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異世界転生幼女の英雄譚  作者: ひょうか.みかん
第5章〜安藤蜜柑と望月桃と古の亡霊(ファントム)〜
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58話〜前兆〜

 翌朝。クロウの家。

「お兄ちゃん…えっち…しよー」

「寝言か。っと、朝飯食う事考えてなかった」

 とりあえず結界張っておいて良かった。サキュバスの能力で夢に干渉して来られたらたまったもんじゃない。

 とりあえず頬をつねる。

「いひゃい」

 まだ寝てやがる。

 台所。

「誰も起きてねえ。他の輩共の分の下ごしらえくらいはしてやるか」

 軽めの野菜スープと団子の材料あるな。団子スープの団子は作っておいてやるか、生地だが。まあ、俺はこれだけでいいのだが、アイツらがどんだけ食うか知らねえから、サラダも作ってやるか。


 数分経って。


「これでいいか」

「お前早えな」

「クロウか」

「頭いてぇ」

「はぁ。ほれ、ポーションだ」

「お前ポーション作れたな、そう言えば」

「出来そうな事は色々やるようにしてるからな。最近フブキの知り合いとやらからDIYなる物を学び始めた。ユウと同じ世界の者で物作りなんかを自分でやるらしい。しばらく世話になるからな。暇は十分あるし教会も使っているようだしモノもある程度綺麗にしてやるか」

「ほー、ってかお前が朝作んのか」

「おはようございます」

「ユウも早えな」

「何かお手伝いしましょうか?」

「いや、もうちょい煮込むと出来るからこっちは大丈夫だ、テーブルの方を頼む」

「承知しました」

 食後。

「相変わらずお前万能過ぎる」

「でもどうして料理まで?」

「家事一通り出来るぞ。錬金術もポーションや毒の知識はある。元々1人で生活してたからな」

「こいつ中々にエグい家出をしてな」

「おまっ、はぁ。ユウよ。他の奴らには言うな。フブキには俺が直接言う。彼奴もいずれ、知るべき時が来るだろうからな」

「分かりました」

「俺はかつて存在していた王国の王家第一王子だった。姉が1人、妹が1人、弟が1人いてな。昨日お前からもらった魔導書は姉が書いたものだ。こんなとこで見つかるとは思わなかったが」

「その、お姉さんは」

「俺が殺した。あの王国は根本から腐っていた。だから国毎滅ぼした」

「え」

「ざっくりとだがまあそんなとこだ。さてと、少ししたら出る。今回はポピーも連れて行く」

「うっし」

 数分後。教会、中庭。

「相変わらず無駄に広いなここ。今更何か出る事も無いし」

「ここにいたんですね」

「おー、今日はお姉ちゃんモード」

「うっせ、行くぞ。西の街まで徒歩でな」

「徒歩…だと?」

「こいつの力を知っておきたくてな。支援くらいしてやる。まあここからあそこまでなら余裕だろ?フブキを追い詰める剣士なら」

「それがそう言うわけでも」

「…説明してくれるか?」

「ここ数ヶ月の間でこの辺りの生態系に影響が出たそうです。私達がこっちに来た辺りから」

「何が増えたか分かるか?」

「ブリザードと呼ばれる下級の氷竜種、アイスウルフなんかが目撃情報ではあるらしいです」

「ブリザードか、まあアレはそこそこだからな。納得か。アイスウルフもそこそこか。確かにそいつらは俺が来た時には殆ど見てない」

 とりあえず。アイリス、今いいか?テレパスを飛ばす。

(どうしたの?今は大丈夫だけど)

 ノエルの周辺でブリザードやアイスウルフが増えてるらしいが、何か知ってるか?

(詳しくは分からないけど、それらが人通りの多い浅い部分に出てくるようになったのはフブキちゃん達が来る前後らしいわ。詳しい理由は分からないけど、ノエル周辺では生き物、魔物の流れに変化が起きてるらしいわ)

 マジかよ。そんだけだ。

(はーい)

