33話〜デザートを越えるべく〜
魔法が解けて目が覚める。
「あ〜みーちゃん強えよ」
「お前耐久値おかしいだろ?」
「筋肉付けた成果よ。やるっしょ」
「何で筋肉で人類超越出来んだよ。普通に引くわ」
「知るか」
「ってか魔法まともに使えるのかよ!?」
「しゃーねーだろ。みーちゃんが剣士に容赦無く魔法吹っかけてくるもんだから魔法で押し切っただけだ。普段ほぼ使わんし使う気ないぞ」
「使う気は無いのか」
「この剣折れて死が近いってレベルになったら考えるよ」
「お前らしい」
「まあみーちゃんが干渉魔法手取り足取り教えてくれるなら、干渉魔法は考えなくもないが」
「手取り足取り付け加えんな。いやらしい」
「はぁ。こいつ後回しにすれば良かった」
「酷え」
「お前、レンと言ったか?」
「何だちっこいねーちゃん」
「ガルド、堪えて!」
「ちっ。お前、この近くで埋まってたゴーレムについて何か知らないか?」
「知ってるよ。この街にカモミールっつーゴーレムを使うねーちゃんがちびっ子2人連れて来てた事がある。俺はそのちびっ子のハンマー使いと戦って引き分けた。こいつと戦ってる中で言ったのはそいつの話だ。ペッパーっつったっけ」
「ペッパー、カモミールか。なるほどな」
「街に暴れてるワイバーンが来る前に迎撃した。アイツら金要らねーみたいで俺に全額くれたしよ」
「ガルドよ、心当たりあるのか?」
「教会が雇った傭兵だったか七賢者と言う奴らのうちの3人、ペッパー、シナモン、カモミールで間違い無い。目的とか聞いてるか?」
「俺の事確かめて他の転生者を探してるとかどうとか。それ以外は特に。自分も詳しい事知らなくて転生者って名乗っちまったが拉致られる訳でもないからほっといた。その後そいつらがどうしたかは知らん」
「そうか…。話してくれてありがとうよ。礼を言う」
「レンちゃん他の転生者について知ってる事とかある?」
「イズミ・キサラギの武器がこの街に流れて来てる。知った名だったから武器屋のおっちゃんに話を聞いた事があってシクサリスだったかにデッカい鉱山を掘った洞窟に街があってその街で偉い鍛治屋に弟子入りしたのがイズミだとかどーとか。街の名前は忘れた」
「大体分かった。次はシクサリスね」
「その前にワイバーンの動きについて調べたい」
「それなら狐の獣人族の集落行けばいいんじゃね?」
「あんま乗り気しないわね」
「胡散臭い連中っつーかおっかねーっつーか」
「ワイバーンの巣に向かうにしろあっちの山越える前提だかんな」
「何キロくらい?」
「知らんが3日かかる。デザートランナー連れてくと山入って邪魔になるから。みーちゃんの魔法で空飛んでいくのはどうだ?」
「人多い」
「仕方無い。最低編成で行って向こうで転移魔法使って合流しましょ」
なんか狐の獣人族の集落に向かう事になってしまった。
「妥当っしょ」
「フブキちゃん、ノーラちゃん、レンちゃん、あたし、マシュマロちゃん、オウカで行くわ」
「あとコンも連れてってやれ。トウカはこっちで待機させる」
「コンってあの俺を迎えに来たねーちゃんか」
「そうそう。結界魔法を使いこなして中々の実力だぞ」
「んでサクヤがお留守番と」
「私が行っても足引っ張るだけですので」
「…そんな弱いの?」
「立ち回りが出来てないもので」
「アレだ。来世でゲームある世界に生まれたら今度はロープレやろうな」
「もう結構ですよ」
こいつら…。
「ロープレかぁ」
「みーちゃんは来世はロープレ作れよ!」
「やだよ!面倒臭い」
「レンちゃん、ロープレって?」
「俺たちの元の世界の娯楽っすよ。丁度こんな感じの世界で目的を果たす為にモンスターを倒しながら世界回って世界救うとかそう言う遊びっすね。それをこう言う感じのサイズの機械やパソコンっつー機械とかで遊ぶっすよ。みーちゃんはロープレって言うよりゲームっつーそう言う遊戯のソフト…。データ…記録を作ってたんっすよ。趣味で」
「フブキさんそんな趣味あったんですか!?」
そう言えばサクヤには話してなかったっけ。結構親しい方の間柄だったしてっきり話してるもんだと思ってた。
「アレ?知らなかったの?だいぶ人気の作者だったけど」
「私は風景画描くの好きって聞いてましたし、実際絵見てお上手なものだったので」
「フブキちゃん絵描けるの?料理も上手だったし!」
「みーちゃんハイスペックだぞ。養って欲しいレベルだし」
「今養われてっけどな〜」
「マジか」
「うちのさ。家臣さんの方々さ、優秀ではあるんだけどどっか俺をやんちゃな妹か娘くらい感覚で見てるから」
「お前向こうの世界妹いたよな?」
「いるな。俺の事大好きな」
「生きてっよな?」
「こっち来たって話女神に聞いてねーから生きてると思う」
「思うって何だよ?」
「アイツのことだから俺が死んでから自殺も考えられなくないけど」
そーなんだよなー。うちの愛しのにゃんこ達は無事なんだろうか。心配だ。
「あ〜。そういう。あとはみーちゃん宅だと普段から会えない両親はともかく飼い猫達か」
