66話〜抜け穴〜
教会。
「行きます!万物を焼き払う業火よ、我が剣に纏いて全てを斬り裂け、イグニスソード!」
「来たか。万物を凍てつかせる吹雪よ、我が剣に纏い全てを斬り裂け、シルバーブリザードブレード!」
イグニスソードを受ける。一発脇腹を掠ったが、それはダメージはほぼ無い。魔法剣の中でもシルバーブリザードブレードはイグニスソードより位階が下。魔法剣でも勇者の剣、魔剣、聖剣、英雄剣、神剣があるが、これは魔法剣の中で中位の魔法剣。イグニスソードは上位。本来は負ける。
実際打ち合って互角。互角じゃ駄目だ。やるっきゃないか。
「まさか互角の魔法剣を扱えるとは」
「質が互角なだけだ。そいつの位階は下だ。お前をみくびっていたようだ。どうやらいけるとこいかねば勝たせてくれんらしいからな。これで決める、フォルネイアの地の底に伝わる禍の剣、王国の闇の高貴なる剣は光を喰らう魔剣『キングダムソード・フォルネイア』」
ドス黒い魔力が剣に定着する。これなら勝てる!一撃しかいけないが。
「もらったぁああああああああああ!!」
「させません!」
イグニスソードを付与した剣をぶった斬り、その隙に、胸に剣を突き付ける。魔力は切れてるが、勝ちと言っていいだろう。
「俺の勝ちだ。今度こそ」
「ふぅ、私の負けですね」
折れた剣を地面に落とし、両手を上げる。
「あっぶね。もう魔力もそこまで残ってないし、流石に集中力も限界だった」
「色々尋ねたい事があるんですが」
「それなら早くローブを脱げ」
「分かりました」
ローブを脱いで見せる。
「何となくかつての面影を感じるな。ユウ・タカナシ」
「やはりフブキさんには敵いませんね」
「シクサリスでお前の都合であの状況で形式的な降参はまだ許した訳じゃないからな?」
「…あははは、はい」
「ったく。で、何が気になるんだ?」
「まず脇腹に掠った筈なんですが、流血してませんよね?」
「…ああ、まあ脱いでいいか」
とりあえず防寒具とトップスを脱ぐ。魔法使ってるし脱いでも寒くはないし。
「…何故脱ぐんで…魔法回路のキャミソール」
「一応物理防御の魔法回路をこいつに仕込んであったんでな。ちなみに下に着けてるブラで寒さ対策取ってる。魔法回路の防具を仕込んでくるなとは聞いてないもんでな。武器にも仕込ませてもらったが」
「見事に抜け穴突いてきましたね。流石というか」
とりあえず服を着る。
「まあ試作品だがちゃんと効いてるし。痛いのは痛いが」
「えっと、自分で?」
「ああ。スキル持ってたが勉強しだしたのが最近でな。試しに色々作った」
「次に、干渉魔法があれ程の性能を持っていた事についてですが」
「あ〜、ネタバレしていいのか?これ」
とりあえず師匠にテレパスを飛ばす。
今ちょっといいですか?
(どうした?)
ユウと戦って終わったんですが、魔力定着の話ってしていいんですかね?
(構わんぞ)
あ、はい。
「していいっぽいからネタバレすると干渉魔法を始めとした物質等に作用する魔法には定着率って言う隠しパラメータみたいなのがあってこれが高いほど、その魔法の効果が上がるらしい。普通だと高くても6割くらいのを8割は維持できるようになった、氷の系統は9割以上出来る」
「最後なんですが、あの魔剣については?」
「ああ、それは後で説明する。師匠、ガルドさんにもそれについては十中八九問われるだろうし。あの人この町にいる筈だんだけど、どこいるの?」
「案内しますね」
「ゲッカさんも来て下さいね」
「はーい」
「面白そうだしボクも行くよ。レンレンは?」
「暇だからその辺歩いてくる」
クロウの家。
「来たかお前ら」
「こちらが私がお世話になってるクロウさんです」
「あ〜。殺し屋の」
「今はこいつがぶん投げた仕事くらいしかしていないが」
「フブキさんなら暗号文読んでくれると思いましたよ」
「あれ、英語だから許したけど、他の言語だったら容赦無くぶん殴ってたが」
「よ、良かったです」
「師匠、こちら、モモ・モチヅキで、ミカン・アンドウ、ナナノ大陸にいた同じ世界の転生者でこちらが一応依代を与えたのでゲッカと言う名を使って頂いてますが、イマシメ・ヤトナさんと言うかつてナナノ大陸を恐怖に陥れたらしい盗賊さんです」
「ほう、イマシメ・ヤトナか。各地の武器を多く盗んだ盗賊の長か。あのケット・シーの爺さんは光の魔力、だとするとお前があの魔剣を教えたのはほぼ必然となるが、お前は何故その魔剣を使える?」
「これだよ。『魔剣の書レイ・フォルネイア』」
「何故お前がそれを」
「肉体を得てから各地回って盗みやってる時にたまたま見つけたの。魔剣の類は使えるから覚えてみた」
「あっさりと。はぁ。それはフブキに渡しとけ」
「はい、お姉ちゃん」
「あ、はい」
「さてと、お前らに試練を言い渡す。まあユウは知ってるだろうが」
