43話〜イズミとノーラ〜
ここがイズミ様がいらっしゃると伺った住所。で合ってますね。
「失礼します」
「おう、嬢ちゃん?見ない顔だな。外からの武器の発注か?」
ドワーフ族の男性。この人ではないですね。
「イズミ様に用がありまして、いらっしゃいますでしょうか?」
「イズミ指名の発注はいっぱいいっぱいだが」
「武器の発注ではなく…」
「おーい!イズミー!来れるかー!」
大きな声で呼ぶ。
「行きますねー」
それから間も無くしてフェルパーの青年が姿を見せる。かっ、カッコいいですね。かなり。私のタイプです。
「えっと、その」
「ごめんね〜今忙しくて」
「えっと、私、ノーラと申します。フブキ・サクライ様にお仕えする一兵です」
「フブキ…の?」
「はい」
「分かった。夜に…」
「何か訳有りっぽいな。イズミ、夕方には上がっていいぞ」
「いいんですか?」
「構わん」
「じゃ、夕方にギルドの食堂に来てもらえるかな」
「承知致しました。それでは失礼します」
とりあえず屋敷に戻りましょう。
「で、イズミの事どう?」
「夕方以降お時間頂きました。ギルドで待ち合わせしてますので私が迎えに行きます」
「分かった。もしかしてイズミの事気になってる?」
「う、えあ、分かっちゃいます?」
「こっちのアイツとはまだ会ってないけど、いい男なのは間違い無いし。ぶっちゃけくっついてもらってもいいって言いたかったけど、ノーラちゃんの立場上気軽に許可出せないの申し訳ない」
「…あ。そうですよね」
「ノーラちゃんそう言えば近接主力だもんな」
「ただノーラちゃんとアイツがくっつくのも見たい」
「見たいのか」
ぶっちゃけあいつは友達だからまあそう言う絡みもあるのも面白いだろう。
夕方、ギルド。
「どうやらまだのようですね。早めに来てしまったと言うのはありますが」
「あ、いたいた。ノーラちゃんだったね」
「はい」
「剣士?」
「そうですね。多少の干渉魔法なんかは扱えますが吹雪様の足元にも及ばないです。ロングソードを扱います」
「見せてもらっていい?」
「どうぞ」
鞘から剣を抜いてみる。
「手入れもちゃんとしてるしこの回路の入れ方もかなり上手い。正直参考になるね。ありがとう」
「い、いえ」
「本体の強度の強化に加えて魔法の効率や効力を良くする魔法式回路。魔法言語は新しい方のモノでこの辺りでは見ない形式」
「回路を入れる技術は私達の街の技術者によるモノです」
「へぇ面白そう」
剣を返す。
「キミは強そうだし剣を打ちたいけど今は厳しいかなあ」
「お忙しそうですよね」
「それだけじゃないんだ。色々問題が重なっちゃってね〜。フブキ達が今来てると言うのならちょうどいいかな。フブキと会うよ」
「案内します」
数分歩いて屋敷に着く。
「ここ、人いたんだ」
「私達の大陸にここに来るまでいたのでそれまではどうか分かりませんが…」
屋敷に入り、フブキの使っている部屋の前。扉を叩く。
「ノーラです。イズミ様をお連れしました」
「いいよー」
黒い髪と耳、尾を持つフェルパーの青年。
「新聞で読んだけど本当にお姫様になるとは」
「姫じゃねーよ。ただの町長程度のもんだ。国家じゃない」
「相変わらずだね。元気そうでよかった」
「それはお互い様と言うか。いや、仕事終わりなのかやつれてるな?」
「仕事…だけじゃないけどね。強そうだし。まあいいか」
「あなた達だけで話すのはやめて頂けません?」
「…かんなちゃん?」
「…ええ、お久しぶりです。イズミさん」
「…で、そっちのバッキバキに鍛えてるディアボロスの子は?」
「レン=ユウキ。そっちのみーちゃんのゲーム仲間」
「…ああ。そこに置いてあるデッカいやつが得物?」
「おう。女神からもらった大剣」
「武器貰ってるのずるくない?身体云々以前に。しかもゲーム経験とか言う経験値あるとか」
「お前はどうしてたんだよ?」
「なんかこの街の祭壇にいてそのまま普通に街のギルドで拾われて最初冒険者やって料理人とか大工とか色々やって今の鍛治職人の弟子で落ち着いてる」
「冒険者?」
「まあ多少の魔法と最低限の剣術は身につけて何とかね。フブキ達みたいにしっかり戦える訳でもないしそんな強くはないよ。最低限自分の身を守るのと、ちょっとした戦闘でサポも前衛もできる程度。パーティも組んだ事あるけど、今はそっちは主体ではないからね」
「ほー」
「でもまあ最近色々あってね。仕事も捗らないし」
「そのやつは俺らが聞いていいやつ?」
「うん、知ってて欲しい事でもあるんだ。まず1つ目。僕が仕事をするのに素材として使う鉱脈に、アースドラゴンが住み着いてこれが中々に厄介らしくて、うちにも素材が入ってこないと言う点。師匠がギルドにもその事については頼んでらしいけど、相手がドラゴンだから、そう簡単に何とかなる話でもないって点。下級ではあるらしいけど。
もう一つが、最近この街の商人が暗殺されたって事。凶器は不明。心臓を貫かれて命を落としたらしい。剣か槍かは特定に至ってないって知り合いが言ってた」
結構大きい問題っぽいな。
(ヒルダ、アースドラゴンって知ってる事ある?)
