佐藤美桜の理性
部屋に戻ると桜ちゃんが髪を乾かしてほしいと言ってきたので、乾かしてあげることにした。
お風呂の時に比べ、いくらか落ち着いた私は、2人と髪について話しながら桜ちゃんの髪の毛を乾かす。
「はい。乾いたよ」
「ありがとうございまーす。来週からもよろしくお願いしますね」
「え!? 泊まりに来たとき毎回やるの!?」
もしかして髪洗うのも!?
「ダメですかー?」
「ダメってわけじゃないんだけど・・・」
まぁ、別に嫌じゃないしいいんだけど、そうなると一緒にお風呂に入るってことになる・・・。私、大丈夫かな・・・。
「毎週やってくれたらお礼として、こうやってハグしてあげますよ」
桜ちゃんが抱きついてきた。
「ささささ桜ちゃん!?」
急に抱きつかないでぇ!!!
「はい、終わり」
「あ・・・う、うん」
なんかホッとしたような、残念なような・・・。
そのあと、話題はお母さんの呼び方をどうするかという話になった。
「私的にはお母さんか、美桜ママで悩んでるんですけど」
「み、美桜ママ・・・」
2人の前ではお母さんと呼んでいるけど、実際は今日の朝までママと呼んでいた。
「美桜ママの方がいいですか?」
「い、いやそうじゃなくて・・・」
部活以外ではもっと仲の良い感じで呼ばれたいなぁ・・・。
「じゃ、じゃあ私のことも美桜って呼ぶ?」
しかし、桜ちゃんに呼び捨てはないと言われてしまう。
「美桜ちゃんか、美桜さんじゃダメなんですか?」
呼び捨てはダメだったけど、先輩って呼ばれるよりは全然マシだ。
「いいよ!!!」
そうして、美桜ちゃんと呼んでくれることになり、部活以外では敬語もなしになった。
リビングへ移動すると、早速桜ちゃんがママにさっきの内容を質問していた。
「お母さんって呼んでも大丈夫ですか?」
「あら。いいわよ。なんならママでも大丈夫よ。つい最近まで美桜もママって呼んでたし」
「お、お母さん!やめて!」
なんでバラすの!!!
桜ちゃんもニヤニヤしながらこっち見ないで!
「帰ってきたときに急にお母さんって言うから、ママもどうしたのかしらと思ったのよね」
こうなってしまったら隠すのは無理だ。
諦めてママ呼びに戻すことにした。
ご飯の最中、明日の話になり、BBQを庭でやることになった。
こうやって休日に友達を呼んだりすると、パパはいつも張り切っちゃうからちょっと心配。
「楽しみだね美桜ちゃん!」
桜ちゃんに美桜ちゃんと呼ばれる。
な、慣れない・・・。
「う、うん」
「どうしたの? 反応薄くない?」
「い、いや、美桜ちゃん呼びと敬語じゃないのが慣れなくて」
すぐに慣れるのは難しいかもしれない。
「すいません。急に馴れ馴れしいですよね。やっぱりやめますね? 美桜先輩」
敬語に戻すのはやだ!
「や、やだ!」
「自分で言ったんだから慣れてよ」
「わ、わかった」
うぅ・・・。
確かに自分から言ったけど、桜ちゃんは慣れるの早すぎじゃない・・・?
「私はもう寝るよー」
部屋に戻り、歯磨きを終えると、桜ちゃんがもう寝ると言い始める。
「早くない?」
桜ちゃんっていつも寝るの早いのかな?
「そんなことないよ。美桜ちゃんのおっぱいを枕にするんだから、美桜ちゃんも寝るんだよ。あ、私真ん中ね」
「なっ! あれ冗談じゃないの!?」
なんか嬉しいような嬉しくないような・・・。
「じゃあちょっと早いけど寝よっか」
電気を全部消すと花恋ちゃんが怖いらしく、常夜灯だけつけとくことにする?
「美桜ちゃん」
「え? なに?」
「枕」
本当に枕にする気!?
「いや!」
恥ずかしいから無理だよ!
「なんでよー。いいじゃん」
桜ちゃんが抱きついてくる。
「ちょ、ちょっと離れて」
ベッドで抱きつくのはいくらなんでもマズイって!
「じゃあおやすみー」
離れないの!?
「桜ちゃん。私に抱きついたまま寝るの?」
このままじゃ緊張して眠れない。
「うん。気持ちいいから」
えぇ!? 無理だってば!!!
どうしよう・・・。
そう悩む気持ちとは裏腹に、桜ちゃんの体温が伝わって心地良いと思ってしまう。
「さ、桜ちゃん?」
スースー。
もう寝てる・・・。
本当に寝るの早い。
うーん・・・。困ったなぁ・・・。てか顔近いよー!!!
私に抱きついた桜ちゃんの寝顔が見える。
気持ちよさそう・・・。
こんな顔見ちゃうと、無理に離れるのが可哀想に思えてくる。
・・・・・・。
どれぐらい時間が経ったかな?
