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異世界転生幼女の英雄譚  作者: ひょうか.みかん
第4章〜如月和泉と聖銀剣(ミスリルソード)〜
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47話〜ガルドの過去(禁忌)〜

 部屋に入ると間も無くして住民全員が集まる。連れて来た奴はブランケットをかけて寝かせておく。

「あたしはアイリス。魔法使いよ」

「ボクはヤミ。サキュバスだよ。ここで皆の面倒を見てる。ここに来る前は捕まってて男共に強制的にやらされてて、ね。ひっどい思い出しか無いかな。ガルド兄さんとならやってもいいけど」

「うっせ。10年は早い」

「ハル。ソウルメイツ。依代に無理矢理押し込まれて色々されてた。くらい」

「私はメル!見ての通りフェアリーだよ!まあこんな身体だし一番ここで皆に迷惑かけてるけど」

 フェアリーとか初めて見たわね。コップに座ってるし。手のひらサイズ。

「フェアリーとか初めて見た」

「本当なら迷いの森の結界を破られるはずなんてないんだけど。かなり強力な魔法使いがいたっぽくてね〜。捕獲に特化した結界で逆に捕まっちゃって。で、研究所で散々いいように研究されて気付いたらお兄さんに保護されてた」

「オルナシアの中央で合ってる?」

「合ってるよ」

「アンタ結構とんでもない事やってんのね」

「人に言われてやるのは嫌だがな」

「で、あたしはレティシア。ここの他の子達とは割と違って元奴隷よ。奴隷として買われたけど契約も刻印も無く解放してくれてそのままって感じ。あー、ディアボロスじゃなくてインプね」

 インプ。ディアボロスではない悪魔の系譜の区分。リトルスと似ていて生涯小柄だけど身体のあちこちに違いがあるって言う。

「フローラ。セレスティア…だけど実験のせいで力失って魔法がほとんど使えないから剣術を鍛えてる」

「あなたが…」

「アイリス…アイリス…雪の田舎町の…フーミットいっぱい飼ってるサモナー?」

「それ雪の田舎町のセレスティアの違う方!」

「こいつは魔法使いだ。俺に背後取られて負けるような奴だが」

「ガルド兄さん対人特化した魔法使いだからそもそも」

「そんな事無いはずだが」

「…私はリッタと申します。エンテッド式のクリエイツです。暗殺術や干渉魔法が使えます」

 エンテッド式クリエイツ。エンテッドと言うヤバい奴が生み出した殺戮兵器。まあエンテッド式はまだいい。

「開発者よね。エンテッドって」

「ああ、エンテッド式も殺戮兵器として開発される奴なんだが、エンテッド式はまだいい方だ。実際戦った事があるが」

「まだいい方…ね」

「カンナビト式っつー形式があるんだがそれとやり合った時は死にかけた。ちなみに連れて来たこいつがそうらしい」

 カンナビト式クリエイツ。制作者不明。書物から「神の人」を造るということからそう言う名がついたとされる。こっちが魔力残量考えながら戦ってるっつーのに向こうはほぼ無限に魔力が湧いて来るからたまったもんじゃない。本当に神に最も近い存在と言える。

「そんなに!?」

「ああ、魔力の底が見えなかった。で、こいつがそのカンナビト式らしい。資料にあった。名はグレース。っと、一応起きた時に暴れられると困るから魔力を抑える魔法を仕込んでっと」

「…見た目的な違いとかってあるの?」

「無い。何ならヒューマンともソウルメイツとも変わらん。身体を構成する材質と作り方の違いだ」

「流石そう言うことやってるだけはあるのね」

「…えっと。私はアンジェリカです。売られていたのを買われました。非戦闘用、つまり侍女として使うよ生み出されたクリエイツです」

「そう言うのもいるのね」

「そしてオオトリはこの私。私はリコ!デュアルクリエイトだよ!」

 こいつアホだ。思考停止で脳天にチョップ決める羽目になるとは。

「いたた。何するのさお兄ちゃん」

「種族正直に言ったら偽名言う意味無いだろ。やっぱお前バカだろ。ってなわけでこいつリベラな」

「え、神様なの!?」

「そう。『力』を司る下級神だよ。得意なのは覚醒と魔力補給くらいだけど。自分を対象に出来なくてね。人からしたらほぼ無限に供給し続けられるよ。自力で戦うのは多分天使のお姉さんより弱いと思うよ?」

「言っちゃうんですね」

「急に敬語になる。流石天使。ってのは置いといて、干渉魔法以外攻めに使える魔法無いからね。支援特化だけど、まあそのスペックは分かるよね」

「そりゃ、まあ。とんでもない魔力と神力を感じるので」

 神力。神が持つ力だ。それは神によって異なり、あらゆる変化に対応出来る魔力とは比べ物にならない力。

「とんでもない、か。これでも殆ど失った方だよ。私も人間の実験対象としていいように使われたから。いやー、妖精捕獲用の大規模魔法罠にまんまと引っかかるとは」

「どんな罠?」

「設置型の多重結界だったよ。そんな物を壊す力無いから普通に仕掛けた研究者に拉致られてそのままいろいろと」

「話聞いてる限りじゃ妖精を捕らえるために物理結界、魔法結界、精神結界、霊魂結界は最低限だったようだ」

 妖精の捕獲と言うのもあってそこまで仕掛けられているとは徹底されている。で、この神はそれをぶっ壊せる攻撃力も結界に干渉、作用して壊す類の魔法全く無いから捕まったと。

