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第四話

タイトルに悩んだり、足の痛みに悶えていたら更新が遅くなっちゃいました。

より良い物にしていく為、鋭意努力中です。

それではどうぞお楽しみください。


 自分の能力値がディスプレイ画面に表示される。

 うまくできていてくれ……


----


【イノアキラ】


【ステータス】

・レベル32

・ジョブ:研究者

・生命力:4300

・魔力:3000


【スキル】

・健康体C

・カリスマE

・予測演算C

・馬術E

・演算D

・生命力増加B

・魔力増加A

・陰属性魔法D


【エクストラスキル】

・加護

・言語理解


----


「こ……これは」


 中途半端な数値とレベル、少ないスキル数。

 多分悪い意味で髭王が驚いているが驚くのも無理はない。


 だってこれ嘘の表示だし。

 今表示されている能力値は【同調】によって生み出された嘘の能力値だ。

 【同調】は対象の能力に合わせる。

 つまりここにいる全員を対象に指定すれば全員の能力値を足して人数分で割った物になると思ったんだが……どうやら上手くいったようだ。


 ちなみに俺の本当の能力値はこうだ。


----


【イノアキラ】


【ステータス】

・ジョブ:曲芸師

・生命力:2300

・魔力:2600


【スキル】

・ポーカーフェイス

・同調

・陰属性魔法

・予測演算

・隠密


【エクストラスキル】

・言語理解

・陰の書+

・千里眼


【称号スキル】

・存在証明

・因果干渉

・愚人


----


「既にレベルが30を超えている……!?」

「その割には能力値が低いような……」

「一体どういう事だ!」

「もしや解析石の事故……?」

「そんなはずがあるわけないだろう!」


 ざわめくローブのじじばば達。

 スキルとジョブがランダムに選ばれたせいで多少違和感はあるけど向こうは仕掛けを知らないし何とかなるだろう。


「えっと……よく分かんないんですけど、こういう事もあるんじゃないですか?」


「しかし言い伝えには勇者様のレベルは必ず1のはずなのですが……」


「何事にも例外はあるんじゃないですか?言い伝えとやらも昔の話なのでしょうし、鵜呑みにする必要はないんじゃないと思いますけど(訳:別にレベル1じゃなくてもいいだろうが)」


 早口で捲し立てる。

 もう一回解析石に触れろと言われない為にも、今この場で無理矢理にでも納得させないといけない。

 この方法は一回しかできないのだから。


「う、うぅむ……そう、かもしれぬな」


「しかし王よ!」


「鎮まれ……。何事にも例外というものはある……これ以上の問答は無意味だろう」


 や っ た ぜ。

 心の中で大きくガッツポーズを取る。

 ポーカーフェイスのおかげで顔には出ないから思いっきり喜べる。


「さて……これで、勇者様達の能力は大体把握させてもらいました」


 何か言い方に含みがある気がする。

 ひょっとして、今すぐにでも旅に出ろとか言われるんだろうか。

 流石にそんな事ないよな……ないよね?


「 バーゼル・ライオット・カフス様。何故能力値を今測るんですか?」


 弘瀬が手を挙げて質問した。

 というか髭王の名前をよく覚えてたな……

 しかも様付けって……いやまぁ相手は仮にも王様だから問題はないのか。


「それは貴方達の育成方針を決める為です」


 どうやら個々の能力に合わせて最低限の教育はしてくれるらしい。

 いきなり放り出されるなんてことにならなくて良かった……。


 もっとも、ニ週間前後で王国郊外の迷宮とやらに遠征に行かせるとの事らしい。


 ……ニ週間でどうしろと?

 こっちはついさっきまで学生してたんだが?


 そんな不満が口から出そうになったけど、弘瀬達はやる気満々だったので心の中にしまった。


「勇者様も突然な事に色々とお疲れになった事でしょう。部屋をご用意してありますのでそちらでお休みください」


 髭王が指を鳴らすと、入り口の扉が開いてメイド服を着た人達が入ってくる。


 メイド服と言えばメイド喫茶の店員さんのイメージが強いが、異世界のメイドさんの服はかなりしっかりとしていてスカートも長い。

 ……頼んだらご主人様とか呼んでくれるかな?


「勇者様達を部屋に連れて行くように」


「「「「「「「「畏まりました」」」」」」」」


 メイドさんが二人やってくる。

 一人につき二人ついてくるとか、かなり高待遇じゃないか?


