60話〜古の亡霊・ヤトナ〜
翌夜・ヨシノ城。
「で、大体の場所は聞いてこれから攻め込むよ!洞穴の拠点らしいから今回はアイちゃんは待機かな。攻撃魔法危ない」
「そうね。分かったわ」
「っと、オウカさんは来るとして、俺、ノーラちゃん、ノアールさん、コンちゃんで…」
「失礼します。イズミ様がフブキ様に用があると」
「イズミが?入れて」
「はい」
「間に合って良かったよ。これから戦いが始まるんでしょ?今までで一番の自信作だがら、フブキが役立てて、折っても文句は言わないから」
脇差を受け取る。少し見るとその刀の良さが分かる。
「マジかよ。相変わらず物作りの才能はとんでもないな」
「んじゃ、僕はもうそろそろらしいし話して帰る支度してくるよ」
「ああ」
「この刀、回路は無いけど出来はものすごい」
「イズミには次作るやつは回路入れないようにって頼んだので」
「へ?」
「イズミも魔法回路や魔術回路を入れる力はあるみたいですけど、刀を頼んだ時は丁度魔法回路の勉強をしてたので自分でやろうと」
「それ結構凄い事だからね?一応」
魔力回路のスキルはかなり凄いらしい。魔法回路や魔術回路は大体理解出来ているので、とりあえず消せる使い捨てのような回路を入れる。
「すげえしっくりくる」
「しかも魔法回路の質もめちゃくちゃすごいんだけど」
「あたしとアステルが教えた…んだけど、フブキちゃん賢いと言うか優秀過ぎるから」
「そもそも自分の頭が魔法回路の構造を理解するのが向いていたのかもしれないですね」
「よく分からないけど有り得そう」
「待たせたな!」
「もももとみかん。何しに?」
「ボク達も戦うぜ!」
「お前ら人殺せんの?」
「最悪剣振るけど、魔法スペック的にゃそんな火力多分出ないから支援に回る。イマジンアートは何かと便利だからな!」
「ほんっといい魔法使うわね」
「コックリさんに丸投げしますので」
「いやいや、そう言う問題?」
「気付いたら終わってるらしいです!」
マジかよ。
「意識とか記憶に影響出るのやばいな。そう言えば、ももも、イマジンアートの維持時間はどんなもんだ?」
「加減にもよるが、戦い終わるまでのを作ろうと思えば作れるよ」
「とりあえずそこまでのとは言わんが適当に何か武器を作ってみてくれ」
「はいよ」
剣を作ってみせる。それを手に取って回路を描いてみると普通に描ける。
「マジかよ」
「マジかよ」
お互いに驚く。
「これアリだな。イマジンアートか、終わったら覚えてみるか」
「協力するぜ」
「とりあえずついでに1つ聞きたいんだが、内部が複雑なモノって作れるのか?」
「自分が理解出来る範囲なら。まあ理解出来てなくても道具の能力がしっかり実現可能ならハリボテでも使えるらしい」
「ブッ壊れ魔法だな」
色々話して。
山。
「この辺りだね〜」
「とりあえず生きて帰ってきたらなんとかするから」
「この天使のお姉さんまじですか」
「らしい。レンレンの能力でボロボロになった身体を問題なく回復させてるし、なんなら悪霊に憑かれた俺も目覚めたら問題無かったし」
「あの剣士は神様だけどまあ悪霊でも問題無いでしょ」
洞穴発見。他に通じる場所は感知で探ったけど無さそうだし、行くしか無いか。
「私が前に出ます」
「あたしが続くわ。トウカ様がいればもっと楽だけど」
「トウカって?」
「あたし達のかつてのディアボロスの集落の長の妹で感知の類はあたし達の中ではトップよ」
「それなんだけど、自分が干渉主体の感知っていうのもあってか俺よりもトウカのが感知の質は上だな」
「操波魔法や結界魔法、干渉魔法なんかで感知は出来てそれぞれ全くの別物だから色々勉強してるフブキ様が」
「いきなりだな。一番理屈から分かりやすいのは操波魔法か。ちょうどいい例えがあるからな」
「例え?」
「イルカや蝙蝠って人間に聞こえない音を発してその反射で周囲を探るのは知ってるか?」
「潜水艦のやってる奴だっけ?」
「ああ。音と言う波をぶつけて反射したものから情報を得るのが操波魔法の感知。大体そう言う奴だ。で、結界っていうのはザックリだが、コンパスで円を描いたら円の面積分の情報が得られる。魔力の壁が、条件に合った接触、内包したものを拾うんだ。干渉魔法は魔力そのものに触覚がついて当ったら感触で拾う」
「なるほど」
「すげー分かりやすい」
「この世界の物で無い物で分かりやすい比喩で伝えるとは」
「むしろ無い物で例える方がこいつらは多分理解しやすい」
「それは確かに」
「っと、くるぞ。10人程度」
「ここは私にお任せ下さい」
「了解」
そう言うとウインドアドを刀に付与する。そしてタンッと言う音と共に消え、悉く斬り伏せる。
「え?みーちゃんの家臣ちゃんヤバくね?」
