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異世界転生幼女の英雄譚  作者: ひょうか.みかん
幕間3〜結城蓮と桜井吹雪の軌跡〜
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Extra story7〜結城蓮5-ペッパーとワイバーン〜

 女神がフラグを立てて数日。割と平和に日々を送っていた。まあそんな焦る事も無いんだけどさ。

 クエスト帰りの砂漠。

「今日はワイバーン多いわね」

 言われてみると多い気もする。

 空を横切る飛竜、ワイバーン。あいつらは山の方へ飛んで行くのをちょいちょい見る。何でも、俺がこの世界に来る前後辺りから増え、本来は殆ど見かけないらしい。

 ん?何だ!?

 突如背後から襲い掛かる大槌。

「うわ危ね」

「普通に避けるとは、かなり強いね。キミ」

「急に何すんだばかやろ」

「あはは、ごめんごめん。キミが強いのは一目見た時から分かってた。だから攻撃してみたけど、やっぱ駄目か」

 よく見るとデカいハンマーに対して不釣り合いな小柄の女。そう言う種族で、大人な可能性はあり得る。

「んじゃ、次は遠慮なく、行くよ!」

 大きくジャンプして振りかぶった瞬間姿を消す。そして、横からハンマーを振ってくる。それを大剣で受け止める。

「転移系の魔法…テレポートか」

「いやいや、何これ?フツーは見切れないよ!?」

「あいにく、俺はフツーでは無いと思われる素晴らしい身体能力と危機察知能力があるのだ!」

「みたいだ…ね!」

 正面から今度はハンマーを振る。それを今度は素手で押さえ、ハンマーを奪い取る。

 そのスキを突いて腹パンを貰う。

「いってー」

「いやいや、嘘でしょ!?」

「腹筋舐めんな。そらよ、返すぜ」

 思いっきりハンマーを女目掛けてぶん投げる。見事に腹に入り、吹っ飛ぶ。まさか直撃取れるとは。

「いたた。一体なんなの!?キミ」

「生きてたか」

「生きてるよ!」

「すげーな。どんな身体してんだ?」

「そのままその言葉返していい?」

「どんな身体も言葉も何も筋肉の偉大さだ」

「いやいや…」

 何か来る。これは…ヤバい!ぶっちゃけ目の前のこいつを救う義理は無いが目の前で焼かれても困る。とりあえず隙を突いて女を思いっきり蹴飛ばし俺は…。

「おまいら!逃げろ!」

「え?」

 さっき女がいたところに巨大な火の玉、空にはデカいワイバーンが荒ぶってる。

 ワイバーンは俺らを視界に捉えると臨戦態勢に入る。

「何故戦わにゃならんのだ。ってかハンマーっ娘無事か!?」

「蹴っ飛ばしてくれたおかげでね。助かったよありがと。もうちょい加減してくれても良かったけど文句は言えないね。助けられた身だし。ワイバーンがお怒りのようだね。仕方ない。今回は戦うのをやめて共闘しようよ」

「いいのか?」

「ここで君達だけで何とか出来る気もしないし」

「お前1人でどの程度の戦力かは知らんが、お前は逃げれるんだろ?テレポートで」

「いんや、やめとく。むしろこっちに魔法で応援呼ぶよ。キミのパーティメンバーは街へ送るけど」

「街に送ってくれるのは助かるが、応援呼ぶのは召喚とか転移系か?」

「テレパス送ったから、多分向こうから来てくれる」

「さいですか」

「よっと!」

 俺のパーティメンバーを転移させた後、テレポートで俺ごと飛んでブレスを躱す。

「頭ぐわんぐわん揺れる。っとダイジョブダイジョブ」

「転移慣れないとそうなるよね」

「んで、どうなさいます。お嬢さんや」

「攻撃魔法はあんま出来ないんだよね」

「俺も」

「まず挙げられる選択肢その1、キミを転移魔法であいつの上に飛ばすから翼なり頭なり落とす。頭落ちればそれで終わるし」

 それ無理ゲーな気がするんですが。ってか斬ったところで着地出来ねえぞあの高さじゃ。

「いや無理でしょ。ああいう龍の類ってめちゃくちゃ頑丈って聞くし今の筋肉じゃまだアレの身体落とすのは無理そうだが。ってか斬ったところで落ちて死ぬ」

「砂は柔らかいし落ちて死ぬのはまず無いけど。ワイバーンの下敷きにならない限り。それにアポートなりでこっちに呼べば。でも力が足りない可能性は事実か。キミの剣を振れる自信は無いし」

