Extra story8〜結城蓮6-覚醒-〜
目が覚めると天井。どこか建造物の中か。
起き上がると違和感しかない。全身成長している。特におっぱい。結構デカい。服がキツい。何でだよ?揉んでみると確かに自分のモノであり、何かが起こって生えたと結論付けるしかない。筋肉も増えてる気はする。
「起きましたか」
「ああ、うん。シナモンちゃんだっけ?出来れば状況を説明してくれると有り難いかな。あと出来れば着替えを用意して頂ければ」
「新しい着替えはここに。身体のサイズを測らせて頂きました」
「ああ、うん。それはいいんだけど、この際どーでも」
「お金も結構です。気にしないで下さい」
下着まで…。めちゃくちゃ可愛いタイプの下着である。服は前のと余り変わらないタイプだから問題無いな。
「これに着替えるから出てもらえるかな?」
「分かりました。下の階でペッパーが食事を作ってますので食べに来て下さい」
「ペッパーちゃんご飯作れるの!?」
「ええ、あの性格だと意外に思われるかもしれませんが。では」
シナモンちゃんが部屋を出た後、着替える。
鏡は無えか。まあ割と高価なもんだし仕方ねえっちゃ仕方ねえんだが、自分の姿が分からん。そー言う魔法も覚えてないし。
(あの子達の誰かはそう言う魔法使えると思うわよ?)
アイツらそんな凄いの?
(魔法の腕は英雄程では無いけど、かなりの技術を持ったパーティよ)
なるほどな〜。着替え終えて部屋を出る。
「っと…。んっ」
アイツらの誰かが下にいるだろ。
下の階に降りると3人が食事の支度…だの個々で何か別の事してる。
「あ、レンちゃん起きた。大丈夫?」
「何か身体が色々成長してるのも苦痛色々消し飛んでるの違和感しかない」
「身体が進化した事により再構成され、結果治癒ど同等の効果を齎らしたものだと思われます」
「それでこの身体になったって訳か。力が前と全然違うのは分かる。って今はそうじゃない。お手洗い何処っすか」
「ああ、トイレはそっちです。隣に洗面所もあります。浴室もあります。鏡は有りませんが」
「鏡…か。その事で後で頼みがある」
「あ、はい」
確認を取った後トイレ直行。その後、戻る。やっぱロリになってトイレ近いな。まあまあ違う気がする。地味にめんどいな。それは。
「で、自分の姿を確認してみたいんだけど」
「…ご飯出来たよ?」
「じゃ、後でいいや」
出されたのはよくわからない食材の主食と思われるパンのような何かと紅いスープ、肉入ってるな。有り難い。あとはヨーグルト…だろうか?
「スープとナンはおかわりあるよ」
ナンって確かこの世界のパンみたいな奴だな。
「この肉何の肉?」
「それワイバーンのスネやモモだね。煮込むと柔らかくなってスープにも味が出て美味しいよ!」
へ〜。すげえもん食えるんだな。んじゃ早速。
「頂きます。あ、美味しい」
ワイバーンの肉はどちらかと言うと赤身に近い食感ではあるけど、笹身や胸肉みたいなパサパサ感は無い。臭みも無い。固すぎると言う事もなく、食べ応えはある。スープに出汁が出てるらしいので飲んでみると、スープはトマトや野菜の味の中にしっかりワイバーンのコクや旨味が出てて深い味わいがある。
牛でも豚でも鶏ないけど鶏と牛の中間みたいな感じ。美味い。
「へえ、トマトスープいいな。好きかも」
「それ、サタンハートだよ」
「なん…だと!?めちゃくちゃ辛いのに肉と煮込んでこんな合う料理になるのか」
「アレ、生で食べた事あるの?」
「ああ、興味本位で齧ってみた事あったけど唐辛子のヤバいやつレベルくらいにヤバかった」
「唐辛子ってあそこまで辛い奴ないよね?」
「少なからずこの世界には」
「元の世界にハバネロだとかブート・ジョロキアだとか言う唐辛子の種類があって、その辺だと皮膚に汁が付くと炎症起こしたり、目に入ると失明する危険があるってレベルのモノがあったから。そう言うのを防ぐ服やメガネで完全に護って加工しないといけないってレベルのものだったし」
「なにそれこわい」
「まあ色々食文化でも面白い世界ではあったけど。そう言えば肉ってまだ余ってる?」
「ああ、うん。一応いいとこ取っといてあるし、勝手に全部って事はしないから。いいとこはあげるよ。あと素材も」
「ありがと」
「キミが倒したんだ。後で売った分のお金も殆ど渡すよ。ついでに缶バッジとやらの分のお金も」
「服もらったし缶バッジは別にいいんだけど。ほんと安い奴だし」
「まあまあそう言わず」
「とりあえずこの世界に来てる他の奴ら探す資金と生活費に充てるか」
「なるほど、それじゃ、良いものをあげよう」
情報屋の記事、えっと、フブキ・サクライが別の大陸で森を救い街のお偉いさんになったと。幼女化して。やっぱみーちゃん来てんのか。会ったら抱きしめよう。式を挙げよう。
(式はやめなさい)
冗談通じねーな。
(…アンタの思考回路がそれを冗談として処理してないんですけど!?)
