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恋の案内人  作者: 翁
出会い
54/255

42.一緒にいて楽しい人

「桜ちゃーん。朝だよー。起きてー」


「・・・あと少しだけー」


 美桜ちゃんに起こされて目が覚める。


「朝ご飯できたって」


「・・・んー。・・・今何時?」


「9時だよ」


 今日は水族館へ行くことになっている。


「ふあー。・・・おはよ、美桜ちゃん」


「おはよ。顔洗って、歯磨いてご飯食べよ」


「はーい。・・・ん」


 私は美桜ちゃんに起こしてもらおうと腕を伸ばす。


「どうしたの?」


「ん」


「起こしてほしいのね。・・・っしょっと」


「わーい」


 ──バサッ


 起こしてもらってからすぐにベッドに倒れる。


「ちょっと! せっかく起こしたのに!」


「ん」


 私はまた腕を伸ばした。


「次はちゃんと起きてよね!」


 美桜ちゃんに起こされた勢いを利用し、そのまま抱きついた。


「さ、桜ちゃん?」


「ありがと」


「うん。ほら、顔洗いにいくよ!」



 朝ご飯はサンドイッチだった。たまごサンドんめぇー。


「お昼はどうしようかしらね」


「出掛けた先で食べよう」


「そうね。美桜達もそれでいいかしら?」


「うん!」


 そういえば、どこの水族館行くんだろ?


「今日はどこの水族館に行くんですか?」


「さっき美桜からさくらちゃんがクラゲが好きって聞いてな。ちょうも江ノ島の水族館のクラゲエリアでショーをやってるらしいから、江ノ島に行こうと思っているぞ」


 おぉ! それは楽しみ!


「江ノ島がいいです!」


「じゃあ決まりだな!」


「桜ちゃんテンション高いね」


「クラゲエリア楽しみだからね!」


 あとで調べてみよ!


「お昼は水族館のあとでいいかしらね?」


「そうだな。江ノ島に着いた頃だと、ちょうどお昼時で混んでそうだからな」


 休日だし、かなり混雑してそうだ。


「2人は何か食べたいのあるか?」


 うーん。なんだろう。


「私はしらす丼食べたい!」


 しらす丼かぁ。食べたことないな。


「私もそれがいいです」


「しらす丼が美味しい店行くか! パパのおすすめの店があるんだ!」


 それは期待できる。初めてのしらす丼。楽しみ。


「あそこのお店かしら?」


「あぁ。ママとの思い出の場所だな」


 何それ気になる。2人の出会いが関係しちゃってる系ですか?


