佐藤美桜の過去 中編
先輩が部活を引退したあとも、変わらず月曜日と金曜日の放課後に会っていた。
部活を一緒に出来ないのは寂しいけど、こうして会えることはとても嬉しい。
たまに部活を休んで一緒にいる時もあり、次第に先輩へ依存するようになっていった。
でも、月曜日と金曜日の放課後以外では、私に会おうとしないし、連絡も既読スルーばっかりだった。
徐々に不満が溜まっていった私は、今の関係に満足できなくなってしまう。もっと一緒にいたいし、どこかへ出かけたりしたい。
勇気を出して、デートに誘ったりもしたけど、何かしら理由をつけて断られていた。
それが辛く、時には泣いてしまうこともあった。
その時に確信した。私は先輩に恋をしていることを。
──ある日の月曜日
「美桜。今日は元気ないな。どうしたんだ?」
私は気持ちを伝えるかどうか悩んでいた。今日こそ伝えようと。
でも、嫌われてしまったらどうしよう、そんなことばかり頭をよぎってしまい、結局気持ちを伝えることができなかった。いつもこうだ。
「ちょっと頭痛くて」
「大丈夫か? どれどれ」
先輩がおでこを当てて私の体温を測る。
「熱はなさそうだな」
急に顔が近付いたせいで、一気に心臓の鼓動が早くなる。
視線が交じり合うと、フッと先輩が微笑んだ。
「!?」
先輩がいきなり私の唇を奪った。いきなりの出来事に驚き目を見開く。
「・・・これで少しよくなるかもな」
先輩の唇が私から離れていく。
やだ・・・。もっとしてほしい。離れちゃやだ・・・。
先輩・・・。先輩先輩先輩!!!
「・・・もっと、してほしいです」
「今日は甘えん坊さんなのか?」
私は静かに頷いた。
先輩は私の頭を優しく撫でると、しょうがないなと言いつつ、キスをしてくれた。
はぁ・・・。幸せ。この時間がずっと続けばいいのに。
その日は今までの中で一番キスをした。
首も舐められりして、その先に進むような雰囲気にもなったけど、怖くなった私は部活へ行くと言って逃げてしまった。
今日の先輩のキス、とても優しかった。
なのに私は途中で逃げちゃって・・・。
・・・嫌われたりしないよね?
私は不安な気持ちを抱きながら、部活へ向かった。
──水曜日の放課後
今日は部活の定休日。
授業中、ずーっと先輩のことを考えていた。
気付いた時には帰りのHRも終わっていて、教室に残っている生徒もまばらになっていた。
・・・なんか、すぐ帰る気にならないなぁ。
先輩って私と会わない時の放課後何してるんだろ? すぐ帰ってるのかな?
以前から気になっていたものの、聞けるわけもなく、あまり考えないようにしていた。
・・・会いたいなぁ。
先輩がいなくても、繋がりを感じていたいと思った私は、いつもの屋上へと続く階段に行くことにした。
その時はまだ、後悔するなんて思ってなかった。
今となっては、自分が変わるいいきっかけになったかもしれないと思っているけど・・・。
この日、私は酷く傷つき、酷く悲しんだのだった。




