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恋の案内人  作者: 翁
出会い
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41.私はクラゲになりたい

 地区予選まであと1週間となった。


「もう来週かー」


「あっという間だったね。明後日は練習試合中心になると思うよ!」


 美桜パパから試合中の動きも教わってから、先輩との練習試合でも、自分からポイントを決めることができるようになってきた。

 フェイントのかけ方やジャンピングスマッシュなど、技術面でもだいぶ上達を感じている。


「明日は先生の急用で部活が休みになったけど、どうしようか」


「そうだねー。パパが息抜きにどこか行こうって言ってたけど」


 土曜日が休みになる代わりに、今週の定休日は部活になっていた。

 先週の木曜日から今日まで、休みなしで部活だったし、息抜きもいいかもしれない。


「どこ行くかは決まってないの?」


「そうみたい。パパが帰ってきたら聞いてみる」


 なんだか家族の一員になった気分だ。これから佐藤を名乗ろうかな。

 私の親はあまり出掛けようとしなかったし、私も出掛けたいと自分から言わなかったから、なんだか新鮮だ。


「とりあえず、ずっと部活だったから今日はゆっくり休みたいね」


「二階堂さんとも練習してるもんね」


「うん」


 咲蘭ちゃんとの練習も加わったこともあり、最近は毎日テニス尽くしだ。

 ちなみに花恋ちゃんも一緒に練習に参加している。


「桜ちゃんが上手くなってるおかげで、試合中もストロークに集中できるよ」


「ワンチャン県大会行けるんじゃない?」


 特訓が始まった頃に比べると、だいぶ自信がついてきた。


「ワンチャンどころか、強いペアと当たらなければ行けると思うよ! それぐらい桜ちゃんは上手くなってる!」


「そ、そっかなー?」


 ちょっと嬉しい。私も上手くなってるとは感じるけど。


「桜ちゃんが思ってる以上に、他の人はそう感じてると思うよ」


 そうなのか。美桜ちゃんにそう言われるのであれば、もっと自信持っても良さそうだな。


「やっぱり、当初の目標通り全国制覇だね」


「それは桜ちゃんの目標でしょ。でも、大きな目標を持つことは悪いことではないよね」


 そうだろそうだろ。まぁ、現実的な目標としては県大会出場が妥当たろうな。


「美桜ちゃん」


「ん?」


「地区予選頑張ろうね!」


「うん!」


 それから一緒にお風呂に入り、ちょうどご飯というところで、美桜パパが帰ってきた。


「ただいまー!」


「おかえりなさい。おじゃましています」


「おぉ! さくらちゃん!」


 やっぱいつ見てもイケメンだわこの人。


「パパ、明日出掛けようって言ってたけど、どこ行くか決めてるの?」


「そうだな・・・。水族館なんてどうだ?」


 水族館か。中学の遠足で行ったのが最後だな。


「いいかも! 行きたーい! 桜ちゃんもいいよね?」


「うん。私も久しぶりに行きたいかも」


「じゃあ決まりだな! 11時頃に家を出るから寝坊するなよ!」


「はーい」


 ということで、明日は水族館に行くことになった。

 クラゲ見たいなぁ。結構好きなんだよね、クラゲ。ぷかぷか浮いてるのがなんかいいよね。


「・・・クラゲになりたい」


「私のこと刺さないでね?」


 独り言が美桜ちゃんに聞こえていたようだ。


 ──ブスッ


 自分の指で美桜ちゃんの脇腹を刺した。


「刺さないでってば!」


「明日になったら風船みたいに腫れてるよ。美桜ちゃん空に飛んでっちゃうね」


「なんでよ! 嫌よ!」


 私は天を見上げ手を振る。


「ちょっと桜ちゃん! 私まだいるからね!?」


 ついでに手も合わせて合掌。


「今までありがとう。多分忘れないよ・・・」


「勝手に死んだことにしないでよ! というか絶対忘れないで!」