(この辺りで下級の地龍となると大体厚くて硬い鱗と強靭な手足、鋭い爪を持つ四足で飛ばないタイプだよ。火は吹くかもだけど、毒は無いし魔法も扱うようなドラゴンでは無いから、こっちのパーティを持ってすれば問題無いと思う)
(シオンさん)
自分の目を通してシオンさんに被害者の情報を見せる。
(こいつは間違いない。教会のスパイだ。ちょい待ってろ)
それからすぐ戻る。
「入るぞー」
「アステルさんとアイリスさん。この人達はかつてこの世界を救った偉大な方々だ」
「俺も救ったんだよ!!」
「で、何よ?」
「この街で起こった殺人事件の情報だとよ」
「これは…。この男性は知らない。でも、この死体の刺された傷口、大体大きさは同じ」
「森で急に出てきたアサシンと同一人物である可能性は出てきたわね」
「確かかなり高い魔法能力も持ってるって」
「空を触媒無しの魔法で飛ぶ、あたしの結界を工作魔法で自身を対象から外す。おそらく気配を消す魔法も併せて持ってると考えるとかなり才能はあるわ。構成隠蔽も出来てた」
「戦闘に活かす攻撃用の魔法の使用は確認されてはいないが、持っていると見て考えて良さそうだな。おそらく干渉系の身体強化や武器性質付与や強化は扱えるとみていいな。現時点で暗殺された者のリストを見る限り、剣以外の武器も使われてる。フブキに似たタイプかもしれんが、実力は上の可能性もある」
「その暗殺者どうするか決めてるんですか?」
「ぶっちゃけ放っておいても問題は無さそうなんだよな。俺的にはむしろ都合がいい。ただ、1つ気になる事がある」
「気になる事?」
「ああ。最近そいつに殺されたとされる奴らの共通点は俺は知ってる。所謂教会の端くれだ」
「教会?」
「フェルパーのにーちゃんは知らねえか。この世界の邪神を崇拝する宗教集団で、あちこちで邪神云々の話で悪さしてる奴らだ。いずれ俺が全員殺す」
「教会の奴らの情報を何故そのアサシンが持っているかと言う点ね」
「オウカが情報を売るのはまず無いとして、1つ心当たりがある」
「アンタ数年死んでて心当たりあるの?」
「死!?」
「イズミ、それは後で説明するから今はスルーしてくれ」
これを今話すのも面倒なんだよな。
「で、その心当たりの話なんだが、トゥリナ大陸の北方、スノードロップの街のからさらに北の小さい村があってだな」
「あたしの故郷じゃんそれ」
「らしいな。そこに知り合いがいてな。そいつにも情報渡して殺しの依頼したんだよ。20億くらいは積んだな」
「殺し屋とかいたの!?」
「まあ知らないのも無理は無いか。そいつと今回の暗殺者が接触して何らかの形で丸投げなり協力を仰ぐなりしたんだろう。干渉魔法を操る点もそいつが使えてたし辻褄は合う」
「アンタこの件終わったらそっち当たってくれない?」
「言われなくてもそうするつもりだよ。まあお前にスノードロップ近くまでは転移してもらうが」
「そのくらいはするわ」
「と、とりあえずまあなんとかなりそうだし、いくつかいいかな?」
「どうした?イズミ?」
「アースドラゴンの件とついでに素材の収集、フブキ達に任せていいかな?いくつかの鉱脈への申請とかはやるし、なんなら付いて行ってもいいんだけど」
「分かった」
「オウカとアイリスには暗殺事件の方任せるわ。俺とアステルとコイツら連れてアースドラゴンの方行ってくる。そんくらいは余裕だからよ」
「それが妥当ってとこかしら。分かったわ」
「んじゃ、やる事決まったし準備始めっか」




