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恋の案内人  作者: 翁
出会い
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閑話.じんぐるべー

※本編とは関連の無い話です。


クリスマスですね。

このご時世もあり、特に出掛ける予定はありませんが・・・。


それどころか、イブの昨日は脳のMRIを撮るという一日でした・・・。

見た感じは特に異常が無かったみたいです・・・・。とりあえず一安心。



今年も残りわずか。

大掃除、しなきゃなぁ・・・。



これはくぼちゃんからさくらへ、素敵なプレゼントをするお話。






「じんぐるべーじんぐるべー」


 なんの前触れもなく、くぼちゃんが歌いながら私の部屋に入ってきた。


「自分の部屋みたいに普通に入ってくるんじゃないよ」


 家には私しかいないけど、玄関のドアには鍵がかかっていたはず。どうやって入ったんだよ・・・。


「お母さんいたらどうするつもりだったのさ」


「大丈夫です。いないのは分かっていましたから」


 そういう問題じゃないんだけどな・・・。


「それにその格好何?」


「じんぐるべー、ですよ」


 今日はクリスマス・・・と言っても24日でクリスマスイブ。

 くぼちゃんはサンタの格好をしていた。ちょっと可愛い。


「クリスマスは明日でしょ。今日はイブだよ」


「ボクにはイブでもなんでもいいのです。じんぐるべー」


 なんでもいいのか・・・。というか、いつまで歌うつもりだ。


「今日は何しに来たの?」


「クリスマスなのでケーキを食べに来ました」


 もしかして、家にケーキがあることを知ってて来たのか?


「ずばり、その通りです。イチゴ増し増しでお願いします」


 いつものように心を読まれる。もう慣れたものだ。・・・慣れって怖いね。


「そんな増す程イチゴはありません」


 本当にケーキを食べる為だけに来たの? 図々しい奴め!


「まぁ、家では私ぐらいしかケーキ食べないし、あげてもいいけど」


「全部ボクが食べましょうか?」


「どうしてそうなる」


 私はくぼちゃんに軽くチョップをお見舞いする。


「チキンもあるけど食べる?」


「アイムチキーン!」


 何を言ってるんだこの子は。意味分かってなさそう。


「じゃあちょっと待っててね」


「じんぐるべー」


 そのあとの歌詞知らないの?



 私はリビングに移動し、ケーキやら飲み物やらを用意する。

 くぼちゃんが現れたのはいつぶりだろうか。

 確か・・・、夏休みの終わり間際に現れたのが最後だったかな。結構久しぶりだ。

 それにしても、どうして急に現れたんだろうか。特に用事がありそうな感じもしなかったし。

 ということは・・・。本当にケーキを食べに来ただけ・・・?


「お待たせー。持ってきたよー」


「おー。早速食べましょう」


 くぼちゃんはショートケーキを手で掴むと、そのままモシャモシャお食べ始めた。

 女の子なのにそんな食べ方して! 行儀が悪い子にはプレゼントあげませんよ! 用意してないけど!


「くぼちゃんさ、ケーキ食べに来ただけなの?」


「ほうでふよ」


 口の中の物がなくなってから喋りなさい! 私はくぼちゃんの母親か!


「それもありますが、明日はしもとさんのお誕生日ですよね」


「知ってたんだ」


「ボクはなんでも知っているのです」


 私の誕生日はクリスマスだ。

 そのせいで小さい頃から誕生日プレゼントは、クリスマスプレゼントと一緒にされていた。クリスマスあるあるだよねー。

 中学に入ってからは、ケーキとチキンだけになるというなんとも寂しい誕生日を毎年迎えている。可哀想なさくらちゃん!

 それが理由というわけでもないが、私はクリスマスに特別な感情を抱いていない。


「クリスマスと誕生日が一緒って、小さい頃は嬉しかったけど、今はそう思わなくなったな」


「そうですか」


「うん」


 ケーキを食べ終えたくぼちゃんは、チキンに手を伸ばしていた。


「では、プレゼントとは言えませんが、ボクが質問に答えてあげましょう」


「質問?」


「はい」


 うーん・・・。そんな急に言われてもなぁ。なんかあるかな・・・。


「んー。なんでもいいの?」


「はい。答えられる範囲であれば答えます」


 それって結構制限あるんじゃないの? つまりなんでもとは言えない!


「くぼちゃんは案内人だけどさ、これから私はどうすればいいわけ?」


「どうしましょうかね」


 どうしましょうかねって・・・。君は案内人じゃないのかい?