「試練」
「最初はユウとレンとお前だけのつもりだったがそこら辺はてめえで調整しろ。山にイエティマンモスと言う魔物がいる。そいつを討ち取って肉と革と骨と牙を持ってこい。
「となるとエクスプロージョンで塵芥にするのは無理」
「塵芥」
「私は遠慮しておきます」
「って事は俺、レンレン、ももも、ユウか。懐かしいパーティだ」
「とりあえず教会で話したいのですが」
「…そうだな。ゲッカさんだけちょっと連れてくが」
「ほえ?あたし?」
教会。
「ここは私が住まわせてもらっている部屋です」
「で、このねーちゃん連れてきた理由は?」
「もももに使える盾を貸してもらおうかと」
「盾、で、相手がイエティマンモスって言うのは確か古代からいた生物で確か巨大な毛の生えた象で氷のブレスや氷柱で攻撃する魔物だったかしら?」
「はい」
「昔の貴族の護衛が使う盾に氷耐性の奴があったはず。えっと、これね」
ミスリルの盾に魔法回路が刻まれて青い宝石が中央に嵌め込まれている。
「軽い気持ちで言ったら中々にやべえの出てきた」
「そんないい奴?」
「材質がミスリルで魔法回路が高性能でついでに水や氷の耐性を強化する鉱物が中央に嵌ってる。7桁は確実に行くな」
「いやいや、いいのか?」
「まあレンタルだから、手入れはあたしがするし。お姉ちゃんの仲間にはタダで貸し出すし万が一ぶっ壊しても文句は言わないから」
「そ、そうか」
「あたしに盗られる奴が悪い」
「流石盗賊」
「ちなみにゲッカさん連れてきたのはそれくらいしか用は無いんだけど」
「んじゃ、その辺歩いて来ますか」
「あ、はい」
ゲッカさんがログアウトしました。
「で、ここから立ち回りを決めていくが、とりあえず確認したい事がある。ユウは自分と自分以外に同時に魔法剣を発動させて普段と同等の性能を維持出来るか?」
「出来ます」
「となると、レンレンとユウ自身でイグニスソードでダブルアタッカーでいいな。俺はサポに回る」
「んじゃ、ボクがみーちゃんを護るよ」
「まあそんなとこか。後は実戦で細かい判断と分析をして対応する」
「で、どうする?今から行く?」
「明日だ。っとインナー持ってるなら明日使う奴1枚寄越せ。回路やっとく」
「キャミソールでいいですか?」
「構わん」
「これでお願いします」
キャミソールを受け取る。
「っと、今渡しておくか。イズミから剣預かってる」
剣を取り出して渡す。
「これは…イズミさんも流石ですね。頼んで良かったです。今回はこれで行けそうです」
魔法回路を描く。
「えっと、二重構造の魔法回路のやり方はっと。こう」
物理耐性と氷耐性の二重構造。上手くいった。
「こんなもんか」
「すごいですね」
「こんな事も出来るようになるのか」
「これ、割と俺に向いてる能力でこれで干渉魔法を低リスクで強化出来るのもあるし、なんならイマジンアートみたいな実体を生み出す魔法の上から使える事もわかった。ももももスキルとしてもらったから上手くやれば相当強い能力に化ける。まあもももの場合問題はそこじゃないが」
「なんだよ」
「お前言って今までイマジンアートを長射程で使ってたろ?レンレンの戦い見た限り?」
「それがどうかしたか?」
「言ってお前身体が健康なだけで鍛えてないなら微妙だからな?」
「ぎくっ。わかった。ちゃんと鍛えるから」
「まあそれはやっといてもらうとして大体決まったし、解散するか」
「んじゃ、ちょっくら鍛えてくるか」
レンレンが行ってしまった。
「アイリスさんに頼んでお風呂使わせてもらうか」
「教会のお風呂使えますが」
「何で使えるんだよ?」
「クロウさんがそういうの詳しくて復旧させてくれました」
「殺し屋だよなあの人?」
「魔導科学やら錬金術もそこそこ知識があるようで」
「この世界のイケメンは多彩な事で」
「んじゃ、入らせてもらうか」
数分後。
「何故お前らも一緒に来る?」
「面白そうだから?」
「何故疑問型?」
「何かモモさんが」
「ユウも無理しなくていいからな?」
「大丈夫でしゅ」
「噛んでるし」
「まあ俺から何かする事は無いが。お前から何かしてくるなら話は変わるが」
「みーちゃんはそうだよな」
「…」
「どうかしたか?」
「脇腹に傷跡残ってなくて良かったです」
「お前も肩綺麗に治ってんのな」
「あはは」
「これが終わったらどうしたものか」
「アオバさんを探すのでは?」
「あいつは教会側なんだよな。強力してるか監禁されてるか知らんがコックリさんの能力によると」
「何かよろしくない方向に進んでますね」
「やるべき事っつーのもそんな無いしな。この世界で起こっている何か、起こりうる何かの為に鍛えるなり何かするなりか、そろそろ出るか。今日休んで明日イエティマンモスを狩りに行く」
引き続きQ &A募集してます。




