33.Who do I fall in love with?
──日曜日の練習後
「づがれだーーー」
さすがに2日連続での丸1日練習は体にこたえた。
「桜ちゃんお疲れ様! はい、これ!」
「おつかれー。ありがと」
美桜ちゃんが飲み物を持ってきてくれた。
「さくらちゃん、二階堂さん! 2人ともこの2日間でだいぶ上達したな! 来週から試合中の動きも教えていくぞ!」
美桜パパの言う通り、この2日間でだいぶ上手くなったような気がする。
「美桜、パパは先に帰ってるからな」
「はーい」
「ありがとうございましたー!」
美桜パパは私達に手を振り、一足先に帰っていった。
「わたくしも失礼しますわ」
「咲蘭ちゃん待ってー! さくらちゃん、美桜先輩、お疲れ様でした!」
「おつかれー」
コートには私と美桜ちゃんだけが残る。
「ふーー」
疲れきった私はコートに大の字で倒れ込む。
「疲れたね」
「そうだねー」
「夜ご飯なんだろ」
今日はガッツリ食べたい気分だなー。
「桜ちゃん、だいぶ上手くなったね」
「美桜パパのおかげだよ。来週も頑張る」
と言っても自然教室があるし、火曜日と土日しか練習ないんだよな。明日は休みだし。
「美桜ちゃん、明日は1日中ゴロゴロしてようよ」
「特に用事もないし、明日になっても疲れが残ってるだろうからそうしようか」
「私が寝てるからってイタズラしちゃだめだぞー?」
しても起きないと思うけど。
「し、しないし! バカ!」
「・・・しないのかー。しても気付かないと思うけどなぁ」
「え? していいの?」
なんでそんなしたそうな顔してるのよ。
「したいの?」
「べ、別に!」
本当はしたいって反応だな。相変わらず分かりやすい。
「さてと、私達も帰りますか。美桜ちゃん、おんぶして」
「自分で歩きなさい!」
ケチだなー。重い腰を上げ、私達も帰ることにした。
「ただいまー」
「おかえりなさい。お風呂湧いてるから入っちゃって」
「はーい」
私達は部屋に荷物を置いて、すぐにお風呂へ入ることにした。
「疲れた体に染みますなー」
「なんかおじさんみたいだよ」
そうです私が変なおじさんです。なわけないでしょう。
「ねぇねぇ、美桜ちゃん」
「なぁに」
美桜ちゃんは髪を洗っている最中だ。
「もうタオルで隠さなくても大丈夫なんだね」
初めて一緒に入った時は、自分の家なのにタオルで隠してたんだよなぁ。
「だって桜ちゃんタオル剥ぎ取るじゃん。あ、あんまジロジロ見ないでね」
「うんうん。ジロジロ見てないよ。ガッツリ見てるから」
髪を洗ってて目を開けられないのをいいことに、じっくりと美桜ちゃんの体を観察する。
「ふむ。相変わらずいいおっぱいだ」
「や、やめて見ないで!」
そう言って私に背を向けてしまう。
「減るもんじゃないんだから見てもいいじゃんか」
「い、いや!」
なんかそう嫌がられると余計に見たくなるよねー。
私はなるべく音を立てないように湯船からゆっくり上がり、美桜ちゃんにそーっと近付く。
「・・・ねぇ。見せてよ」
「ひゃっ!」
耳元で囁くと美桜ちゃんがビクッと驚く。
「早く私の髪の毛も洗ってー」
私は後ろから美桜ちゃんに抱きついた。
「さ、桜ちゃん! 離れて! 当たってるから!」
おー、慌ててる慌ててる。
「当たってるって何がー?」
「言わせないでよ! 今目開けられないから離れて!」
「やーだー。早く髪の毛洗ってー」
「離れてくれなきゃ私の髪が洗えないじゃない!」
それもそうだ。でも、このまま離れても面白くないから少しからかっちゃお。
「私のおっぱいの感触どうだった?」
「バ、バカ!!!」
なんだよ。感想ぐらい言ってくれてもいいじゃないか。
それとも何か? 小さくて感触がなかったってことか!?
虚しくなった私は、もう1つの椅子に大人しく座って待つことする。
「もういいかい」
「ま、まだ! 洗い流してないでしょ!」
「もういいかい」
「聞く間隔早すぎじゃない!?」
ちゃんと美桜ちゃんの返事を待ってから聞いてるじゃない。
「もーいーかーい」
「ま、まーだだよー」
そうそうその返事。
「なあ美桜。もう、いいかい?」
「なんでイケボ風に聞くの」
ちょっと面白くなってきたな。
「もうまーてなーい」
「もう少し待って!?」
「もういいかいと、聞いた刹那・・・」
「・・・・・・」
「刹那の続きは!?」
めっちゃつっこんでくれるじゃん。
「どうでもいいけど早くしてー」
「もう終わるから待って」
こちらはさ、眠くなってきちゃったよ。
・・・・・・。
こんなに美桜ちゃんと仲良くなれるとはなぁ。
くぼちゃんに言われたから仲良くしたってこともあるけど、ここまで仲良くなるとは思わなかった。
もうだいぶ仲良くなったと思うけど、くぼちゃんが言う恋についての勉強っていうのがなぁ・・・。
この前会った時はその話題が出なかったけど、どうすればいいんだろうか。
今はソフトテニスの練習に集中しろって言ってたし、まだまだ先の話なのかな?
というか、私は誰に恋するんだ?
学校は女子校だし、中学の男子とは卒業してから接点ないし・・・。
うーむ・・・。
運命的な出会いがあるわけでもなさそうだし、わっかんないなぁ。
・・・・・・。
まさか女の子と・・・?
可愛いと思うのは花恋ちゃんだけど、別に好きとかそんな感じじゃないしなぁ。
あとは目の前にいる美桜ちゃんだけど・・・。
確かに仲良くなったし、毎週末一緒にいる。
この前、ちょっと変な感じになったとはいえ、あれはなんていうか、ねぇ・・・。
美桜ちゃんに好きと言われたけど、それは後輩として好きってことだと思うし、恋愛対象ではないと思う・・・。
いや、待てよ・・・。実際どうなんだ?
振り返ってみると、おかしいところはいくつかあった。
特に下着選ぼうとしてたのは明らかにおかしいよね。
でもなぁ・・・。
仮にもしそうだったとしたら、私はどうすれば・・・?
別に美桜ちゃんのこと嫌いじゃないし、付き合ってって言われたら、いいよって言ってしまいそうな自分がいる。
くぼちゃんが美桜ちゃんと仲良くなれって言ったってことは、その恋愛対象は美桜ちゃんってことなのかな?
でも、確信があるわけじゃないしなぁ・・・。
まず、好きって言われた時に付き合ってと言われてないし。
「──ちゃん。桜ちゃん!」
「ほえ?」
なんとも情けない声で、返事をしてしまった。
「何回も呼んだのにボーッとしてたから」
「ごめんごめん」
「髪洗うよ」
「お願いしまーす」
まぁ、いっか! その時が来たら考えよう!