まあまあ。
「とりあえず俺はやる事やったらうち帰るけど、おねーさん方の調査とやらってのは」
「ああ、ワイバーンの動きが収まるまでいると思う。狐の獣人族のいる集落のワイバーンの巣穴のワイバーンがそれに関わってると踏んでる。だから出来れば調べるつもりだけど」
「一応そこに行くだけ行ってみるか。今のパーティじゃなんと言うか、心許ないから話とか色々聞いてみるだけ聞いて」
「確か狐の獣人の子、パーティにいたね。多分場所知ってるだろうしいいと思うよ」
とりあえず次の方針は決まったが、うちのパーティ、ワイバーンを相手に出来るような実力どころかメンタル怪しいもんな。
「ごちそーさま」
スープ3杯、ナン2個食べてしまった。美味いな。
「レンちゃん結構いい食べっぷりだね」
「進化して更に食べる量増えた気が」
「結構体力使う戦い方だもんね〜。ガッツリ食べて力に換えるのは出来てるし、太る心配も無いしいいんじゃないかな?別に」
「どうやりくりするかが最大の問題だけど」
「っと、レンちゃんが自分の姿を確認したいだったね」
部屋を見渡して思考を巡らせる。
「自分の姿を見る魔法の類ってのは色々あって分身を作ったり、鏡を作ったり、鏡の代用品を作ったり、像だけを映したり作るって手もあるけど、今回は鏡を作るやつでいいか。光よ映せ、反射の魔鏡、ミラーコート」
ミラーコート、最後に受けた特殊攻撃の2倍のダメージで相手に攻撃する技、ではなく、鏡の性質をモノに付与するって感じか。
鏡に映った自分を眺める。そして可愛い感じでくるりと一回転してみる。ふむふむ。顔立ちは余り変わらないけど身体つきと言うかシルエットと言うか。まるで別人だな。可愛いのは変わら、いや、大人っぽさ増したか?
流石にここで脱ぐのはマズいから、それは諦めるとして、まあまあ筋肉も増してるし、良さげだ。
「うーむ、この服もアリだな」
「それは良かったです」
「さてと、そろそろ行くわ。めーわくかけてばっかってのも悪いし」
「では、これを」
俺の剣とお金とワイバーンの肉や素材。
「重っ」
これは金銭の袋か?
「めちゃくちゃ重いんだが」
「銀貨で300枚入ってます。銀貨のが使い勝手がいいと判断したので」
「そうかもだけど結構な量で。いいの?こんなもらっちゃって」
「ワイバーンが400万マナで売れたので。私たちはそれ程お金にも困ってませんし」
「あ、うん。じゃ、またね」
とりあえずこの建物をでる。サンドウラの街だなここ。ふつーに帰れそうだ。
このワイバーンの肉、いや、アレとは部位が違うかもしれんが、凄え美味かった。
「あ、レンちゃん。大丈夫!?ってか何処に行ってたのよ!?」
セイラちゃん。
「急に襲ってきた女とワイバーン相手に共闘してその後倒れてお世話になってました。心配かけてごめん」
「倒れてって…。身体つき変わってる!?進化したの!?」
「みたい」
色々身体をみた後おっぱい揉んでくる。
「ふぁ」
「うーむ、何故神は人類平等に生まなかったのか」
「ちょっ、やめっ!」
「っとごめん」
「やったな〜」
セイラちゃんの仕返しに胸を揉む。
「やーめーてー。ごめんってばー」
「やった者は同じ制裁を受けるべき。っと、それはどうでもいいんだった。いやー良いもの手に入ったから他の女子3人とさっちゃんとこ行こうと思ってたんだけど」
「分かったわ。んじゃ、行きましょ!」
ギルドに寄った後、それぞれの自宅に寄り、現住所へと向かう。
「とりあえずレンお姉ちゃんが無事で良かったです」
「ね〜。進化してるとは思わなかったけど」
「で、みんな集めて無事の報告と?」
「あとワイバーンの戦利品を分けようかと」
机にデン!っと銀貨の袋とワイバーンの素材、肉等を置く。
「おーっ!」
「肉はみんなで食べようって思うんだけど、素材はどうしたらいいか分からないから」
「私にも分けて頂いていいですか?」
