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恋の案内人  作者: 翁
過去からの解放
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佐藤美桜の溜息

「もうっ! 桜ちゃんったら!」


 私はトイレに行くと言い部屋を出てきた。

 自分から言ったのに忘れるだなんて。まぁ、桜ちゃんらしいと言えば桜ちゃんらしいけど・・・。おかげで私が恥ずかしい思いしたじゃない! しかも、じゃあチューしますか?って何よ! じゃあって何! 私がチューしたくてしょうがないみたいになってるし! ・・・したいけどさ。

 とりあえず、飲み物飲んで落ち着こう。


「あら。そんなにプンプンした顔してどうしたの?」


「べ、別に! 怒ってないもん!」


 私はコップに注いだジュースを一気に飲み干した。


「ぷはぁ!」


「はしたないわよ。怒ってるじゃない。さくらちゃんと喧嘩でもしたの?」


「してない・・・けど」


「けど?」


 ママは首を傾げている。


「・・・なんでもない」


「そう? ならいいのだけれど」


 あんなことを言っちゃったし、すぐには部屋に戻れない。

 私はソファーに座ってさっきのやり取りを思い出した。

 ・・・雰囲気を作る努力ってなんだろ?

 自分で言っておきながら、よくよく考えると意味不明。なんかカップルみたいなやり取りみたい。

 ・・・カップルか。

 なりたいなぁ。桜ちゃんとカップルに。

 そうすれば、こんなことにならずにチューできるのに。


「はぁ・・・」


「溜息つくと幸せ逃げるわよ」


 大きな溜息だったせいか、ママにも聞こえていたみたい。

 ・・・はぁ。部屋に戻るの気まずいなぁ。

 もし、もしも桜ちゃんが真剣に考えて、それを実行してきたとしたら・・・それはそれで恥ずかしい。


「困ったなぁ」


 それからリビングでボーッとしていると携帯が鳴った。

 桜ちゃんからのメッセージだった。


『美桜ちゃん。忘れててごめんね。怒ってるならちゃんと謝りたいから戻ってきて?』


 ・・・別に怒ってるわけじゃないのに。

 これ以上リビングにいてもしょうがないし、私は部屋に戻ることにした。

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