「初めまして勇者様、御部屋に案内させて頂きます」


 深々とお辞儀をされる。

 見た感じ、メイドさんの方が年上だからちょっとだけ気まずい。


「……ありがとうございます」


「……」


「……」


 え、何この沈黙怖いんだけど。

 どうしよう、自己紹介とかした方が良いのか?


「……」


 弘瀬達はどうしているんだろう……

 なんて思って周りを見たらもう俺しか残っていなかった。

 ちくしょう、小っ恥ずかしい。


「……えっと、案内をお願いします」


「かしこまりました」


 どうやらこっちの指示を待っていたらしい。

 わざわざそんな事しなくてもいいだろ。

 対応に困るわ。


「5分ほど歩いて頂きますがよろしいでしょうか」


「あ、はい、全然大丈夫です」


 メイドさんが扉を開ける。

 もう一人のメイドさんがこちらへどうぞと先頭に立って動き始める。


 あーあ、外に出たらドッキリ大成功って看板を持って誰か出てこないかな〜……


 だがしかし部屋の外は廊下だった、残念。


 でも廊下は割と綺麗、というかこれ大理石じゃないだろうか……?

 テレビで見た大理石ってこんな感じだった気がするし。


「どうなされましたか」


「いや、綺麗だなーって」


「左様でございますか」


 メイドさんの顔が少しだけ微笑んだように見えた。

 ひょっとして彼女たちが掃除しているからこんなに綺麗なのか……?

 よく見たら石とは思えないほどピカピカ、それも顔が反射して見えるレベル。


 はえー、メイドって凄いな……


「こちらのお部屋です」


 廊下の綺麗さに驚いていたらいつの間にか着いた。

 時間が流れるのって早い。


 メイドさんがドアを開ける。

 中は結構広いけど家具が少ないからちょっと寂しく感じる。


 ただ、ベッドは超デカイ。

 しかも屋根がついてる。

 見るからにフカフカそうだしすっごい豪華。


 今すぐ飛び込んでみたいけど、メイドさんがいるし帰ったら飛び込もう。


「ありがとうございました」


「いえ、これが仕事ですので」


 そう言ってお辞儀をするとメイドさんはドアを閉める。


 さてさて、それじゃあベッドに飛び込もうか。

 メイドさんの目を気にせず思いっきりベッドにダイブする。


 いぇぇぇい!!

 ふっかふかだぁぁぁ!!


「……」


 …………ん?メイドさんの目を気にせず……?


 違和感に気付いて閉めてもらったドアの方を見ると、メイドさんが見えた。


 え、何で残ってるの?

 帰ったんじゃないの?

 うーわ、超恥ずかしい……


 混乱する頭を落ち着かせる為に、メイドさんに背を向けて深呼吸する。


 ……よし、もう大丈夫。


「えっと、すいません……帰ったと思ってつい」


「いえ……どうかお気になさらずに」


 嘘つけ、ちょっと目が泳いでるぞ。

 それに表情も、笑いを堪えてるように見える。


 まさか異世界に来てまで黒歴史を作る事になるとは思ってなかったよ……


「コホン……改めまして、私は勇者様専属メイドのメアリーと申します」


 膝をついて手を胸に当てるメアリーさん。

 動きはとてもスムーズでそんなに歳も離れてなさそうなのにベテランの気迫さえ感じる。


 本物のメイドさんってこんな感じなのか……


「お、同じく専属メイドのケティです!よろしくお願いしま──うわぁっ!?」


 もう一人のメイドのケティさんがメアリーさんと同じポーズを取ろうとしたがスカートの裾を踏んで転んでしまう。


 服のサイズが合ってないのかそれとも単純にどんくさいだけか転んでしまった彼女は顔を真っ青にして慌てて姿勢を立て直す。


「申し訳ございません勇者様……彼女は未だ半人前の身、どうかお許しください」


「まぁ転ぶ事くらい誰にでもありますよ」


 失態を犯す事は誰にでもある。

 さっき失態を犯した俺が言うんだから間違いない。


 それにしてもベテランと半人前のメイドか……

 大方、新人育成みたいなものだろう。


「あと、勇者様って呼ばれるのちょっと恥ずかしいんで猪野って呼んでください」


「……かしこまりました」


 何故か不服そうな顔をしている。

 でも勇者様勇者様って呼ばれるのは勘弁してほしいので撤回はしない。


「えっと…専属メイドって何してくれるんです?」


「……主に勇──イノ様の身の回りの世話などをさせて頂きます」


 詳しい内容を聞くと、掃除、洗濯、食事はもちろんの事、予定管理や相談相手などもやってくれるそうだ。


 何か偉くVIPな待遇にも思えるが、貴族や王族はこれが当たり前らしい。

 これは慣れるまでに時間がかかりそうだな……


「他にも、必要とあらば夜伽も致しますがイノ様は御必要でしょうか?」


 よとぎ……?


