佐藤美桜の安堵
パパが桜ちゃんに好きな人がいないか聞いた瞬間、思わずびっくりしてしまった。
そういえば、桜ちゃんからそういった話は聞いた事がない気がする。
仮にいたとしても、高校は女子校だし中学の頃の同級生とか・・・?
好きな人いたらどうしよう・・・。
「好きな人はいないですね」
はぁ、良かったぁ・・・。私はホッと胸を撫で下ろす。
もしもいるって言ったら、動揺してどうにかなってしまいそうだった。
もうパパったら! 余計なこと聞かないでよね!
「そうか。焦って見つけるようなものでもないからな。一緒にいて楽しい人とかもいないのか?」
ちょっとパパ!!!
安心したのも束の間、パパがまた余計なことを聞いてしまう。
「美桜ちゃんとかですかね?」
「え?」
思わず真顔で反応してしまった。
「え? 私と一緒にいて楽しくないの? ひどい! ひどいわ!!! そう思っていたのは私だけだったのね!」
ち、違うの桜ちゃん! 楽しいに決まってるよ!!!
「た、楽しいよ!」
私は慌てて答えた。桜ちゃんはふざけて泣き真似をしている。
私ったら1人で心配になったり、慌てたりバカみたいだ。なんだか急に恥ずかしくなる。
「良かったわね。美桜」
「う、うん」
良かった。本当に良かった。
「美桜ちゃん。半分食べ終わったら交換ね。それとも、あーんってしてあげようか?」
「や、やめてよ。バカ!」
桜ちゃんはすっかりいつも通りに戻っていた。
好きな人がいなくて安心したけど、料理の味はよく分からなかった。