「そう言う事」

「読心系魔法…」

「まあそのくらい出来るさ。っとお目覚めっぽいよ。おにーさん」

 さっきまで倒れていたクリエイツの女は身体を起こす。

「ここは」

 言葉を話す事が出来ている。精神状態も安定している。

「フォルナシア大陸の東の方、郊外の林にある屋敷だ。林の中に俺の買った屋敷があってな、そこで俺はお前らみたいなクリエイツや研究所で保護した奴らをここに住まわせて金を渡してる」

 改めて自己紹介をする。グレースは感情にやや問題があると思われるが、精神的には安定し、暴走の可能性は無いだろう。

「はえ〜。この子に私の力を使えば最強コンビに」

「真面目にあり得るから笑えねえ」

「カンナビトってそこまで」

「まあ馬鹿が自分の思い通りに動かせる神を造ろうとした結果だからな。さてと、んじゃそろそろこの天使の相手せにゃならんから行くわ」

 屋敷を後にする。

「こういう施設他にもいくつか作ってんだよ。簡単には死ねんし金は要る。つっても全部で40人くらいか」

「なんでそこまで」

「アイツらは悪くないからな。まあ俺が面倒を見てるのは救いようがあったヤツらだけだ。分かるんだよな。手遅れかどうか。んじゃ行くか、気が向いたらまた連れて行ってやるし話もするさ。とりあえず先にアステルだ」

 フォルナシア・某所

「ここ廃教会だよな。そう言う事か」

 教会の中に入る。

「戦士マルク、勇者ラグナス、賢者カーディアかよくやるよ。雪国の魔法使いアイリス、ヨシノの国の姫君オウカ」

「なるほど、御主が死神と謳われる魔法使いガルドか」

「死神か…。別にそんなつもりじゃ無いんだがな。っと、一応俺はガルドで合ってる。儲かるからやってるだけだ。で、こいつはアステル。ソウルメイツのアルケミストだ。俺が拾ってまあ使えそうだから使ってるし連れ回してる。有能だぞ」

「アイリス、聞いてないぞ」

「ガルドが連れてくとか言い出したんだもの」

「俺とコイツと今ここにはいない数人で基本的に活動してんだ。一緒とは限らんが。たまにオウカにも仕事ぶん投げる事あるが」

「そこのおにーさん中々にオカネ持ってるからね。頑張るよ」

「一国の姫より持ってる訳ねーだろ」

「あはは、そう言う事にしておくよ」

「さてと、まあんな事はどうでもいい。この天使が自分の身体削ってまで俺を引き込む要件は何だ?」

「まず1つは邪竜討伐、あとは教会の動き次第ね」

「教会の動き、か。隠さなくていい。ディザスタージャイアントだな。邪竜は置いといてそっちは今のままだと無理だな。アイツにはかなり高い魔法耐性がある。俺は魔法使いで物理は無理だ。召喚系や落石、星落とし如きで死ぬ輩でもない。光魔法は使えんから何とも言えんが俺が奴を倒すとなると禁忌級の魔法になる。それは覚悟しておけ」

「禁書…」

「まずそのじーさんが1冊、で、天宮に1冊、この姫の国の図書館に1冊、俺が1冊持ってる。ここまでは把握している」

「ディザスタージャイアント?が動き出したら私がヨシノの図書館に入れるよ」

「ふむ、そうなればやむを得ない」

「あと3冊も探さないとな。オウカ、頑張れ。盗れるなら盗って来い」

「う、うわぁ…」

「ちなみに何があって何が無いの?」

「じーさんが持ってるのが、『アレイスター秘術書』。お前ら天使のお偉いのが管理してるのが『ステラ悪夢録』。ヨシノ国立図書館に保管されているのが『スメラギ・セン暗術記』。俺が持ってるのは『トウマ・イザヨイ魔導書』。残りが『コーデリア闇錬金書』、『ジュジュ呪術記』、『メリー血術本』」

「そのレベル全部…か」

「それが無理なら俺に頼るのを諦めろ。技術だけでヤれるバケモンじゃない。最悪、『メリー血術本』が妥協ラインな」

「お前、無茶苦茶言うな」

「俺には神に認められた力も得物の無い。あるのは自力で出来る範囲の魔法だけだ」

「よく言うわ。そんな物が無くとも匹敵するオーブもあるし、その才能があるでしょ」

「才能で程度で巨人が殺せるなら苦労はせん。そう言うこった。んじゃ、場所の特定くらいはしてもいい。俺も暇な訳ではないからな。アステルは使っていいぞ」

「了解」

「いや、アンタ…」

 廃教会を後にする。

「でも、本当に禁書の魔法で巨人を倒して護って見せるなんて」

「それだけの無理言って実行出来ない屑にはなりたくなかっただけだ」

「燃えて塵にはなったわね」

「うっせ」

「アンタはフブキちゃんをどうするつもり?」

「次代の英雄。レンもその素養はある。この殺し屋、か、興味深い」

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