「うっ、痛いとこ突いてくんなよ。妹以上に会いたいんだぞこっちは」
「俺は妹が心配だが。ペットはいないし」
「お前はそうだよな」
「さてと、3日で集落となると山超える準備は要るか?」
「山ってやばいのいる?」
「山入ると蠍はいねーけど馬鹿デカい蜘蛛がいる。黒いのは大丈夫だが紅いのは毒ある。ちなみに黒い蜘蛛はあんま美味くはない」
「毒蜘蛛か」
「レンちゃん食べる事前提で話してるの何故?」
「評価の基準は食えるか、金になるか。正直雑魚ならその基準と害意が無いならシカトする」
「レンレン金に飢えたか」
「しゃーない。こっちは公務員とか優秀な職でもなく冒険者で1.5人分以上の生活費稼いでんだ」
「そう言えばどっか行ってたな」
「リトルスのお前みたいなちっこいのと一緒に暮らしてんだよ。この大陸を出る事になったらそいつは連れて行く。織物職人だからそいつを卸せる店を紹介してやってくれ」
「分かった。ってかお前リトルスのちっこいのって何があったんだよ」
「最初砂漠に転生してとりあえず歩いてたらぶっ倒れて冒険者パーティに拾われてなんかそいつに引き取られる事になったらしいんで俺はそいつから金借りて冒険者になって金返してガッツリ稼いでるっつー訳」
「お前稼いだ金全部食ってねーだろうな?」
「流石にそれはねーよ。まあまあ食ってはいるが」
まあまあ食ってるよな。そりゃ。こいつ。他に金かけてなさそーだが。
「衣類はやっすい下着に初期装備とそいつが作った服だし武器はこいつ一本。まともに買ってるのがマジックアイテムと狩りに使う罠とかそんなんだな。この町で欲しい魔導書は手に入ってるからもうそれは要らん」
「とりあえず各個準備に入りましょうか」
レンレンと街を歩いて準備する事になってしまった。
「とりあえず狐村に向かうパーティの構成とか色々おーせてくれ」
「俺はまあ基本武器は脇差と短剣の二刀。干渉魔法軸だが自身を巻き込む転移が苦手」
「魔法色々使ってたよな」
「干渉魔法、攻撃魔法、工作魔法、禁忌魔法、回復魔法辺りはまともに使えると思う。操波魔法、観測魔法とかは怪しい」
「ノーラちゃんは?」
「剣士。ちょっとだけ干渉魔法使えるけどメインは剣。ただ、めちゃくちゃ足速いし腕は確か。俺の護衛兼近接部隊隊長格」
「俺より強い?」
「多分お前でも見切れん。俺より速い」
「マジか。えっとあのアイリスっつー天使のねーちゃんは?」
「白。スタッフ使ってて回復や光攻撃魔法とかかなり。世界救った人の1人」
「マシュマロは?」
「うちの開発やってるアルケミスト。魔力を射出する銃を開発したりポーション開発したり色々やってる。銃を使えるけどその他戦闘はキツい」
「あのねーちゃん撃てんの!?」
「RPG7とかデグチャレフの対戦車ライフルまでのデカいのとかいけるぞ。持って来させてないが。見た目の割に体力、筋力は付けさせてエルフの中では一番体幹しっかりしてる」
「お前対物ライフルも使ってたな」
「アレも作らせた」
「やり過ぎんなよ」
「わーってる。お前の下着とかインナー作らせるか」
「どーゆー事だよ」
「お前と戦う時は着けてなかったよな確か。衣類に魔力の回路を走らせて魔術刻印を衣類に構成する。肌に触れて魔力を循環させる事で魔術が発動するっつーもんを衣類に仕込むんだよ。普段着けてるやつとかインナーならダガー通さない耐久になるらしい」
「すげーのはわかった。でもブラの箇所しか守れないんなら微妙じゃね?」
「実はそうでもない。魔力を流すとそいつが薄いバリア張ってくれるから魔術でカバー出来る」
「魔術ってこの世界魔法と魔術両方存在すんのかよ?」
「存在しないが存在する」
「お前めんどくせー言い回し好きだよな」
「悪かった。魔法と魔術ってのは結果、人の呼び方の差で区別する為に生まれたものだ。元を辿れば同じだ。この世界では構成に言語を必要とするプログラミングのように構成する物を魔法、言語を用いない回路だけで構成するものを魔術と呼んでるっつー説が有力だ。一応もう一つあってそっちは太古より用いられるものが魔法でそれを簡単にした今のをってのがあるけどそっちはほぼ使われとらん」
「大体分かった。この世界で魔術師ってのは」
「所謂前者の魔術師でドマイナーだな」
魔術師。回路を構成して魔術陣、魔術式魔法陣を操る者。覚えてみた事もあるし使う事も出来る魔術もある。カーディアさんから受け取った魔術の魔導書もある。ガルドさんが魔術なんてじじむさいとかなんだとか言ってたけど。実際使用者もまあいない。
「さてと、話が終わったところで、ここで一番高い下着が買える店案内しろ」
「よりによって一番高い店かよ」
「作るとなると時間かかる。魔術回路の付いてる防具よりは下着のが安い。金は出すから」
「へいへい。お前のは?」
「俺は買わん、マシュ達が作ってるし多分あいつならすぐ出せる」
っとその前に、マシュにテレパスをっと。
(あ、フブキ様。どうなさいました?)
