61話〜トゥリナ大陸へ〜
イマシメ・ヤトナを仲間にして数日。
「いっぺん死んでる俺が言うのもなんだがこの亡霊めちゃくちゃ元気だな」
まあ霊魂と転生だとかそう言うのは全くと言っていい程別ものだが。
「いやーお姉ちゃん飲み込み早い!すごいわ!魔剣を習得出来るなんて!しかも光と闇、両方使えるとか!」
イマシメ・ヤトナ改め、ゲッカ。生前の名を依代に使わせるわけにはいかないので名付けた魔剣を使う元盗賊。ヤバいやつらしい。
「そう言えば魔法剣以外の魔法って何使えるんですか?」
「まあ盗みやる為に工作魔法やもちろん基礎の干渉魔法も使えるし。他の武器魔法も当然いけるよ。でも言ってそう言う類ばっかりで実は攻撃魔法は使えないと言うかわざわざ習得してないと言うか。合わなくて」
「まあ得意不得意はありますよそりゃ」
「世の中そーゆーふうに出来てるのなんか納得行かないわ。さてと行くわよ!」
お風呂。
「あー気持ちいいわー。あのエロジジイが基礎作ってくれたお陰で習得早いしそもそもお姉ちゃん飲み込み早いし。生身の身体も有難い」
「もうちょい上手く憑依を扱える人がいればいいんですけど」
一応霊になる事は出来る様にしてある。本人からは無理だが。
「戦術の差なのかしら。お姉ちゃんが一番噛み合ってる気がするけど、今だと」
「闇の魔力持っててある程度力や機動力がある。まあそうなるのか」
ノーラちゃん、イズミは光。闇で剣を使うとなると両方持ってる俺やレンレン、ヒイロになるが、俺以外は圧倒的なパワータイプだ。まあ方向性的には俺になる。
「まあここまでやっとけば大丈夫か」
「何が?」
「何か成り行きで世間でやりたい放題やってるアサシン様とタイマンするみたいな話」
「次はまあ大丈夫でしょ」
「まあやるだけやったので。どこまで通用するか」
「トゥリナ大陸かぁ。あそこめちゃくちゃ寒いのよね」
「ノーラちゃんが寒いの弱いみたいだし、代わりに前衛にゲッカさんに来ていただきますか」
「まあフェルパーの系譜が寒さに弱いのはそうだし。あのドラゴンは行くとして、キツネの子達は大丈夫なはずよ」
「砂漠の奥の山から来るような方々なんですが!?」
「色んなところに分散していってるのよ」
「んじゃとりあえず編成まとめますか」
「ごっはんーごっはんー」
朝食後。
「で、この暗号文によると成り行きでトゥリナ大陸に行く事になったわけだけど」
「これ、キーボード暗号だっけ?わざわざ覚えてないから読めないけど」
「何故分かる」
「平仮名で書いてあってまあキーボード暗号なら文型が近そうだし」
「ああ、そう」
「んで、ノーラちゃんが寒いの駄目なんだよね」
「申し訳ございません、それだけはどうしようもなく」
「それは仕方ない。もふもふチャージしていくか」
「うっ、はい」
「で、誰連れてくの?」
「コンとレンレンとマシュとヒルダとゲッカさんは確定なんだけど、あともももかなぁ」
「ちょっと待ってね〜」
ゲッカさんがログアウトしました。
ゲッカさんがログインしました。
「ノーラちゃん、この子ね?」
「はい、アカツキさん」
狐の獣人族の女性、ノーラちゃんより年下かな。
「大丈夫です。彼女の実力は私が保証します」
「大丈夫だよ。ノーラちゃんは信頼してるから」
アカツキ、基本形態。得意魔法、干渉魔法など。
「一応、時間ある限りあたしが鍛えておくわ。基本形態でも十分戦えるくらいには。まあ任せてよ、お姉ちゃん」
「あっ、はい」
数日後。
「よーし、こんなもんでいけるでしょ!アカツキちゃんもレンちゃんやヒイロ君、ノーラちゃん、までとは言わないけどその次くらいには仕上がってるわ!」
「早くない?」
数分後。
「メンバー揃ってるわね」
「あ、フブキ!」
「どした?イズミ」
「かなちゃんに会うならこれ、渡してくれる?お金は貰ってるから」
剣だ。鞘に入ってるからわざわざ抜くまではしないけど。
「分かった。いい剣や刀使わせてもらってるしこんくらい、土産食べ物でいいか?」
「それは任せるよ。別に求める訳じゃないし」
「しっかし、アレも相変わらず抜けてるというか、頼んで忘れてんじゃね?取りに来ないって事は」
「俺らと会う前に完成してたんじゃ」
「してたね」
「ま、それはいい。渡すか。普段から色々やってくれてるし」
「んじゃ、行きましょうか!トゥリナ大陸へ!」
トゥリナ大陸・スノーフォーエルン周辺平野。
「さっぶここ」
「アレだなバナナで釘が打てるんじゃ」
「なにそれ?」
「そう言うネタなんで気にしなくていいかと」
「とりあえずスノーフォーエルンで準備しましょ」
「何で直で飛ばねーの!?」