「元はと言えば、はしもとさんがボクの言った通りにしなかったのが原因ですよ」


 ソフトテニス部に入部しろって話だったかな。


「ソフトテニスやったことなかったし、しょうがないじゃん」


「ですが、ソフトテニス部に入ることが重要だったのです」


 そんなこと言われましても・・・。


「そんなに重要だったの?」


 前もそう言われたけど、私にはそうは感じなかった。


「はしもとさんが変われるチャンスでした」


 変われるチャンスね・・・。

 仮にソフトテニス部に入ったとして、何が変わったいうのだろうか。


「じゃあ、今から入ればいいの?」


「いいえ。もう既に手遅れです」


 手遅れなのかーい。

 そこまで言うならちょっと入ろうかなと思ったけど、入らなくていいならもうどうにもならないね!


「ふーん。私がソフトテニス部に入らなかったせいで、くぼちゃんも予定が狂っちゃったってわけだ」


「そうなりますね」


 ちょっと申し訳ない気持ちもあるが、その時の私は入部したくなかったので仕方がない。


「言う通りにしなくてごめんね。お詫びに私の分のケーキも食べていいよ」


「いいでしょう。ケーキに免じて許してあげます」


 ケーキで許してもらえるのか。安いもんだな。


「ていうかさ、くぼちゃんはいつも暇してるの?」


「そうですね。誰かさんのせいで暇しています」


 その誰かさんって誰のことだろう! くぼちゃんに迷惑かけちゃダメよ!


「別に毎日じゃなくてもいいけど、暇な時遊びに来てもいいよ。お菓子ぐらいは用意してあげるから」


「おぉ。それはいいですね。毎日来ちゃいましょう」


「毎日じゃなくていいって言ったでしょ。毎日来られたら、くぼちゃんのおやつ代で毎月のお小遣い消えるわ!」


 まぁ、それでもくぼちゃんがたまに遊びに来てくれれば、この代わり映えのない毎日に、少しぐらい変化があるだろう。知らんけど。


「明日はお祝いしに来ますよ」


「なんかくれるの?」


 現金希望。とりあえず100万円で。


「素敵な出会いをプレゼントしましょうか」


 なんだそれ。超絶イケメンで、大金持ちの人を紹介してくれたりするのかしら。


「なんでもいいや。ジュースのおかわりいる?」


「いただきましょう」


「ほーい。んじゃ取ってくる」


 部屋を出る時、くぼちゃんはまたじんぐるべーと歌っていた。

 くぼちゃんの言っていた、素敵な出会いというのが少し気になるが、あまり期待しないでおこう。



 ──翌日


 私は駅前のショッピングモールでブラブラしていた。

 クリスマスということもあって、モール内は人で溢れている。

 そしてカップルがキャッキャウフフと、人目もはばからずにイチャイチャしている。

 ・・・羨ましいなんて思ってないもんね! 爆ぜろリア充! 弾けろカップル! ・・・・・・あー、虚しい。

 そんなことより人混みに酔いそうだ・・・。てか酔った。

 これは早めに撤収した方が良さそう。

 気分が悪くなりフラフラと歩いていると、突然女性に声を掛けられる。


「あの、体調悪そうですけど大丈夫ですか?」


「・・・あ、ちょっと人混みに酔っただけなので大丈夫です」


「とりあえずベンチに座って休んだ方がいいですよ。お水買って来るので、座って待っててください」


「あ、いや・・・」


 断ろうとするも、その女性は水を買いに走り去ってしまった。

 あれ? あの制服って私の高校と同じ制服だよね・・・。

 しばらく待つと水を持って戻ってきた。


「どうぞ」


「あ、ありがとうございます。あの、私も同じ高校です。1年生ですけど」


「そうだったんですか?」


 学校は冬休みに入ったはずだが、どうして制服なのだろうか。


「はい」


「私は3年なので、一応先輩になりますね」


「そうなんですね。あの・・・先輩なので、敬語じゃなくてもいいですよ」


 同じ学校の先輩って分かったから、なんか敬語だと変な感じするし。


「そうですか? じゃあタメ語で。名前、なんて言うの?」


「橋本さくらです」


「・・・さくらちゃんか。私は佐藤美桜。よろしくね」



「どうやら無事に出会えたようですね。ボクからのプレゼントですよはしもとさん。お誕生日おめでとうございます」


 この日を境に美桜先輩と仲良くなり、大切な存在となった。

 でもそれはまた、別のお話。

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