表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋の案内人  作者: 翁
過去からの解放
111/255

34.屋台の味

「ただいまー」


 コンビニでたっぷりと涼んでから戻ってきた。


「遅かったね。迷子になった?」


「なってないし。桜木先生がいたから少し話してた」


「そうなの? 先生も花火見に来てたんだね」


 私は買ってきたアイスを皆に配る。


「そうみたい」


「誰と見に来たんだろ? 彼氏かな!?」


「彼氏と花火なんてロマンチックですねー!」


 美桜ちゃんと花恋ちゃんは恋バナが大好物のようだ。


「うーん、そうじゃなくて友達と見に来てるらしいよ」


 本当のことを話すのはやめておいた。

 正確には彼氏ではなく、彼女と見に来ていたわけだが・・・。

 あまり言いふらしたりするのも良くないだろう。


「なーんだ。どんな彼氏なのかと思ったのに」


「残念ですねー」


 残念とか言わない!


「何が残念ですの?」


 咲蘭ちゃんにはまだこの会話は早いよ!


 それからの時間は雑談しながら過ごす。

 じっとしているだけでも暑かったが、アイスと一緒に氷も買っていたので、それでなんとか暑さを凌ぐ。日陰じゃなかったらやばかったかも。

 花火大会の時間が近づくにつれ、周りにも徐々に人が集まってきた。

 まだ花火まで2時間程あるが、お酒が入ってる人もいて、かなり賑やかになってきている。


「そろそろ屋台も始まったんじゃない?」


「そうかもね。少しお腹も減ったし見に行こっか」


「私がここに残りますので、どうぞ皆さんで行ってきてください」


 宮下さんが留守番を買って出てくれた。

 私達はその好意に甘えさせてもらうことにする。


「宮下さんにも何か買ってきますね!」


「ありがとうございます。人が多いと思いますので、どうぞお気を付けて。お嬢様も迷子にならないよう、花恋様に手を繋いでもらってください」


「つ、繋ぎませんわ!」


 そんな恥ずかしいことできないと、宮下さんの言うことを断固として拒否する咲蘭ちゃん。


「・・・繋がないの? 咲蘭ちゃん」


 少しばかり花恋ちゃんが寂しそうだ。


「か、花恋さんまで・・・」


「迷子になったら探すの大変だし、繋いでおいた方がいいんじゃなーい。別に変でもないし。知らんけど」


 私も美桜ちゃんと繋ぐ時あるし。今日は暑いから繋ぎたくないけど。


「知らんけどってなんですの。・・・分かりましたわ。しっかり握っておいてくださいませ」


 そう言って自分の手を差し出した。

 花恋ちゃんは嬉しそうにその手を握る。


「あらあら。仲がよろしいこと」


「なっ! からかうのはやめてくださる!?」


 どうも。からかい上手のさくらさんです。

 咲蘭ちゃんが照れてるの面白いなー。


「はいはーい。ほら行くよー!」


「行ってらっしゃいませ」



 先程まで準備中だった屋台も営業を開始していた。中には既に行列になっている屋台もある。


「なんか夏って感じ」


「そうだねー。この雰囲気、私好きだなー」


 私もこういった雰囲気は結構好きだ。人が多いのは嫌いだけど。

 もし1人でいたら速攻帰っていたかもしれない。それぐらい人が多くなってきている。


「わたくし、屋台って初めてですわ」


「家で食べるのとはまた違った美味しさがあるんだよ!」


 とりあえず私達は、端から端まで見て回ることにした。

 結構な数の屋台が出ていて、どれを買うか悩んでしまう。


「チョコバナナってなんですの!?」


「その名前の通り、バナナにチョコをかけた物だよ。美味しいよー!」


 どうやらここのチョコバナナは、じゃんけんで勝つともう1つ貰えるらしい。


「あ、かち割りだ」


 私、これ好きなんだよねー。あとで買おうっと。


「花恋さん! たこ焼きがありますわ!」


 咲蘭ちゃんも初めての屋台にかなり興奮している。

 他にもお好み焼きや焼き鳥など、食べ物を中心とした屋台がずらっと並ぶ。


「大体何買いたいか決めたかな?」


「決めましたわー!」


