手紙と受け入れ準備
文字数が少ない……
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ソーラとエリスがやって来てから一ヶ月が経った。その間に俺は建物を建てて建てて建てまくった。結果、最初に『再生』した土地の中心付近は建物でいっぱいだ。
中世ヨーロッパ風の建物たちは、誰も住んでいない空き家。街のように見えてほぼ無人な建物たちだ。エリネとの連携もスムーズに行き、効率良く家を建てられた。家の他にも石畳の通りや噴水付きの広場、大きめの倉庫など、色々な建物や場所を作った。街の至る所に緑を取り入れて作った。
例えば、通りの中心に木を一定の間隔で生やして通りを分ける印にしたり、広場を囲うように配置した植え込み、そして家の窓横にグリーンカーテンを設置したりした。
また、建築の際に使用した石材の調達方法はと言うと、地下から採掘してきたものを使っている。森の守護者の探知能力は森の地下にも及ぶらしく、採掘ついでに水源がある場所で井戸も作った。地下を見れても、空洞や水の気配を探るぐらいしかできず、鉱石類の探知までは出来なかった。たまたま見つけたのしか持っていない。残念。
更に変わったのは一番最初の家だ。二人で協議して結果、この家は壊さず、グレードアップを続ける事でずっと使っていこうと。やがて、領主の館みたいにしてやろう、と決めた。現在は増設し、新しいスペースが出来た。簡易的な焚き火キッチン(周囲は石畳)や洗面所。トイレは、石材採集に用いた縦穴の中で、井戸となり得なかった物をトイレとしている。ボットン式を使うのは、現代日本人だった俺としては辛いものがある。早く水洗式を作りたい。
「いや〜、それにしても頑張ったな俺ら」
「本当じゃ。ここは中心区画にしたいからの。力を注ぐのは当然じゃな」
「ちょっとした建物群が出来てるのに、人が全く居ないことに違和感を感じるな」
「日本の文化で言うとぷらもでる?みたいじゃな」
「確かに、意外とその表現は的を射てるかも」
プラモデル、か。建物はあるけれど、人は誰も居ない。確かに的を射た比喩だと思う。むしろぴったりだ。
「さて、これから国民を増やしていくのじゃろ?だったら、ソーラとエリスに手紙をださねばな」
「そうだった。あいつらに手紙送んなきゃだった。何て書こう……」
「そこら辺はわらわがサポートするから安心せい」
女神様って、文才あるんだろうか。こいつの場合、何だか心配だ。
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一ヶ月前から変わったことは建物以外にも沢山ある。例えば石材採取の延長で、最初の木の小屋に地下室が出来ているだとか、森にはエリネ製の認識阻害結界が張ってあって、外部からは干渉できなくなっているだとか、ミヤビが植物を自在に操れるようになったとか、動物と話せるようになったとか。一度に『再生』出来る面積を1マスとすると、3マス×3マスほどに拡大している、だとか。色々な変化があった。
焚き火で焼肉をしてみたりとか、たまたま見つけた鉄鉱石で蝶番を作ってドアの機能性が上がっただとか、木製の羽毛ベッドや家具類ができたとか。
道具などの生活面に於ける向上も図れている。これからは、そんな二人っきりの生活も終わり。これからは結界を解除、新たな国民となりうる人を集める段階へと入る。
ミヤビの建国へ向けての一歩は既に踏み出している––––。
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翌朝。よく晴れた日。今日はあいつらに手紙を送る日だ。
俺は、エリネの助けを借りつつ、何とか手紙を書き上げた。昼まで掛かったが頑張った。
……何だか恥ずかしかったんだよ!女性に手紙書くとか!緊張しちゃうっての。世の男性諸君、分かってくれるよね?ね?
「やっと書けたな。手紙というか招待状みたいになっているがの」
「というか良かったのか?手紙に『村のみんなも連れて』なんて書いて」
「良いじゃろう。さっきも説明したが、あいつらの出身地であるカリア村は乾燥した地域で、水が得にくい。そんな中農業で生きているのじゃ。農業が好きなんじゃろ。どんな人間であっても、より良い環境での生活を望む。それでこちらに移住してくれれば、農地が出来て生産が盛んになる。そこで特産品を作れたら完璧じゃな」
「普通ならそんな上手く行くかねぇ。と、言いたいところだが、上手くいってくれなきゃ困るしな。ポジティブに行こう。せいぜい成功する事を祈ってるぜ」
「ところで、どうやって手紙を送るつもりじゃ?徒歩?」
「んなわけ無いだろ。それ手紙の意味ないじゃねえか。こうするんだよ。ピー!」
そう言って俺は右手の人差し指と親指で輪っかを作り、口に咥え、息を吐く。いわゆる指笛を鳴らす。すると……
パタパタパタパタ……
純白の毛で全身を覆い、クリクリとした可愛いお目目をしたフクロウが、羽をはためかせながら窓際にやってきた。
「真っ白なフクロウ?一体いつの間に手に入れた?」
「いや〜森でリンゴ採取してた時に見つけたから、餌付けしたら懐いてくれたんだ。可愛いだろ」
「可愛い……いや、もふもふじゃあ〜」
「ホー(やめろー)」
ちなみに動物と会話できる能力によればフクロウは嫌がっている。やめてあげろよ。
エリネがフクロウに抱き着いて頬擦りしている。そんなに気に入ったか。フクロウの方は嫌がってるようだが。エリネはもふもふに目がない、か。どっかで役立ちそうな情報だな。
「おい、この手紙をここから東の乾燥地域にある村に届けてくれ。宛名は書いてるから村に落とせば村人が持っていってくれるだろう。返事はもらってこい。頼んだぞ」
白フクロウの頭を一撫でして送り出す。おー意外と速いな。そんなもんか?
「クエストで通りかかるくらいだしすぐ返事は来るだろ。しばらく待とうぜ」
その後待つこと10分。
「ホー!(ただいま!)」
「速っ!?」
返事が来るまでしばらく部屋で話す内容でもまとめていようと思った矢先、速攻でフクロウは帰ってきた。渡した便箋とは違う封筒を持って。
足に括り付けられた封筒を外し、中身を読む。
「『すぐ行く』、ってLI◯Eぐらいの短文と返事の速さだな」
「早すぎじゃろ、幾らなんでも!ちょっと怖いわ!」
「こいつの飛ぶ性能とか、あんなに頑張って書いたのにほぼノータイムで返信してくる女とか、色々とぶっ飛んでんな、この世界」
「それはご愛嬌、ということにしておくべきじゃ。無用な詮索をしておると生え際が後退するというものじゃぞ」
「誰がハゲだっつの。それより今から来るんだったら二人揃って出迎える用意をするぞ!」
「了解じゃ」
俺は転生時に持っていた制服を着る。本当になんで制服だったんだろ。こういう時は礼儀作法用の服として扱えるから便利なんだけどな。
エリネはいつも通りゆる〜い純白のトーガを纏ったまま、と思ったら、急に結界を張り、自らの姿を隠した。その数秒後、綺麗な銀色をした長袖ローブを着たエリネが出てきた。
「エリネ。何故にローブ?」
「一応わらわは魔術師という設定で通す為じゃ。これでも女神じゃからな。バレたら困るのじゃ」
「なるほど」
声も若干変わっている……ような気がする。それは意味あるのか。でも確かに、魔術師という設定は最適解かも知れない。魔法使えるし。でも、正直バレても大丈夫そうだけどな。根拠はない。
「じゃあ東側で待機!」
「どんな奴らか楽しみじゃな」
俺たちは街の東側に立ち、彼女らの到着を待つのだった。
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