1.初陣
「ゲームカウント3-0」
私達の高校の初陣を飾るのは、花恋ちゃんと咲蘭ちゃんペア。
現在3ゲームを連取し、あと1ゲーム取れば勝利だ。
「焦らず落ち着いてこー!」
「1本集中ー!」
相手のペアは咲蘭ちゃんにスマッシュをことごとく決められ、為す術なしという状況。
花恋ちゃんも正確にボールを返して、しっかり繋ぐことができている。
4ゲーム目が始まった。
「花恋さん!」
咲蘭ちゃんが花恋ちゃんに声を掛ける。
それが合図なのだろうか。
花恋ちゃんは相手のバック側、ベースラインギリギリにロブで展開する。
相手の後衛は追いかけるのが精一杯で、苦し紛れにボールを打ち返す。
咲蘭ちゃんはそれを読んでいたのかネットの近くではなく、既にサービスライン付近に移動していた。
──パーン!!!
スマッシュの音がコートに鳴り響く。
この流れでのポイントは、これで何度目だろうか。
相手を振り回し、チャンスボールが来たところを確実に決める。花恋ちゃんペアの見事な戦略だ。
「ナイスー!!!」
「その調子だよ!」
私達の応援も盛り上がる。
「ナイススマッシュだよ咲蘭ちゃん!」
「このままいきますわよ花恋さん!」
この調子ならよっぽどのことがない限り、負けることはないだろう。
「アウト。ゲームセット」
結局、4ゲーム目も相手に1ポイントも与えずにストレートで勝利を収めた。
「やったね咲蘭ちゃん!」
「やりましたわ!」
「2人ともお疲れ様! すごく良かったよ! 次の試合もその調子で!」
「はい!」
美桜ちゃんが2人を労う。
次の相手は第1シードだ。強敵なのは間違いないだろう。
でも、今の2人なら勝てるかもしれない。咲蘭ちゃんのスマッシュさえ封じられなければ。
「誰と当たろうと倒すまでですわ」
決起会での咲蘭ちゃんの言葉を思い出す。
私達も目の前の相手を倒すまでだ。
決勝まで必ず勝ち進むから、咲蘭ちゃんも負けちゃダメだからね。
入部してきた時は、勝手にライバル扱いされるし、なんでもかんでも勝負にしたがってちょっとウザかった。
でも今は、友達であり、良きライバルだ。
この試合はいい刺激になったな。
「さくらさん」
「おつかれ。1回戦突破おめでとう」
「わたくし、今日絶好調ですわ。決勝で当たって負けても、文句は言わないでくださいませ」
次も勝つ気満々だな。それぐらい自信があるということだろう。
「言ってくれるじゃん。次も頑張ってね」
「言われなくても頑張りますわ。とりあえず次の試合も応援よろしくですわ」
そう言って、咲蘭ちゃんはどこかへ行ってしまった。
咲蘭ちゃんから応援よろしくと言われるとはな・・・。
少し前なら、そんなこと言うなんて考えられなかった。
ソフトテニス部に入ったことで、咲蘭ちゃんも変わったのか。
「桜ちゃん。次の試合の応援行こ!」
先輩の試合が始まるらしい。
私は美桜ちゃんと試合が行われるコートへ移動する。
「花恋ちゃん達すごかったね!」
「そうだね。咲蘭ちゃんのスマッシュがキレキレだった」
「うんうん。花恋ちゃんも見事に繋いでたよね」
あの小さい体で、どんなボールにも食らいつくのはすごい。
しかも、本職は前衛なのによくあんなに後衛もできるよな。
「早く試合したいな」
「やる気満々だね」
「あんな試合見せられたらね。私達も負けてられないよ」
私達は1回勝てば県大会出場だ。
県大会行けて満足、そんなことで終わるつもりはない。
私達の目標は・・・。
「優勝しようね」
「うん。絶対優勝する」
高橋花恋・二階堂咲蘭ペア
1回戦 4-0
県大会出場まで、あと1勝




