59話〜夜襲〜
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。今週から通常更新(土曜21時)に戻る予定です。
深夜・ヨシノ城。
「…トイレ」
部屋を出る。
「フブキ様?」
「トイレ行ってくる」
「はい」
済ませてその帰り。
「へっ」
何故かレンレンに抱えられて外へ連れ出される。
「…何すんだよてめぇ」
「まあまあ、夜のデート楽しもうぜみーちゃん」
「つっても今やってんのギルドぐらいだろ?」
「ああ、冒険者ギルドへ行く」
冒険者ギルド。
レンレンは一般人が食べる約2食分の料理を食ってる。今何時だと思ってんだこいつ。俺は野菜と魚のスープだけ。美味い。
「うま」
「ここのギルドも中々だな」
「いや、何で夜あんだけ食って今そんだけ食えんだよ?」
「小腹がすいた」
「小腹の量じゃねえ。俺の空腹時の倍以上食いやがって」
「へへへ」
「褒めてねーかんな?」
「わーってるって」
「お前その食い物は腹の中で何が起こってるんだ」
「ガッツリエネルギーになってる」
まあレンレンの場合ガッツリ消費出来てるだろうけど。
食い終わってやがる。
「行くか」
「おう!」
外に出ると違和感を感じ、感知魔法を使う。盗賊か。
「レンレンは人を斬れねえんだよな?」
「ああ」
「とりあえず城に飛ばす。護りながらなんて柄じゃない」
「すまん」
「悪くねえよ。謝んな。オウカさんとアイリスさん起こしとけ」
「任された」
レンレンをテレポートで飛ばす。その後間も無くして盗賊達のルートに突っ込む。
20人程か。全員ヒューマン。フェルパーの群れより楽だな。
「何だ?嬢ちゃん?邪魔だ!怪我したくなけりゃどきな!」
「生憎、悪党の言いなりになる良心は持ち合わせていないもので」
「俺達に歯向かうとは、死んでも文句は言わせねーぜ?」
「そのままお前らにその言葉返すが」
脇差とダガーを召喚する。アイリスさん達来てるな。ももも達もいる。
まず大口叩いてた野郎が刀を振り上げて来る。
ダガーにウインドアドをかけ、ウインドブーツで加速して胸を貫く。次に来る男をブリザードアドをかけた脇差で斬り、さらにまとめて4人。次に来る男の剣をさっき斬った男を操って盾にして刀を封じて回り込んで斬る。ダガーのウインドアドをウォーターアドに変えて3人、5人をファイアアドをかけた脇差で。すぐにブリザードソードに変えて1人を残して斬り殺す。
残り1人を拘束しておく。
「みーちゃん途中から見てたけどやべえわ」
「まだまだだよ。これでもノーラちゃんより遅い」
「御主そんな力を隠しておったとは。剣術でも妾を押し切れたじゃろうて」
「あの時はコンパに身体の主導権渡したから。まあ、森で戦った猫又より弱かったですけどコイツら」
「猫又斬ったのか」
「まあ、はい」
「フブキちゃん?うわ、すごっ」
「オウカさん、アイリスさん、3つほどお願いがあるんですけど」
「どうかした?」
「1人残したのでそいつから情報を聞き出してほしくて、尋問とかそう言う系の魔法は使えないもので」
「ボクがやっておくよ。もう2つは?」
「服がやばいのと結構返り血浴びてるんでお風呂にも」
「準備させるね〜」
「あとこれの事後処理とか諸々」
「それも任せて!」
「そのうち奴らの拠点に入る準備も必要みたいね」
ってな訳で、お風呂。服とか大丈夫かな?なんて不安もあるけど身体を洗う。怪我は無いから血を流すだけでいいのだが。にしてもスッパリ斬れた。切れ味でも十分性能が上がってるのは分かる。
「あれ?アイリスさん」
「あ、一緒に入らせてもらうわ。コンちゃん付きで」
「…勝手に出て行かれては困ります!」
「脇き抱えて引っ張り出して行ったレンレンに言えそれは。体勢が体勢で抵抗出来なかったし」
「レンさんは後で言うので」
「あ、はい」
浴槽に入るとコンに後ろから抱えられる。体格差のせいでコンの胸が後頭部から首辺りに来る。その後自分の胸を触る。
「…何が足りないのか」
