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異世界転生幼女の英雄譚  作者: ひょうか.みかん
第6章〜小鳥遊優と雪国の巨獣と天使(エンジェル)〜
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68話〜雪国の巨獣〜

 とりあえず、やべーのがいる近くまでは来れた。途中ドラゴンと戦ったが。まあ勝利。

 問題はドラゴンの比じゃないレベルのサイズである事。とりあえず最低限の回復は済ませたが、正直勝算は無い。

「アレか」

「そうですね」

 イエティマンモス。大型トラックよりは少なからずでかい。下手な倒し方して潰されれば死ぬ。なんなら牙だけで俺より遥かにでかい。

「大き…すぎるよ…あんなの…どうやって」

「みーちゃんネタやめい」

「アレだけデカイとまあネタにも走りたくなるよ。ってか剣刺しても皮下脂肪を貫けない可能性があるなリーチ的に」

「マジかよ。ガチであんなのどうやって状態じゃねーか」

「脚を潰したいが近接だと腱まで斬れるか怪しいな。高火力長射魔法を使う。もももはイマジンアートで撹乱も兼ねて攻撃してくれ」

「はいよ!雪原だろうが関係無いね。蝙蝠だ!」

 大量の魔力の蝙蝠を作り出す。そいつらがマンモスの周囲を飛んで攻撃と撹乱を分担する。が、攻撃は当然通っているように見えない。撹乱としては上手くいってるようだしよしとしよう。

「みーちゃん何か失礼な事考えてね?」

「打点不足なのは仕方ないと」

「みーちゃんの魔法がぶっ壊れなんだよなぁ」

 ゆーがイグニスソードを2人分付与して切り込んでるが、まーダメージが入ってねえ。

 神剣でもリーチはカバー出来るわけじゃない。致命傷、出血過多を剣で持っていくには限界があると見た。

 魔法でブチ抜くとして、エクスプロージョン。雪崩を起こす危険がある。氷は無理だろ。風、いや光だな。一撃で仕留めきれんな。多分届かんが打点としては一番高い。矢じゃ無理だ。やれることは全部やるっきゃない。

「行くよ、ロマン系魔法だ。ぶっ放してあげるよ。星の光よ、浄化の光と万物を貫く弾となれ、ミーティアストライク!」

 星の魔力弾を数十発巨体にブチ込む。苦しんでる様子を見る限り効いてるようだ。が。

「これでも落とせんとなるとまあまあやべーな」

「みーちゃんの火力やっぱバグってるわ」

「倒せてないんだけどなー」

「みーちゃん、結構ガチだよな!?あの魔法」

「星落とし系は火力出るからな。安全に使える範囲では上位の打点だが」

「今いないみかんちゃん相手にも冷気の星使ってたし」

「攻撃魔法の中じゃかなり高いランクの魔法だが、これでダメだし心折れそうだわ」

「みーちゃんが心折れたらどうすんだよ」

「あのなあ、魔法ってのは使えば単純にMPが減るって訳じゃないんだ。精神的負担はもちろん、身体的負担もある。他人に魔法を使うのにもな。自分のはともかく、他人の身体や精神まで考慮する余裕はない。出来るのは、信じて出来ると仮定する事くらいだ」

「まあうちらのブレインやる以上逃れられない定めか」

 巨獣が深く息を吸い込む。間違いない。氷ブレスだ。

「レンレン!ゆー!氷ブレスが来るぞ!」

「がってん!」

「分かりました!」

 対吹雪結界を張るがレンレン達の近くまで張る。アレは魔法じゃない、ただのブレス。

 予想通りブレスを吐いてくる。数秒で吹雪が止んだが。

「結構ヤバいな」

「結構しんどいぞ。こいつ倒すまで魔力持たせられるか怪しい。ケチってると決定力に欠ける。かと言って有効打打ち込むには相応の魔力がいる」

「みーちゃん、結界は最小限でいい。少なからず俺は要らねえ」

「私も耐えます」

「言ってくれるのは助かるが、どうしたものか。ミーティアストライク以上の火力と周囲の安全の両立なんて相当難しいんだからな?」

「周囲の安全。通りでエクスプロージョンぶっぱしない訳で」

「出来るか!雪崩とか崩落とか起こしたら討伐の可否関係無く死ぬからな!?」

「まあ、そうなりますよね」

「じゃあどうすんだよ〜」

「心臓か脳を潰すのが賢明か」

「心臓まで届くのか?」

「アイツに魔法抵抗は無い。実体の無い抵抗の小さく貫通力のある魔法。光の系統変化や形態変化をしない魔法。僕は剣士じゃない。魔法使いだ。星落としなんかよりとんでもない光の魔法。1つ賭けに出る。これで負ければ皆で仲良くもう一度あの世だ」