 テレパスを切るが珍しくテンション高えのはまあいいか。

「転生とこの世界の変化そのものが連動している。可能性がある」

「なるほど」

「考えてもしょうがないけどな」

 雪道。温度調節魔法をかけておく。感知魔法も展開する。確かに浅いところに強い魔物の気配はある。

「ふぅ、来るぞ」

「も、もう?」

 ブリザードか。

「行けそうか?」

「正直言うと厳しいです」

「炎の魔法剣を発動しろ」

「はい。万物を焼き払う業火よ、我が剣に纏いて全てを斬り裂け、イグニスソード!」

「なるほどな、上出来だ。んじゃ、こいつでどうだ?ウインドブーストだ」

 イグニスソードの上からウインドブーストをかける。ユウの力量を見て調整して発動する。しかしあのイグニスソードで6〜7割か。普通にいい方だ。

「こ、これは」

「んじゃ、行くよ!」

 ポピーがテレポートでユウをブリザードの頭上へ転移させ、ユウが剣を振り、ブリザードの首を落とす。

「上出来だ」

 とりあえず解体を始める。ブリザードなんぞ普段戦わんから何処が使えるのか知らん。

「ポピー、こいつの何処の部位が使える?」

「肉は食べられるけど傷むの早いかな。内臓は無理。鱗、爪、骨は普通に加工出来る」

「わーった」

「か、解体出来るのですね」

「まぁな」

 解体後、仕分けて回収する。

「流石」

「お前らがどうするか考えろ」

「肉だけもらって素材はギルドで売ればいいかな」

「はいよ。んじゃ、後でスノーフォーエルン行くか」

「反対側!」

「そっちは転移門(ワープゲート)で楽する。こいつの実力を測れればそれでいい」

「1ついいですか?」

「何だ?」

「魔法剣の上から別の属性付与をかけていましたが」

「難しいぞ。1人でやるにはな。フブキもまだやってない。今自力で学んでたら知らんが、その辺の魔法の基礎を積んだ魔法剣士でも普通は数年かかる。片方が負けるか制御できなくなるか。フブキと戦うまでにはまあ間に合わん」

「そうですか」

「まあフブキもやってなけりゃまとめて面倒見てやる。これに関してはレンもやった方がいいか。さてと、来るぞ。数が多い。俺も手伝ってやる。半分やってやるから残りをてめえらで何とかしろ」

 アイスウルフ10匹。

「ポピーさんと2人で5匹。楽ではないですが。頑張りますか。久々に共闘ですよ!ポピーさん!」

 大丈夫だろ。さっさと俺はアイスウルフをまとめて焼き殺す。

 ユウはイグニスソードを発動し3匹斬り、ポピーがダークバレットで2匹撃ち殺す。

「ほう、ポピーも強くなったな」

「そりゃあねー。ご褒美にエッチしよっ!」

「バラしてシロクマの餌にするか」

「…冗談キツいよお兄ちゃん」

「ガチがキツいよりマシだっての」

「ぐっ」

「ってかいつの間に転移門(ワープゲート)なんざ覚えたんだよ」

「世界各地に転生者が現れる少し前かな」

「ほー」

 転移門(ワープゲート)を覚えられれば上出来か。流石、リコリスの妹なだけはある。別物ではあるが。魔法の才能ならペッパーよりあるんじゃね?

「どうかした?」

「お前の姉はともかく、その姉の仲間と同等くらいにゃ優秀だと」

「お姉ちゃんはまだ…か」

「アレが異常なだけでお前は強い部類に入るだろ」

「だといいんだけど」

 間も無くしてノエルの西に位置する町、リース。昔とそんな変わってねえな。ここも。

「相変わらずこっちには冒険者ギルドはねえのな」

「無いね。いつものとこでしょ?」

「ああ」

 酒屋。

「クロウさんがたまに来ているお酒のお店」

「ああ」

「何年振りだ!?魔法使いのにーちゃん」

「ああ、色々あってな。ケースでくれ」

「あいよ。金貨1枚にまけてやる」

「悪いな。はいよ」

 酒のケースを受け取ると空間魔法に収納する。

「そう言えばこの辺で何かあったのか?ブリザードなんぞ今まで滅多に見なかったが」

「山の上の方の草がかなり減った結果、ゆきうさぎが下降りてきて、それをオオカミだとかブリザードとかが付いてきた感じらしいぞ。植生が変わった原因そのものは知らんが」

「植生か、行ってみんと分からんか、アステルのが詳しいか」

「そういやにーちゃん殺し屋と錬金術師と仲良いんだったな」

 とりあえずテレパスを飛ばしてみる。

 アステル、今いいか?

(どうかした?)

 トゥリナ、リースに来れるか?酒屋だ。

(分かった。後で行くから概要を一文で)

 ノエル、リース付近の山の上の方の植生調査。

(了解)

「とりあえず頼んではおいた」

「そうか、んじゃ、俺から前払いっつー事で報酬付けてやる」

「ゆきうさぎの燻製か、有難くいただいてくわ」

 店を出る。

「とりあえず植生調査は任せたが、スノーフォーエルンに行くついでだ。冒険者ギルドで話でも聞くか」


 スノーフォーエルン•冒険者ギルド。


「あ、ユウちゃん達…と、お兄さん、確かノエルの冒険者の相方さんですよね?」

「ああ。聞きたい事があるんだが、北の山の調査の依頼を出した、あるいはその調査の結果は管理しているか?」

「いえ、受けていただける冒険者いないんですよね。ブリザードやイエティマンモス、ホワイトビースト相手となると」

 そりゃキツい訳だ。

「あんがとな」

 その後、ギルドでアイスウルフとブリザードの素材を売ってユウに渡す。

「帰るか」

「ですね」

「はーい」

今年最後の更新となります。とりあえず読んで頂きありがとうございました。また来年もよろしくお願いします。良い年末をお過ごしください。新年は1/8から更新再開予定です。それまで機会があれば読み直して頂ければ幸いです。

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