 この女が聖剣を振る択は…アリなのか?無いっつってるが。

「1って事は他に択あるの?」

「その2は救援来るまで耐える選択肢。キミのパーティを近くの街に転移させてキミと2人でなら少なからず被害は最小限で救援まで凌げる可能性はある」

「こんがり焼けたら街の近くに適当に埋めて石立ててね」

「諦めるの早くない!?」

「対空長射程相手とか出来る事が」

「ディアボロス族…ブレスは?」

「毒ブレスだけなら」

「炎は無理か〜。魔法は?」

「多少は。応急手当て程度の回復とか自衛用の守護や結界攻撃は射程はあるけど範囲狭い闇ベースの炎、風が主かな。ソロ活動意識の連携向けはそんな無い感じ」

「パーティ組んでてソロ主体なの?」

「それは仕方ない事…まあ俺がポンコツと言うか、恵まれた頭脳が無いので大した魔法習得出来ないのだよ。あと、頭堅いから武器で殴った方が強い」

「そっか、似たようなもんか。魔法は干渉魔法が得意かな」

「何それ?」

「空間、物体などに干渉して効果をもたらす魔法だよ。魔法自体に攻撃力は無いけど武器や身体に効果を齎す事で能力の強化や能力の付与をする魔法」

「ざっくりわかった」

「仕方ない。飛んでアレ落とす。それから考える!」

 転移魔法でハンマーっ娘がワイバーンの上からぶん殴って落とす。あのハンマー、風属性かなんか付与されてるな。すげえな。

「翼を斬って!」

 身体に様々な魔法が付与されたのが分かる。回り込んで飛び上がり、右翼を斬る。魔法のお陰か、割とあっさり行ったな。

「よし、上出来!」

「こっからどうすんの?」

「時間を稼ぐ!」

「流石にワイバーンの攻撃を防ぐ防御力は無いけど!?」

「それは気にしなくていいよ!」

 この女は剣持ってる俺を難なく脇に抱えやがった。嘘だろ!?

 全力で走りつつワイバーンの攻撃をテレポで避けつつ数分。

「ん?」

「来るね」

 炎ブレスを何か石の壁っぽいものが防ぐ。

「こんなところで何をしているのですか、ペッパーは」

「調査してたら強そうな人いたから勝負吹っかけてたらそのワイバーンが」

「…ちゃんと仕事して下さいよ。とりあえず、お説教は後です。先にワイバーンを片付けましょう。既に翼を落としてくれているのは上出来です」

 おっぱいの姉ちゃんとそこのペッパーってさっきまで戦ってたハンマーっ娘の姉妹っぽい誰かが増えた。

「ペッパー」

「うん!」

 何らかの魔法をかけて高速移動するコピペハンマーが踵落しを決める。いやいや、流石にそれは無理でしょうよ!腹を地面に叩きつけられたワイバーンが起き上がる。何で効くの!?

「流石に無理ですか」

 さっきの石の壁が動いて再び炎ブレスを防ぐ。

「あ、それ、ゴーレムとかなんかの類?」

「はい。私はゴーレムマスター、カモミール。今回はまあ割と安価な素材ですがかなり強力な式で自律行動を可能とするタイプです。私達の護衛のみを命令してあとはそれを基に自己判断して動きます。もちろん私の命令を事後入力出来ます」

「分かった。じゃ、今のところはそれでいいか」

「今のところはそれでいいとは?」

「状況と突破案出れば可能な範囲で操作してもらう可能性出てくる」

「承知致しました」

「そういやペッパーちゃんだっけ?そっちのねーちゃんちゃのゴーレムを転移させるのは無理か?」

「あのねえ。仮に全快だったとしてもそれは無理かな。大きすぎるし重すぎる」

「なるほど、物体に干渉する魔法は質量や大きさの影響を受ける。意外と力学的な影響は避けられないと」

「ペッパーと違って頭の回る子なのですね」

「考えずに突っ込みたいけど今回はそれじゃ敵わないらしいし」

「ゴーレムの攻撃がアレには最大打点っぽそうだが、ゴーレムの攻撃を当てる隙を作る才能は俺には無い」

「キミの剣で翼は断てた。それなら」

「ペッパーちゃんの魔法を、俺の剣に付与して俺が斬る」

「でしたら、私がワイバーンの囮となりましょう。ペッパーに劣らない身体能力と多彩な魔法で、自己の安全を維持しつつ、貴女の攻撃の隙を作りましょう。ペッパーの姉、シナモンは魔法でも身体能力でも妹に劣らない事を証明して見せましょう」

 こいつらさらっと自己紹介を流しつつ上手い具合に語ってくれたし。俺も乗らない手は無いよな。

「その作戦乗った。上手く立ち回ってあの化け物をぶった斬って見せよう。レン様の筋肉に、偉大な魔法使い様の魔法が組み合わされば、斬れないモノは無い事を証明してみせよう」

「筋肉って」

 スキル:血鬼壊放を取得しました。

 は?おい女神。なんぞこのスキル?

(あ〜、身体能力を爆発的に短時間強化する力なんだけど…)

 その言い方だとリスクとかそう言う負荷がある感じか?

(ええ、全身大ダメージを負うわ)

 それって普通に使い切った後命の危険は?

