23.お泊まり会 PART2
「先輩の家は外からでも大きく見えますよね。部屋も広いですし」
私の家も一軒家だけど、美桜先輩の家と比べると小さく感じてしまう。
「そうだよね! 私もこんな家に住みたいなぁ」
花恋ちゃんの家はどんな感じなんだろ? ちょっと気になる。
「・・・・・・」
「先輩?」
美桜先輩がお風呂場に来てからやけに静かだ。
なんだかボーッとしているので、顔の前で手を振ってみる。
「はひっ!」
はひっ?
「なんですかその反応。早く入りましょ」
「う、うん! 桜ちゃんと花恋ちゃん先に入ってて!」
そう言って急に浴室から出ていってしまった。
「だってさ花恋ちゃん」
変なの。トイレでも行ったのかな?
私はワンピースを脱いで下着姿になる。
お風呂はどんな感じだろうと覗いてみる。
「うわ、でか!」
浴槽は3人で入っても全然余裕がありそうだ。
高級ホテルに引けを取らないぐらい、すごく広くて綺麗だ。高級ホテル行ったことないけど。
どんな仕事してたらこんな家に住めるんだ? あとで聞いてみよ。
「本当だー!ひろーい!」
花恋ちゃんも隣から覗いていた。
花恋ちゃんの下着姿可愛い。ピンクのフリフリでイチゴ柄だ。肌もスベスベしてて触りたく・・・おっと、これじゃ美桜先輩みたいだ。
「美桜先輩まだ来なさそうだし、先に入っちゃおっか」
「うん!」
体をササッと洗い、まずは湯船に浸かる。
──チャポン
はぁー。気持ちいい・・・。このまま寝れそう・・・。
「花恋ちゃん気持ちいいよ。早くおいでー」
「はーい」
「こっちこっち」
花恋ちゃんにこっちだよと手招きする。
自分の脚の間に花恋ちゃんを座らせて頭を撫でる。
「さくらちゃん?」
「お姉ちゃんになった気分・・・」
「ちょっとー! 子供扱いしないでってばー!」
花恋ちゃんがバシャバシャする。可愛い。
──ガチャ
美桜先輩がやっと入ってきた。遅いよー。
ところで・・・。なんでタオル巻いてんだあの人。
「先輩」
「ななななななに?」
なんでそんな動揺してるの?
目線もキョロキョロと落ち着きがない。
「どうして自分の家のお風呂でタオル巻いてるんですか?」
「こ、これは・・・」
これは?
花恋ちゃんと目を合わせ、お互い首を傾げる。
「なんで隠してるんですか?」
「べ、別に隠してるわけじゃあないぞー」
なんか口調までおかしくなってきてる。
「先輩ちょっとこっちに来てください」
美桜先輩はなぜか恐る恐る近づいてくる。
「き、来たけど」
「目を瞑ってください」
美桜先輩は言われるがままに目を瞑る。
自分の家でタオルなんか巻いてるの変だぞ!
私は一気に美桜先輩のタオルを剥ぎ取る。
「よいではないかー!!!」
ちょっとおっさんくさいかな?
別のセリフにすれば良かったか──。
「イヤーーーー!!!!!」
美桜先輩が大きな悲鳴をあげて、手で体を隠しながら座り込んでしまう。
「えぇ・・・」
な、なんか思ってた反応と違う・・・。
まるで男の人に裸を見られたかのような反応だ。
「か、花恋ちゃん。私って女だよね?」
「う、うん」
花恋ちゃんも美桜先輩の反応が意外だったみたいだ。
「あ、あのー、先輩?」
なんかごめんね?
「エ、エッチ」
「はいー???」
何言ってんだこの人? なんかうる目で泣きそうになってるんだけど。
「何言ってんですか?」
「・・・・・・」
「と、とりあえず、そのままじゃ風邪引いちゃうので湯船に入ったらどうですか?」
「・・・うん」
そうして美桜先輩は湯船に入ったが、なぜか私達から距離を置く。・・・なんで?
「・・・」
なんか変な空気になってしまった。
「・・・・・・」
花恋ちゃんも困った顔をしている。
美桜先輩もなんで黙ってるの?