「じゃあ折り返して買っていこうか。あ、咲蘭ちゃん? 現金しか使えないから気を付けてね」


 カードで買うのではないかと思ったのだろう。私も思ってたけど。

 美桜ちゃんが念の為、現金のみと伝える。


「大丈夫ですわ! 宮下からちゃんと教わりましたわ!」


 さすが宮下さん。抜かりない。

 まずは冷める心配がない物を買うことにする。

 だいぶ日が傾いてきて、日中よりかは暑さがマシになってきている。それでも熱中症が怖いので、飲み物は多めに買おうということになった。

 そのあとは焼きそば、お好み焼き、たこ焼き、牛串など色々買っていく。

 並ぶ時間もあったりして、買い終えた頃には18時を過ぎていた。


「これで大丈夫かな? 戻ろっか」


「チョコバナナ美味しいですわ!」


 咲蘭ちゃんはチョコバナナを頬張っている。

 じゃんけんで勝ったらしく、追加でもらった分は花恋ちゃんにあげていた。


「美味しいね!」


 やだ花恋ちゃん可愛い。

 小さい口で、一生懸命大きく口を開いて食べてるところ可愛すぎ!

 写真撮っておこう。私の花恋アルバムに、また新たな可愛い花恋ちゃんが追加された。


「人がだいぶ多くなってきたね」


「うん。さすが大規模な花火大会だけあるね」


 買い出しを早めにしといて良かったかもしれない。

 今でさえ人混みを縫うように歩いているし、これが直前になったら身動きが取れなくなっていただろう。

 はぐれないよう、なるべく固まって戻ることにした。



「おかえりなさいませ」


「すみません、留守番お願いしてしまって」


「いえいえ、お気になさらず」


 私達が戻ると、取り分ける為の紙皿や割り箸、お手拭きなどが既に用意されていた。


「すぐに食べられるよう、準備しておきました」


「ありがとうございます」


 早速、買ってきた物を取り分けていただくことにする。


「いただきまーす!」


 屋台の焼きそばって、どうしてこんなに美味しいんだろうか。

 家に出てくる焼きそばとは全然違うような気がする。

 やっぱり鉄板で炒めてるからなのかな? 外で食べてるっていうのもあるとは思うけど。

 ずるずると焼きそばを食べていると、隣からボリボリと齧る音が聞こえてくる。

 音の出どころは咲蘭ちゃんで、きゅうりを食べていた。


「冷やしきゅうり美味しいですわー!」


 よっぽど屋台の食べ物が気に入ったんだろうか。

 咲蘭ちゃんの家では、こういったものはあまり出てこないだろうし。


「美味しいね桜ちゃん」


「うん。美味しい」


「たこ焼き食べる?」


 美桜ちゃんがたこ焼きを差し出す。


「じゃあもらおうかな」


 私はそれを受け取ろうと──。


「あーん」


 あーん?


「はい、あーん」


 自分で食べさせてくれないのか・・・。


「あーん・・・」


 仕方なくあーんされる。


「あふっ、あひっ」


「あ、フーフーするの忘れてた」


 口の中火傷するじゃないか!

 私は涙目になりながらたこ焼きを飲み込んだ。


「あら、仲がいいですわね」


 私達のやりとりを見ていた咲蘭ちゃんがニヤニヤしながら言う。なんとでも言えー。



「食べた食べたー」


「食べたねー。もうあと15分ぐらいで始まるよ!」


「何発ぐらい打ち上がるんだろ?」


 携帯で調べようとしたところ、咲蘭ちゃんが教えてくれた。


「1万発以上ですわ!」


「へー。詳しいんだね」


「宮下が教えてくれましたわ!」


「お嬢様。そこは私の名前を出さなくても良かったのですが・・・」


 咲蘭ちゃんがどうしてですのと不思議がっている。ある意味素直なんだろう。


「大体1時間ちょっと上がるみたいだね」


「結構長い時間上がるんだね」


「花火打ち上がったら、皆で花火をバックに写真撮ろうよ」


「いいですわね。花恋さんナイスアイデアですわ」


 花恋ちゃんはデジカメを用意してきたらしい。


「それなら私が撮りましょう」


「ありがとうございます」


 もう間もなく、花火大会が始まる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