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恋の案内人  作者: 翁
出会い
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佐藤美桜の抱擁

 桜ちゃんからペアを組みたいと言われ、内心驚いたけど私も組みたかったし嬉しかった。

 高校最後の大会だし、普通の人はいい結果が出せるように頑張ろうと思うはず。ましてやインターハイとなれば尚更。


 だけど私は違った。


 確かにいい結果は出したい。

 でも、それは私にとって最重要というわけではない。

 桜ちゃんがソフトテニス部に入部して、プライベートでも一緒に遊ぶようにもなり、私の中での桜ちゃんはかけがえのない存在になっていった。

 そんな中、ペアを組みたいと言われた。

 私が断る理由が見つからないし、言われなかったら自分から言うつもりだった。

 結果うんぬんより、やっぱり桜ちゃんとペアを組んどけば良かった、と後悔したくなかった。

 桜ちゃんは高校からソフトテニスを始めたし、まだ上手くないのは分かっている。

 でも、そんなことは関係ない。

 私は、桜ちゃんとペアを組んで最後の大会に出たいんだ。

 私の中では試合の結果よりも、桜ちゃんとの思い出の方が優先度が高い。ただそれだけのこと。


 ミーティングが始まってから、途中で桜ちゃんと目が合ったけど、なんだか少し様子がおかしかった。

 どこか元気がないというか、焦っているというか・・・。

 ミーティング後、桜ちゃんに話し掛けると、やっぱり様子がおかしかった。

 私の去年の成績を気にしていて、ペアを組みたいと言ったことを後悔していみたい。

 桜ちゃんが言ってることは分かるし、私も桜ちゃんの立場だったら同じ気持ちになっていたかもしれない。

 それでも私は、桜ちゃんと最後の大会に出たいと思ったし、組むのを辞めたいと言っても受け入れるつもりはなかった。

 私の中では絶対組むって決めてたし、他の人からの誘いも断っていた。

 ただ・・・。


 あんなに弱ってる桜ちゃんを見るのは初めてだった。


 服を買ってあげたときとは違った弱さ。

 あの時は、弱さというより自分を変えたいという感じだった。

 いつも意地悪ばっかしてきたり、ツンツンしてるしてる桜ちゃんとは違い、とても弱気になっていた。

 多分・・・不安な気持ちでいっぱいだったんだね。


 ミスしたらどうしよう。

 私のせいで負けたらどうしよう。

 最後の大会なのに、初心者の私と組んで大丈夫なのか。


 色々な不安がよぎったと思う。

 だから私は、その不安を全て受け入れて、桜ちゃんを抱きしめた。

 桜ちゃんが好きだから抱きしめたとかではなく、部活の先輩として、私が引っ張っていくから、だから大丈夫だよと。

 そんな思いで抱きしめた。


 抱きしめた桜ちゃんは震えていた。

 今にでも泣き出してしまいそうなくらいに。

 一瞬、やっぱりペアを組もうとしたことは、間違いだったのかなって思ってしまう。

 でも──。


「・・・美桜ちゃん」


「なぁに」


「私・・・頑張るね」


 そんなことを一瞬でも考えてしまった自分を叱りたい。

 桜ちゃんが覚悟を見せてくれたんだ。

 私はそれに応えてあげなければいけない。


「うん・・・。一緒に頑張ろう!」


 桜ちゃん。あとは私に任せて!

 私と組んで良かったって思えるように、私も頑張るから!

 私と桜ちゃんは最強のペアなんだ!!!

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