「・・・・・・」
え、何この気まずい雰囲気! 私のせい!? 私のせいなのか!?
「花恋ちゃん、これ私のせい?」
小声で花恋ちゃんに聞いてみる。
「タオル取ったのはアレだけど、美桜先輩の反応もおかしいからなんとも・・・」
ですよね。明らかに反応がおかしかった。エッチなんて言われたの初めてなんだけど。
「あのー、先輩?」
「・・・」
「お、怒ってます?」
そんなに嫌だったのかな?
「・・・桜ちゃんのエッチ」
ま、また言ったな!
「いや違いますからね!?」
この人、私のこと男と勘違いしてない?
納得がいかず、美桜先輩に近付く。
「・・・・・・」
しかし、美桜先輩は私を避けるように反対側へ移動した。
え? なんで???
もう一回近付いてみる。
「こ、来ないで」
そう言ってまた反対側へ移動した。
どういうこと!? なんで避けられるの!?
そのあとも花恋ちゃんを中心にグルグルと回って、鬼ごっこみたいになってしまう。なんだこれ。
「ちょっと先輩なんなんですか!」
「だ、だって」
「花恋ちゃんからも言ってやってよ!」
「美桜先輩どうしたんですか? 変ですよ?」
美桜先輩が顔半分まで沈んでブクブクしてる。
よし! 今だ!
私は一気に美桜先輩に飛びかかった。
「捕まえた!」
「ちょ、や、あっ」
「もう逃がしませんよ!」
「は、離して!」
「嫌です! 先輩だって外で私にしがみついたりするじゃないですか!」
「そ、そうだけど」
「先輩、私のこと嫌いになったんですか?」
「そんなことない!」
美桜先輩が急に立ち上がる。プルンと豊満な胸が弾む。
「・・・本当なんでタオル巻いてたんだか」
美桜先輩はハッとなってまた湯船に沈む。
私はまた美桜先輩に抱きつく。
「ちょ、ちょっと! 桜ちゃん離れてよ!」
「いーやーでーすー! 少しは私の気持ち分かりましたか?」
「わ、分かったから! だから離れて? ね?」
「やだ。てか嬉しくないんですか? せっかく私からくっついてあげてるのに」
「う、嬉しいけど」
「じゃあいいじゃないですかっ!」
私は美桜先輩の胸に手を伸ばした。
ムニュッ。
「ひゃっ!?」
「わー。先輩のおっぱい大きくて柔らかい」
なんでこんなに人によって差が出るんだ。私もこんな胸になりたい人生だった。
「ちょ、ちょちょちょっと桜ちゃん!」
「花恋ちゃんも触ってみなよー」
「わ、私はいいよ!」
花恋ちゃんを見ると両手で顔を隠している。
どうして恥ずかしがってるの? それに、恥ずかしがってる割には、指の隙間から覗いてるし。
「先輩。私にも分けてくださいよー」
美桜先輩が嫌がるも、お構いなしに胸を揉む。本当に柔らかくてずっと触ってたい。
「や、やめてー!!!」
「じゃあ私のも触っていいですよ? それならいいでしょ? 全然胸ないですけど」
「む、むむむ無理ー!!!」
「なんでですか? 女同士なのに恥ずかしがる必要なくないですか? あんなにやらしー目で着替えだって見てたくせに」
「それでも無理なのー!!! あとやらしい目で見てないってば!」
いつもの美桜先輩なら喜んで触りそうなのに、今日はどうしちゃったんだろ?
