表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/36

ベタすぎる死とベタじゃない転生

初めまして。花依だんごです。

友人からネタをもらったことがキッカケで小説書きを始めました。

是非とも最後までお付き合い下さい。

 

 俺は死んだ。



 ……え? 突然すぎるって? じゃあ説明してやる。それはある夏の晴れた昼下がりのことだった。


 ……あ? そういうのは良いから早く説明しろ? 死人に何てこと言うんだよまったく。


 俺は今高校二年生なんだ。で、夏休みのある日、俺はコンビニに出かけてた。そしたら、家の前で信号無視トラックにひき56(ころ)された。


 びっくりだぜ本当に。家を出て、マンション向かいのコンビニに行こうと信号を渡ってたら、急にトラックが突っ込んで来るんだ。意味わかんねぇ。ちなみに、痛みを特に感じるでもなく死んだ。一瞬で意識が飛んだからかな?


 訳わかんないだろ? だけど俺、死んじゃったんだぜ? 未練をたーくさん残して。読みかけのあのマンガは完結が気になるし、ストーリー半分しかやってないゲームもあったし、友達の告白の結果も聞いてない。


 ……あれ、俺の未練って意外と大したことないのでは?


 さて、俺の死因の説明も終わったことだし、俺が今置かれている状況について解説しよう。

 俺は今、真っ白な部屋にいる。向かい合った二脚のアンティークな木製の椅子がポツンと置いてある部屋。いや、部屋というか場所? とにかく、上も下も、真っ白。どこまで続いているかも分からない。


 取り敢えず、真っ白な空間で異常な存在感を放っている椅子に腰掛けてみる。おぉ、意外にお尻と背中に優しい素材だ。ピッタリフィットのフィ◯トちゃんだ。


 これって、俺が大好きなラノベの展開では? ここで女神様が来て、チートを貰って、異世界転生出来る展開だよなぁ。そして、異世界美少女達とイチャイチャしながら無双できるんだろ? 最高じゃん!


 ……異世界ものならかなりありがちな転生の仕方だけどな。


 ウキウキしながら待つこと5分。


「女神様遅いなぁ」


 10分。


「女神様ーー!!」


 15分。


「おーい! めーがーみーさーまー!!」


 20分。


「ゼェ、ゼェ、女神様、来なくね?」


 30分。


「………」スヤァ


 そして1時間後。


「あー! 遅れちゃったのじゃぁー! って、こやつ寝ておらんか?」

「スピー、スピー」

「えい」


 パチンッ!


「……ハッ! 誰だよ、ったく。人が気持ち良く寝ているところに邪魔しないでくれよ」

「遅れたのは悪いと思っておるが、人の椅子で勝手に寝ているのもどうかと思うぞ」


 鼻ちょうちんを潰されて不機嫌だった俺に、可愛らしい声で呼びかけてきたのは女神様ではなく。


「金髪碧眼のロリ!?」

「誰がロリじゃ!わらわは女神じゃぞ!」


 え。


「いやでも……」

「『いやでも……』じゃないわっ! わらわに余計な世話を焼かせるでない」

「一人称わらわ!?」

「別に良かろうが!……あー疲れた。こいつ、ここに放って帰っても良いじゃろうか……」

「待ってください女神様! すいませんでしたそれだけはご容赦をー!」

「調子いい奴め」


 なんだか本当に置いていきそうな雰囲気だったので取り敢えず謝っておく。危ねぇ危ねぇ。


「今お主が考えておること、聞こえとるからな!?」


 へー。じゃあ試しに……


 うるせぇなぁ、この女神様!


「誰のせいじゃっ! あまりふざけるでないわ、まったく……」

「いや〜、申し訳ないです」

「絶対に思っておらんじゃろ。謝罪の念が見えぬわ」


 そういえば、幼女相手に敬語使う必要ってあるか? いや無いだろ。


「……あのな。そろそろわらわも本当に怒るぞ?」


 さっきまでと打って変わって、静かな怒気を孕んだ空気に俺は萎縮してしまう。急に怖いってぇええ!


「ひぃいいいい!! 許して下さいぃいいいい!!」

「冗談じゃ。じゃが、仏の顔も三度までじゃからな」

「はい、寛大なお心遣いに感謝します!」


 ……恐らく、これって四回目ですよね? なんて言わない方がいいんだろうな。触らぬ神に祟りなしって言うし。あ、これも聞こえてんのか。やべ。


「もういいわ。逐一反応してはキリがないからの。ではそろそろ本題に入るとしよう。お主がここに来た理由、分かっておるよな?」


 当たり前だ。心当たりなど聞かれるまでもない。というか一つしか無い。夢だと信じたいところではあるが。


「俺、死んだんだよな、」

「そうじゃ。ここは迷える魂を呼び、その処遇を決める場所。お主にも分かりやすい言葉で表現するとすれば、『天界』じゃろうか。

 まぁ、それはさておき、お主は日本に未練が沢山あるじゃろう? 人生の半分もまだ経験していない。じゃから、もう一度日本へ転生させてやろう、というわけじゃ」


 はい? ちょいちょい女神様、ストップ、ストーーーップ!!