(ここ出る時に下着変えてくからよろしく)
(承知致しました)
(あとレンのも作って欲しいんだけど)
(ここでは難しいので帰った時になりますね。それでいいよ)
(承知致しました)
とりあえず一番高い店と案内されて来たのは所謂そういう店である。
「いらっしゃいませ〜。あ、レンちゃんが店に来るなんて珍しい」
狐の獣人族のお姉さんだ。この街にも結構狐の獣人族多いらしい。
「あ〜、うん」
「そっちの子は?」
「知り合い。フブキ」
「どうも」
「今日はそっちの子の?」
「いや、あたしの。魔術回路のある下着買ってくれるって言うから」
「へぇ。お嬢様なんだね」
「街持ってる偉い人だから」
「え、あ、うん?」
こんな見た目の子供が街持ってるなんて聞いたらまあそうなるよな。このリアクションは理解出来る。
「んじゃついて来て」
案内されると魔術回路の描かれている下着のコーナーに案内される。
「やっぱ高い」
「桁1つか2つね。なるほど。問題無い。好きなの選んでいいよ?長旅だしいくつか要ると思う」
「いやいやみーちゃん先生、流石にそれは」
「安い安い」
「手持ち幾ら持ってんの?」
「えっと、白金貨5枚、金貨30枚、銀貨200枚で1千万マナ。必要なら魔法で億単位はストレージにストックしてる」
「そっちのお嬢様は必要無いので?」
「間に合ってます。っと好きなの選んでいいって言ったけど割とそうもいかないかな」
「え?」
「補助色とか魔法有効色とかそういうのがあって、例えばこの赤、所謂炎の補助が付いてるから魔力量や質によるけど炎の被害を軽減出来る」
「詳しいね」
「色々勉強したので」
「レンちゃんより頭良さそう」
「実際いいから否定はしないよ」
「これから狐の獣人族の村に行くっていう話でそれに向けて色々」
「ワイバーンの調査なら赤系統か炎軽減に加えて体感涼しく感じる青系かな。炎軽減は赤より弱いけど。水色や紺、マゼンタとか紅、朱も大体同じだね」
「レンレンなら青じゃない?」
「やっぱそうなるよね。んじゃ青と紺、水色のこの辺で上下」
「30万マナだけど大丈夫?」
「金貨3枚で」
「ありがとね〜」
「着けてっていい?」
「いいよ〜」
とりあえずレンレンが着替えるのを待つ。
「どうよ?」
「え?見せてくんの?いいと思うけど」
「分かった、んじゃ服着るから待ってて」
「うん」
その後店を後にする。
「まあ旅先の必要経費だと思えばオッケーオッケー」
「めちゃくちゃ金持ってて何故言い聞かせる」
「これがうちの街ならポケットマネー自体は出ないから」
「あー、そう言えば毒ポーションは要るか?」
「俺とアイリスさんとマシュが解毒魔法は使えるしマシュは解毒剤持ってたはず」
「じゃ、大丈夫か。解毒魔法は使えねえんだよな。簡単な回復魔法は使えるが」
こいつが魔法をここまで覚える努力をしていたと言う事実が驚きではあるが。
「ローブとブランケット買うか」
と言う事で衣類店に。
「いらっしゃいませ〜。レンちゃんがみた事無いこ連れてきた」
「これからこれと狐の集落行くんでローブとブランケットを」
「リトルスの子ね〜。いいのあるよ?裏地に回路あるやつ」
「…初めてで一番高いの勧めるってどうなのさ?」
「いいよ?」
「こう見えて大人なのね」
「8歳だけど」
「リトルスやっぱ実年齢分からないわね」
「ね〜」
魔術回路の描かれているローブ。表では無く裏、相手には見えないと言う訳か。
「守護系の魔術と冷感、あとは感知妨害なんかの隠蔽系ね。色は砂漠に合わせた感じで保護色として機能してる」
「こんな頭のいいリトルス初めてみた。合ってる」
「この子はなんと言うか違うから。色々」
他のも目を通す。
「ローブ3着とブランケット3枚」
「47万ほどになるけど。大丈夫?」
「白金貨で」
「ちょっと待ってね。お釣り持ってくる」
間も無くしてお釣りを受け取り店を後にする。その後、ブーツも2組買っておく。いいブーツ計35万マナ。
「似合うじゃん」
「うっせ」
「あ、見つけた。砂漠の保護色のローブ?」
「そうそう」
「可愛いじゃん」
「だってよ、みーちゃん」
「レンレンは黙れ」
「うーむ、みーちゃんをどうすれば攻略出来るか」
何言ってんだこいつ?何故俺がこいつに攻略されにゃならんのだ?
