57話〜冬の町の暗殺者〜
フブキ達がイマシメ・ヤトナの事を聞く前。ノエルの町のガルド。
「うー、さっびぃ。こっちの身体のがいいか」
「ガルドお兄さん、エッチしよーよー」
「黙れ」
「ったく、やっと着いた。ノエルの町はなんで結界張ってんだよ?」
「さあ?誰の魔法かも知らないし」
「マジかよ。さてと、アイツの家はここか」
「ん、お前ら帰って来れたの…。おい、お前死んだって聞いた気がするが?死神」
「久々だなクロウ」
「話は聞かせてもらうぞ。まあさびーだろ?入れよ」
家の中へ入る。この気配、俺が知らない奴拾ったな。おそらくは、アイツだろう。
「まあ、何があったか知らんがしばらく居着くんだろ?」
「おう。ほらよ。これでいいか」
「白金貨。いいぜ」
とりあえず、椅子に座る。
「お茶になります」
「おう」
「お前、やっぱそうか。ユウ・タカナシ。フブキの腹にぶっ刺した女だな」
「はい」
「意図的に急所を外し、意識を奪った魔法剣の剣士、いや、アサシンか」
「はい。それを知ってどう言う?」
「そう心配すんな。アイツが負けたのはアイツの責任だ。強いて言うならあの状態でお前が負けと言った方が問題だが。そうしておきたかったのだろう。正直俺はどうでもいい。それはお前らで決める事だ。まあ、次はフブキの強さの桁が違うからそこは覚悟しとけよ」
「桁が変わる程って何したんだよお前の弟子に」
「魔力のコントロールの仕方をちょいと教えただけさ」
「それで変わんのか?」
「ああ、押し負けることはそう無いだろ」
お茶を飲んでクロウ達を外に出す。
「危ない事をするもんでな。ユウよこれを使え」
「短剣、ですか?」
「ああ、こいつは同じ短剣だ」
「そのようですね」
「魔法剣を構成しろ。そんでしっかり握って構えとけ」
「はい。万物を焼き払う業火よ、我が剣に纏いて全てを斬り裂け、イグニスソード!」
「イグニスソード、ならこっちはファイアアドでいいだろう」
構えているダガーを干渉魔法をかけて斬る。
「なっ」
「今これのタネを教える訳にはいかんが、フブキもこれが出来るようになった」
「マジかよ」
「あとはまあ他にも色々修行しているが、次は負けんだろう」
「そうか」
「ってか何処で見つけて来たんだ」
「近くで倒れてたから連れて帰って来たら仕事手伝うとか言うもんだから魔導書読ませてお前が寄越したリストと地理と暗殺術教えてぶん投げたら上手い具合にやるもんでな」
「そう言う事か」
「さてと、今度は俺から頼みがあんだが」
「素材の調達か?毒か?」
「素材はあるか。最近ノエル山にイエティマンモスが出る様になってな。他にも色々増えつつあるが、冒険者で死者も出てる」
「イエティマンモス。最大級の獣で硬い毛皮を持つ。お前らじゃ相性的にゃキツいか。俺が行ってもいいんだが、まあ待て、俺の弟子にやらせる。今はお前が仕向けたナナノにいるが」
「大丈夫か?」
「大丈夫だ。アイツは魔法剣だけじゃない。普通に他の魔法も使える。こいつ相手にゃ構成の隙も無かったらしいが」
「お前が鍛えただけはあるのか」
「まーな。まあ、のんびりとアイツらが来るのを待とうぜ」
「あれあんぞ」
そう言ってクロウは酒の瓶を持ってくる。
「デカした」
「ガルドが蘇ったみたいな話をユウから聞いていたもんでな」
「ほー。んじゃ、頂くとするか。っと、ユウを普通の魔法も使えるようにしてやろうか?」
「それはまあ助かるが、基本は光だぞ?」