 美桜ちゃんらしき人物がわーきゃー騒いでいる。

 声のする方に向き直るとそこには・・・。


「うわぁ! 美桜ちゃん!? し、死んだはずなのに!」


「生きてるし!!!」


「ふふ。本当に仲良いわね。ご飯できたわよ」


 今日のご飯は天ぷらだ。海老天がとても大きい。


「高そうな海老ですね・・・」


「あら、そんなことないわよ?」


 本当かしらん。でも、美味しそうなことには変わりない。


「じゃあ、いただきます」



「天ぷら美味しかったー」


「桜ちゃん、海老天ばっか食べてたね」


「海老天が天ぷらで一番美味しい。異論は認めない」


「意思が固いね。確かに美味しいよね」


 私はベッドの上で食後の運動をしていた。つまり、ゴロゴロしている。


「明日の水族館楽しみだね!」


「うん。クラゲになりたい」


「また言ってる。そんなにクラゲ好きなの?」


「だって浮いてるだけでいいんだよ? めっちゃ羨ましい」


 生まれ変わったらクラゲになれるようお願いしようかな。種類はベニクラゲでお願いします。


「水族館のクラゲって、照明の色とかで幻想的になったりするよね」


「そうだね。水族館によっては、クラゲのエリアでショーとかあるからいつも見入っちゃう」


「あるある。癒されるよね。好きなクラゲの種類とかあるの?」


 好きなクラゲの種類か・・・。

 どれも好きだけど、強いて言うのであれば・・・。


「どこの水族館にもよくいる、ミズクラゲはもちろん好きだけど、ハナガサクラゲとか、カラージェリーフィッシュが好きかな」


「ハナガ・・・カラージェ・・・?」


 何その鼻が・・・みたいなのは。


「ハナガサクラゲとカラージェリーフィッシュ」


「く、詳しいんだね」


 クラゲになれたらなぁと思っていた時にめっちゃ調べたからね。

 まずはカラージェリーフィッシュから説明するとしよう。


「カラージェリーフィッシュは、体内の褐虫藻とかで色が違ったりするんだよね。赤とか青とか」


「あ! 赤いやつ知ってる! 触手が長いやつでしょ?」

 

「それはアカクラゲだね。調べてみれば分かると思うけど、全然違う種類だよ」


 触手が長いクラゲを見ていつも思うけど、あれ絡まったりしないのかな?


「あ、本当だ」


「ハナガサクラゲは、見た目からして結構派手なクラゲだよ。触手がカラフルなの」


 美桜ちゃんにほら、とハナガサクラゲの画像を見せた。


「確かにカラフルだ。でも見た目が派手なのは危険ってよく言うよね」


 そうなんだよなぁ。ハナガサクラゲは刺されるとだいぶ痛い。刺されたことないけど。


「ハナガサクラゲの中でも見てみたいのが、デイゴハナガサクラゲなんだよね。でも沖縄の水族館でしか見れないっぽくて」


「沖縄かぁ。旅行で行ったことあるけど、また行きたいなぁ」


 え、いいな。私は行ったことない。


「そういえば、修学旅行ってどこ行くの?」


「私の時は北海道だったよ」


「今年の2年は沖縄?」


 となると、来年は北海道になってしまいそうだ。


「多分そうじゃないかな」


「沖縄行きたかったなぁ・・・。美桜ちゃん連れてって」


「一緒に行きたいね! お金貯めて行っちゃおうか!」


 わたくし、そんなにお金持ってませんわよ。


「そんな行けるほどお小遣いもらってないよ・・・」


「今すぐじゃなくてもいいんじゃないかな」


 それもそうか。自分で働いてから行けばいい。


「じゃあいつかね」


「うん! 楽しみにしてるね!」


 私も楽しみにしておこう! デイゴハナガサクラゲを見るために!


「美桜ちゃんは水族館で何が好きなの?」


「うーん。私はねー」


 そのあとも水族館の話で盛り上がる。

 久しぶりに遠足前日のワクワク感を感じながら眠りについた。

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