「ウインドブーツ無しで俺のウインドブーツ込みと互角だからな。俺みたいに遊んでないから更に疾い。ついでに無駄も無い」
「やべぇ」
「…この先にはまだいるようですが」
「一旦下がっていいよ。お疲れ、あとでそいつらの汚れた血を洗い流してあげるから」
「はい」
とりあえず先に進む。と、弓を向けられる。
「ここは私が」
コンが矢を物理結界で防ぐ。
「このねーちゃんマジかよ。防御力やべえ」
「この程度の攻撃なら問題無いわ!」
「なー、これって後ろからボクの攻撃すり抜けて撃てる?」
「行けるわ!」
「んじゃ、攻撃は任せな!」
「合わせよう」
ももものイマジンアートとみかん(コックリさん)の炎魔法で向こうの遠射組を殲滅する。
それを確認して、コンを抱えて奥へ飛ぶ。
「し、死ぬかと思いました」
「まあまあ」
「へえ、面白い子が来たものね」
(変われ、フブキ)
「御主が持っておるのじゃろ?ヤトナ」
「その気配、ノアールを憑けていたとは。あなたの刀、確かに持っているわ。渡すつもりは無いけど」
「もう一度、討ち取る必要があるか、あの刀、借りるぞ」
分かりました。イズミからさっき受け取った刀を召喚する。
「やってみなさい!」
「コン、対霊結界で俺らごと閉じ込めろ!」
「…はい!」
上手くいったようだ。
「…あのディアボロスの魔法使い出来るな」
優秀な家臣なもので。
「今度は勝つわ!あたしの魔法剣は魔剣よ。闇の力よ、夜の月の光を喰らう力を我が剣に宿せ、魔剣『ナイトフォースブレード』」
「なるほど、この身体でもおそらく身体能力は足りておる。それなら、古の剣王の技。我が剣は森の英雄の剣、その剣はマナに満ち溢れ、未来を切り開く、英雄剣『マナ・フォルネイア・レジェンドソード』」
(フブキよ此奴の肉体を斬った後の策はあるんじゃろうな?)
リトルスの能力と他の力を組み合わせれば何とか出来るはずです。
(信用しよう)
とりあえずなのでぶった斬って下さい。
「心得た」
魔剣と英雄剣が激しくぶつかり合う。打開策、突破口、そんなモノは見えん。本来の自分との次元が違う。
「…御主、腕を上げたな」
「その子の身体スペックおかしいでしょ!?」
「それは否定せん。最初にワシが憑依した時はその日のうちに目が覚めておった。魔法使いの回復があったと言えど、それはかなりのもの、さてと、そろそろ決めようぞ、その剣は心、勇気の力よ、無限の力をもたらす神の剣となれ。神剣『インフィニティフォースソード』」
魔剣と神剣がぶつかるが、ヤトナが扱う刀がぶった斬れる。
「んなっ!?」
スキを与えず胴体をぶった斬る。ヤトナの霊魂が見えたので、能力の分身をディアボロスの女で作って魔法を仕込んでリトルスの能力で分身と霊魂を括り付ける。
「ふぅ、疲れた。いたた」
顔に触れると頬が切れてる。傷は浅いからまあいいや。
「また、負けたのね。そう言えばノアールを宿したリトルスのお嬢さん、名は?あたしのことは調べて知ってんでしょ?」
「フブキ・サクライ、あるいはサクライ・フブキ、地域によって順が変わるらしいので、名はフブキです。ヤトナさん」
分身を作ってそっちにノアールさんを入れる。
「刀は返してもらう」
「ええ」
そう言うと、刀を召喚する。
「間違いない」
「ふぅ、コン、結界解いて!」
「はい。お疲れ様です」
「とりあえずこの人連れてくんで」
「あ、はい」
「なるほどね〜。こりゃ無理ね。貴方達と一緒にいるのも面白い事になりそう」
「盗みはさせないので」
「飽きない生活なら盗みなんてやらないわ」
「そうですか、んじゃ行きますか。で、そこで屍になった方々との関係は?」
「現代の山賊を服従させただけよ」
「あ、はい」
とりあえず、外に出る。
「あ、フブキちゃん達…とそのディアボロスは?」
「俺の分身にヤトナさんの魂を括り付けました。まあ簡単な奴ですけど」
「セレスティアとはまた珍しいわね。あ、大丈夫よ、あたしは楽しそうだからお姉ちゃんに付く道を選んだの」
「何故お姉ちゃんになる!?」
「そんくらいの関係性が丁度いいのよ」
「あ、そーですか」
「とりあえずここですべき事は終わったと?」
「山賊のみんなも全員殺されちゃったのよね。致し方無し」
「…フブキちゃん顔怪我してるじゃない!」
「いつの間にか切ってたらしいです」
「ダメでしょ、ちゃんと治さないと」
ヒールをかけてくれてる。
「ありがとうございます」
「フブキちゃん可愛いし町の代表なんだから」
「あ、はい。別に可愛くはないですが」
「ちゃんとそこは否定するのね」
「いや、認めるのは流石にちょっと」
「とりあえず、イズミ君に会いに行って帰りましょうか」
第5章〜安藤蜜柑と望月桃と古の亡霊〜完
5章の終わりです。次に更新する幕間でクリスマスの話を移設します。