「結界に護られてるのよ。ノエルには教会があって魔法干渉を防ぐ結界が。数百年解き方もわかってないらしいわ。歩いて行くしかないのよ。空飛ぶにも寒すぎる」
「ちなみにどのくらいかかるの?」
「吹雪いてなけりゃ半日くらいね。真っ直ぐ雪道を歩くだけ。オオカミとかブリザードって言う魔物が出てきたりする事もあるけど」
「ブリザードとは?」
「下位の氷竜種だよ、レンちゃん!」
「モノホンの氷のドラゴンが、ドラゴン形態見た記憶無いけど」
「蒼い綺麗なドラゴンで、すごいカッコ良かった記憶がある」
「みーちゃんは見てんのか」
「元々森でボロボロになってるとこをなんとか干渉魔法で無理矢理治療して、ご飯多少捕ってきたら、化け猫の戦いの時に上から人型で降ってきた。あと実際に竜形態になったのは町にサクヤが来た時と砂漠で町に依頼出しに行った時くらいだな。人形態でも技スペック自体はほとんど変わらんらしいし。飛行能力と身体能力くらいらしい」
すると鱗が凍った大きなトカゲが出てくる。
「おー、言ってたら出てきた」
「トカゲってよりはアレか?コモドドラゴンとかワニとか」
「そのくらいはあるよな」
「面白そうだな。俺が行く」
ブリザードは尻尾を振って尖った氷の鱗を飛ばしてくる。
「うらっ!」
鱗を弾き飛ばす。効かないのを理解すると氷のブレスを吐いてくる。レンレンはそれをモノともせずぶった斬って仕留める。
「こいつは食えるか?」
「相変わらずレンレンはそこなのな」
「食べられなくは無いけど、処理がここじゃ出来ないのよね」
「それはしゃーない」
「こんなすぐにブリザードを見る事になるなんて」
「何か変な事が」
「生態系の変化、それが俺らがこの世界に転生する前後から起こっているとすると」
「可能性はあるわね」
「ブリザードならこの刀で」
ゲッカさんが刀を召喚する。
「それはどう言う刀で?」
「エドゥの有名な侍仕留めてそのまま持ってきた奴ね。結構強力な魔法回路刻んであるよ。もう何百年も前の話だけど。生前勝ち取ったやつだから」
「流石盗賊」
「まあ数え切れない武器や宝をアイテムストレージに管理してるわ」
「でしょうね」
「魔導書は?」
「あるにはあるわね。少ないけど。そこまで魔法に興味あった訳じゃないし。お姉ちゃんにはこれを」
「『エリス・フォルネイア その二』、『マリー・フォルネイア錬金術書』あと何冊かあるけどこの辺はあたしが死んだあとのやつね」
「姓が同じ。この世界では姓を持たない者も多くいる中でこれは」
「エリスとマリー、どこかで聞いた事がある気がするけど思い出せないわ」
「多分うちで見た事無いはずですけど」
「多分フブキちゃん達が来る前だと思うけど」
「ちょっと調べてみたけど、フォルネイアって姓、つまり一族や家系にあたる存在は今は無いわ。かつて1人の魔法使いによって滅ぼされた王家の姓。4姉弟がいて、それの姉と妹がその2人、男性2人の記録は結構探したけど見つからなかった」
「その件は謎が多過ぎるのよ。上から2番目に来る長男の死体が見つかっていない。王国騎士、兵、全ての王国軍の死に違和感がある。王国は攻められたのでは無く、まるで、1人が反乱を起こして1人で全て葬り去った誰がやったか不明」
「その王国の国力、軍事力は?」
「周辺国家なら確か最強格だったと思うわ。でも、夜襲ってのもあって不意を突かれたにしても」
「あたしの死んでる間にとんでもない事になってるわね。戦争はあんま興味無いけど。人を斬るのは物が欲しいだけだし」
「流石盗賊」
「まあ同世代にはリャッペンとかいるし」
誰だリャッペン。
「リャッペンはオルナシアの方が主な活動域の盗っ人ね」
「そのうちそいつも亡霊になってどっかで出てきたりしてな」
「フラグ立てんなレンレン」
「ってかそもそもゲッカのねーちゃんは人の身体乗っ取ってんな事してたんだ?」
「あのジジイの気配を感じたのよ。神になってるとは思わなかったけど。で刀一本盗んでくれば向かって来るって思ってたから。また負けるとは思わなかったけど」
ですよねー。
「っと」
弓を召喚する。
「ちょっと行ってくるわ。すぐ戻れると思う」
返事をする前に行ってしまう。そして10分もしないうちに戻ってくる。
「ウサギが大量」
「雪うさぎだったかしら。それ、煮込むと美味しいのよね。家着いたら作るわ」
「そう言えばあの暗号文にもそんな事が、どうでもいいと判断したので省きましたが」
「割とあの暗殺者って言う子、根は真面目なのね。フブキちゃんを攻撃した意図は」
「多分興味本位くらいかと。頭は悪くないですが深く考える人でもないので」
「そうなのね。っとアレが、スノーフォーエルンよ」
指差した先に見えるのは大きな都市。雪国の都市・スノーフォーエルン。




