39話〜VS七賢者ペッパー〜
「お、出てきた。成果は?」
そう言われたのでポンとワイバーンの首を呼び出す。
「おー、このサイズ感は間違い無いな。よく頑張った我が弟子達」
「へえー。なるほどねー。フブキちゃん、だっけ?」
「あ、はい」
「流石に今日は疲れてるだろうし結界使うって言ってもやる気起こらないだろうから、明日、狐の村から反対方向に少しのところに遺跡があるんだ。ここで勝負してよ。大丈夫。純粋に戦ってみたいだけだから勝ち負けでどうこうって話は一切無し」
「分かりました。いいっすよ?」
「決まりだね。んじゃ楽しみにしてるよ」
そう言うと七賢者の方々は何処かに消えてしまった。
とりあえず狐の獣人の村に戻って。
「とりあえずこれで回復は終わったわよみんな〜。お疲れ」
「おお、天使のねーちゃんすげえ」
「疲労とか筋肉痛とかそう言うのは完全には取れないけどね。とりあえずお風呂入ってきてね〜。その間にご飯用意しておくから」
「天使のねーちゃん料理まで出来るのか」
「割とこっちに来た早い段階で食べた事あるけど美味しかった。最初会った頃のアイリスさんは視線だけで殺されるかと思ったけど」
「アレはフブキちゃんに憑依してたガルドの闇の強大な魔力を警戒してた…って普通に説明した気がするけど」
うん、普通にそう言ってる。
「とりあえず入った入ったー」
と言う事で温泉へgo!
「にしても俺の剣ぶん投げて天井にぶら下がるとは」
「俺の脇差だと刺さらないか抜ける可能性あったからな」
「お前の筋力なら刺さんじゃね?」
「筋力は大した事ねーぞ」
「なんかそーゆー筋力バフの種族専用スキルだったな」
「そうそう、そーゆーやつ。お陰で両刀出来る」
なんだかんだオールラウンダーは助かるんだよな。攻防ある程度何とでもなる分相手に合わせて攻められるのは強い。コン程ではないけど身を守れるし、まあしたいと思う事は大体何とかなる。本当は別にATやりたい訳でも無いしヒーラー系術師とかで良かったんだけどまあいいや。
「なんかさ、この世界で、この身体で、今のお前の立場さえ無ければ、パーティ組んで冒険とかしてみたかったな」
「そう言うのも面白そうだな。もももやループ、ゆーきとかと」
「いいなそれ。この世界で女子達と蠍狩ってキャンプしてキャッキャウフフ」
「蠍狩る絵面からのキャンプでキャッキャウフフは難易度高えよ」
「まあ蠍は雑魚だから」
そうじゃねえんだよな。俺らのステが振り切ってるから弱く感じるだけなんだよな。
「違うよ?俺らのレベルがバグってるだけだよ?」
「マジか」
「バグってるの意味は分かりませんがフブキ様方の強さは通常ではあり得ないかと」
知ってた。
「普通のリトルスより遥かに強いマナ、魔力を持ち、総量のケタも違うので」
でしょーね。明らかに魔力に関して差があるのは分かる。そもそもオウカさんと比較しても全然違う。
「まあ今のお前の力ならペッパー相手にでも十分渡り合える。いや、問題無く勝てる」
「このねーちゃん何なんだよ」
「シオンさんいつの間に…。一応この人?魔法の師匠」
「へー」
「反応うっす」
「いや、なんつーかどうみても嘘っぽいっつーか」
「こいつが適当な美少女の依代を作るから貫禄がねー訳で」
「まあこの人、生前どっかの大仏みたいなサイズの巨人を複数自爆で葬り去ってるから」
「マジか」
「記憶を見せる魔法で見る事になった」
「便利だなー魔法。んな事まで出来んのか」
「お前はその気になれば十分魔法出来るのにその気が無いのは惜しいな」
「無い訳じゃないけど軸にはしないっすね。まあ攻める武器じゃなくて便利な道具感覚で個人としては足りてっから」
「お前の戦い方からすればまあ問題無いだろうな」
基本的に剣振ってて特に考えずに突っ込んでくれればそれでいいからなこいつは。
「だが、あと干渉魔法だけでも覚えれば魔法剣士としては上出来だ」
「まあ確かに属性変えて斬れるなんて出来れば結構色々…」
「まあ興味あったらフブキにでも習え。そいつなら十分もう使いこなしてる」
「フブキちゃん達…ごはん出来…アンタいたの?フブキちゃんとかレンちゃん達に手出してないでしょうね?」
「出してねえよ。このレンってガキがずっとフブキを性的な目で見てるが」
「…あなた達の関係も結構変わってるわよね?」
「まあ変わってるっちゃ変わってるっしょ」
「も?」
「あたしはとくに無いけどこいつとオウカが中々に。生前オウカを守る為に強制的に転移させてオウカを安全なとこに飛ばしてから自爆、死様を見せないってカッコつけてんじゃないわよ」
「オウカと心中する気はねーよ!?」
「…まあアンタ1人でよかったわよ。世界が他から干渉受けてフブキちゃんがアンタ見つけてきてくれたし」
俺らの転生、それ以外にも何か他にこの世界にもたらされる何かがあるとすれば、あいつは今どこにいる?何をしようとしている?
