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恋の案内人  作者: 翁
過去からの解放
106/255

30.花火大会前日 二階堂咲蘭の場合

「ちょっと宮下! なんですのこの浴衣の色は!」


「何かまずかったでしょうか?」


 まずいも何も、お願いした色と違いますわ!


「黒の浴衣をお願いしたはずですわ! どうしてピンクですの!」


「そうでしたか? これはこれは、大変失礼しました」


「今すぐ黒の浴衣を用意させなさい!」


「お嬢様。今はこの浴衣しかございません。店で買うとしてもこの時間ですとどこも閉まっていますよ」


 時刻は22時を回っている。


「どうにかなりませんの!?」


「なりません。なので、是非とも明日はその浴衣を着ていただければと思います」


 明日は場所取りもありますし、早い時間に出ることになっていますわ。

 別の浴衣を用意する時間はなさそうですわね・・・。


「・・・仕方ないですわね。我慢しますわ」


「ありがとうございます。きっと明日になれば、お嬢様もその浴衣で良かったと思うかもしれません」


「それはどういった意味ですの?」


「ほほほ。明日のお楽しみですよ」


「なんですのー!」


「お嬢様。そろそろお休みの時間です」


 気になって寝れませんわ!


「・・・わかってますわ! おやすみなさい!」


 ──バタン!


 勢いよく部屋のドアが閉まる。


「花恋様とお揃いの色となれば、きっとお嬢様も喜ぶことでしょう」


「おやすみなさい。お嬢様」

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