46話〜ガルドの過去(暗躍)〜
アステル邸を後にして。
「アイツも研究所で拾ったんだったな。そう言えば」
どこぞの変な研究をやってる馬鹿を潰す仕事を引き受けるせいでまあアサシンっぽい感じになってるが俺は魔法使いだ。まあ今はそんな事はどうでもいい。
ファイランド、大陸の中では最小。1年を通して温暖な気候の大陸。その中の国家サウラーシャ。
クッキーはしばらく自身の屋敷から出て来ていないらしい。さてと、情報は得てる。夜まで時間潰すか。
夜。
そろそろ行くか。この後近くの研究所もやんないといけないからめんどいな。
愚痴をこぼしつつ、結界を弄る。中に入ると物陰に隠れてコピーメイクで分身を作り、自身は透明化する。分身を見たクッキーの従者が驚いて集まる。そいつらは無視して屋敷に入る。
「こっちに結界は無し…か」
こちらに背を向けて歩いている侍女を殺す。眠らせるなり麻痺させるなり操るなりしてもいいがまあどうせここ潰す訳だし問題無いだろう。侍女の服を物色した後、傍の部屋へ入る。ここには誰もいないか。書物や棚を漁るも特に使えそうな物は見当たらない。部屋の外を探知して部屋を出る。そろそろ屋敷に入っているのはバレてもおかしくはないが、この辺りに人気は無い。死体を魔法で隠して移動する。
っと、侍女達の動きが変わったか。おそらくだが、マナの制御室にでも行くか。大規模な魔導装置があるはずだ。
制御室…に着いたはいいがまあ警戒されるよな。
「ヒュプノシスチェイン」
眠らせた後、背中を魔力弾で撃ち抜いて仕留める。
中に入るとまず結界を張る。
「あなたは!」
やっぱ中にもいるよな。音は漏れないし伝達系も断った。
「時間ねえからさっさと仕留めるか」
この部屋にはこの女1人、この程度なら何ら問題ない。
背後に転移して魔力弾で撃ち抜く。ついでに制御室の核も潰しておく。こう言うタイプのは一撃核を吹っ飛ばせば行ける。
それもあって、室内は暗くなるが、ディアボロスの俺は暗闇でも視界に問題は無い。困惑してるな。よくわかる。
その辺を彷徨いている侍女を的確に仕留めつつ、分身を増やしてターゲットの部屋部屋へ着く。
魔法によるトラップや守護はない。扉をすり抜けて部屋に入る。
「まさかもうたどり着くとは、名乗る必要…は無いか。ボクはクッキー、本人だよ?魔法使いガルドさん」
「だろうな。お前が本物かどうかは分かってる」
「流石、でも簡単に殺される訳にはいかないんだ…。結界か。音を遮る結界、使用者以外の魔法を封じる結界、伝達系魔法を魔導装置も含めて断ち切る結界まで、流石と言ったところか」
この部屋に別の逃げ道が無いのは分かってる。ガンッとクッキーが床を蹴るとハンマーが出てくる。分かってたが特に問題は無い。
クッキーは躊躇無く振り回して来るが、テレポートで回避する。自分の部屋なのに…まあ命の危機の前では些末な事か。
後ろを取ってパラライズをかける。その後、押し倒しうつ伏せにし、背を踏む。
「まさかここまでとは」
「さーてと、お前には災いのバケモンの事でも吐かせようかと思ったが、ヒュプノシス」
催眠魔法をかけて操る。
「お前が知ってる今のアイツらの事や災いのバケモンの事を吐け」
「街1つの人の魂と生贄を使って生み出すディザスタージャイアント。災いの巨人、魔法を受け付けない強固な肉体は山の大きさ」
なるほどな。今の俺にソレを殺す手段は無い。
「人が神を生み出そうとした結果生まれた怪物がソレか。俺からは以上だ」
足をどけて心臓を撃ち抜く。
死体を回収して屋敷を出る。
「ふぃー終わった終わった。何でいるんだよ天使とチビっ子姫」
「どうかしら?現状」
「冷やかしに来たのなら帰れバカ」
「違うわよ」
「とりあえずクッキーは殺した。アステルこいつを管理しとけ」
「承知した」
「待って。それ、私に預けてくれないかしら?」
「…お前が?まあいいけどよ」
そう言うと空間系の魔法に死体ぶっ込んでる。
「さてと、少し休んだら研究所の方だな」
「手伝おうか?」
実はこの姫は潜入においてはかなりハイスペックなのだが、今回は頼る事もない。
「大丈夫だ。クッキーの屋敷よりよっぽど楽だ」
下調べした範囲だと広さはクッキー邸の半分も無い。セキュリティもそれ以下。まあ被験体が暴走とかでもない限りは問題無い。行くか。
で、研究所前。
「さてと、さっさとやるか」
結界は張られてない。さっさと建物に接近し入る。直後、魔法で探知する。逆探知やこっちを探知する魔法も無い。っと研究員だな。ヒュプノシスで眠らせて記憶を読み取った後殺す。研究員は残り6人で現在全員ここにいる。まともな戦闘要員は1人。まだこっちに気付いていない。
魔力ポーションを飲んで瓶を机に置く。その後、すぐに気配を消し、近くにいる1人を撃ち抜く。
さっさと移動して近くで何も気づかず話している2人をまとめて撃ち抜く。
近いな。本命の部屋の付近。1人殺す。
目的の部屋。2人…いるな。
「お前は、死神ガルド」
俺死神扱いされてんの?