考えても無駄か。
翌朝。
とりあえず遺跡。ここ、何かの祭壇とかだろうか?7匹のフーミットが魔法陣を展開している。
「来たね。フブキちゃん。準備は出来てるよ」
「あたしが使ってるのと同じ対人演習用の結界ね。かなり高い魔法能力を持つフーミットね。個々でも。安心していいわ。罠は無い」
それならいいや。
対人演習用の結界魔法の背景が違う。遺跡だ。罠は無い。
召喚魔法でペッパーが召喚したと思われるのは巨大ハンマー系の武器か。
こっちの手持ちはメイス、マナブレード、ハンマー、銃、脇差、ダガー2本、スタッフ、ワンド。銃やマナブレードは相手に見せるのはマズい気がする。
ダガーを太腿に固定してメイスを持つ。
「みーちゃんメイスとか使えんの?」
「俺が鍛えた」
「召喚したダガーは使わんの?」
「それは知らん。ってかあのダガーの提げ方中々にエロいな」
「元の世界の漫画とかで太腿に着けてスカートとかで隠しておくみたいな使い方してるのとかあったな」
「それっぽいのフブキの記憶にあった漫画とかにあったなゲームとやらとか小説とかにあったな。その辺の記憶には干渉出来てた」
「んな事出来んの?」
「フブキに憑いてた時にフブキに干渉防御されてない記憶はマークしといた」
知ってる。まあ漫画とかの向こうの記憶にちょいちょい興味あるみたいだけど問題無いからほっといた。
「そうそう、こっちは使い魔、フーミットは使わないよ。他に使い魔も特にいないし」
「んじゃこっちも無しかな。フェアではありたいし一応」
「んじゃ、行きますか!」
消えた。これは姿を消す魔法じゃない。転移魔法だ。厄介な相手なのは確かだ。こっちは転移魔法で自身は飛ばしたくない。
感じろ、感覚を研ぎ澄ませ。魔力感知は得意だ。
僅かな空間歪曲の魔力、後ろか!
メイスでハンマーを受け止める。
「火属性の干渉魔法、本命の武器や戦術は違うけど得意分野や似たような感じかな」
「流石、魔法の優秀な師を持ったもんだね。かなり精度の高い魔力感知と解析、まだまだ強くなりそうだ。いや、すでに負けるかもしれない危機感感じるけど」
ペッパーさんが耐性を立て直している間にこっちは攻撃耐性に入る。オーブを召喚して詠唱を開始する。
「闇の力よその力を破壊の爆炎と換え、爆裂と塵芥をもたらせ、エクスプロージョン!」
「うわっと、こっわ、そんな魔法まで教わったの!?ガルド馬鹿じゃない!?弟子に魔法教えるにも限度ってもんあるでしょ!?」
ナチュラルに転移魔法で回避したな。この人。やっぱすげえ。
「教えてねーよ!?こいつの前で1回詠唱して見せたら覚えたんだが。普通にあいつは才能の塊だよ」
「それは本当なのですか?大魔法使いアイリス」
「ええ」
「信用されてねえ俺」
「戦争とかで大魔法連発する殺戮の鬼の言葉信じる方が難しいので」
そんな事言われてるのかこの師匠。
体勢を崩したペッパーが別の魔法を自身にかけて迫ってくる。大丈夫、見切れる。
そう思った俺が馬鹿でした。普通にフェイントかけられてハンマーぶちこまれる。
「いてて。普通にフェイント引っ掛けられるとかだっせーな。俺」
「強いよ。キミは。いや、普通の人なら今の打撃で骨バッキバキで立てなくなるはずだけど。平然と立ってるんだからね」
「俺はそこにいる筋肉バカとは訳が違うからバッキバキの筋肉で耐えてる訳じゃない。守護結界系の簡単なやつである程度被害は軽減した。コンやアイリスさんみたいな強度や器用さは無いけどこの程度の簡易版なら使える」
「面白い」
「俺ひっでえ言われ様」
「コンちゃん教えたの?」
「少し基礎を教えた事はありますけど魔法自体はシオン様が」
「自身の身を守る術くらい師として教えないといかんだろ。まあ結界魔法より守護魔法の方が使いこなしてる感じはある。あいつの場合は色々ある強みで殆どの相手を出来るだろうから、多彩さとそれを使いこなす頭は最大の武器でなくてはならない」
「フブキちゃんのセンスとかそう言う類はまず負けないと思うわよ」
「…ガルドとアイリスがフブキちゃんの保護者みたいになってる」
「まともに否定出来ないっすけど恥ずかしいんでやめて!」
「フブキちゃんが恥ずかしがるなんて珍しいわね。だいぶクールな方だと思ってたけど」
誉められ慣れてねえんですよこっちは。親と殆ど会わず教師と妹くらいだから。
あいつはこっち来てないって事は無事か。って今そんな事考えてる余裕は無いんだけど。
さてと、どう攻めるか。あの速さ、いや、転移魔法を使いこなされると詠唱で攻撃魔法を構成すると潰しにかかられる可能性がある。構成隠蔽して使える攻撃魔法は限られてるか。でもまあ、やれん訳じゃない。
アイシクルランスを構成して複数の氷の槍を射出する。
「おわっ、多い多い!」
ぴょんぴょん転移魔法で躱す躱す。そんなテレポート使いこなすのすげえ。素直に嫉妬するわこれは。
うわ、来る!