そしてコンの胸を揉む。ずるくね?これ。
「ひゃっ」
「超えられない種族の壁よ」
「…正直女神を恨んだ唯一のミスだろこれ」
キャラメイク。正直色々事故ってたけど使用魔法はなんとか出来たしな。
(え、え〜。そこですか)
いや、それ以外は後付けでも正直問題無いレベル、むしろやばいくらいには成長したし。魔法面は。
「あの剣士相手に魔法の精度と技術で上回るにしても体格差が圧倒的にキツい」
「まあ手足の長さは致命傷でしょうね。文字通り」
「向こうが使ってたのは普通の…ではないか、ロングソード」
「普通じゃないとは?」
「形としては普通だったと思うけど材質は多分ミスリル。剣術の型と言うか扱い方には今思い返すと心当たりある」
「だとすると魔法剣を使う事を想定して入手したって可能性が」
ミスリルは魔法の定着が遥かに高い。ならそれも分かる。
「でしょうね」
「でも、あの剣は材質だけ、他は何も無い」
「魔法回路や魔術回路は無かったと?」
「目視及び魔力感知で感知出来なかったので」
その辺を使う素振りも無かったし、仕込んでもいなかった。ミスリルの材質の性質上、回路を刻印するのは理に適っている筈だが、そこまで余裕無かったか、技術を持っていないか。
「アイリスさん方のお陰で魔法回路や魔術回路の簡単なやつなら時間をかけずに触媒無しで仕込めますし、魔法の力量で押し負ける事もまあ無いと思います」
「まあ、あの死体やミカンちゃんとの戦いでかなり魔法の質が上がってるのは分かったし」
話しているともももが入ってくる。
「ここの姫さまには許可貰ったから。何やら難しい話をしていたようで」
「あの暗殺者様の事を思い出して次勝つ為に考え事してただけだよ」
「…あたしは出るわね。2人でゆっくり話しなさい。ガルドなんかみたいに魔法も仕掛けないから安心していいわ。そもそも今のフブキちゃんに隠し通せる魔法なんて使えないし」
「…失礼します」
そう言って2人は出て行ってしまった。
「変に気を遣われても」
確かに魔法は仕掛けられてない。
「…もももはいいのか?俺と入ってて」
「別にいいよ」
「で、用も無いって事は無いだろうし」
「まあ色々となー。そう言えば剣が主なのか」
「最初に干渉魔法が初期習得だったってのが1つ、ユウにブッ刺されて次勝つために剣は鍛えてるってのが割と今は主だな」
「ユウに負けたのな」
「アイツが負けって言ってたから正直すげえ中途半端な事になってっけど」
「なんだそれ?」
「知らん」
「にしてもあんな強いとは、剣だけでこっくりさん勝てんじゃね?」
「あの結界が斬れればな」
「でも氷の星落とす魔法とかめちゃくちゃやってたし結界相手でも剣のスペックでいい勝負出来そうじゃん」
「アレは魔法自体のスペックだ。魔法の位階そのものが高い」
「そうか」
「つっても、実はまあ勝算はあったんだが、ユウにやられてから魔法剣を習得したし、中でも人類が習得出来る最高位階の魔法剣が使える。女神の力抜きでな。レンレンが女神から最高位階の魔法剣貰ってたけど」
「みーちゃんすげえな。強いよ。みーちゃんは、誰よりも大変な目に遭ってる分、誰よりも強くなっていってるし、強くなる。ボクなんか身体がまともになっただけではしゃいで遊んでるだけだし」
「もももはそれでいいんだよ」
「そう言えばみーちゃんってアレ来てないの?女の子の日的なやつ」
「…成人するまで来ないらしいぞ、リトルスは」
「マジかよ?いいなー」
「そこから数百年続くのは酷だとは思うが」
「…そう言えばそうか」
「そもそもお前もリトルスだろ」
「そう言えば」
「とりあえずここが終わったらユウ相手の最終調整入るか」
「なあ、干渉魔法って簡単なのか?」
「簡単だぞ。あのレンレンが使えるくらいには」
「そう言えばそうか」
「まあ簡単な分、質で勝負するとこあるが、そろそろ出るか」
「んじゃボクも〜」
「にしても今から寝れねえ。あんにゃろ、トイレ行って寝るだけだったのに無理矢理連れ出しやがって」