「いいなぁ先輩のおっぱい。なんかムカつくから、今日寝る時枕にしてやろうかな!」
「何言ってるの!?」
あー。そろそろのぼせそうだ。美桜先輩に髪洗ってもらおう。
「先輩。私の髪洗ってください」
「な、なんで私が?」
「うーん・・・。なんとなく?」
髪の毛洗うのがめんどくさいからなんて言えない。
「ま、まぁ別にいいけど」
「わーい!」
「と、とりあえず胸から手を離して!」
「あとで枕にさせてもらいますね」
「い、いやよ!」
花恋ちゃんはまだ入ってるのかなと見てみると、顔を隠したままだった。みんな恥ずかしがり屋さんだなぁ。
私は湯船から上がり、椅子に座って洗われるのを待つことにした。
「じゃあ先輩、優しくお願いしますね」
体を隠しながら美桜先輩も湯船から上がってくる。
シャンプーを手につけ美桜先輩が私の後ろに座る。
「じゃ、じゃあ失礼しまーす」
「アハハ! なんですかそれ?」
髪洗うのに失礼しますって普通言わないでしょ。
「花恋ちゃん! 私が髪洗ってあげようか?」
まだ湯船に浸かっている花恋ちゃんに声を掛ける。
「い、いいよ私は! 自分でやるから!」
なぁんだ。せっかくあの髪の毛を思う存分触れると思ったのに。
「か、かゆいところないですか・・・?」
「なんで敬語なんですか。右耳の近くがちょっとかゆいです」
美桜先輩が右耳の近くをゴシゴシと洗う。ちょっとくすぐったいかも。
「先輩。体も洗ってくれたら嬉しいんですけどー、ダメですか?」
「か、体は無理!」
ダメかー。仕方ない。体は自分で洗おう。
それから体も洗い終わった私は、先にお風呂から出ることにした。
「じゃあ先に出ますね」
はぁー、気持ちよかったぁ。
ベッドもふかふか、お風呂も広いとかいよいよ本気で住みたい。
別に自分の家に不満があるわけではないけど、美桜先輩の家は居心地が良すぎる。
ある程度髪と体を拭いて着替えた私は、2人に先に部屋へ戻ると声を掛けて、お風呂場をあとにする。
部屋に戻った私は、すぐさまベッドに寝転がる。
「先輩達早く戻ってこないかな」
髪を乾かしてもらわなきゃいけないからね。早く戻って来てくれないと、待ってる間に寝てしまいそう。
「くちゅん」
髪が濡れたままのせいか、体が少し冷えてきたのかもしれない。
・・・・・・。
ボーッと待っていると、やっと2人が戻ってきた。
「先輩遅いですよー。髪乾かしてください」
「先に乾かしてれば良かったのに」
さっきとは違い、いつもの美桜先輩に戻っていた。お風呂での慌てようはなんだったのだろうか。
「先輩に乾かしてもらいたかったんです」
「そ、そうなんだ」
「お願いしまーす」
「それより花恋ちゃん、顔赤いけど大丈夫? のぼせたの?」
「う、うん。少しのぼせたみたい」
私がお風呂から出る時もまだ湯船に浸かったままだったし、のぼせててもおかしくないか。
美桜先輩がベッドに上がり、私の後ろに座る。
「もし寝ちゃったら起こしてくださいね」
「ドライヤーの音がうるさくて寝れないんじゃない?」
ふっふっふっ。
甘い。甘いよ美桜先輩。
「先輩甘いですよ。私ぐらいのレベルになると、ドライヤーの音すら子守唄になります」
「多分そんなこと言うの桜ちゃんだけだよ・・・」
そう言ってドライヤーのスイッチを入れる。
いや、そんなことはない。絶対いるはずだ。
ただし、他人に髪を乾かしてもらう時に限る。
小さい頃はお母さんに乾かしてもらっていたけど、いつも寝ていた記憶がある。
「じゃあ先輩も試してみますか?」
「どういうこと?」
「私が先輩の髪を乾かすので、寝るかどうか試すってことです」
「わ、私は自分でやるから大丈夫だよ」
なんだよつれないなぁ。
「じゃあ花恋ちゃんは? 乾かしてあげようか?」
ただ単に、あのサラサラの髪の毛を触りたいだけなんだけど。
「私も大丈夫」
何かと理由をつけて触ろうとしてるけど、なかなかうまくいかないものね。
「桜ちゃんは髪の毛伸ばさないの?」
私の後ろ髪を乾かしながら、美桜先輩が聞いてくる。
「ずっとこの長さなんですよねー」
肩ぐらいの長さで今まで過ごしてきた。
あまり長すぎると髪洗うの面倒くさそうだし。
「長いのも似合うと思うんだけどなぁ」
「洗うのと乾かすの面倒ですよー」
美桜先輩も花恋ちゃんもまあまあ長いけど、大変じゃないのかな?
