仲良し二人と女神様
今回は短めですが、謎の達成感を感じている今日この頃です。明日も投稿出来るように頑張ります。
時は少し遡り、皆が作業を始めて間もなくのことだった。幼馴染である二人が一緒に果物の採集を行っている最中、東の方へと作業の手を伸ばしていた時。たくさんの大人たちに注目され、手を前に突き出す少女がいた。幼さを多分に含む可愛げのある目を引く容姿、金糸の様に輝く金髪を微風になびかせながら、彼女の口は一つの魔法の名を紡ぐ。
「『地削』」
途端、轟音とともに彼女の正面にあった地面がえぐり取られていた。そしてその姿に見惚れてしまい、ずるずると付いてきて今へと至る。
「ねぇねぇ、勝手についてきてよかったのかな?」
「大丈夫、大丈夫!バレなきゃ良いし、それにダメとか言われてないじゃん?」
「それはそうだけど……。見つかったら悪い事してる気分になるよ」
「でも、やっぱり気になるでしょ?」さっき魔法を打った子、歳も近そうだし、もしかしたら魔法を教えてくれるかもよ?」
魔法を駆使し、大人顔負けの作業効率を叩き出しているエリネを観察しているのは、村の中でも最年少の幼馴染な二人組。控えめな意見を述べるのはクリス。名前の響きと、長く垂れた青髪のせいで、よく女の子と間違われるが、男だ。もう一人、強気な意見を言うのはミリア。クリスと同い年の女の子だが、それなりに気が強い少女で、少し年上の相手くらいなら男にだって負けない。クリスと比べ短めの赤髪を後ろに纏めている。
髪色から性格まで対照的な二人だが、同い年がお互いしか居なかったのもあり、現在は大の仲良しで、次代のソーラエリスではないかと村の中で噂されている。
そんな二人は今、茂みの中に身を潜めてエリネの観察を続けていたのだが、ちょっとした口論が発生していた。
「ほら、怒られる前に帰るよ。母さんたちにバレてるかもしれないし」
「むーっ!じゃあミリア一人で帰れば良いじゃん!先に戻っててどーぞ!」
「どうしてそんな言い方するのさ!早く一緒に–––––」
「ん?何か今聞こえなかったかの?」
「「……」」
途端、彼らは全ての挙動を止め、聴覚に意識を専念させる。
「気のせいか。わらわも疲れてるんじゃろうな。ずっと働いておるし。……わらわって女神だった筈じゃがなぁ」
エリネがミヤビの方へと踵を返していった事を確認し、彼らはホッと胸を撫で下ろす。
「ふぅ。何とかバレずに済んだね」
そう言ってクリスがミリアの方を振り向くと、目をキラッキラに輝かせた彼女の顔が目に入った。クリスは知っている。この目は、好奇心が抑えきれない時の彼女だと。
「ねぇ聞いた!?『女神』だって!あんな魔法も使ってたし、本当に女神様かもしれないよ!?行こう!!」
「あーうんうん。でもバレたら意味ないよね?」
「別にへーきだって。静かにしてればバレな––––––」
バレてなんてしない。そう言いかけた彼女に影が差す。その影に後ろから声を掛けられる。
「バレておるぞ。やれやれ、勘違いでは無かったか」
「「わぁー!?」」
「うるさいぞ。他の連中にバレたらどうするんじゃ」
はぁ、と呆れた様な息を吐き、未だしゃがんだままの彼らを見下ろす。
「わらわは優しいからお主は突き出したりはせん。だが、ずっと監視されるのは気分が悪い。じゃから、戻ってサボった分を取り返してこい」
有無を言わせぬ、とまでは行かないが、多少の語気を込めるエリネ。それに対しミリアは、
「ありがとうございます!1つだけ聞かせて欲しいんですけど、『女神』ってどういう事ですか?」
「そうか。尾けておったのなら聞こえてる筈じゃよな」
クリスは戦慄する。あの彼女が、ミリアが敬語を使っていることに。今まで年上や大人たちにも使って来なかった敬語を、見た目年の近い少女に向けて使っているのだ。それは敬意が成せる技か。彼女はエリネを、敬意を払うべき相手だと認識したのだ。事実を再確認し、クリスは再び戦慄する。
そんな固まっているクリスをさて置き会話が進む。
「本当は黙っておくつもりだったが……仕方ないじゃろう。この事は他の奴らには喋ってはならんぞ?」
「はい!分かりました!では戻ります。ほら行くよクリス」
「え?あ、うん。失礼しました」
後ろ向きに歩きながら手を振る彼らに手を振り返すエリネは言う。
「よもやあんな奴らがおるとはな。ふふふ。久しぶりに『女神様』なんて言われたのじゃ。ミヤビももう少し敬意を払ってくれても良いじゃろうに。まぁ不遜な態度だからこそミヤビとも言えるか。ではわらわも作業に戻るとするかの」
その後ろ姿はどこか嬉しそうだった。帰ってきたと思ったら、やけに嬉しそうな様子で戻ってきたので、質問される。
「エリネ、向こうで何かあったのか?」
「それは秘密じゃ。ちょっとばかし嬉しいことがあった、というだけじゃ。気にするでない」
「気になるけど、お前がそう言うなら大丈夫だろうな」
「そ、そんな恥ずかしくなるような事を軽く口にするでない!」
「そうかー?悪い悪い」
「まったくミヤビというやつは……」
エリネも未だ気付いていない。彼のことを『ミヤビ』と名前で呼んでいることに。無意識のうちに距離が近づいていた彼らは、周りからはきっと、大の仲良しに見えたことだろう。
実はミヤビも、エリネには敬意を払うべき相手だと思ってはいるのだが、その実、今更態度なんて変えるもんじゃないな、と割り切っている。そんな小さな考え方の変化の1つ1つが人と人との距離感というものを生み出していくのかもしれない。それは例え、女神と異界の人間でもあり得る話だからこそ、世界とは分からない物である。
初めての三人称視点、いかがだったでしょうか。ちょっと趣向の違った風に、物語の中には居ない人物からの視点で書かせて頂きましたが、いや〜、難しいですね。ちゃっかり自論を展開している箇所もありますが、最後まで読んでいただけたのなら幸いです。
ぜひよろしければ、今話部分の感想を頂戴したいと考えています。これから時々挟んで行きたいと考えているので、どしどしお寄せください。全て目を通し、感想返信致します。今話ばっかりはぜひお願いします。
改めまして。
感想、よろしくお願いします!!