「もうその話聞き飽きたー」


「私聞きたいです」


「あとでしらす丼食べながらでも話そうか」


「えー」


 美桜ちゃんは何度も聞かされているのか、聞きたくない様子だ。


「よし! 2人とも! そろそろ出掛ける準備しておくんだぞ!」


「はーい」



 11時過ぎ、美桜パパの車で江ノ島へと出発。


「楽しみだね。桜ちゃん」


「うん。クラゲのエリアでは、プロジェクションマッピングでショーやってるんだって!」


 期間限定らしい。ナイスタイミングってやつだな。


「クラゲとプロジェクションマッピングかぁ。絶対綺麗じゃん」


「うん」


 あとは、深海生物とかも見たいかな。ちょっと気持ち悪いところが逆にいいよね。


「私も早くペンギン見たいなぁ」


 昨日、美桜ちゃんに何が見たいか聞いた時に、ペンギンと答えていた。


「ペンギンの物真似してよ」


「やだよ! 無茶ぶりすぎ!」


「美桜は小さい頃、よくペンギンの真似してたな」


 え? そうなの? ならできるじゃん。


「じゃあできるね。はい、やってみて」


「嫌だってば! パパも余計なこと言わないでよ! 真似してたのもだいぶ前だし!」


 今度、なんかの罰ゲームでやってもらおう。

 それから車を走らせること45分。水族館に到着した。


「あ、あの、チケット自分で買いますよ?」


「いいのいいの! さくらちゃんはもう娘みたいなもんだからな!」


 どうも、佐藤さくらです。


「そ、そうですか。ありがとうございます」


「その分、ちゃんと楽しんでくれよな!」


「はい!」



 水族館は家族連れやカップルで大変賑わっていた。

 休日ということもあり、かなり混雑している。


「パパはママと回るから、美桜はさくらちゃんと回ってきなさい。終わったら連絡してくれ」


「はーい。 行こう! さくらちゃん!」


 私達は入場ゲートを通り、中へと入っていく。


「何から見よっか!」


「クラゲのショーの時間はまだだから、先にペンギン見に行こう」


 まずはペンギンを見に行く。


「ここで展示されているフンボルトペンギンって、実は寒い所が苦手なの知ってる?」


「え? そうなの? ペンギンって寒い所にいるイメージしかない」


「種類によっては、寒さが苦手なタイプもいるってことだね」


 初めて知った。私も寒いのはちょっと苦手。冬生まれなのに。


「あと臆病なんだって。水族館のペンギンは人慣れしてると思うけど、野生のペンギンは人間を怖がるらしいよ」


「私も臆病なんだけどさ、美桜ちゃんが怖い」


「怖くないし! やめてよ!」


 そうこうしている内に、ペンギンエリアに到着。


「ねぇ、見て! あの2匹。すごい仲良いよ! カップルかな?」


 美桜ちゃんが指差したペンギンを見ると、身を寄せ合っていた。


「そうかもね」


「ペンギンのカップルって、ずっと仲良しみたいだよ」


 浮気したりする人はフンボルトペンギンを見た方がいいかもね!


「人間もずっと仲良しだといいのにね」


「ほとんどの人はそうでしょ」


「ほら、例外もいるじゃん?」


 生き物の中で一番関係がもつれやすいのは人間説。


「まぁ、そうだけどさ。桜ちゃんは私とずっと仲良しでいてね」


「えー。どうしよっかなぁ」


「ひどい!!!」


「嘘だよ」


 仕方ないからずっと仲良しでいてあげましょう。



「わー! 可愛い!」


 続いて来たのはカワウソのエリア。


「気持ちよさそうに泳いでるね」


 なんか1匹、めっちゃぐるぐる回ってる。目回らないのかな。


「なんか食べてるよ」


「ただ泳いで、エサを無料で食べれるとかいいなぁ」


「桜ちゃん言い方」


 私も寝て食べるだけの生活がしたい。すぐに太りそうだけど。


 そろそろクラゲのプロジェクションマッピングショーの時間だ。私達はクラゲエリアへと移動する。

 そのクラゲのエリアは、まるで海の中にでもいるような感じになっていた。


「ハナガサクラゲは展示されてないのか・・・」


「昨日言ってたやつ?」


「うん。でも、カラージェリーフィッシュはいるね」


 やっぱりクラゲはいいねぇ・・・。見てるだけで癒される。


「タコみたいなクラゲがいる!」


「そのクラゲの名前は見たまんまタコクラゲだね」


「味もタコの味なのかな?」


 そんなわけないでしょうが。


「そろそろ始まるみたいだね」


 辺りの照明が暗くなり、クラゲの水槽の周りや天井に映像が映しだされる。


「・・・綺麗だねー」


 照明だけではなく、映像や音も加わるとこうも変わるのか。本当に海の中にいるみたいだ。

 今、映像ではハナガサクラゲが水中を優雅に浮いている姿が映っていた。


「美桜ちゃん。ハナガサクラゲいる」


「本当だ」


 他にも色々な種類のクラゲが映っている。

 水槽の中のクラゲは、様々な照明の灯りによってかなり幻想的な姿になっている。これは毎日見ても飽きないな。

 近くに住んでいれば、年パスを買ってもいいレベル。

 それからしばらくの間、私達は言葉を交わさずショーを楽しんだ。



「ご鑑賞いただきありがとうございました。次のショーは──」


「すごい綺麗だったね」


「うん。でもやっぱり、実物のハナガサクラゲ見たいな。デイゴが見てみたい」


「沖縄行った時のお楽しみだね」


 待ってろよー沖縄!