 何それ、聞いたことないんだけど。

 夜間授業みたいなもの……は違うな、メアリーさんはメイドだし。

 それか何か別のサービス?


 あぁ、もう気になるなぁ。

 スマホがあれば一発で分かるのに……何で無いんだよ。


 よとぎ……よとぎ……よとぎ……よつぎ……よよぎ……よもぎ……よもぎ饅頭……駄目だ脱線してきた。


 うん、ここは適当に流しておくのがベストだな、そうしよう。


「あ〜……今はちょっとやる事があるのでまた今度でお願いします」


「……?」


 あれっ、ケティさんが不思議そうにしている。

 やらない方が不自然なのか……?

 いや……もう言っちゃったし気にしたら駄目だ。


「……左様ですか。では夜伽についてはまた後日お伺いします。ちなみにですが夜伽の際、私かケティのどちらがよろしいでしょうか?」


 どっちがいいんだろうか。

 ベテランのメアリーさんに頼んだ方が良さそうな気はするけど……半人前のケティさんが経験した方がいいんじゃないか?


 でもかといって、こっちがよく分かっていない事をケティさんにしてもらうのも怖いし……


 うーん……そうだ、二人一緒にやって貰えばいいんじゃ?

 そうすればケティさんのミスをメアリーさんがカバーしてくれるだろうし、ケティさんも経験を積める。


 まさに一石二鳥、よしこれでいこう。


「二人一緒でお願いします」


「ふっ……!?」


 ケティさんが今度は顔を真っ赤にして何か言いかける。

 青くなったり赤くなったり忙しい子だな。


「ケティ、少々落ち着きなさい」


「は、はい……」


「ではイノ様、夜伽の相手は私とケティの両名でよろしいですね?」


「はい、お願いします」


「かしこまりました。それと一つ要望がございますがよろしいでしょうか?」


「いいですよ」


 何言われるんだろう……


「私共に対して敬語を使用しないで下さい」


 あー……なるほど、不服そうな顔をしてる原因はそれか。

 別に敬語使ってても問題ないと思うんだけどなぁ……。

 それに初対面の人にタメ口使うのは気が引ける。


 でもメアリーさんとの間に変な溝を作るのも嫌だし……仕方ない、敬語は無しでいくか。


「……分かった」


 そう返すとメアリーさんは納得した顔になった。


「では、こちらをお持ちください」


 小さなベルを受け取る。

 試しに鳴らすと綺麗な音色が鳴り響いた。


「私共に用がある時はそちらの魔道具をお使いください」


「分かった」


 魔道具……何か凄い単語が出てきたな。

 さっきから驚く事ばかりで本当に気が疲れる。

 こっちはただ一般人だってのに、色々勘弁してほしい。


 うん……そろそろ休みたい、というか寝たい。


「では私共は晩餐の準備に加わって来ますので失礼いたします」


「し、失礼します!」


 扉を開けて部屋を出ていくメアリーさんとケティさん。


 よし、出て行ったな。

 今度は二人が部屋に居ないことを確認して、ベッドに飛び込んだ。


 あまりのベッドのフカフカさに、睡魔が秒速で……zzz……


----


「勇者とはまるで宝石のようだな」


「えぇ、誠にそうでございますな。魔力値と生命力値共に我々の予想を遥かに超える物です」


「あれだけの魔力と生命力があれば悠久の果てに眠る神器を顕現できるだろう……」


「はい……かの神器を手に入れれば、陛下がこの世界の神になる事も可能になるでしょう」


「そうかそうか。して……計画は順調か?」


「……実は我々の想定を超えていた為、再計算した結果、計画の完遂にはかなりの時間がかかることになることが判明しました」


「具体的には?」


「……計算上では最短で三年です」


「なに…………まぁよい。リスクなしで神器を得られるのだから三年は安い代価だ」


「感謝いたします……」


「念の為、勇者が逃亡しない様にしておけ」


「御意……」


「くくく……三年後が楽しみだな」


 王はただ一人、美酒を片手に玉座で嗤う。


気まぐれ次回予告


次回、冗談という概念が存在しないこの異常な世界で

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