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恋の案内人  作者: 翁
過去からの解放
68/255

3.ファーストポイント

 前の試合が終わり、いよいよ私達の出番となる。


「2人とも、油断だけはしないようにね。最初から全力で行きなさい」


「はい!」


 試合前の乱打が始まった。

 美桜ちゃんが言うには、乱打で力を見せておくと、相手が萎縮することがあるらしい。

 その話を聞いた私は、乱打から本気を出すことにした。

 部活であの会心のショットが出たあと、スイートスポットに当てる練習を続けてきた。

 そのおかげか、打つ度に快音が出るようになってきている。

 とりあえず、一発お見舞いしておくか。


 ──パーン!!!


 相手は一歩も動けず、ボールが自分の横を通り過ぎていくのを見つめるだけ。少しは効いたかな。


「いいよさくらちゃん!」


「頑張れー!」


 他の部員の応援にも熱が入っているようだ。その応援に応えなきゃな。


「レディ」


 審判のコールで乱打が終わる。


「──レシーブサイド、佐藤・橋本ペア 7ゲームマッチプレイボール」


 トスの結果、私達はレシーブとなった。


 ──試合が始まる。


 1ポイント目、既に美桜ちゃんとどうするか決めている。

 レシーブをロブで返し、ストレート展開へ。

 そして、相手側の1球目をポーチに出てボレーで叩く。

 例えクロスに抜かれてしまっても、美桜ちゃんが移動することになっているので、私は後ろを気にせずボレーを完璧に狙うまでだ。

 さて、この通りに上手くいくか。

 いや、絶対決める。


「1本先行ー!」


 私は念の為に備え、サービスライン付近で待機する。

 美桜ちゃんだからほぼほぼないが、仮に前衛にボールがかかってしまった場合の保険だ。


 ──パン!


 相手のファーストサービスがきっちりと入る。

 それを確認した私は、すぐさまネットに詰めた。

 予定通り、美桜ちゃんがしっかりとストレート展開に持っていく。

 さぁ来い。1ポイント目は私が奪ってやる。

 美桜ちゃんの絶妙な中ロブに、相手の後衛が走りながらバックで返してくる。

 私は一度、相手が打つ前にクロスケアをするフェイントを入れた。

 そして相手のラケットに当たる瞬間に、一気にポーチに出る。

 相手が打ち返したボールを、私は強烈なボレーで迷いなくクロスに打ち込んだ。


 ──パーン!


 相手の後衛が追いかける前に、ワンバウンドしたボールはコートから出ていく。

 よし! まずは1ポイント!


「ナイス桜ちゃん!!!」


 私は美桜ちゃんに駆け寄り、ハイタッチを交わす。


「ナイスレシーブ! この調子でいこ!」


「うん!!!」


 イメージ通りにポイントが取れた。これは幸先がいい。

 ただ、まだ1ポイント取っただけだ。油断は禁物。


「ナイスボレー!」


「その調子でもう一本!」


 ・・・応援されながら試合するの気持ちがいいな。何より力になる。

 次は私のレシーブ。ここでさらにエンジンをかけておきたい。

 相手の前衛を抜くパッシングショットでいこう。


「0-1」


 審判のコールで相手の後衛がサーブを打つが、ボールがネットにかかってしまう。


「フォルト」


 セカンドサービスはどうしても甘くなりがちだ。これはチャンス。

 相手の後衛のセカンドサービスは、アンダーからのカットサーブ。


 ──パサッ


「ダブルフォルト」


 またしてもネットにかかり、ダブルフォルトで2ポイント目。


「ラッキーだね! でも集中していこ!」


 少し拍子抜けだったが、美桜ちゃんの言う通りに集中していこう。

 相手の前衛のサーブに変わったが、ここからなんと3連続でダブルフォルト。難なく1ゲーム目を奪取した。


「相手も緊張してるみたいだね。緊張が和らぐ前に叩いちゃお」


「そうだね」


 次は私達のサーブだ。こちらもダブルフォルトに気をつけないと。


「ゲームカウント0-1」


 美桜ちゃんのファーストサーブ。部の中で一番の正確性がある。

 サービスライン内に入れば取るのは難しいだろう。

 チャンスボールが来るかもしれないし、スマッシュの準備をしておくか。


 ──パンッ!


 美桜ちゃんのラケットから放たれたサーブは、相手のサービスラインのセンター付近に飛んでいく。

 相手の後衛は逆を突かれたのか、反応できずにサービスエースとなった。


「ナイスサーブ美桜ちゃん!!!」


「もう一本いくよ!」


「いいぞ美桜ー!」


 美桜パパの声が聞こえる。


「もうパパったら!」


 よし。完璧にこっちのペースだ。

 この調子でいくぞ!

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