「光と闇以外の4系統とかその辺は共通で使えるものが多いからその辺でいいだろ。その辺で今からフブキに追いつこうと思えば相当過酷だが。イエティマンモスか。ユウとフブキとまあレンも入れていいだろう。あとはアイツらに編成を決めさせる」
「そんなすぐ連携出来ると思ってんのか?」
「レンが馬鹿しなきゃ問題無いだろ」
「それは多分大丈夫かと。レンさんは結構ストレートですけど、フブキさんへの信頼は厚いのでコンビネーションは最高と言って過言は無いでしょう」
「アイツ気がついたらセクハラしようとしてるが」
「まあ愛情表現と言うか、片想いでしょうけど」
哀れ、レン。
「それ確か西の葡萄酒ですよね?」
「ああ、俺が昔から好きな酒でな、それがどうかしたか?」
「ユキウサギがあるんですけど、香草も一緒に買って焼こうかと思っていたので、それでどうかと」
「センスあるな。あ、こいつをやろう。わたげうさぎだ。また違うから、燻してもいいが、今度煮込んでみろ」
「あ、はい。あとはサタンハートとじゃがいもベースのスープ、とかになります」
「サタンハートか。アリだな」
「では、準備しますね」
「酒呑が増えてしまった」
「あはは」
「さてと、んじゃ、俺からも1ついいか?」
「どうした?」
「こいつを買ってフォルネイアに送るからついでに歩いてそこの剣士のお嬢さんの力でも見せてもらうか」
「だとよユウ」
「あ、はい。はい?あと、出来ました」
「呑むぞクロウ!」
「おう」
数時間後…。
「それでは…」
「アイツ何処行くんだよ?」
「アイツ教会に住ませててな。もうアイツらいねえしまあいっかって」
「マジかよ。ちょっくら久々に見に行くか。今更得られるモノは無いだろうが。どうせアイリスの屋敷は無理だろうし」
いようがいまいがあそこに入るリスクに見合ったモノは無いだろうし。
「俺も付いて行く、っと、こいつに認識させる為に元の身体に化けたがもういいだろう」
魔法を解いてシオンの姿になる。
「あ、はい」
「今の身体、馴染んでるんだな」
「うっせ、ほっとけ」
廃教会。
「ここに来んの久々だな。もうアイツらが使い捨てた後だが」
「私が来る前はクロウさんが管理していたらしいです。本以外はもう何も残ってなかったらしいですが」
「だろうな。そこのバニラの屋敷に避難させたか、持っていったか」
「まあそうでしょうね」
「本見せてもらっていいか?」
「どうぞ」
生活感のある部屋…。
「ほう、この寝具、随分新しい」
「クロウさんが作ってくれたんですよ」
「アイツそんな事出来たのかよ」
「らしいです」
「まあそこはいいか」
一応綺麗にしてある。本棚を左上から順に見ていく。魔導書とかが多いな。
リシュカ・ルボーン、アレスト・べレス、ユキカゼ・ハク。知らない奴らが多いな。こいつは、エリス・フォルネイア。
「この魔導書エリス・フォルネイア、貰っていいか?」
「どうぞ」
「すまんな。俺たちの時代の者で良く知っている者の魔導書でな。何故ここにあるか知らんが、アイツの家じゃなくて。あと何冊か。この辺りも貰う」
よく知っている者。嘘は付いていない。厳密に言うとそんなレベルの関係性じゃないが。
「はい」
「教会の奴らはこの事知ってんのか…」
「そこまでは」
「まあ今考えてもどうにもならん。代わりに俺の手持ちでフブキも読まなさそうな魔導書をやる」
「あ、はい」
「この部屋には隠し扉とかは無いか」
魔法で調べても無いらしい。まあいいか。
「みたいですね」
「とりあえず今はいい。また明日な。夜明けごろには教会にいる。この部屋じゃないが」
「分かりました」
来週は間に合えばクリスマスの話を投稿しようと思います。(これから準備なので)




