73話〜十束友斗と十束友奈〜
フォルネイア・中央森林。
「っと、ここが例の世界、か」
「そのようですね」
「大丈夫か?ユウナ」
「問題無いかと。お兄様は?」
「こっちも大丈夫だ。あの女神やりやがったな」
「やりやがった、とは?」
試しに能力で性別を変える。
「成り行きで獲得した性転換スキルですね」
「あの女神物理パラメーターを男に、魔法パラメーターを女に重点的に振り分けやがった。武器に力を付与する分には問題無いけど。こっちはこっちで別の魔法を振り分けてるし」
「お姉様になってみてもらえます?」
「まあいいけど」
まあどっかで試すんだ。今でもいいだろ。
「ふむ、悪くはない。魔力の量や質が違うな。当然筋力が落ちるが。で、ついでに持たされた魔法、白かよ」
色々調べているとユウナが胸にダイブしてくる。
「何故お姉様は」
「やめて」
とりあえず頭を撫でる。
「さてと、問題はここからどうするかだ。とりあえず戻るぞ」
「…はい」
能力を解く。
「選択肢としてあり得るのは、僕達より先にこっちに来てるみかんらを探すか一緒に来たるーやみかん妹達と合流するか」
「吹雪さん達を探すのが賢明かと。皆さんそっち向かうでしょうし最終的に揃うかと」
「んじゃ、その方針で。はぁ、どっかの街入るまでやっぱ女でいてやる。幾分気が楽だからな。兄妹と言えど」
「あはは…」
とりあえず歩き始める。
「つってもだ。当ても無いしまずは河川なり食料なりを探す事になる訳だが」
「そうですよね」
「一応僕の女の方のスキルで物質分析がある。これで調べられる。男の方は戦闘特化らしいが、女の方は生活系のを使えるらしい」
「パラメーターを意図的に両方使うように振り分けられている可能性が」
「…はあ。ジュンはそのうち〆る」
「ほ、ほどほどに」
まあ今アイツらを探す術は無い。結局みかんと合流するのが最善だろう。他の奴らもみかんの存在は認知し、そこに向かう判断する筈だ。その時にアイツも来る。
「…さてと、現在位置が分からないのはさほど問題じゃない。問題は適正レベル以下の難易度のエリアかどうかだ」
「…無知の状態でラスダンレベルのエリアとかたまったものではないですね」
「懸念してるのはそこなんですよね」
「だってさ、この状態でドラゴンとかエンカしてみなよ。死ぬぞ?」
「確かにそれはそうかもしれませんが」
あ、何かフラグ立った気が。何で自分でフラグ立てたし。まあ立てたフラグはどうしようもないし運命に身を委ねるしかない。
その頃…。フブキの街。
「どしたん?氷ねーちゃん?」
「誰かがあたしを呼んでる?」
「みーちゃんじゃないなら気のせいだろ?テレパスとかじゃなけりゃ」
「あはは、そうだよね」
「っとそうだ、今日は狩猟自体は休みなんだが悪いけどあの川の上流攻めたいから連れてってくんね?」
「はいよ!あ、ご飯のあとね」
森の中。
「何か寒気が」
「その身体になって冷え性を獲得したんですかね?」
「何でマイナス体質付けるんだよ。ってかざっくりファンタジーの世界ならどこまで空想が現実になってるか気にはなる」
「まあそうですね」
何かいる。と言うより囲まれてね?やばくね?
「ユウナ、囲まれた」
「らしいですね」
「単体だとそこまで大きな力のようには感じられないが数が多すぎる」
「ふみ?」
「ふみ?ちっちゃい黒猫?」
(猫ではないんですけどね。フェルパーにしてフーミットをご存知ないとは町からの者ですかな?)
「いやえっと。別の世界から知り合い追っかけてこの世界に来たと言うか。ってか言葉通じるのか」
(そう言えば森の大都市に別の世界から転生した領主がいるとか。あの辺りのフーミットは領主の魔力を受けて我々には敵わないので向かう事は無かったですが)
この生物はフーミットと言うらしい。
「そうなると森の大都市に向かうのは難しいか」
「そのようですね。まだこの世界についての知識も無いので」
「ただそこが一番怪しいんだよな。アイツらが死んで半年くらいだし、相応に強くなってておかしくない」
(向かうのであればお供致します。これも何かの縁)
「いやいや、いいの?君達は自由なんだよ?」
(問題ありません。私にも興味があります。我々は貴方方の使い魔となりましょう)
「分かった。僕が契約する」
魔法陣が出るのでそれに触れる。
(もしよろしければ、名を頂ければ)
「ユウリだ」
(有難き幸せ)
ユウリの魔力が満ち溢れ、姿を形成し、少女の姿になる。
「うっそでしょ?」
正直ユウリの性別はなんとなく声質?で察したが、こんなあっさり強化されるかね?
「フェルパーの強大な力を取り込んで進化するとは。すごいですね〜。主様。人化の魔法まで習得出来ちゃいました」
「とりあえず何処かで一度体勢を立て直す。ってかまあ仕方ないっちゃ仕方ないがユウリがすっぽんぽんだしそれもなんとかせねば」
「うふふ、人型の時の服は確かになんとかしたいですね」
「でもここから近くに街なんて他に…」
「とりあえずその辺り歩いてると盗賊の類が見つかるかと思いますので」
「え、そっち系?」
「よくある話ですよ?」
とりあえず男の姿になる。
「変わった力を持ってるんですね」
「成り行きでね。それはまあ置いといて、やっぱ回り道か今行ってなんとかなるレベルではない気配の何かが、化け物の群れだな」
なんとなく、気配がある。
「なんか気配が」
後ろだ。
「残念だったな」
持ってた剣で防ぐ。
「抜けた顔した馬鹿かと思ったら。違ったようだな」
女のフェルパーのようだ。ユウリと体型は近いが少し大きいかもしれない。
「なんの用だ?」
「持ってるもの置いてここを去りなさい。そうすれば命は助けてやる」
「断る」
すると剣で斬りかかって来るが見切れる。殺すか?やらなきゃやられるんだ。殺せるかどうかじゃない。
「器を磨く聖なる力よ、己の刃に力を宿せ、エンチャント!」
剣に魔法を付与する。最初から使い方を知ってた魔法。これで剣に力が宿ったのが分かる。身体能力はこの際このまま押し切る。こっちが男で向こうが女なら可能性は十分ある。
向こうはやたら剣を振ってくる。疾いが問題無く捌けるな。このくらいなら。
女の剣を弾き飛ばし、腹を貫く。よろけたところをトドメを刺す。
「ユウリ、いけそう?」
「問題無いかと」
死体から服を剥ぎ取る。そして着る。
「それ、変身解いても大丈夫なの?」
「問題ありません」
フーミット形態、人形態を行き来しても問題無さそう。
「とりあえず寝床だけ探すか」




