28.新たな楽しみ
部活が終わり、私達は駅前のファミリーレストランに来ていた。
見学したのはいいものの、テニスをしたい衝動に駆られてしまい、来たことを少し後悔してしまった。お土産だけ渡して帰れば良かったかな・・・。
「何食べよっか」
「今日はガッツリの気分だから、ミックスグリルのセットでライス大盛り」
「そんなに食べて大丈夫? 体動かせてないし、太っちゃうよ?」
むむ。どうせ美桜ちゃんは、いっぱい食べても胸に栄養いくからいいよね!!!
「余計なお世話!」
ペシッと美桜ちゃんの胸を叩く。ボヨンと胸が震える。
くっ・・・! どうして世の中はこんなにも不公平なんだ!
「ちょっと!」
「何? もっと叩かれたいの?」
「2人は本当に仲良いね」
「そうー? 私は別に・・・」
チラッと美桜ちゃんを横目で見ると、非常に悲しそうな顔をしていた。
「仲良しだと思ってるけど」
「桜ちゃーん!」
美桜ちゃんが抱きついてきた。
「ええい、鬱陶しいし胸当たってるしここファミレスなんだから離れろー!」
美桜ちゃんの顔を手で押しのけて離れる。
アホみたいなやりとりをしていた私と美桜ちゃんだが、お店に来てからずっと黙っている人物がいる。そう咲蘭ちゃんだ。
「ねぇ咲蘭ちゃん? なんでそんな静かなの?」
「え!? そ、そんなことないですわ!」
「うんうん。咲蘭ちゃん大人しい」
花恋ちゃんも不思議に思っていたようだ。
すると、咲蘭ちゃんが急にモジモジしだした。
「そ、その・・・。わたくし、こういった場所に来るの初めてでして・・・」
なるほど。それで大人しいというわけか。
「咲蘭ちゃん。ここはすごいんだよ! なんと紅茶がおかわり自由なのです!」
「そ、そうですの!?」
「うんうん。お子様ランチも頼めるのです!」
「お、お子様ランチ・・・。そんなものがあるんですわね・・・」
予想通りいい反応してくれる。
「あと、注文する時は大きく手をあげて、マスター!と叫ぶのです」
「ちょっと! 変なこと教えないの桜ちゃん!」
「そうだよ! 意地悪しちゃダメなんだからね!」
なんだよ2人して・・・。そう言われたらもう何もできないじゃないか。
「違うんですの!?」
「テーブルのボタン押せば店員が来るんだよ。ほらそこのボタン」
美桜ちゃんがボタンを指差す。
「ほ、本当にこれを押したら店員が来るんですのね・・・」
──ポチ
「あ」
──ピンポーン
咲蘭ちゃんがボタンを押してしまった。
「ちょ、ちょっと二階堂さん! まだ注文決めてないのに!」
「え!? 決めてから押すんですの!?」
「そうだよ咲蘭ちゃん! 早く決めないと!」
3人が大慌てでメニューを見る。
注文が決まった私は優雅に待たせていただくとしよう。
結局、そのあとすぐに店員が来てしまった。
もちろんすぐに注文を決められるわけもなく、店員は戻っていった。嫌な顔せず対応する店員さん。マジカッケーっす。
そのあと、ちゃんと決めてから再度店員を呼び、無事に全員分の料理が到着する。
「じゃあ、いただきまーす!」
やっぱ肉は美味しい。世の中肉だよね。肉を食え肉を。
食後にはデザートも頼んじゃおっかなー。
「お盆休みってなんか予定とかあるかな?」
花恋ちゃんが急に話題を振ってきた。
「私は美桜ちゃんの家でゴロゴロかな」
「私もそんな感じ」
「咲蘭ちゃんは?」
「わたくしもこれといった用事はないですわね」
みんな暇人なのか。部活もお盆期間中は休みとなる。
「じゃあ花火大会行こうよ!」
「地元から見えるやつ?」
「それもいいけど、せっかくだからもっと大規模な花火大会がいいかなぁって! 浴衣も着て!」
有名な花火大会は行ったことないし、いい機会かもしれない。
「いいね。私と美桜ちゃんは大丈夫だよ」
「勝手に決められてる!? いや、私も大丈夫だけどさ」
「わたくしも構いませんわ。どこの花火大会行くんですの?」
花恋ちゃんが携帯を取り出し、ここどうかなとホームページを皆に見えるようにする。
「江戸川の花火大会か」
「ちょっと遠いけど、電車の乗り換え大丈夫なの? 咲蘭ちゃん」
「で、電車ですの・・・?」
以前、花恋ちゃんから方向音痴というのを聞いていたから少し不安。
「私達がいるから大丈夫じゃない?」
「・・・ちょっとお待ちください」
そう言うと、咲蘭ちゃんがどこかへ電話を掛け始めた。
「もしもし、宮下? 花火大会に行くことになったのですが、車出して下さる? えぇ。そうですわ。花恋さん達も一緒ですわ。あと浴衣の準備もお願いしたいですわ」
その後、一言二言交わして電話を切る。
「宮下に車を出させるので、車で行きましょう」
電車、不安なのね・・・。
「じゃあ決まりってことでいいかな?」
「いいよー。屋台いっぱい出てるかな?」
「まーた食べることばっかりー」
また楽しみが増えた。
今回は花恋ちゃん達も一緒だ。
今年は最高の夏になりそうな気がする。