「気が向いたら伸ばしてみて」
「先輩が毎回、髪洗って乾かしてくれるなら考えますー」
すると、美桜先輩の手が止まる。
ちょっとー? 美桜さん? ずっと同じ場所にドライヤー当ててると熱いんですけど?
「先輩?」
「あ、ごめんね」
でも、毎回こうしてくれると楽だよなぁ。
本当に毎日やってくれないかなぁ。
「後ろは大体乾いたよ」
「じゃあ前と横もお願いしまーす」
私は美桜先輩に寄っかかった。
「ちょ、ちょっと」
美桜先輩と目が合う。
こう見ると美人だよなぁ。美桜先輩のお母さんに似てるし。
ジーッと見つめていると、美桜先輩の頬がほんのり赤くなってきた。暑いの?
「これじゃ乾かせないよ」
「はーい」
起き上がると花恋ちゃんが女の子座りでちょこんと床に座っていた。本当お人形さんみたいだな。
「花恋ちゃんの髪下ろしたところ初めて見た」
お風呂では髪を洗う前で、シュシュで止めてたし。
「ツインテールもいいけど、下ろした姿もいいね」
「髪長いと色々アレンジできるよ」
なるほど。でも自分でセットするのちょっと面倒かも。私めっちゃめんどくさがりだな。
「先輩もツインテールにしてみたらどうですか? 似合いそう」
「私が? どうだろう?」
今度ツインテールにしてもらおう。
ちなみに私は髪の長さが微妙で変になりそうだし、絶対似合わないのでする予定は今後もない。
「はい。乾いたよ」
「ありがとうございまーす。来週からもよろしくお願いしますね」
「え!? 泊まりに来たとき毎回やるの!?」
「ダメですかー?」
「ダメってわけじゃないんだけど・・・」
髪乾かすの面倒だし、やってもらわないと困る。
仕方ない。お礼と言うことでハグしてあげよう。
私は美桜先輩に抱きついた。
「毎週やってくれたらお礼として、こうやってハグしてあげますよ」
「ささささ桜ちゃん!?」
またその反応? 喜ぶと思ったんだけどな・・・。
「え、ハグ嫌ですか? 先輩はよく私にしてくるじゃないですか」
「そ、そうだけどさ」
「嫌なら他のお礼考えますけど」
「こ、これでお願いします!」
よし。これで楽できるぞ。
ハグだけで髪を洗ってもらって、乾かしてもらえるなら安いもんだ。
「はい、終わり」
「あ・・・う、うん」
「先輩も早く乾かさないと風邪引きますよ」
私はベッドに横になる。
夜ご飯はなんだろうなー。美桜先輩のお母さんは料理上手そうだから期待できる。
うーん。美桜先輩のお母さんって長いな。
おばさんって言う程、おばさんに見えないし・・・美桜ママ? お母さん? なんて呼べばいいのかなー。
「先輩。先輩のお母さんってなんて呼べばいいと思います?」
「え? 普通におばさんとかでいいんじゃない?」
「あんなに綺麗なのに、おばさんは失礼じゃないですかー。花恋ちゃんもそう思わない?」
「確かに綺麗だからおばさんって言うのは気が引けるね」
そうなんだよ。おばさんって呼びたくない。
「私的にはお母さんか、美桜ママで悩んでるんですけど」
「み、美桜ママ・・・」
「美桜ママの方がいいですか?」
「い、いやそうじゃなくて・・・」
じゃあお母さんがいいの?
「じゃ、じゃあ私のことも美桜って呼ぶ?」
いやなんでそうなるの? 呼ばないよ。
「なんでですか。呼び捨てはさすがになくないですか?」
「私は別にいいんだけどな」
えぇ・・・。せめてちゃんとかさん付けにしてほしい。
「美桜ちゃんか、美桜さんじゃダメなんですか?」
「いいよ!!!」
おぉ、急に元気になった。
「先輩ですし、美桜さんの方がいいですよね」
「・・・ちゃんで」
え? なんて言ったの? 声が小さくて聞き取れない。
「なんですか?」
「美桜ちゃんで・・・」
自分で言ったのになんで照れてるの?
