32話〜フブキvsレン(後編)〜
「レンちゃんがエクスプロージョンを覚えた?」
「凄まじいな。あやつの魔法への執念は」
「魔法への執念じゃねえぞアレは。ただのフブキへの対抗心だ」
うそん、レンレンがそれでそのレベルの魔法覚えちゃうと流石に引くよ?頭おかしいよ?
「いやいやないない。俺はファンタジー世界の夢とロマンをとか色々とか言いたいが直でぶつけられれば流石に死ぬから詠唱覚えてみた」
それが出来るからこいつは、馬鹿なのに頭良いから。ちくしょう。まあぶっちゃけこいつが魔法使うなんてそうそう無いだろうから。精一杯遊ぶか。にしても。
「あちち、服ボロボロじゃねーか。まあいいけど。お前が強えのも分かったし、やっぱ出来るっつーのも再確認出来た。お前がどう強くなったかは知らんが友として認めるのは嫌だがライバルとしてはいい相手だ」
「友達嫌なの!?」
「嫌だ。ウザい」
「冷たい事言うなよ〜」
「ったくでもまあ相性は悪かねえから遊んではやる」
「ツンデレみーちゃん愛してる!」
「ツンデレじゃねえよ!」
さてと、今の会話のうちに大体戦略は練ったがアイツが化けもんみてーに硬い以上魔法で押し切るのは有効だがそれで勝つのはなんか気に食わん。でもあいつもそれなりに出来る以上、まだ遊べそうだ。
あとアイツが覚えているのは闇の魔力をベースにした魔法だ。光は無さそうだ。
つーと闇の魔力だけでやれるだけやってみるか。
「まだまだいくぜ。水よ天より惨禍の雨をもたらせ、ウィークンレイン」
まずはあの耐久値を何とか。
「そぉい!」
「うそん」
は?アイツ、雨雲ぶった斬らなかったか?
魔力を斬撃に乗せてそれで魔力の雨雲を…ぶった斬れるのか?ってか雨止んだし。これじゃデバフ期待出来ねーな。
直接系か?よし。
「いくぜ!」
相手に悟られるとマズい、結構とんでもない魔法持ってるような奴だし迂闊に詠唱するのはマズい。構成隠蔽で発動の準備をする。
「お?来るか」
油断させるべく武器は持たず走って詰め寄る。それに驚いたのかレンレンは何も出来ずに懐へ入った。よしこのまま抱きつく!
「みーちゃんがそんな熱烈なアピールを!」
おっしゃ、決まった!
「なんじゃこれぇ!」
決まったのを確認するとすぐに距離を取る。
「苦労したぜ。お前が頑丈過ぎるから物理耐性と魔法耐性を落とす魔法を予め構成しといて直接接触でお前の身体で発動させた。つっても見る限り俺の耐性とそんな変わらんレベルだが」
「マジで?」
「マジで。そのムッキムキの筋肉は攻撃専門となってこれで普通に殴っても痛いレベルだぞ」
「童力で打たれたら終わるくね?」
「まともに入ればな」
ここまでしたけどこれはあくまで保険に過ぎない。剣か魔法で取れる択があるなら優先されるのはそっちだ。剣…か。いや、それを取り上げて無駄なのは分かったが、その選択肢は無い。今のところ。多分そのうちやる。
で、だ。ぶっちゃけこの化け物染みた体力とかやべえな。まあ何日も帰らずにクエスト受けてたりするとそんな体力付くのか?何なのか知らんが割と俺に余裕無いのは問題だな。
どうやって攻略すんだよ。試せるもん全部試したぞ?銃は使いたかねーし。アレで勝っても俺の力あんま関係ねーし。ハンマー出すか?今更?いやいや、無いだろ。重いぞあれ。俺とレンレンの違いを活かす上でハンマーは枷でしかないぞ?
「良い事思いついた」
「おっ。来るかみーちゃん」
「創造の力を持って写しを生み出せ、コピーメイク!」
これで多分モノとしての実物はコピー出来たはずだ。神スペックまでは無いだろうけど。それは干渉魔法で補えばいい。
「俺の剣を複製した…。だと!?」
「質量、切れ味、大きさくらいだけど。それが持つ神的スペック自体はねーよ」
地面に落ちたコピーを持つ。
「重っ、何キロあんだよ!?これ!?」
童力で持てるけど!けどだよ!?