「当たらないか」
ハンマーを避けて肩にメイスを入れる。
「いてて」
「やっと当たった」
でも、こっちのダメより入ってねえな。取るべき作戦は叩き出した。限られてくる。向こうのクセも割れてるし。
テレポで間合いを取ったな。あとは俺の掌で踊ってくれりゃ。その為にはこっちの魔法を上手く選ぶ必要があるな。
あの人はおそらく攻撃魔法は使わないか使えない。かなりのマナを持ち、干渉魔法の才能はかなり高いと見られ、テレポを軸にハンマーに風だの炎だの付けて来る。やり方は分かった。
光魔法の矢を放ってテレポを誘う。どうやら上手く行ったようだ。後方高めの位置に転移して振り下ろして来る。それなら懐に飛び込んでカウンターを決める。
「ぐっ」
追撃にダガーを抜いて肩に刺す。
「うっ。ったたた。…参った。降参」
危なかった。あれ当たり所悪けりゃ普通なら死んでるしな。
何とか勝利して魔法が解ける。
「いやーすごいもんだ。完全にハメられた」
「ペッパーがバカなのは覆り様の無い事実ですが、フブキが圧倒的に強かった。賢かった。と言う事でしょう」
「んじゃ、君たちにフブキちゃんが勝ったご褒美をあげよう」
「ご褒美?」
「そっ。君たちは泳がせておいた方が面白そうだし結果的に得しそうだからね。化け猫騒動の件の聖剣の持ち主の事を今探っててね。その情報が手に入ったんだ。その人は女でPTを組んでるか使い魔がいるって事。それと転生者である可能性、それともう一つ、教会と繋がってる何人かかなり下っ端の人間ではあるんだけどその剣士に暗殺された。剣だけのものではなくアサシンとしての才能も高いと見られる」
あいつそんな事してんの!?
「俺の仕事減ってるのは地味に助かるがよーやるよ」
「ガルドには伝わるだろうからとりあえずこれもおまけしちゃおう。今まで確認取れてる死者のリスト。世界各国渡ってるっぽいね」
「…なるほどな。俺的にゃこいつはそのまま働いてくれりゃ有り難いがお前らはそうもいかんのだろう?」
「そりゃ教会から命令出るだろうね。こいつを殺せって」
「なっ!?」
「無理だと思うよ?」
「無理なのかよ」
「クミンとかリコリスが動くと思うけど多分勝てないと思う」
「こっちから手出せば返り討ちに遭ってそのまま死ぬなんてあり得るでしょうね」
マジかよそんな強えのか。ほんと何があるか分かったもんじゃねえな、流石ファンタジーワールド。
「ちょっと待て。そんな強いのか」
「教会も重い腰を上げる時が来るくらいにはね。相手は剣士、七賢者でも対応が危ないくらいではあるけど教会も動かないと魔法剣士の相手は辛いだろうね」
小鳥遊がそんな実力を身につけてるのは…まあ分かるか。
「その子、かなり魔法の才能もあった。あたしの感知を掻い潜り気配を消し、空を飛ぶ魔法も1人で使ってた」
「でも流石に大陸をそれで渡れる力はねーだろ。飛んで範囲外に移動して誰かが転移したとか」
「でしょうね」
「さてと、それじゃ、こっちはそろそろ行かせてもらいましょーかね。今話す事は話したし。フブキちゃん、レンちゃん、また戦おうね。こっちも頑張って強くなっておくから」
「…バカなやつですが、まあまた構ってやってください」
「では、失礼しますね」
フーミットが転移魔法を構成して転移する。フーミットすげえ。
「どーやって調教すればあんなすごいのに…」
「あいつらの仲間にフーミットを研究してるやつとフーミットの軍を率いる奴がいる。そいつらにでも教わったのだろう」
「なるほど」
「俺らも街に戻ってそろそろ帰ろーぜ」