「まぁ、それでいいならそう呼びますけど、本当にいいんですか? 馴れ馴れしくないですか?」
「いいの!!!」
声が小さくなったり大きくなったり忙しい人だな・・・。
「わ、分かりました。お母さんの呼び方は直接聞いてみますかね」
「う、うん。あ、あと!」
「なんですか?」
「部活の時以外は敬語じゃなくてもいいよ・・・?」
うーん・・・。
これから毎週泊まりにくるし、そうなると敬語じゃ堅苦しいってことなのかな?
「わかったー!」
「切り替えはやっ!」
花恋ちゃんも髪を乾かし終えた頃、ご飯が出来たようなのでリビングへ向かう。
「ご飯なんだろー。花恋ちゃん、なんだと思う?」
「カレーっぽかったよ」
カレーか。私の好物の一つだ。
「うちのカレーは茄子が入ってるんだ」
へぇー。茄子が入ってるカレーは初めて食べる。ちょっと楽しみ。
リビングに入ると、確かにカレーのいい匂いが漂っている。
テーブルには既に食事が用意されている。
献立はカレーとサラダとスープ。美味しそう。
「さぁ、座って。たくさんあるからおかわりしてもいいわよ」
「あの」
「どうしたのさくらちゃん?」
「お母さんって呼んでも大丈夫ですか?」
「あら。いいわよ。なんならママでも大丈夫よ。つい最近まで美桜もママって呼んでたし」
へぇー。最近っていつなんだろうなー。
私はニヤニヤしながら美桜先輩を見る。
「お、お母さん!やめて!」
「帰ってきたときに急にお母さんって言うから、ママもどうしたのかしらと思ったのよね」
まさかの今日からだった。
美桜先輩は顔を真っ赤にしている。
「じゃあ美桜ママって呼びます」
「桜ちゃん!?」
お腹が空いてる私は無視して椅子に座る。
美桜先輩が隣に座り、私の前には花恋ちゃんが座った。
「いただきまーす」
早速、茄子入りのカレーを食べる。
・・・おぉ、これは美味しい! カレーに茄子って合うんだ。今度お母さんに作ってもらおう。
「ママ、今日パパは?」
もう諦めたのかママ呼びに戻っていた。
「会社の人と飲み会があるみたいで遅くなるみたいよ」
「そうなんだ」
「あ、そうだ」
美桜ママが両手を合わせながら、何かを思い出す。
「明日はみんな何時頃帰るのかしら?」
「制服家だし明日は泊まれないので、迷惑じゃなければ夕方ぐらいまでお邪魔させてもらおうかと思ってました」
「私もさくらちゃんと同じ時間に帰ろうと思ってました」
「ならちょうど良かったわ。パパが明日庭でBBQやらないかって言ってたの。どうかしら?」
庭を見てBBQできそうとは思っていたけど、本当にやることになるとは。
「やりたーい!」
「私もやりたいです!」
「じゃあパパが帰ってきたら伝えておくわね。美味しいお肉あるから楽しみにしてて」
美味しいお肉・・・。楽しみすぎる!
「楽しみだね美桜ちゃん!」
「う、うん」
なんか反応薄いな。
「どうしたの? 反応薄くない?」
「い、いや、美桜ちゃん呼びと敬語じゃないのが慣れなくて」
自分で言い始めたのに何言ってんだこの人。それなら・・・。
「すいません。急に馴れ馴れしいですよね。やっぱりやめますね? 美桜先輩」
「や、やだ!」
め、めんどくせぇ・・・。
「自分で言ったんだから慣れてよ」
「わ、分かった」
これは慣れるのに時間かかりそうだなぁ。
寝る時、耳元でずっと美桜ちゃんって呪文のように言ってあげようかな。
「美桜ママのカレー美味しいです」
「あら嬉しい。おかわりいる?」
「お願いしまーす」
「さくらちゃんいっぱい食べるんだね」
お腹空いてたしね! あと、満腹の状態であのベッドで寝たいし!
「花恋ちゃんもいっぱい食べなきゃ背伸びないよ?」
「これから伸びるんだもん!」
この歳になると成長止まり始める気がするけど・・・。まぁ、頑張れ!
