るっていうか、まずいっていうか・・・」


 美桜ちゃんはまだ分からないようだ。


「・・・あの、私の大事な所というか・・・秘部というか・・・」


「・・・・・・」


 沈黙していた美桜ちゃんがハッとなる。やっと分かったらしい。前にもあったような微妙な空気が流れる。


「わわわ私が洗ってあげるよ!!!」


「なんでそうなるの!?」


「こ、こーゆーのは勢いがだだ大事でしょ!」


「なんの勢い!?」


 恥ずかしさのあまり、おかしくなってしまったようだ。

 結局、前は自分で洗って事なきを得た。

 そのあとは、会話もそこそこに早めにお風呂から上がる。

 単に空気に耐えられなかったというだけなんだけどね・・・。


「桜ちゃん」


「はい」


「その・・・気付かなくてごめんね?」


 謝られるのもなんか違うような・・・。


「別にいいけど、そんなに私の触りたかったの?」


 ちょっと意地悪をしてみる。


「そ、そんなわけないでしょ! 桜ちゃんそんなことばっか考えてるの!?」


「ちがっ! か、考えてないし!!! 変態バカ! スケベ!!!」


「スケベ!? 桜ちゃんがスケベ!!!」


 そんなことってなんだし! 美桜ちゃんが変なこと言うから動揺しちゃったじゃん!


 さっきまで暗い話をしていた2人とは思えない会話だったが、逆に良かったかもしれない。

 美桜ちゃんのあの苦い思い出も、少しずつ私や他の思い出で上書きできるといいな。

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