気付くと寝息が2つに増えていた。
どうやら花恋ちゃんも寝ちゃったみたい
のぼせてたこともあったし、疲れたのかな。
・・・・・・。
そんな私は、ギンギンに目が冴えていた。
桜ちゃんに抱きつかれたままじゃドキドキして寝れる訳がない。
もう一度桜ちゃんの寝顔を見る。
はぁ、可愛いなぁ・・・。
ずっと見ていられる。
桜ちゃんの頭をそっと撫で、背中に腕を回す。
自然と抱き合う状態になる。
今なら、桜ちゃんに何してもバレない気がする。
そう思うと、徐々に気分が高揚してくる。
・・・悪戯しちゃおっかなー。
さっきは散々色々されたんだ。
少しぐらいは許される・・・よね?
どうせちょっとやそっとじゃ起きないから大丈夫だと、頭の中で悪魔が囁く。
そう・・・だよね。
花恋ちゃんも寝てるしバレないよね。
私は念の為、小さい声で桜ちゃんに喋りかけてみる。
「い、悪戯しちゃうよー?」
もちろん桜ちゃんからの返事はなく、スースーと変わらず寝息を立てている。
・・・どうしよう。
もう可愛すぎて今すぐキスしたい。
まずは頬っぺにしてみる?
それで起きなさそうなら唇にしちゃおっかなー。
私は興奮してきたのか、息遣いが少し荒くなっていた。
桜ちゃん・・・。
もう我慢できない・・・。
ちゅっ。
私は桜ちゃんの頬っぺに優しくキスをした。
頬っぺた柔らかい。
・・・もっとしたい!
ちゅっ。
もう一度頬っぺにキスをする。
桜ちゃんは全く起きる気配がない。
これは唇にしても大丈夫そうかも。
さっきから凄く体が熱い。
私の体温で起きてしまわないか心配になる。
そして、さっきよりもさらに息遣いが荒くなっている。
あぁ、唇にキスしたい。
でもバレたらどうしよう。言い訳できない。
超えてはいけないと、理性を抑えようとする。
しかし──。
桜ちゃん・・・もう我慢できない!
そっと、桜ちゃんの唇に自分の唇を重ねる。
・・・。
し、しちゃった!
桜ちゃんとキスしちゃった!!!
少ししか触れていないのに、唇がすごく柔らかいのが分かる。
もっと欲しい。
桜ちゃんの唇、もっと欲しい・・・。
もっとキスしたい。
もう一回いいよね・・・?
私は顔を近づけ、さっきよりも唇を強く当てる。
はぁ・・・柔らかい・・・。溶けちゃいそう・・・。
唇、動かしてもバレないよね?
私は桜ちゃんの唇を少しずつ啄む。上唇・・・下唇と交互に。
あぁ、気持ちいい・・・。
ブレーキが効かなくなってきた私は、桜ちゃんの唇全体を自分の唇で覆った。
ついには止まらなくなってしまい、何度も何度も桜ちゃんの唇を啄む。
んッ・・・。・・・はぁ。
桜ちゃん・・・。好き・・・。
大好きぃ。
桜ちゃんは起きる気配がない。
私は唇を舌で舐める。
ペロッ。
あぁ! ゾクゾクする・・・。
もっともっとしたい!!!
桜ちゃんが欲しいの・・・!
「んー」
ッ!?
桜ちゃんが少し動く。
びっくりした私は、少し離れて動きを止める。
・・・・・・。
スースー。
・・・びっくりしたぁ!
さすがにちょっとやりすぎたかな・・・?
で、でもどうしよう・・・。
もっとキスしたい。桜ちゃんの唇に触れたい。
かつてないほど、興奮しているのが自分でも分かる。
ただ、これ以上キスをすると我慢できなくなって、次は舌を入れたいとか思ってしまうかもしれない。
・・・・・・。
・・・落ち着け私。
自分の欲で桜ちゃんが傷付いたらどうするの?
もう泊まりに来てくれなくなるし、部活もやめて二度と口を効かなくなってしまうかもしれないよ? それでもいいの?
自分に問う。
・・・そんなの絶対嫌だ。
じゃあどうするの?
・・・我慢する。
それでいいんだよ。偉いね。
桜ちゃんと付き合えれば、いくらでも出来るんだから今は我慢しよ?
・・・うん。
「ふー」
冷静になった私は大きく息をつく。
なんとか理性を保てた。
桜ちゃんを見る。
とても幸せそうな寝顔だ。
私の理性も、もう大丈夫そうだ。
来週から二人で寝るけど大丈夫かな・・・。
最悪、布団を持ってきて別々に寝よう。
私は最後にもう一度だけ、桜ちゃんの頬っぺに優しくキスをした。
可愛い可愛い桜ちゃん。おやすみ。
桜ちゃんを抱きしめながら、私も眠りにつく。