「ちょっと待って下さい!」

「な、なんじゃ。急に。驚かせるでない」

「その、日本じゃなく、別の世界に転移、ってできませんか?」

「それはできないことは無いのじゃが……、日本はいいのか?」


 日本に大した未練など無し。家族や友達には勝手に居なくなって申し訳ないが、死んだことになっている奴がひょっこり帰ってくる方がおかしいだろ。それに……


「日本よりも、違う世界を経験したい! 日本とは全く違う世界を見てみたい。ラノベの世界行きたい! ハーレム作りたい!」


 俺は自分の気持ちを全身を使って表現する。身振り手振り、とにかく全力で。ボディーランゲージだ。国際的なのだ。


「……ふむ。最後に本音が漏れ出ておるが、そこまで言うのならいいじゃろう。確認じゃ。どんな世界をお望みじゃ?」

「地球とは違って、魔法が発展した世界に行きたい」

「魔法、とな?あぁ、日本には”ラノベ“なるものがあったんじゃな。物語の世界に類似した世界に行きたい、と」


 そうかそうか、とニヤリと笑う女神様。ちょっとばかし悪い部分が出ている気がする。両手を組んで仁王立ち。だけどちっこい。やはりロリはロリなのだ。


「だ・か・ら、聞こえておるんじゃ!」

「まぁまぁ女神様。そんなことより一つ聞きたいんですけど、チートとかって、貰えたりしないでしょうか?」

「ははっ、図々しいな。じゃが、お主はおもしろそうじゃな。もちろん与えよう。わらわも興味が湧いた。ついでと言ってはなんじゃが、お主の行く世界について行こう」


 女神様付いてくんの? もしかしてそれって最大のチートなのでは? でも仕事とか無いんだろうか。俺みたいな死人の転生とか。その他色々ありそうな感じだが。


「女神様は自分の仕事大丈夫なんですか?」

「無論、問題はないのじゃ。あやつが代わりに仕事はやってくれよう。それに一回降りてしまえば、干渉もしにくかろう。問題ないのじゃ」

「あやつが誰かは知らないけど、なんかすみません……」


 俺は顔も名も知らぬ誰かに祈りを送る。女神様の分まで頑張って……。その人、オーバーワークで倒れたりしないだろうか。意外と天界社会ってブラック?


「天界社会ってリズム良さげに言うでない。まぁ、奴は優秀だから安心せい。それと、チートは世界に降り立ってからのお楽しみじゃ。それまでせいぜい楽しみにしておくんじゃぞ」


 と、女神様が言った。


 ニヤニヤが止まらない。秘密にされているとは言ってもチートが貰えるのだ。異世界ものあるあるだよな。ちゃんと当たり能力であることを期待しとくか。ニヤニヤ。


「これからは、一緒に世界へ降り立つパートナーじゃ。タメ口を許可するぞ。というかそうしてくれ」

「分かった。やっぱり堅苦しい敬語よりこっちのがいいな」

「それには非常に同感じゃな。堅苦しいことのなんと疲れることか」

「それな」

「じゃがロリ呼びは禁止じゃ」


 ……ちえっ。


「じゃあなんて呼べばいい? 名前は?」

「わらわは女神エリネイア、エリネでよいぞ。お主の名は知っておるが、聞くのが礼儀であろう。お主の名は?」

「俺は(ミヤビ)。森野雅。よろしくな、エリネ」

「こちらこそよろしくじゃ、ミヤビ」


 互いに握手を交わす。エリネの小さな手は、想像よりも温かかった。


 ……子ども特有の体温の高さなのかね。


「おい。幼女ネタでいじるのは止めるのじゃ。はて、仏の顔は何度までだったかのう?」

「悪い悪い、ちゃんと気をつけるようにするって」

「……では早速、異世界に送ろうではないか。行くぞ?」

「オッケー。準備万端だぜ?」

「わらわもすぐに行くから待っておれ。では『転移(トラスト)』!」


  少しばかりの浮遊感に襲われた。


 直後、俺の視界は、エリネが手を振る姿の余韻を残して、白く塗りつぶされていった。

 

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

少しでもおもしろいと思ったら、ブックマークや評価、感想をよろしくお願いします!

私、花依は狂喜乱舞致します。


全部お願い!(強欲)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 序盤の書き方にクセがあって自分的には好みでした。 [気になる点] 天界社会って語呂いいな。まぁ奴は優秀だから安心せい。 この天界社会のセリフですが、古典チックな語尾が特徴の女神の印象を破壊…
[良い点] 主人公がチート能力を貰ったは良いものの、それが何かは分からない。中々見ない展開ですねぇ~。これからどう話が展開していくのか見モノですね! [一言] これからもいい作品をたくさん書いてくださ…
[良い点] つっこみと会話の掛け合いがとても面白かったです。 [一言] Twitterからきました。 応援しています!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