 そのあとは、深海生物のエリアを見たり、イルカのショーを見たりして楽しんだ。


「もしもし、パパ? 見終わったから今から出口向かうね。──うん。はーい」


「パパ達も出口向かうって!」


 久しぶりの水族館楽しかったな。また来たい。


 水族館を出たあと、美桜パパおすすめの店に遅めのお昼を食べに。


「好きな物頼んでいいぞ!」


 この店のおすすめは生しらす丼らしい。セットにすると、あら汁までついてくるらしい。


「私はこの生しらす丼のセットがいいです」


「私はどうしよっかなぁ。しらす丼もいいけど、しらすかき揚げ丼も美味しそう」


 しらすかき揚げなんてあるのか。ちょっと気になるな。


「美桜ちゃん。半分こしようよ」


「それいいね! じゃあ、私はしらすかき揚げ丼にするね!」


「パパ達は釜揚げしらす丼だな」


 店員に注文を頼み終えると、美桜パパが美桜ママとの思い出話を語り始めた。


「大学の時だよな。ここに来たのは」


「そうね。懐かしわね」


「ここはな、ママとの初めてのデートで来た場所なんだ」


 そうなんだ。それで思い出の場所というわけか。


「パパの一目惚れでな、ママに一生懸命アプローチかけていたんだが、中々振り向いてくれなくて」


「何回も頼んで頼んで、やっとの思いで、デートに漕ぎ着けたんだよ。その時の昼食で来た店がここなんだ」


「パパったらしつこいのよ」


 美桜ママがそうは言うものの、なんだか嬉しそうだ。


「パパしつこーい」


 ついでに美桜ちゃんにも、しつこいと言われてしまう美桜パパ。


「あんなに積極的に来られたら、嫌でも気になってしまうわね」


「美桜ママはいつ好きになったんですか?」


「そうね・・・。いつだったかしら? 忘れたわ」


 えぇ・・・。ちょっと美桜パパ可哀想かも。


「でもね、好きになってなければ結婚もしてないし、美桜達も生まれてないわね」


 確かに。それはそうだ。


「さくらちゃんは好きな人いないのか?」


 美桜パパから不意打ちの質問飛んでくる。

 隣で美桜ちゃんがビクッとなっていた。なんであなたが驚くのよ。


「好きな人はいないですね」


 美桜ちゃんは安心したかのように胸を撫で下ろしている。いや、なんでだよ。


「そうか。焦って見つけるようなものでもないからな。一緒にいて楽しい人とかもいないのか?」


 一緒にいて楽しい人・・・。

 美桜ちゃんとか花恋ちゃんとか? 一応、咲蘭ちゃんも入れとくか。


「美桜ちゃんとかですかね?」


「え?」


「え? 私と一緒にいて楽しくないの? ひどい! ひどいわ!!! そう思っていたのは私だけだったのね!」


 私はおよよと泣く真似をする。


「た、楽しいよ!」


 最初からそう言いなさい! 今まで楽しい振りをしているのかと思ったじゃん。


「良かったわね。美桜」


「う、うん」


「これからも美桜をよろしくな」


「はい」


 美桜ちゃんを見ると顔を赤くしていた。


「お待たせしましたー。生しらす丼のセットのお客様」


 話が終わったところで料理が到着する。


「じゃあいただくとするか!」


「いただきます」


「美桜ちゃん。半分食べ終わったら交換ね。それとも、あーんってしてあげようか?」


「や、やめてよ。バカ!」


 今日はとてもいい息抜きになった。

 ついに来週は地区予選だ。

 明日からの練習、頑張らないとな。

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