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恋の案内人  作者: 翁
出会い
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29.束の間の休息

 今日は定休日なので部活が休みとなっている。

 放課後、私はすぐに帰らず校門の前にいた。

 昨日の部活後、美桜ちゃんの家に遊びに行っていいかと聞いたところ、二つ返事でいいよと言われたので待っているというところだ。

 夜には帰るつもりではいるが、もしものことを考えて泊まる準備はしてきている。

 そのもしもというのは、私が美桜ちゃんの家で寝過ぎて遅い時間になってしまい、帰るのが面倒になるということ。

 もし、泊まることになっても、家に連絡入れとけばいいので問題ない。

 美桜ちゃんも美桜ママも、泊まるなとは言わないだろう。


 ・・・うーん。

 もう泊まっちゃおうかしら。

 帰りたくなくなるのは分かりきっている。

 となると・・・。

 私はお母さんに、先輩の家に泊まると連絡しておくことにした。


「桜ちゃーん!」


 母親にメッセージを送り終えると同時に、美桜ちゃんがこちらに駆け寄ってくる。


「ごめんね。待った?」


「全然待ってないよ」


「そっか。じゃあ行こっか」


 ふかふかのベッドが待つ美桜ちゃんの家へレッツゴー!



「筋肉痛が治らないー」


 昨日の部活でもたくさん打ち込みの練習をしたせいか痛いままだ。


「そのうち慣れてくると思うから、それまでの我慢だよ!」


 そのうちっていつだよー。今すぐ治ってほしい。


「バックも昨日の練習でだいぶ良くなったよ!」


「頑張った甲斐があった」


 最初はバックで打つのが苦手だったけど、今では普通に打ち返せるようになってきた。


「明日と明後日も打ち込みやるから頑張ろ!」


「うぇー」


 でも、上手くなると決めたからには頑張らなければ。


「そういえば今日は何時に帰るの?」


「え? 泊まるつもりだけど」


「えぇ!? と、泊まるの!?」


 え、もしかして今日はダメだったのかな。


「泊まるのまずかった?」


「い、いや多分大丈夫だと思うけど・・・」


 なんだ大丈夫なのか。良かった。


「一応泊まる準備してきてたからさ」


「そうなの?」


「もうお母さんにも連絡してあるよ」


 お母さんからは明日ちゃんと学校行けよと返事があった。


「へ、へぇ。そっかー」


「美桜ママに電話しとけば?」


「そ、そうだね。ちょっと待ってて」


 家に着いてから急に泊まると言うよりはいいだろう。


「もしもしママ? 今日桜ちゃん遊びに来るって言ったけど、泊まりたいって言ってて──」


 これでダメって言われたらどうしよ。

 大丈夫だとは思うけど。


「──うん。うん。はーい」


 どうやら終わったみたいだ。


「いいって?」


「うん。待ってるって言ってたよ。あと今日のご飯ハンバーグだって」


 ハンバーグ! 美桜ちゃんと出掛けた時以来だ。


「美桜ママは優しいね。あー、美桜ちゃんの家に住みたいなぁ」


「私も桜ちゃんと暮らしたいなぁ」


 私が住みたいという理由と、違う気がするのは気のせいかな?


「美桜ちゃんは別にいなくてもいいけど、さすがに住むのは親が許さないだろうから残念」


「ちょっとそれどういうことよ!」


 あ、でも美桜ちゃんがいないと、髪とか自分で洗わなきゃいけないのか。


「いや、やっぱり嘘。美桜ちゃんいないと無理だ」


「え・・・? あ、えっと・・・そ、そっかぁ! 私いないと無理かぁ!」


 あと、寝る時もいてくれた方がいいからね!


「いなくなったら怒るからね!」


「えぇ!? い、いなくならないよ! いなくなるわけないじゃん!」


 よろしい。あの広いベッドで1人で寝るのも良さそうだけど、抱き枕は必要だからね!



