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雨とイトイ君

取り敢えず、許さな~い。

無い、どこにも無い。

校舎の一歩外は雨。

なのに僕の傘が無い。

僕は朝、確実に傘立てに入れた。

なのに無い。

ということは、やはり盗られたと考えるのが妥当なところだろうか?

しかし、傘を盗ったという行動自体に悪意は微塵もなかっただろう。

ただ単に濡れるのが嫌だった。 

そして、目の前に傘があった。

その傘がたまたま僕のだった、ってだけの話しだ、、、。

ってだけの話だけどさー、そうだけどさー。

それにしてもだよ、僕の傘を盗るかね?

どんな確率だよ。周りにはまだ傘沢山あるよ?

なのに、なんで僕の傘なんだよ!!

せめてだよ、せめて盗るにしてもさ、ビニール傘にするとかの盗るなりの優しさというのは無いもんかね?

まぁ、盗った時点で既に優しさなんて無いんだけどさ。

あるのは、自己満足だけなんだろうけど。

それでもだよ、あれ以外と値段したんだよ。普通のやつよりも骨の数が多くて折れにくいやつなのに。

なんていうか、それが余計に腹立つよね。

はぁ、イライラしてきたぁー。

こちとら朝からそれは地獄の時間を過ごしてきたというのに、まさかの延長戦かよ。


それにしても、困ったもんだ。

こういう時に限って何時も入れているはずの折りたたみ傘を忘れてしまった。それ自体は僕のミスだ。100パーそうだ。

でもそれすらも、なんか狙って盗ったんじゃないだろうかと思ってしまう変なモードに今の僕は入ってしまっている。

しかし、折りたたみも無いということは選択はただ一つ。

そう、濡れて帰るしかない。

はぁ、これから濡れると分かりながら踏み出す一歩というのはなかなか重いものだなぁ。

僕のこんな気持ちなどお構いなしに雨は強まる一方だ。  

こんな雨空の下を歩いていると、母と昔見たあの映画のシーンを思い出す。が、僕にはあの男性のように歌いながら踊り出し、みんなの視線を釘付けにする根性がない。

それにしても、今の僕はどんな風に見えているのだろうか?

雨に濡れた髪はみすぼらしいだろうし、濡れた服からうっすら透けている男の肌など、誰の得にもならない。

しかし、この国には「水もしたたる良い男」という言葉がある。イケメンというのは得だ。

イケメンというだけで、殆どのことはパスできる。

イケメンだと、それだけで勝者だ。イケメンこそこの国の正義だ。いや、お金とどっこいどっこいか。

それにしても、人というのは大体のことを見た目で判断する。

つまりは第一印象が良ければ、その時点で80パーセントは勝ったと言っても過言ではないだろう。

というのも、小田君はそこそこイケメンなのだ。

男の僕から見ても、なかなかのものを持っていると思う。

ただ、性根が腐りきっている。

でも、イケメンだから許される。

それに女性からもモテる。

神様というのはつくづく嫌な人だ。

何で、あんな奴が好かれて、僕がこんな目にあわなければいけないんだろうか?

僕だって昔は、母から可愛い可愛いっていわれながら育てられたのに。自分で言うのもなんだが、僕自身不細工ではないと思うんだ。良く言ったら、中の上くらいの顔だとは思うが、、、、、。

まぁ、見た目のことは今は置いといて。

ってか、こんなこと考えてしまうのも全ての元凶は、僕の傘を盗っていったやつだ。

本当にむかつく。神様よ~。罰を与えてくれませんかね?

ついでに小田君も。

はぁ、雨のせいもあってか、体はもちろんのことだが心も冷えて仕方ない。

誰だってそうかもしれないが、一回卑屈になるとそこから正常な状態に自分を戻すのには時間がかかる。

とは言っても、こんな姿で家に帰って家族を不愉快な気持ちにさせてしまうのも良くないし、、、。

取り敢えず、いつものスーパーで雨宿りついでに買い物でもしますか。

どこのどいつか分からないけど覚えとけよ傘泥棒め、許さないからなー。





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