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恋の案内人  作者: 翁
出会い
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16.感謝の言葉

 あれからカフェでお茶をしたり、記念にプリクラ撮ろうと言って聞かない美桜先輩に付き合ったりして、ようやく帰ることとなった。


「もう帰るのー?」


 時刻は17時を回ったところだ。カラスが鳴くから帰らなきゃね。


「もうって夕方じゃないですか」


「だって明日も休みだよー?」


「母親には夜ご飯食べるって言ってきましたし、明日はめちゃくちゃ忙しいんです」


 ぐーたらするだけの予定なので本当に忙しい。


「忙しいって明日は何する予定なの?」


「家でぐーたらします」


 隠すことなく正直に話す。


「全然忙しくないじゃない!」


「まあまあ、とりあえず帰りましょう?」


 帰りたくないーと駄々をこねる美桜先輩。子供か! いや、子供だね。


「もっと遊んでこーよ!」


「もう十分遊びました」


 あっちこっち連れ回されて疲れたよ。


「そんなこと言わずにさー」


「わかりました。明日も遊んであげ・・・」


 わざと途中で言葉を止めて、チラッと美桜先輩の反応を見る。


「え!? 明日も遊んでくれるの!?」


 わー、と新しいおもちゃを買ってもらった小さい子供のように、目をキラキラさせている。


「遊んであげないので帰りましょう」


「いじわる!」


「いいから帰りますよー」


 ほらほら帰るわよ美桜ちゃん。

 やっと諦めがついたのか、私の後ろをとぼとぼ歩く。


「先輩」


「ん?」


「今日は色々ありがとうございました。楽しかったです」


 さっきは恥ずかしくて言えなかった感謝の言葉を、美桜先輩に伝える。


「じゃあまた遊びに行こうね!」


「まぁ、またいつか」


 そのいつかは訪れるのでしょうか。



 モールを出たあと、また来週ー! って解散になると思っていた私。

 しかし・・・。


「それで、どうして美桜先輩が私と同じ方向に帰ってるんですか?」


「えー? 桜ちゃんを家まで送ろうと思って」


 頼んでないんだよなぁ。


「頼んでません」


「私がそうしたいだけだからいいのー」


 はぁ。どうせここで断っても、家までついてくるんだろうな。


「どんだけ私のこと好きなんですか」


「すっごく好きだよ!」


 両手を後ろに回し、振り向きながら言う。

 その姿がちょうど夕陽と重なり、とても綺麗に見えた。


「はぁ。それはどうもー」


 どうやら相当気に入られたらしい。じゃなきゃ服とか買ってくれたりしないだろうし。


「もう少し喜んでくれてもいいじゃん!」


「わー。嬉しいー」


「見事なまでの棒読み!?」


 それからしばらく美桜先輩のマシンガントークに付き合う。この人どんだけ喋るんだか。

 適当に相槌を打っていると、近所の見慣れた風景が視界に入ってきた。角を曲がればもう間もなく私の家だ。


「ここで大丈夫です」


 角を曲がり、少し歩いたところで立ち止まる。


「家の前まで送るよ?」


「もう目の前なのでいいですよ」


 ほらあそこです、と家を指差す。


「あそこが桜ちゃんの家か」


 家の場所が分かったからって勝手に来ちゃダメだからね?


「じゃあまた月曜日に。今日は本当にありがとうございました」


 帰りたくなさそうな顔をしている美桜先輩に、もう一度感謝を伝える。


「またその服着て出掛けようね」


「はい」


 お辞儀をして、家に向かって歩き出す。


「バイバーイ! 気をつけてね!」


 いや、家目の前だし。

 手を振る美桜先輩に手を振り返す。


 ふー。色々と疲れたけど楽しかっ──。


「おかえりなさい」


「あー、ただいまー」


 母親だと思い込んだ私は、反射的に返事をして振り返る。


「その様子だと楽しめたようですね」


 そこには母親ではなく、案内人のくぼちゃんが立っていた。

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