「なんかレンちゃんとフブキちゃんの温度差と言うか」
「生涯、遊び仲間くらいのもんで終わると思ってたのに。転生して、砂漠にぶん投げられて頭壊れたか」
「大丈夫だ、問題無い」
問題しか無いんだが。
「って言いたいが、本当は。なんか眠くなんねーのは怖い」
「ディアボロスはそもそも睡眠をあまり必要としない種族で個人差はあるけど眠気が無い事は問題無いし眠くなったら寝て目覚めれば普通に二度寝せずに起きれば問題無いの」
「うーむ。でも寝ないと成長しないような」
「レンちゃんの場合は身長ね」
「俺ってディアボロスの女子の同世代の平均と比較するとどうなんだ?」
「身長はちょっと低いけどこれと高いの足していい具合の位置ね。胸はある方で筋力だけ異常に高い」
筋力異常…って!
「戦闘能力、魔力量も進化してるとはいえ、桁が違うわ」
「桁…」
「ちなみにフブキちゃんはレンちゃんのベクトルで胸を悲観する事も無いんだけど…。まず今のフブキちゃんの胸と同じリトルスが100人に1人いればすごい方」
これで大きいのか。やっぱ希望ねーな。ってなんの希望だよ!?別に要る訳ではないだろうに。
「なんでリトルスなんだろ」
「今更?」
「もう今更だし気にする事無い筈なのにこいつと会う話になってしまったから…」
「600年は生きるわよ?進化してるし700年以上は堅いわね。レンちゃんも600年は生きると思う」
「みーちゃん、数百年かけてでもこの世界にネット普及させようぜ?ワイファイ飛ばそうぜ!」
「ネット?何それ」
「こんな板のやつとか箱型の機械で世界各地の情報見たりゲームやったり。みーちゃんゲーム作ってたよな。めちゃくちゃ面白い」
「相方いねーし無理だぞ?キャラ絵描けん」
「だよなあ」
「相方向こうで生きてっよな?」
「らしいぞ。身体弱いって聞いてたけど、こっちに来てるって聞いてない以上向こうで生きてるっつー事になる」
アイツが無事で良かった。可愛いヤツだったし彼氏くらい作れるだろ。
「あいつこっちに来たところで、いやサクヤ以上には戦えるか」
「向こうに生きてる友達の話?」
「だな」
「違うぞ」
「もももは友達じゃないのかよ、可哀想だろ」
「少なからず友達ではない、頼りになる優秀な相棒だったからな」
友達なんかで片付けていい関係ではない。恋人以上にはならなかったけど。
「いい関係じゃない?」
「そういやリアルで会ってんだっけ?」
「それなりに。背景画、風景画習ったり教えたり色々。ご飯奢ったり」
「みーちゃん向こうでも金持ってたもんな」
「結果販売まで活動が行き着いてたしな」
「フブキちゃん向こうで何やってたの?」
「15歳学生と言う肩書持ったゲームクリエイター」
「学生メインだからな?」
「それで元の世界でビジュアルオッケー、学業優秀とか完璧超人かよ死んじまえ!」
「死んだぞ?あと運動神経はよろしくなかったが」
「…。そだっけ?あっちで身体動かしてるの見た事ないしこっちはバリバリ動いてたからそんな風に思わなかったが」
「ただの転生スペックだ。気にすんな」
「あなたたち…」
「次の獲物はワイバーンの主の前にキツネの主か」
「獲物とか言わないの。あっちの世界の女子ってこうも血気盛んな子多いの?」
「いんや?みーちゃんと俺が変わってるくらいだよ」
「準備完了次第、揃い次第行くわよ!」