ヒナちゃんはアルケミストだしなんか使い道とかありそうだ。
「可愛いペンダントやお守り作って皆さんに配りますね!」
「出来るの?そんな事」
「信用無いですね〜」
「いや信用とかじゃなくて、この素材ってそんな簡単に加工出来るのかなって」
「竜の類の素材を加工する為の専用の道具は持ってます!一生使う機会なんて無いと思ってましたが」
「俺がパーティに加わったからには一杯手に入れる!」
「…そそそ、それはちょっと勘弁していただきたく」
「このお肉は…」
「お金も結構貰ったから分配だよ!」
「それならちょっと奮発してシチューとか」
そう言えば乳製品とかも売ってたな。高かかったけど。
「今日の夕暮れにここ再集合!」
「他にシンプルに焼いてみるのもいいかもですねー」
「ワイバーンってそんな簡単に火通せるの?」
「炎に強いのは鱗や皮膚だけですのでそれさえなんとかしちゃえば。お肉の方は一番いい部位を丁寧に下処理されてますね。このまま冷保存箱に入れておいて食べる時に切ればもう使えそうです」
ってな訳で夕方。
「今回はワイバーンのシチュー、あとはステーキですね」
「ステーキ…だと!?」
「この部位だと煮込んでも美味しいですけど焼いても美味しく頂けると思うので」
「塩…と言いたいですけど、割と贅沢しちゃったのでソースを用意します」
「作るとこ見てていい?」
「どうぞ」
シチュー用の肉を贅沢に大きめカット、続けて野菜をカットする。
水から煮て後からルーの材料の乳製品、調味料を合わせる。
「次の機会があればポトフとかもいいかもしれませんね」
「頑張る」
煮込んでいる間にステーキソース。潰して濾したサタンハートのペーストに、調味料や野菜を合わせて火にかける。
「なるほど。サタンハートはソースにも」
「ナンとか色んなモノに合わせられますね。万能なソースですよ。アレンジも効くので」
「へー」
するとパーティの女子の皆様方がいらっしゃる。
「いい匂いしてるじゃない」
「まさかうちのパーティがワイバーンを食す事になるとは」
「しかもお肉明日も食べる量ありますね」
「レンちゃんが食べ尽くさなきゃ」
「尽くさない尽くさない」
「え、本当!?」
「ちょっと…ね」
「?」
「まあレンお姉ちゃんが持ってきたのでどうしようと文句は無いですけど」
「いや〜食べ尽くしても問題は無いけど。ちょっと、ね」
「シンゲツの事気になってんの?惚れた?」
「惚れてない惚れてない。流石にまだ早い。ってか向こうもそんな気無いだろうし、俺も無いよ。シンゲツの事なんてまだ何も知らないし」
「その顔、嘘付いてないわね」
「嘘は下手だから。馬鹿だから」
「自分を馬鹿って言うのはやめなよ」
「別にいいんだよ。力さえあれば頭は別の誰かで補えるのなら」
「ぶん投げた!?」
「そんなもんだから頼れるブレインが必要なのさ」
「出来ましたよ〜」
「レンちゃん何があったの!?」
「何も無かったよ。こっちの方が充実してるくらいには。んじゃ、いただきます!」
「早っ」
「向こうの事振り返ったって悲しい事のが多いから、振り返りたくない。心残りはあるけどこの結果は受け入れてる」
生前とこの世界は違う。向こうの縁も考えていたってどうにかなるもんじゃない。それは分かってる。
「これからどうするかは考えてる?」
「目先の目標はワイバーンの洞窟とその周囲の調査と下見かな。もっと先の事考えりゃ別の事はあるけど」
「ワイバーンの洞窟周辺の調査と言う事は私達の村に向かうと」
「そんな事言ってたな。ワイバーン一緒に狩ったねーちゃん達は。さっちゃんも来る?サソリくらいなら余裕で狩れるレンお姉ちゃんが守るよ!」
「戦わないで済む戦いに首突っ込むレンちゃん護衛としてはちょっと…。トラブルメーカーどころの話じゃないし」
「せっかく素晴らしい世界に来たのに戦闘を避けるなんて勿体無い」