「まず1人」
転移で飛んでパラライズで動きを止め、確実に心臓を魔力弾で撃ち抜く。
「ちっ、庇う余裕すらくれないか」
こいつが戦闘要員だ。背後を取ろうとするがすぐに振り向く。後ろは取れねえか。
こいつの種族はエルフか。戦闘慣れしてるとは珍しいな。
エルフが短剣を構えると風の魔力が刃を覆う。
風の干渉魔法。普通のウインドアドだ。でも短剣術はそこまでではないか。と思ったら姿を見失う。転移…ではないな。俺の後ろはそんな簡単にゃ取れねえよ。
振り返り短剣を強化した拾った箒で受ける。こいつ意外と強いか?
「舐めてたよ。だから、容赦無く潰す。グラビティバインド」
エルフは一気に床に突っ伏す。短剣を奪い取り、ウインドアドをかけて背中に突き刺して殺す。
その後、部屋の大掛かりな魔導装置を見る。蛍光色の透き通った液体に裸の女の子供が沈んでいる。
魔導装置を解除し、液体を抜き、女を装置から出す。ついでに分身を作って辺りを調べさせる。完成しているのか。っと言うのは置いといて撤収するか。
外に出ると女3人が待っている。
「まだいたのか」
「…随分早いのね」
「7人しかいなかったからな。研究員は」
「で、この全裸の子が」
「そうだ。完成していた。資料は持ってきた。まだ読んでないが」
「連れて来たって事はその気なのね」
「ああ、そうだ。それにこの研究所が教会とグルじゃないのは美味い。まあこいつは俺が何とかするさ」
「その全裸は何とかならないの?」
「実験で生み出された女の服なんかある訳ねえんだよな。金渡してあそこのガキに揃えさせるか」
「ガキ?」
「ガルドは研究施設とかぶっ壊してる時の被験者を集めて集団生活させてるんだよ」
「ああ、そうだ。っと1つお前に確かめたい事がある。まあ答える義務は無いが」
「別に答えるわよ」
「スノーフォーエルの外れ。かつてそこに研究施設があってな、俺が潰したが。そこはかつてセレスティアを捕らえて実験していたそうだ。そこでエンジュフォールとかの情報も知ったんだが、そもそもセレスティアは個体数が少ない。だからお前も名前位なら知ってる可能性があると思ってな。フローラ。これは実名のようだ」
「…その子、行方不明になって気になってたのよ。何の手がかりも無かったし。で、今はどうしてるの?」
「何事も無ければ俺が保護した被験者の施設にいるはずだが。どうせこいつ連れてくしお前も来るか?チビ姫とアステルは帰れ」
「…まあそうだよね」
「承知」
「ついていくべき…ね」
そう言ったから転移門を開く。
その先にあったのは林の中の屋敷。
自分の後に続くよう促す。
「あ、ガルド兄さん。と、セレスティアのお姉さん?」
「久しぶりだな。ヤミ。上がるぞ。っと土産だ。金と食いもんだ」
「あ、うん。ありがと。お姉さんもどうぞ?」