軽く振ると地面に刺さる。デカさもぱねえなやっぱこれ。強化魔法やその他魔法をいくつかかける。これで何とか振れるな。ハンマー拒否ってわざわざレンレンの聖剣コピるのもどーなんよって話だけど。
「やっぱみーちゃんおもしれー、サイコー、愛してる!」
「愛してる愛してるうぜえよ!?」
「んじゃ行くぜい!」
この剣持って出るスピードがレンレンよりギリギリ速い程度、気ぃ抜いたら剣の重さに振り回される。
「フブキちゃん結構な無茶するわね」
「相手の持ち武器複製して振り回すって普通に考えれば勝ち目無いもんな」
そう、本人のが当然扱いこなせる上に偽物だから完全ではない分、単純スペックで劣化だ。でも、その差を覆す手段は幾らでもある。
レンレンの横振りを突き立てて防ぎこっちの横振りは普通に防がれる。縦振りを回避してこっちも縦振りを決めに入る。ここに差別化要素を作る。重力魔法をかけてテレポートでレンレンの真上に飛ぶ。
「うおっ!」
気付いて防がれるがかなり重かったようだ。
「なるほど。そう言うことか」
「どう言うこと?」
「フブキは振り回す事にリスクが大きいのをカバーする為に予め重力強化辺りで自分ごと剣を重くして転移魔法で真上から落ちて攻撃。そこいらの大男があいつの剣を振るのと同等かそれ以上の火力が出せる」
「なるほど」
まあそうだけど縦振りの為だけに転移魔法使うリスク負うメリットねえな。これは。軽くフラつくがスキは見せずすぐ立て直して誤魔化す。
そのあと数回振って転移してを繰り返したけどこれ面倒だしそもそも相手の武器だから有効打にならないと思って諦めて消す。
剣と剣、魔法と剣、魔法と魔法、体術割とやる事やってみたけど想像以上に硬さがヤバい。回復付いてないはずだし。まだまだ決着しそうには無いしまだまだ楽しめる分童力自体も問題無く湧いてくる。リスクも無いって事だしほんとやべえ力だな。一応念の為に外に出さず身体強化に一部使い残りの殆どは体内で圧縮する様に溜め込んでるけどこれを解放するのは今じゃない。
「フブキちゃんが童力を節約して体内でぎゅうぎゅうに溜め込んでる。これ、すごい事になるかも」
まさか。ヤバくなったら一気に解放したいけど、そこまで来ると持つか怪しいし、出来るかどうかってレベルだ。ただ、それでも体内に溜めてる分は一姫集結を使用して時のオウカさんの分だけにギリギリ届かないレベルだろう。童力のスペックがアレな以上レンレン相手にそれで消耗する気は無いしそもそも一姫集結はこの状況で使用出来る技でもない。でもこうしないとヤバいんだよ!こいつの血鬼壊放のレベルが計り知れないから!あなた達はこの小娘がこんなスキル持ってるなんて知らないでしょうけどね!?
「次はみーちゃんの女神に貰った武器コピーして使わせてよ」
「どっち?」
「2つあんの?」
「ミスリルダガーとミスリルスタッフ」
「ダガーでいいわ。魔法の有用実験大体済んだ」
普段お前魔法使わなさそーだもんなー。試したかったか〜。分からんくはない。つーかあのに忍術ポーズは何だ!?
「あの忍術ポーズは何だったんだよ?」
「魔法使う時のかっこいいポーズ」
「かっこいいポーズは光魔法だぞ」
「ネタじゃねーか」
「冗談は置いといて普通にダサいぞ」
「そっちが冗談であった欲しかったな〜。みーちゃん辛辣ぅ〜」
「魔法使えるなら触媒持っとけっての。ほいダガー」
「ミスリルか」
「ああ。何だかんだ言って刀より使ってるしな。スタッフは殆ど使ってねーけど」
「お前も結局物理じゃねーか」
「いや?魔法はオーブのが使ってるだけだ。女神産ではないが使いやすい。ってかお前も触媒1つはあったほうがいいぞ。真面目な話。攻撃だけじゃなく全部の魔法に作用すんだからよ」
「んなもんは武士には要らん!」
「お前は武士でも侍でもねーよ。剣士であり、戦士であり、結城蓮であり、レン・ユウキであり、レンレンだ。そんなカッコいいモノじゃねえ」
「良い事言いそうな流れでぶった切んなよ!?」
「お前をカッコいいだなんて一度死んだ身でも言わん」
「じゃあ俺は開き直って何度でも言ってやる!俺はみーちゃん愛してっからいつでも来い!」
呆れた。何故そーなる。
ダガーを投げる。それをレンレンが受け取る。
「上等」
「行くぞ!」
まだレンレンに耐久弱体化のデバフは残ってる。次は火力弱体化の魔法を構成隠蔽して構成する。もう一度どっかで接触しないといけないが、まあここまで消耗してりゃスキはある。
真っ直ぐ突っ込みレンレンの振りを掠る直前で躱す。後ろから羽交い締めと行きたいが体格差のせいで抱きつくしかない悲しい事実。
「みーちゃん後ろからでも前からでも嬉しいけど戦闘中で魔法仕込むのは勘弁してくれよ」
このままダガーで首を斬ろうかと思ったが普通に振り解かれる。カン、カンと音を立ててダガーがぶつかり合い、決定打は見込めない。じゃ、次はこいつならどうだ?ダガーを左手に持ち替える。
「そんな器用なのかよ」
右、左、下、右、右、上、斜め斬りと規則性を持たせる事なくダガーを振り、持ち替えたりしながら拳を交えつつ振る。偶に掠るがどれも決定打にはならない。こいつ耐久削ったのに痛い素振り見せねえのかよ。結局化けもんじゃねえか。ってか笑ってね?こいつ。
「俺さ、これでもまともに対人はやって来なかったしデカいバケモン狩るのが楽しかったし充実してた、満足してた。でもお前とやり合うのは楽しい。ドラゴンより強い、下手したらアイツより強い」
「アイツが誰かは知らんが、そいつがどんだけ強いか知らんが、お前が楽しいってんならそれはそれでいい。悔しいが俺も楽しい。ぶっちゃけちっこくなって色々不満あったがまあ充実してる。所謂人類に分類される種族の方が殺してる気もしないけど。戦争もどきはやっていい経験になったし進化の糧になった。ファンタジーがリアルへと変わった世界は俺を満たしてくれた」
「そっか」
『新スキル、楽喜姫を習得致しました』
溜めて置いた童力が新スキルになったか。使うのは後だ。今は!