(その力自体が致命傷になる事は無いわ)

 よしやろう。

(即決ね)

 迷ったらダメな奴だ。

 武器と身体にペッパーの魔法を受けたのは感じる。

「行くぜ。とっておき!」

 熱い、痛い。激しい苦痛に襲われるがすぐに引いてゆく。あ、これ、感覚麻痺してるパターンだ。

「レンちゃんまさか」

「ディアボロス族の固有スキルですね。勝てそうです。後のこと考えたくもありませんが、今はどうこう言ってる場合ではありません」

 シナモンちゃんが魔法を駆使して撹乱と囮をしてくれてる。その内に前脚を内側から斬る。

 体勢を崩したところで一度ペッパーちゃんがアポートで戻してくれる。上手いな。

 ブレスの予備動作が見えたので、一度ゴーレムの背後に回る。そしてゴーレムが平然と受けてくれる。

 オッケー。次はっと。ゴーレムの掌に飛び乗る。

「カモミールねーちゃん、俺をぶん投げさせろ!」

「…そう言う事ですか」

 剣を構え、更なる魔法の強化を受ける。ワイバーンは今、シナモンちゃんに気を取られ、気づいていない。そこで俺はぶん投げられる。

 あとは思いっきり剣を振る。ワイバーンに致命傷を与えて倒れる。

「めっちゃいてえ」

「いやいや」

「それはひとまず置いといて、ペッパーは一体何をしているのですか!仕事してください!あなたの仕事はワイバーンや女の子と戯れる事ではなく、世界の変化を調べる事でしょう!?」

「仕事してるよ。ワイバーンの目撃数も最近増えてるし空間に干渉して最近砂漠のど真ん中に空間の歪みの影響を受けてる場所も見つけた」

 空間の歪み、ワイバーンの目撃数の増加、世界の変化…。

「そこのペッパーさんとやらは十分仕事してるよ」

「子供にフォローされてますけど?ペッパーさん」

「ぐっ」

「貴女も貴女でフォローする意味を理解してますか?」

「世界の異変の話に関してはまあ色々心当たりある」

「え?」

 勝手に話すぜ。

(多分大丈夫よ。アンタの向こうの姿以外)

 わーってる。

(あとポケットに入れといたから必要になれば差し出しなさい)

 何を!?

(向こうのあなたの部屋の私物でダブってる不要なやつ)

 お、おう。

「俺はこことは異なる世界で自然災害で死んで転生した。大きな災害だったから、俺以外にも多分巻き込まれてこの世界に来た奴らは多分まあまあいるかもしれない」

「え?」

「どう言うことですか?」

「どうもこうも言った通りだ。俺がこの世界に転生する際、いや、俺らか、他の世界から空間に干渉を受けてる。この世界で一月前後ってとこだっけ?」

「確かにこの時期に大きな空間干渉を受けてます。しかし、貴女がそれの影響でこちらに来た、あるいは、それと貴女が関係している。それの証拠も無く、信じるには決め手に欠けます」

 ああ、それでさっき仕込んだヤツが生きてくるのね?

(そーそー)

 ポケットに手を突っ込み、向こう3人に見えないようにその実態を確認する。

 あ〜これか。ガチャガチャのアニメの缶バッジ。ダブっていらなかったやつ4つ。

「はいこれ」

 カモミールねーちゃんに缶バッジを4つ差し出す。

「これは…。ふむ、シナモン。貴女の意見も聞かせてください」

「意見は概ね、カモミールと一致するかと思われますが。この世界のエルフやドワーフと言った金属加工、道具制作に長けた種族であってもこれを作るのは不可能かと思われます。つまり、この世界でこれを作るのは不可能であり、貴女が異世界から転生した。と言う説の証拠として足るものかと」

「私も同感です。そしてこの芸術性、これがこの世界に存在しないのは明白であり、それと同時にこれはかなりの作品」

「これさ、アンタらが興味あるなら全部で1000マナで買ってくれね?」

「いやいやいや、出来ませんよ!?」

 1000マナで十分ボッタクリ価格なんだが。1個200円のガチャだし、こっちの世界だと130〜200マナ位の価値しかねえぞ?200〜500マナ位は俺の利益の為に取るが。

「これ1個で金貨1枚から、ものの価値の分かる富豪や領主などの権力者なら桁1つ跳ね上がる価値で買う可能性も有り得ます」

「言って俺らの世界じゃ、1個130〜200マナ位がそいつ1個の価値で、無利益であげるのもどうかと思って多少盛った位だし」

「分かりました」

 そう言ったところで身体がふらつき、倒れる。これはさっきの反動じゃない。ヤバい。死ぬ。

「…意識が遠のいてますね。恐らく進化の兆し」

 なんか言ってるっぽいけど聞こえない。

「ダメですね。完全に意識が持っていかれてます」

「ペッパー、サンドウラへ飛ばして下さい」

「分かった」


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