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弟子と勧誘と冒険者登録と。

ようやく20話目です。

今回は後半で仲間たちの影が薄くなってしまいました。

こういうところで仲間たちを会話に上手く差し込める人って凄いと思うんですよね。

「どうか、私を弟子にして下さい!」


「え……今なんて?」


 思わず聞き返してしまう。なんか『弟子』とか聞こえたような気がするけど、気のせいだよな?な?


 クルトは再び頭を下げて言った。


「どうか、私を弟子にしてください!」

「「「「「えぇええええええ!?!?」」」」」


 その場の全員の声が重なった。


「ちょ、弟子!? なんでだよ!?」

「師匠に『実力不足だ』と言われ、さっきの戦いとも呼べない一瞬を振り返りました。すると、自分の至らなかった点が幾つもありました。だから、それを気づかせてくれた師匠に教えを乞いたいのです!」


 クルトのそんな言葉を聞いて、冒険者たちから驚き混じりの声が聞こえてくる。


「あの『嵐剣』が弟子入りするほどなのか?」

「確かにあの兄ちゃんが魔法使ったように見えたけどな」

「見た目はそれほど強そうじゃないが……」

「人は見かけに寄らないよ。あの女の子だって実は私たちより強いかも知れないよ?」


 女冒険者の言った最後の言葉が場を和ませた。言われた当の本人であるエリネは頬を膨らませ、不機嫌そうに拗ねていた。


「あー、取り敢えず外に出て、そこで話そう」

「分かりました、師匠!」


 あ、もう師匠呼びは確定なわけね。何だかむず痒いのでやめて欲しい。


 実を言うと、クルトは仲間に入れるべきだと思う。

 なぜなら、こいつは二つ名もあってそれなりに有名だからだ。街に連れて行ければ、『売り』になる。また、断れば悪評が広まる可能性もあるし、何よりこいつが可哀想だ。


 逆に仲間にした時のデメリットとしては、ちゃんと師事が出来ない可能性があること、確実に王都内で目立ってしまうこと、そして扱いが面倒そうなこと、だ。

 だから、街の宣伝にも繋がるから、そのデメリットに目を瞑ってでもメリット側を取るべきなのだ。


 一旦ギルドを出て、通行人の邪魔にならない端っこで話をする。


「さてクルト。弟子入りするのは認めよう。だけど、三つ条件がある」

「……なんかすっごく偉そうにしておる」

「ありがとうございます! 自分に出来ることなら何でも言ってください!」


 何でも、なんて言葉の重大さが分かってるのか分かってないのかイマイチ分からないが、まぁいい。


「まず一つ目の条件なんだが、お前は俺に教わりたいと思っているだろうが、悪い。他の奴に変わる日もある。それでいいか?」

「分かりました。師匠の認めた方なら誰でも」


 これは保険だ。俺が何か忙しくなった時とかは対応出来ないからな。何ならベル辺りにでも変わって貰えばいい。


「次に二つ目。俺が作っている街に来てもらうことだ」

「師匠の作った街ですか?」

「そうだ。建国を目指してるんだが、まだ国と呼べるレベルにまで発展していないんだ。ある程度発展したら勝手に名乗らせて貰うけどな」

「それはそれは!師匠の作っている街なら行かない理由はありません。後でギルドの皆も誘ってきます!」


 彼は少年のように目を輝かせ、そのイケメンフェイスに眩しいまでの笑顔を描いた。


 まさか冒険者ギルドで宣伝するんじゃあないだろうな。まぁ良いけど。反逆を企ててる訳でも無し。引越しともなればあまり多くの人数は動かないだろうし、大丈夫だろう。少しでも人手が稼げれば十分なんだし。


「最後に三つ目。俺が何か教えている時以外、つまり通常時は師匠と呼ばないこと」

「それは難しいですが何とか頑張ります」


 師匠呼び禁止すら難しいのか。どうしてこんなに懐かれたのかねぇ。不思議だ。


「ところで師匠、名前をお聞かせください。何と呼べばいいのかが分からなくてですね」

「俺はミヤビだ。よろしくな、クルト」

「はい! よろしくお願いします、ミヤビ様!」


 もう俺は諦めた。呼び方についてはもう突っ込まないことに決めた。多分言っても直んないだろうし。


「ミヤビ様は冒険者登録の途中でしたよね? 先程は私が邪魔をしたせいで出来なかったみたいなので、私は外にいます」

「分かった」


 それは正直言ってありがたかった。また視線の嵐に晒されるのは嫌だからな。再びギルドへ入る。すると、


 結局視線を集めましたとさ。そりゃそうだわな。弟子入り事件の当事者だし。もう諦めるしかないみたいだ。


 もう一度同じ受付嬢の元へ。すると、おもむろに頭を下げられた。


「すみませんでしたぁっ!」

「へ?」

「先程はそちらの女の子の登録を渋ってすみませんでした。それほどお強い方の推薦なら大丈夫です。問題なく登録させて頂きます」

「あぁ、そういうことか」


 納得した。さっきエリネの登録を渋ったけど、実力が保証されているような状態になってるから失礼に感じた、ってことね。律儀な女性だこと。


「それなら大丈夫です。俺とこいつの登録さえちゃんとしてくれれば問題ありません」

「そう言ってくれるとこちらとしても助かります。では登録の手続きへと参りますね」


------------------------


 あの後、ラノベでよくある魔力測定とか、血液垂らす冒険者カードとかがあった。

 テンプレ感漂う雰囲気でエリネがすごい凄いと褒め称えられていた。俺は魔法を使って見せているからかあまり驚かれなかった。俺もテンプレを感じて見たかったな。


 ……テンプレって感じるものなのかな?


 なんやかんやで冒険者登録を終えて素材を幾つか売った。


 エルさん(受付嬢)に素材を見せた時、ため息を吐かれた。何でも、黒の侵食(ブラックアウト)した魔物は最低でもBランク以上に分類されるらしい。ちなみに俺が出したのは『血の猟犬(ハウンドドッグ)』の素材だけだったが、一つ小金貨一枚ほどになった。今回売ったのは合計で小金貨8枚だった。無駄使いしないように気をつけなきゃ……


 エルさんに頼んで隠蔽して貰った。闇市で捌いてもらうための依頼を出して、依頼を受けた冒険者に売却をお願いするそう。俺がもっと強い魔物の素材持ってるって言ったら、もしかしたら倒れちゃうかもな。


 素材の売却を済ませて懐がホクホクな俺たちは、宿をとって休むことに。五日後の昼過ぎに冒険者ギルドに集合となっている。


 問題はクルトがどれだけ人を連れてくるか、だな。

前回や今回の終わりに出てきたお金に関するお話なのですが、この世界における通貨を日本円に相当させて紹介します。

価値の低いものから順に、

石膏銭=1円

小銅貨=10円

大銅貨=50円

小銀貨=100円

大銀貨=1000円

小金貨=10000円(1万円)

大金貨=100000円(10万円)


といった感じです。白金貨とか作ると、ケタがすんごいことになるので止めましたw


冒険者ギルドや魔物に関する説明も順を追ってして行きますので、是非ともお付き合いください。


少しでもおもしろいと思ったら、

ブックマークや評価、感想をよろしくお願いします。

作者は狂喜乱舞します。


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