再びダガーでの斬り合いになる。
「力互角かよ。お前のアレも使わないレベルにまで落ちるとは」
左、左、右、フック、右、左、下。
拳を交えつつ再び近接戦闘で勝負を仕掛ける。
「後で魔法は解いてやる」
「俺が負けたらなんて言うなよ?」
「言わないさ」
剣戟の乾いた金属音に掻き消される程度の声で会話しつつ斬り合う。
「お前の血鬼壊放のスキルをこのラッシュが終わったら使用しろ。俺も身体強化系のスキルを使う。それで決着を付ける」
「乗った」
ぶっちゃけもはや服が何の意味も為していないのはガン無視する。こいつ相手にそんなもんあって邪魔だ。
ナイフを弾き飛ばしてレンレンの大剣、俺の武器全てテレポートで飛ばす。
「あ、ちょっ!」
ブチブチと服を引き千切って捨て、楽喜姫を使用する体勢に入る。
それを見たレンレンが血鬼壊放を使用する体勢に入る。
「フブキちゃんまさか!」
「あのレンって女、まじか!?」
「あんたら2人は何の驚きよ?」
「フブキちゃんがリトルスの中でもかなり珍しいスキル、ラッキープリンセスを使おうとしてる」
「レンがアタッカー系ディアボロスの超強力スキルの血鬼壊放を使おうとしてる」
「百年で数人いるかどうかのスキルじゃのうどちらも」
「ってかあの2人全裸寸前なんだけど」
「ありゃ無理だ。止めれん」
「よねえ」
「私が底辺過ぎて付いていけないんですけど」
「私も無理です」
んな事言っちゃってるよ外野。
「決着を付けるぞ!みーちゃん!」
「分かってる!レンレン」
かかってるデバフ魔法を解いておく。
「血鬼…壊放!」
レンの身体が紅くなってゆき、紅響の様な模様がマグマのように、燃えるように輝き、力がどんどんと増してゆく。
「楽喜姫」
それを見ながら俺の身体は炎の様な紅い童力が体を纏い、髪も紅く染まる。
たんっと地面を蹴る。右ストレートを打ち込もうとすると向こうの右ストレートが防ぐ。
互角か。
向こうの左足回し蹴りを止めてこっちの裏拳も止められるがクソ痛え。
「目で追えませんわ」
「サクヤさんの反応が普通ですよ」
腹パンを耐えてこっちも腹パンを打ち込む。
「かはっ」
やっと血吐くか。こいつ頑丈すぎるから有効打やっとかよってレベルだな。
「うらぁ!」
右足の回し蹴り貰って吐血する。今の蹴り胴体ぶった斬れるって思ったぞ!?
一度飛んで踵落としを決めるも頭は躱され肩に当たる。
「にゃろー痛ってぇな」
脚掴まれてぶん投げられる。しっかり着地し、体勢を立て直す。靴と靴下脱ぎ捨ててぴょんぴょんと2回跳んだら反撃に向かう。レンレンも靴と靴下を脱いで向かってくる。
脚が痛い、腕も痛い、そもそも痛くないとこなんか無いんじゃないかってレベルで痛い。死ねる。
「終わりにしよう、レンレン!」
「ああ、みかんちゃん!」
全力の右フックがお互いの左頬をブチ抜いてぶっ倒れる。
「ぜぇ、ぜぇ。死ぬ。無理。立てん。みーちゃん。トドメさせ」
「え、無理。魔力枯らしたのなんて初めてだぞ。体力も限界」
「ってかみーちゃんすっぽんぽんだぞ」
「お前もだぞ」
「お前が切り刻んて燃やしてトドメ刺してくれたからな」
「おめーもな」
「そこの全裸のおチビちゃん達。引き分けでいい?」
「十分やった。満足だ。異論は無え」
「同じく。ディアボロスの見た目のバケモンとタイマンとかもうやりたくねえ」
「お疲れ」