「まあそうなるのは仕方ないっちゃ仕方ないか。どうする?」

「残りの魔力ギリギリまで攻撃魔法に当てる。結界の維持も切る。あとはお前らの回復をするくらいは残しとくさ。帰る余力はまあ無いだろ。生命維持は自力でやる」

「…信じてっぞ。みーちゃん。ゆー、ももも、詠唱の時間を稼ぐぞ!」

「分かりました」

「みーちゃんらしからぬ手段だがそのレベルと言う事か。じゃ、やれるとこまでやるっきゃない!」

「ふぅ、やるぞ!天の浄化の力の光、形成するのは聖なる矢、魔の力は裁きの力となり、万物を貫く光の矢となれブライトジャッジメントアロー!」

 今打てる最大打点と判断した魔法。貫通力特化の光魔法。ほぼ魔力持っていかれた。正面から入って後ろに抜けたのが見えた。透視で心臓を貫いたのも確認出来てる。

 巨獣はその場で体勢を崩し、動かなくなる。

「マジかよ」

 変な笑いが込み上げてくる。

「あははははは…。疲れた」

「マジかよ」

 自分以外がフリーズしてる。

「もうむりぃ、バラしといて」

「マジで?」

「マジかよ」

「下山する前に間食くらい作るから」

「がってん!」

「レンレンチョロいな」

 数時間後。解体終えてひとまず、近くの洞穴。

「とりあえずスープと余ったゆきうさぎついでに焼いてみた」

「流石みーちゃん」

「これは香辛料でしょうか?」

「そうそう。幾つかマシュに分けて貰ってて」

「うめえ」

「わたげうさぎは乳製品あればよかったんだけどな」

「シチューいいですね」

「無いもんは仕方ない」

「で、サタンハートと」

「トマトの1割の価格で生食に向かないだけと言うお得仕様」

「研究所でトマト作ってんならそっち持ってこいよ」

「トマトあるのかよ」

「あるぞ。煮込んだら味大差ねえしいいだろ」

「それはそうかもしれんが」

「この世界のトマトは食べた事無いですね」

「俺の食事には出てるな。家臣で食べてることは無いらしいが」

「流石姫」

「姫ではない」

「姫だろ。この世界のトマトを普通に食してる輩が姫を否定するのは認めない」

「ああ、そう」

「ところで魔力切れてても身体動くのな」

「ギリギリの魔力でパペッター使う要領で自分の身体動かしてんだよ。あと身体からじゃなくて外から取り込むマナも身体動かすのに回してるから。魔力ポーションあるけど今飲む気にはなれんし」

「…ならないんですね」

 ぶっちゃけトイレの心配はしてない。マシュが用意したものだから味も普通にいいけど純粋に物を口にする気がない。食べるだけでなく飲むのも。スープに多少自分のには薄めて入れるが、そもそも量は少なめ。

「下山する体力は回復したか?」

「体力はあるし魔力もそこそこだが、転移は無理だな。立って歩くくらいは出来る。魔法で」

 そう言うとゆーが身体を触り始める。

「おい何してる」

「みかんさんの魔法がすごいなと。私、魔法剣以外ほとんど使わないので」

「パペッターは何故か初期から使えたからな。結構使い方模索するのが楽しい魔法ではあるが」

「人形を操る魔法とか可愛い魔法というか」

「そんな事無いんだよな」

「え?」

「短剣や刀で殺した輩を操って盾にしたりするのが一番使える多数戦向け魔法だし」

「え〜?」

 食後。

「んじゃ、戻るか。多分今がチャンスだ」

「はいよ。歩けるのか?」

「ギリギリな。ただ戦闘に使う魔力は残ってないから残りは何かあった時の回復とかに充てる戦闘は任せる」

 下山。

「大したことは無かったな」

「無いなら無いでいいんだよ」

「お帰り。皆、お疲れ様」

「フブキさん元気無いですね」

「得体の知れない巨獣ブチ抜くのにほとんどの魔力使ったからな」

「フブキちゃんの魔力でほとんどって言うのはめちゃくちゃね。それなのに雪山と言う不安定な状況で的確に魔物だけにダメージを与えるとは」

「流石フブキと言ったところか」

「ガルドも無茶させるわね。あのレベルの魔物はまだ早いでしょ」

「遅かれ早かれやる事だ。それにあのレベルは1人で倒せるようになってもらう必要がある。それ以上のやつを1人で複数体やれるくらいにはな」

 巨獣、1人で倒せるようになってもらう、それ以上を複数体。

「確かディザスタージャイアント」

「フブキは察したか。そうだ。最終的にはディザスタージャイアントを1人数体相手に出来るようになってもらう」

「ディザスタージャイアントってなんぞ?」

「人工的に生み出されたこの世界最強の巨人らしい。師匠が数体まとめて自爆で吹っ飛ばしたらしい。それをソロ討伐出来るようになるって」

「マジか」

「いくらなんでも無理だろ死神」

「今のままだとな。さてと、俺が一番面倒見てるのがフブキだからこの中だとフブキの実力が一番把握しやすい。ユウとの戦い、それとイエティマンモスでの戦いを見た上で現時点で勝てるかどうかの際どいランクの課題。そうだな、アイリスに勝って見せろ。今のお前には勝てる可能性があるように見て取れる」

「そんな無茶苦茶な、いくら何でも無理ですよ」

「最低限のハンデはある」

「あたしハンデすんの!?」

「難しい話じゃない。天界の素材の防具と魔法回路の防具は使うな。天界魔法やその類、分身の重複詠唱はお前の匙加減で決めろ」

「天界魔法…使うわ。フブキちゃんの転生に神が携わっている。つまりフブキちゃんの才能ならそれを習得し得る。フブキちゃんが戦いの中で学べるならあたしは力を出し惜しみ何かしたりしない。無論フブキちゃんはみくびってないし、あたしが負ける可能性を考慮してる。あたしの出来る事はする」

「分かりました。明後日でお願いします。こっちも準備するんで。あと、それまで教会に泊まらせてください」

「ええ」

「分かった。ユウの隣の部屋を使うといい。少し掃除をする必要はあるが、あと寝具は運び込ませよう」

「ありがとうございます」

「食事は家の方に来るといい。んじゃ、そんだけだ」

「あ、はい」

 行ってしまった。まあこれから戦う人の家で戦いの準備なんざ出来ん。

「レンレンは来んなよ?」

「わーったよ」

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