「ただいまー」


「お邪魔しまーす」


 美桜ちゃんの家にとうちゃーく。


「おかえりなさい。さくらちゃんもいらっしゃい」


「急に泊まりたいだなんて、わがまま言ってすいません」


「いいのよ。賑やかになるし、寂しがり屋の美桜も喜ぶから」


 そうだね。寂しがり屋だったね。


「ママ! そういうのいいから! 桜ちゃん部屋行こ!」


「ご飯できたら声掛けるわね」


 美桜ママは今日も綺麗だなぁ。

 私が男だったら絶対惚れてる。


「もうママったら!」


 美桜ちゃんはプンプンしながら階段を上がる。


「今日はピンクか・・・」


 別に見ようとしてるわけではないけど、どうしても視界に入ってしまう。


「何が?」


「え? 美桜ちゃんのパンツ」


「見ないでよ!!!」


 恥ずかしがりながらスカートを抑える。

 そんな恥ずかしがられると、なんか悪いことしたみたいじゃん。


「私の下着を選ぼうとした人が、見られたぐらいで恥ずかしがらないでよ」


 あのまま買いに行ってたら、同じ下着を買わされていたに違いない。


「あ、あれは謝ったでしょ!」


「ま、いいですけど。わーい! やっとこのベッドで寝れる!」


 部屋に着くやいなや、安定のベッドダイブを決める。


「桜ちゃんは本当にこのベッド好きだね」


「だーーーいすき!!!」


 はぁ・・・、幸せやねー。


「美桜ちゃん。ちょいちょい」


 ベッドに横になっている私は、美桜ちゃんにこっちへ来るよう呼ぶ。


「なぁに?」


「ご飯までお夕寝としけこもうじゃないか」


 今は16時過ぎなので、3時間ぐらいは寝れそうだ。


「えー? 制服のまま寝るの?」


「着替えるのめんどくさーい」


 ほらほらーと早く来るよう促す。


「もう、本当に寝るの好きだね」


 そう言って美桜ちゃんもベッドへ上がり、横になる。


「ではでは」


「ちょっと!?」


「何でしょうか?」


「いや、その、急に抱きつくから・・・」


 この前もそうだったじゃん。


「毎回こうするって約束したでしょ」


「したっけ!?」


 今しました。


「まぁいいからいいから。美桜ちゃんも嬉しいでしょう?」


「そ、そうだけどさ」


 ならお互いウィン・ウィンじゃないか。


「美桜ちゃんあったかい。あと太もも冷たくて気持ちい」


 自分の太ももでスリスリする。


「ちょ、ちょっとスリスリはやめてよ」


「えー。なんでー。気持ちいいんだもん」


 私は美桜ちゃんの脚の間に、自分の脚を入れて挟んでもらう。


「気持ちいいー」


「あ、あんまり動かさないでよ」


 そう言われるともっと動かしたくなる。

 さらにスリスリしていると、膝がどこかにぶつかる。


「んッ」


 あ・・・。

 今の美桜ちゃんの声で、どこにぶつかったかを理解する。


「ご、ごめん」


「・・・・・・」


 チラッと美桜ちゃんを見ると、ほんのり頬を染めていた。

 ちょ、ちょっと美桜さん。そんな顔されると反応に困るのですが・・・。


「・・・」


「・・・・・・」


 えっと・・・。どうしようこの空気。

 一旦、脚を抜くか。

 私は脚を抜こうと──。


 ──ギュッ


 挟んでいる脚に力を入れられ、抜けなくなってしまう。


「あ、あの美桜ちゃん?」


「お、お返し」


 そうして美桜ちゃんが、私の脚をスリスリし始める。


「み、美桜ちゃん? あの、わざとじゃないからさ、ごめんね? だからさ、脚を離し、あッ」


 美桜ちゃんの膝が、私の陰部に当たる。


 お返しってそういうこと!?

 てか、声漏れちゃったじゃん!!!

 私は恥ずかしさで顔が真っ赤になる。


「桜ちゃん、顔真っ赤で可愛い」


 美桜ちゃんの顔を見ると、とろんとした表情をしていた。


「いーーーっつも私に意地悪ばっかしてるから、今日は私が意地悪しちゃおっかなー」


 みみみ美桜さん!? 急にどうしたの!?


「な、なんのことかなぁ? 意地悪なんてしてないと思うよー?」


「嘘ばっかり」


「私の膝が当たったとき、なんであんな声出したの?」


 うっ・・・。そ、それは・・・。


「ちょ、ちょっと痛かったからかなー? あははー」


「本当にー? フー」


 美桜ちゃんが私の耳に息を吹きかけた。


「や、やぁ・・・」


「可愛い声出しちゃって。本当に桜ちゃんは可愛いなぁ」


 な、なんか変なスイッチ入ってないですか!?

 このままじゃ、色々されてしまう気がする!


「・・・なぁんてね。いつもの意地悪のお返しだよ」


 く、くそぉ・・・。

 なんか負けた気がするんだけど!


「も、もういい! ね、寝るよ!」


 恥ずかしさに耐えきれなくなった私は、美桜ちゃんに背を向ける。


「拗ねちゃったのー? 桜ちゃん、ギューってしてあげるからこっち向いて」


 こ、これは今後の意地悪をもっと酷くする必要があるみたいだな!


「美桜ちゃんのバカ」


 私は美桜ちゃんの方に向き直る。


「ふふ。じゃあおやすみ」


「お、おやすみ」


 あのままやめなかったらどうなってたんだろうとか考えていたら、ドキドキしてご飯まで眠れなかった。

 ちなみに美桜ちゃんは、何事も無かったかのように寝ていた。

 美桜ちゃんのバカー!

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