「レンちゃんはそうかもだけど、私達はごく普通の日常を送ってる普通の冒険者業であって、そこらの冒険者と変わらない程度の普通の力と道具で戦う庶民なの」
「うっ。返す言葉もありません」
「でもレンちゃんが張り切ってくれてるおかげでだいぶ稼げてるから」
「そうかもだけど。命賭けてお金稼ぐのに過剰に稼ぐ事も無いわ。最低限生活出来ればそれで十分なの」
この流れ、あまりよろしくないな。どうしたものか。
「ワイバーンを倒すのに協力してくれた人達からこれもらったんだ」
「情報屋の記事…ね」
「この記事、俺の知ってる名前があったからさ、可能な限りお金稼いでこの記事のこいつとか多分他にもいるかもしれない知り合いを探したりしたいんだ。その為には、ワイバーンを狩れるくらいの力と依頼をこなして、お金を集める必要がある。大金積んで、大陸を渡って、旅をする。これが無理ならこいつが来るのを待つ。まあ俺がここにいるって情報さえこいつに伝われば可能性は生まれるけど」
「…ハードね。これはこれで」
「生前じゃかなり楽してた。失敗し辛い、リスクの小さい選択肢取ってきた。馬鹿だったけど。けどもうそんなつまらない人生は終わった。だからつまらない考え方も終わらせたかった。だからやるべきことよりやりたいことをする。自分達の望みを叶えてくれるヒーローはこの世にいない、それなら、この世界のヒーローになるもんだ。なっちゃえばいい」
「…あんま気乗りしないけど行くしかないかなぁ」
「行きましょうよ!ワイバーン狩れる冒険者のいるパーティとかカッコいいですよ!」
「いや、うん。行くのは別にいいんだけどあの村結構物騒っていうか怖いっていうか」
「…まあ結構長老様とか凄いこと言ってますので分からなくもないですが」
「で、ワイバーンの親玉、狩れると思ってる訳?何か策でもあるの?」
「無理だと思う。だからワイバーンの親玉にケンカ吹っかけるつもりは無いよ。実際戦ってみてワイバーンへの打点を作る手段がある気がしないし。マヨちゃんがデッカい狐の衣纏って最強の必殺技〜みたいなの出来れば別だろうけど」
「そんなやばい力流石に無いでしょ」
「私がそれを扱う力が無いだけで存在はしますよ?」
向こうで読んでた漫画でそう言うのあったから、世界観違ってもファンタジーならあるかなと思って言ってみたらあるのかよ!
「獣人系種族なら習得できる可能性があります。私はまだ扱えませんが」
「それを短期間で習得…は難しいか。とりあえず行くだけ行ってみますか」
「えっと、私はやはり行かずに待ってますね」
「分かった。ついでに新鮮なワイバーン持って帰ってくるよ!」
「…だからそんな絶望的な相手に首突っ込む事無いんだけど!?」
「向こうから来たらヤる。それでいいよ。俺は足は遅いからきちゃったら逃げられないし」
「でも確かに気になる事は色々あるし、その危険もあり得る」
「気になる事?」
「ワイバーンの飛んでる個体数が日に日に増えてるのは知ってると思うけど、普段地上の人何か目もくれないのに今回は襲ってきた」
普段襲わないのに襲ってきた。異常なんだろうな。それは。そうなるとこの街も安全とは言い難いだろう。1つ気になる事がある。
「っとなると、俺らがどうこう以前に誰かが何とかしないと下手するとこの街自体も。ここはワイバーンの通り道の真下にあるっぽいけど、街本体の戦力はどうなってるんよ?」
「ギルド提携の軍がいるけどまともに戦ってるの見た事ないからどうなんでしょうね?かつて世界を救った剣士の英雄は今この大陸にいないし」
「どっちにしろ誰かが巣穴潰さない限りダメじゃないの?これ」
「まあ良くはならないでしょうね。落ち着くかも怪しいし」
「まだこの世界に来て少ししか経ってないからこんな事言うのもなんだけど、俺はこの世界が、この街が好きだ。我儘だって思われるかもだけど、自分より強い相手に挑むのに好きなものを守りたいってだけでいいと思ってる」
「…無理無い範囲でやるわよ」