「ごちそうさまでした」
あー。美味しかった。
明日はBBQかー。楽しみだなー。
「特に早起きする予定がないのなら、お昼前にBBQ始めようと思うのだけれど」
「早起きする予定ないので大丈夫ですよ」
「じゃあ11時頃に準備しておくわね」
「はーい」
「部屋戻ろっか」
私達は部屋へと戻ることにした。
部屋に戻ってすぐにベッドへダイブする。
「もう寝る」
「歯磨きしなきゃダメだよ?」
「えー。めんどくさい。美桜ちゃんが私の歯磨いてよ」
「さくらちゃん。さすがにそれは子供っぽすぎるよ」
花恋ちゃんに子供っぽいと言われてしまった・・・。
しょうがない。自分で磨くか。
この家は2階にも洗面所があるので、わざわざ1階へ行く必要がない。
歯を磨きながら、どれくらい寝れるかなと計算する。
明日は10時半ぐらいに起きればいいから、半日分ぐらいは寝れるな。あのふかふかのベッドで寝るのが楽しみでしょうがない。
歯を磨き終え、部屋へ戻ると美桜先輩と花恋ちゃんが談笑していた。
「私はもう寝るよー」
「早くない?」
「そんなことないよ。美桜ちゃんのおっぱいを枕にするんだから、美桜ちゃんも寝るんだよ。あ、私真ん中ね」
そう言って私はベッドで横になる。ふかふかー。
「なっ! あれ冗談じゃないの!?」
「冗談じゃないよー」
「でも、お腹いっぱいになったら眠くなってきちゃいましたね」
「でしょでしょー? 花恋ちゃんもおいでー」
花恋ちゃんに目をやると、私の家で抱えていたクマのぬいぐるみを持っている。
「花恋ちゃん。なんでぬいぐるみ持ってるの?」
「わ、私、このぬいぐるみないと寝れないの」
は? 何それ? 可愛すぎでしょ!!!
「そっかそっかー。じゃあ、私がギューってしながら寝てあげるよ」
「だから子供扱いしないでってば!」
プンプンしながらベッドに入ってくる。
クマのぬいぐるみを大事そうに抱えながら言われても・・・。
「じゃあちょっと早いけど寝よっか」
美桜先輩もベッドに入る。
「電気は全部消しても平気?」
「私は大丈夫ー」
「ま、真っ暗はちょっと」
あらぁ。花恋ちゃん怖がりなのかな。
「なぁに? 怖いの花恋ちゃん?」
「怖くないもん!」
私にしがみついてきて可愛い。
「常夜灯だけつけとくね」
「ありがとうございます」
「花恋ちゃん。トイレ行きたくなったら、美桜ちゃん起こして連れてっていいからね」
「そこは桜ちゃんじゃないの?」
「私は寝てるから」
だから起こさないでくれたまえ。
「1人で行けるもん!」
本当可愛いなこの子。
「じゃあ美桜ちゃん」
「え? なに?」
「枕」
ふかふかベッドにふわふわおっぱいの枕とか最高でしょ。
「いや!」
「なんでよー。いいじゃん」
私は美桜先輩に抱きつく。あったかい。
下着を付けてないせいか、胸もすごく柔らかい。
「ちょ、ちょっと離れて」
「やだー。花恋ちゃんも怖かったら、私に抱きついていいからね」
「大丈夫だってば!」
強がっちゃって。ちょっと電気消してみよ。
──ピッ
「さくらちゃん!」
花恋ちゃんが思い切り抱きついてきた。
こ、これは・・・! たまらん!
「花恋ちゃんが可哀想だからやめよ?」
「ごめんね花恋ちゃん」
「さくらちゃんのばか」
怖がってる花恋ちゃんも可愛いなぁ。
「じゃあおやすみー」
「桜ちゃん。私に抱きついたまま寝るの?」
「うん。気持ちいいから」
こんな最高な気分で寝れるなんて幸せだ。
毎週泊まりたいって言って正解だな。
美桜先輩いい匂いで柔らかい・・・。
来週も寝る時は抱きついたまま寝よ・・・。
そんなことを思いながら、私は眠りに落ちていった。
会話では美桜ちゃん呼びに変わりますが、モノローグでは美桜先輩呼びです。
段々とさくらの心境も変化していくので、そこも楽しんでいただければと思います。
ちなみに桜と呼ぶのは美桜だけで、他は全員さくらと呼びます。




