7.決勝に進んだのは
私達と花恋ちゃん達のペアは順調に勝ち進んでいた。
「ゲームセット」
「ありがとうございました!」
私達はちょうど準決勝を終えたところだ。
ここまで全ての試合をストレート勝ちしている。
「やったね桜ちゃん! あと1回勝てば優勝だよ!」
「もっと苦戦すると思ったんだけどね。練習のおかげかな」
ちょっと前の自分が見たらどう思うだろうか。多分、びっくりするだろうな。
「桜ちゃん頑張ったもんね。今日中に終わるかと思ったけど、もう19時過ぎたし決勝と3位決定戦は明日だね」
もうそんな時間だったのか。試合していると時間が分からなくなる。
「花恋ちゃん達もそろそろ終わるかな?」
「見に行こうか」
花恋ちゃん達は2つ離れたコートで試合していた。
「どうどう? 勝ってる?」
「あ、先輩! 決勝おめでとうございます! 高橋さん達は負けてます・・・」
え? 負けてるの?
スコアが見やすい位置に移動して確認する。
「3-2・・・。しかも相手のマッチポイントだ」
「二階堂さんは調子いいんだけど、高橋さんのスタミナがね・・・」
応援している先輩が状況を教えてくれた。
「そうなんですか」
花恋ちゃん達は相手を振り回して、チャンスボールを咲蘭ちゃんが決めるという戦い方をしている。
相手がそれについてきてしまうと、どうしてもラリーが長くなり、花恋ちゃんの移動の量も多くなる。
「アウト。ゲームセット」
負けちゃったか・・・。
最後は花恋ちゃんのロブがアウトになってしまった。
でも、本職じゃない後衛で、ここまでやれるのは大したもんだ。
悔しいだろうけど、県大会があるしまだ落ち込むには早いだろう。
「2人ともお疲れ様」
「負けちゃったー。悔しいなぁ・・・。スタミナが限界になっちゃって」
「よく頑張ったよ。明日は3位決定戦頑張ってね」
本当に限界のようだ。肩で息をしている。
「さくらさんは勝ったみたいですわね」
「うん。県大会で勝負だね」
「明日は私達の分まで頑張ってください。負けたら・・・許しませんわ」
咲蘭ちゃんも最初の頃に比べるとだいぶ丸くなったな。素直に応援するようになったし。
「絶対優勝するよ」
それから決勝と3位決定戦は明日行うというアナウンスがあり、今日は解散となった。
「美桜、さくらちゃん! お疲れ様! 決勝進出おめでとう!」
「本当に2人ともよく頑張ったわね。何か食べて帰りましょうか」
「じゃあ焼肉食べたーい!」
美桜ちゃん元気だな。
「さくらちゃんも焼肉でいいかしら?」
「はい。大丈夫です」
明日も試合あるし、胸焼けしない程度に食べよう。
明日の試合は午後の13時から開始となった。ゆっくり寝れるのはありがたい。
3位決定戦が終わってから決勝をやるらしいけど、みんな見てるわけだし、少し緊張するかもしれない。
「桜ちゃん置いてっちゃうよー!」
「今行くー」
とりあえず、焼肉を楽しみますかね。
「焼肉美味しかったねー」
「うん。でもご馳走になって良かったのかなぁ」
焼肉から帰宅し、お風呂を済ませた私達は、美桜ちゃんの部屋でくつろいでいた。
「いいんだよ。パパも前に言ってたでしょ? 桜ちゃんは娘みたいなもんだって」
「そうだけどさ、結構高そうだったし」
焼肉なんて私の家だと、基本食べ放題のしか行かないからなぁ。
「ほら、パパお金いっぱい持ってるから」
ニヤニヤしながら美桜ちゃんがそう言う。
「なんか性悪女みたい」
「言い方ひどくない!?」
まぁ、金持ちじゃなければこんな家にも住めてない。
「美桜ちゃんの両親には、本当に感謝してもしきれないなぁ。もちろん美桜ちゃんもだけど」
「なになに? 私にはどう感謝してるの?」
美桜ちゃんが前のめりになって聞いてくる。
ちょっと近いですよ美桜さん。変な気起こしちゃいそうだから離れてください。
「がっつく人には教えません」
「えー! なんでよー! おーしーえーてー!」
もう何回も言ってるんだけど。美桜ちゃんと美桜パパのおかげで、こんなに上手くなれたって。
「明日優勝すればご褒美もあるからその時ね」
「ほ、本当にしてくれるの?」
冗談だと思っていたのかな? チューされたいって言ってたくせに。
「されたくないならしない」
「してほしいもん!」
欲しがりめ!
自分から言い出したくせに、いざするってなったら恥ずかしいかもしれない・・・。
「明日頑張らなきゃね」
「うん!」
「疲れたしもう電気消して横になろ」
私は既にベッドに横になっているけど。
「じゃあ消すねー」
「はーい」
今日はぐっすり眠れそうだ。
私はいつものように美桜ちゃんに抱きつく。
「やっぱり落ち着く」
最初は抱きつかれてあたふたしていた美桜ちゃんも、すっかり慣れたようだ。
「美桜ちゃんのマシュマロボディはたまらんね」
「なんかおっさんみたいな言い方でやだ」
美桜ちゃんの抱き心地が良すぎて、自分の家で寝る時はいつも寝付きが悪くなっている。
「あー、家に美桜ちゃん人形欲しい」
「何それ。私人形になっちゃうの?」
誰か作ってくれないかな。そんなことより・・・。
「・・・ダメだもう寝そう」
「いいよ寝ちゃって」
「ん・・・。明日は優勝だぁ。おやすみ・・・」
「おやすみ」
もうちょっと美桜ちゃんと話したかったけど、さすがに眠気には勝てない。
おやすみ世界。




